平成17年10月13日更新
第15回:平成17年6月4日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
科学技術に関する社会的合意の形成
内容例
・社会的合意形成の手法(コンセンサス会議、サイエンスショップなど)に関する解説
・パワーポイントやOHPを用いた講義
・ビデオを使った解説
・日本で行われているコンセンサス会議についてインターネットを使って調査する。
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は栃内の補足ないしはコメントです)
Q.前々回,前回,今回(の前半)と,事例の具体的検討などを通して安全と安心について考えました.これらの講義を踏まえて,あなたは,安全ということに対して技術者はどのように考えるべきだと思いますか?
A.[この問題について皆さんが深く考えていることが窺えます(講師陣としては嬉しい!).札野先生がおっしゃったように,我々は事例を歴史的に見ている(結末を知っている)ので,第三者の立場から「こうすべきなのに」という事が言えるということも頭に留めておいて下さい.我々が問題に直面するときは,結末は見えません.限られた情報から取るべき行動を決めることになります.もう一つ,非専門家を交えた合意形成,という切り口からも,安全・安心の問題(特に「安心」について)考えてみて下さい.個別のコメントは控えます.物思う秋...各自,考えてみて下さい.]
・“安全”とは大切なことだけれども、経営と一緒になると「安全」<「経営」になりそうだと思った
・1%でも危険性があるなら、対策をとるべきだと思う。
・100%安全というものはないが、自分や社会などの信用にもかかわるので、できるだけ安全性を高めるべきだと思う。
・エンジニアが安全性を追求することはとても大事なことである。安全性がなかったら一般人は優れた技術であってもあまり関心を持たないと思う。生き物には1つの命しかないのでより安全な技術が今後に撃がると思う。
・エンジニアにとっての安全性は使用者に対しての安全性だと思う
・エンジニアは人にとって便利になることを開発研究をするが、けがしてまで便利になろうとは思えない。やはり、ボジョリー同様安全性が一番だ。
・この話でもそうだが僕もあの立場だったら安全じゃないが、打ち上げていたのかもしれない。だから技術者には強い意志が必要だと思う
・シティーコープ・センターとチャレンジャー号の事例を学び技術者にとって安全が最も重要なのだと感じた。
・できる限り安全性を重視しなくてはけない
・どんなに優れた製品でも安全性がなによりも大切だと思った
・どんなリスクよりも人の命だと思うから安全性は第一に考えなければいけないと思う
・やはり、命が1番大切だと思います。
・やはり安全性は第一優先だと思う。安全性がないものは誰も使いたくないと思う。
・安全とは、とてもむずかしいものだと思う。安全に絶対はない。しかし、かぎりなく安全になれるようにしなければいけない。むずかしい。
・安全とは、守る事である。
・安全に絶対ということはないと思うので、技術者は、そのことをよく理解した上で、開発を進めるべきだと思った。
・安全はやはり第一である
・安全を第一に考え、製品を産み出し、市場に送り、消費者・使用者の手に渡り、事故などを起こした時の責任の所在はやはり技術者なのか。
・安全を追求するのはとても難しいと思う。技術者が安全性を考えることは、とても良い、これからも安全を追求してほしい
・安全性がなかったら、顧客への信頼を失うと思う。
・安全性とは最も重要なもので、他のことを差し押いてでも重要視しなければならないものであると思う。
・安全性の基準を上げることで技術者のレベルなどが上がってしまう。しかし命に関わるのでしっかりとした対応が必要だと思う。
・安全性の高さの重要性の高さがよく理解できた。工学設計Iの授業で設計を安全性を考えてしている私たちのチームはまちがっていなくて良かった。
・安全性はとても大事だと思う。自分の安全性を考えるのは最後でよいと思う。
・安全性は最も優先するものだと思う。
・安全性は第一に考えなければならないと思う。
・安全性をどう考えるか?命がなによりも重要だと思います。
・技術が人の生活を豊かにするものならば、安全性は最も欠かせない要素だと思う。、
・技術者にとっての安全性とは、製造したものによって、顧客が喜んでもらうこともあるが、やはりもっとも大事なことは、それによって、何かをギセイにしないことが安全性だと考える。
・技術者にとって公衆の安全を考えることは非常に大切なものだと思った。
・技術者は社会に様々なものを提供するとともに必ず安全または危険を提供することになる。絶対安全といえる事を技術者は見つけ出し、提供することが義務だと考える。
