平成17年12月13日更新

第6回:平成17年12月12日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

科学技術と国家2
・科学技術と国家に関わる事例の解説2

授業の運営方法

・OHPなどを用いた講義
・学生各自が選んだ事例に関する口頭発表
・ビデオを使った解説

学習課題 予習・復習

・前回選んだ事例を簡単に口頭発表できるように準備する。 (60分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は本田の補足ないしはコメントです)

Q.あなたは,第二次大戦中のユダヤ系アメリカ人で卒業間近の理工系学生です.ドイツにいる親戚と連絡が取れず,弾圧されているのではないかと心配です.一方,自分はと言うと,学生結婚したので家族を養わなければならないのですが,いい就職先が見つかりません.こんな時,オッペンハイマーから,ある計画に参加してほしいという好条件の誘いを受けました.自分の研究分野から,それは核に関する軍事研究だと推測されます.あなたは計画に参加しますか? しませんか?

A.

1. 参加する  20名(59%)

・ 家族を養うためには参加するしかない。
・ ドイツにはひどいことばかりされていたので、やり返すために参加する。
・ 他国の他人よりも自分の結婚相手を養うほうが大事。幸せはすべて何かの犠牲の上に成り立っている。でも、適当な研究しかせず、給料泥棒するかも。
・ 自分のことを優先するから。
・ 自分が手伝わなくても、他の誰かが手伝うことになる。最終的は同じなので、もしくは参加して、邪魔をする。
・ 参加はしたくないが、家族を養うためには、仕方なく参加すると思う。家族に相談して、参加するなといわれれば参加しない。
・ 所詮人間は自己中心的であるから、一時の幸せを選ぶと思う。たとえその為に他の人が不幸になろうとも…。
・ 連絡が取れない親戚や、家族のため、そして早く戦争が終わってほしいという望みから計画に参加していたと思う。
・ 自分の家族を養わなければならないし、もし自分が参加しなくても核の軍事利用は止められるものではないと思うから。
・ やはり養うべき人や、守りたい人がいるならば、守るためには参加するべきだと思うから。
・ 私はモラルより、やはり自分優先で考えてしまうかも。状況としては、かなり切迫しているようなで、多少は考えるが、結果的に参加すると思う。
・ 生活のため。
・ 家族を養うため。
・ 戦争だから、しょうがない。
・ とりあえず自分と家族の身を守ることを考えると思う。しかし、被害を与えたくないから計画にはするが、重要なところまではふみこまないようにすると思う。
・ 家族を養うことを最優先とするから。
・ 親戚と家族だと、家族を養うほうが大切だから。
・ 家族のために仕事がほしい。科学者だったらやっぱり最新の研究がしたい。
・ 身近が先だと思うから。
・ 金が手に入る(就職先が決まる)。親戚がいるドイツへの攻撃に使われたらたまったものではないが、やはり金のほうが大切。

2. 参加しない 14名(41%)

・ 家の問題などを考えると、参加するを選びたいが、軍事関係=人殺しの道具と考え、それを作って後悔するくらいなら参加しない。人を不幸にするものを作りたくはないと考える。
・ 自分が関与したせいで非常に多くの人間が死んでしまう。他の人間を殺してまで生きていたいとは思わない。
・ 核で人が死ぬような研究はできないと思う。
・ 自分の親戚がいる所へ攻撃するかもしれない事には参加できない。
・ 人を殺す爆弾を作りたくないから。
・ 人道的じゃないから。
・ 危ない研究をしたくない。
・ もし私だったら研究内容は自分と沿っていても人々に害を与えてはいけないと考えるので。
・ 危険な仕事だから。
・ 核が軍事利用されて親戚がいるドイツが攻撃されるかもしれないから。
・ 自分の力が加わって作られた核が親戚の命を奪ってしまうかもしれないから。
・ そこまでしてお金を稼がず、もっと悪い条件の仕事をいくつも探すと思う。
・ 自分が核というものを軍事利用したらどうなるか知っていれば、家族が死んでもその他大勢の人が死ぬよりはいいと思う。
・ 人殺しの道具には力を貸せない。

〔皆さんの判断にはそれぞれ一理あったと思います。様々な価値観が入り組んだ問題にどんな解答を与えていくのか、その方法論をじっくりまなんでいきましょう。〕


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は本田の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

・ 疲れたが、最後までがんばれた。〔冬休みまでもう一息ですね!〕
・ 原爆の恐ろしさを改めて知った。
・ 核とは恐ろしい。
・ マンハッタン計画の背景が分かったので、改めて原子爆弾の脅威を思い知らされた。
・ 原爆の威力がすごかった。
・ マンハッタン計画の内容が良く分かった。
・ 原爆の恐ろしさを知った1時間だった。
・ つかれた。〔気楽に聞いていられる内容ではなかったと思います。お疲れ様。〕
・ 科学技術が戦争にもたらした影響は大きい。
・ 広島にはウラン原爆、長崎にはプルトニウム原爆というように、原爆の種類が違うことがはじめて分かった。
・ 原爆に関するビデオを見た。なぜ人は原爆を作り、そして使用してしまったのかと思う。
・ 試用機ガジェット(おもちゃ)、広島行きのリトルボーイ(チビ)、長崎行きのファットマン(デブ)。アメリカはやはり余裕があったのだろう。こんなシャレのきいた名をつけているのだから。
・ トリニトロトルエンは恐ろしい。〔確かに。でも原爆の威力はその何倍もありましたよね。〕
・ アインシュタインはどうして署名したことを後悔したのだろう。〔彼は日本好きたったのですよ。その日本に原爆が落とされてショックだったのではないでしょうか。〕
・ プルトニウム型とウラン型はどちらが威力があるのか知りたかった。〔広島に投下されたウラン型の威力はTNT火薬12000トン相当、長崎に投下されたプルトニウム型の威力はTNT火薬21000トン相当の破壊力でした。プルトニウム型の方が破壊力が大きいことになりますが、注意しなければならないのは爆弾の中心にすえるウランやプルトニウムの量によって破壊力が大きく変化する点です。〕
・ 核のすさまじさが分かった。
・ 戦争は怖い。科学関係しすぎ。
・ 科学技術は戦争に使われている。
・ 戦争はいやだと思った。
・ 実社会と、科学技術の関係が良く出てる出来事の一つなので興味を持って聴講できた。
・ ビデオを見てて少し怖かった。〔そうでしたね。ビデオの中で、日本は紛うことなく「敵」として描かれていましたからね。今現在、ニュースなどで「敵」として描かれている国の市民が、空爆の下でどんな思いをしているのかと考えると、胸が痛みます。〕
・ ビデオでやっていたのは面白かった。
・ 核計画に参加した科学技術者たちが行ったことは賞賛されるべきではないが、そこに悪意がない限り責めることはできない。〔確かに知らなかっただけで、悪意はありませんでした。しかし、「知らなかった」というところに問題はないのでしょうか。考えていきたい論点です。〕
・ ユダヤ人虐