・今日の講義を受けて、技術者はとにかく安全第一で行動しなければいけないということを理解することができた。私も将来、技術者として安全第一の技術者になりたいと思います。
・自分がボジョレーの立場だったら、圧力に負けて打ち上げに賛成していたかもしれない。
・自分のこと、企業の理などはこの次、安全であることがまず全てだということがわかった。
・自分の所の製品が欠陥品ならばそれはもうだめなのだと思う。
・将来、技術として働くことになるので、当然、自分が産み出したものは多くの人達と関わるので、安全性は必ず必要となるものだと思う。
・人の命に関わることならば安全を第一にするべきだと思う。
・人の命を失ってしまうことは、何があっても、してはいけないと思います。
・人間が関係するものは安全第一であることが必要だと感じた。
・世に出した製品が安全を守れないのならば、それは失敗作だといってもいいのではないだろうか。
・全ての科学技術には危険なことがおこる可能性が絶対にあるから安全性を高めるのは絶対必要だと思う。
・想定しうる最悪の事態を考え、行動を取るべきである。
・第一に優先しなければけないことだ。どれほどいいモノをつくったり、開発しても、安全でなければ人は、購入しないだろう。人は安全を一番に求められるのだから当然安全を考慮できるエンジニアにならなければいけない。
・誰かが批判したら一度確かめるべきです
・物を造る立場に立つ人として、自分もやっぱり人々がつかう物なら安全を第一に考えるべきだと思う。
・様々な技術の進よりも、今大切なのは安全だと思う。
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は栃内の補足ないしはコメントです) ※抜粋して掲載
・そういえば中国も打ち上げを成功させたらしい。その部品が台湾製のものだったら面白いのに [中国のロケット技術そのものはロシアの技術そのままですが,あり得ると思いますよ.因みに,最近は地方(国内・国外を問わず)のお土産も良く見ると「中国製」と書いてあったりすることが多くなりました.]
・第二男子寮ってなんですか?何でそんなことをするのか意味が分かりません。 [第一男子寮も似たようなものですが...色々と莫迦なことをしたし,その時は真面目にその意義を論じ合ったものですが,特に意味はないんじゃないかなぁ...でも,良い思い出だし,久しぶりに会っても昨日会ったばかりかのように話せるという関係を卒業後10年経っても(多分今後も)続けられるというのは,莫迦なことを一緒にやってきたからこそかもしれません.]
・どんなに身近に感じない科学者でも成果自体はいたるところにあるのだから、灯台もと暗しというものだ [諺の使い方はさておき,おっしゃることはその通りですね.顔は見えないけれど,成果物という形で科学者・技術者は身の回りにいるというわけですね.]
・パパが技術者だから、アルミの話はよく聞かされるがアルミのことはよくわからない。 [どんな話を聞いたのでしょうか?]
・びみょうな人数だった [「びみょう」というと? ところで,中間試験の解答中にも「びみょう」という表現がしばしば見られましたが,使わないようにしましょう.皆さんがどう思っているのかが微妙にしか分からなくなるので評価できなくなります.]
・また早くて書きとれなかった [聞きに来て下さい.]
・安全だと思っていても、売り始めたり、計画を実行してから初めて危険だとわかる時もある。こういう事がないようにあらゆる視点で見て、本当に安全なのかを確かめることが、大切だと思った。 [しかも,それでも,「本当に安全」であることを断言することは講義で述べたように原理的にできないのです.だからこそ,より慎重に判断しなければならないのですね.]
・安全を提供することの重要性は分かるが、実際に関わる周囲の様子のなかで、正しい判断をするということは厳しいと感じた。専門家だからという専門家自身の意識も、非専門家の意識もとり払って、広い視野での考えをもつことが大事なのだと分かった。 [そうですね.しかし,リスクを伴う物事を社会に持ち込む側として,専門家の責任が大きいことは間違いありません.]
・安全性が重要視されているため新技術は簡単には生み出せないということがわかった。 [新技術はどんどん産み出されていますが,それを社会に持ち込むには慎重に慎重を重ねることが必要です.]
・温度が変わりやすく勉強にはつらい季節である [特に,気温が下がると布団から出るのがつらくなるので,1限の講義は大変ですね.]
・何でも一つの分野の専門家まかせではいけないとわかった [そうですね.非専門家の側からすれば,自分たちも責任を負うことになるので大変は大変ですが,大きく考えれば,その方が望ましいのでは,と思います.]
・科学技術の社会的合意について学べた。 [で,どう感じましたか?]
・科学技術は確かに社会的にも大きな影響を及ぼすものであるが、その結果おこることにしっかりとした責任をもち行動していくのが大切だと思った [その通りですね.非専門家である我々も無批判でいてはいけませんが,やはり,科学技術を社会にもたらす側(専門家=科学者・技術者)が責任を自覚する必要があります.]
・技術者は部屋でこもって研究しているだけではだめだと思った。より多くの人とのコミュニケーションが善の選択につながると感じた。 [善とは何かはさておき,こちらもその通りですね.しかも,そうやってコミュニケーションを取ることで,市場が何を求めているのかを知ることもできます.]
・結果を求めるのならリスクはしかたがないと思う いきなり原子力発電を廃止するのではなく、それにかわる新たな電力発電を行ってから減らすべきだ [合意形成についての講義の中で行った質問ですね.あなたの主張は全くの正論です.でも,問題は,有望な新たな発電方法(大量の電力を安定に大量に妥当なコストで供給できる)がなかなか見つからないという事なのです.どうしましょうか?]
・結構前回と同じ話だった。先生も眠いんだなぁ。 [眠いです...]
・後の席で寝ている人の手があたって授業に集中できなかった。リサーチペーパーがきつい。 [後ろの人を起こして下さい.リサーチペーパーがきついということについては,「リサーチペーパーはきついものなんだ」としか言えません.乗り越えて下さい.僕(栃内)だって,いまだに論文を書くのはきついです.]
・今、求められている新しい人材になれるように努力したいと思った [努力すればきっとなれます.可能性はいくらでもあるのですから.]
・今回は質問が多すぎると感じました。字が大きいだけなのかもしれませんが、書く場所が無くなりそうです。 [小カードに回答してもらった質問は札野先生の一問だけだったのですが...]
・社会に親しみのある技術者が増えてほしいです。 [講義では問題点ばかり強調してしまいがちになりますが,そのような技術者も大勢いて色々なところで地道に活躍している,ということは忘れないで下さい.]
・社会的合意の話を聞いて思い出した。日本の陪審制も同じ考えかな。 [似ていると思います.それから,陪審員になりたくない,という考えの人々が多いことにも注目して下さい.]
・暑かった [日中は26度前後になりました.]
・進むのが早く、理解しきれなかった。 [分からなかった個所は聞きに来て下さい.]
・人の価値の感じ方の違いというのがむずかしそう。 [確かに.講義中にお話したように,本質的に主観的でありながら価値共有が求められる(間主観的≒客観的)わけですからね.価値については,札野先生,金光先生のご専門ですので聞いてみて下さい.]
・先生の熱弁のおかげで、スペースシャトルの裏側が分かって、意見が変わったかもしれない。 [それは良かった.最近の野口さんが搭乗したスペースシャトルの断熱材剥離などのトラブルについてどう考えていますか?]
・専門家はその分野だけの知識しかない [講義ではかなり極端にお話しましたが,専門分野以外のことを全く知らないということではありません.例えば,ノーベル賞科学者の発言を読んでみて下さい.実に含蓄のあることを述べています.]
・全ての物にはリスクがあるので、これからはリスクを減らしていかなければならない。 [ハイ.講義で述べたように,リスクをゼロにすることは不可能ですが,受容限度以下にすることは可能です.そして,その限度を設定するのは(意識的にしろ無意識的にしろ)われわれ非専門家(市民)なのです.]
・達成度テストの範囲が広くて大変そう。 [中間試験後の講義からの出題なので,中間試験と同じくらいの範囲の広さだと思います.ともあれ,しっかり復習して下さい!]
・達成度の対策プリントがきたので、コツコツやりたい。 [是非.コツコツやることが結局は早道なのですね...(←なかなかコツコツやれない栃内より)]
・非専門家の視点も大切だと思った。 [その通りです! それぞれの分野の専門家の数は一握りで,圧倒的多数は非専門家ですからね.逆に言えば,誰もが,何らかの物事については専門家であり得るということでもあります.]
・僕も技術者はあまり身近に感じません。これは残念な事だと思います。 [工大にいるのに? 身近に感じられない今の間に,どういう点で遠くに感じるのかを考えてみてはどうでしょうか?]
・眠かったけど…なんとか最後まで乗り切った。 [がんばりました.それから,最後まで聞いてくれてありがとう.]
授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。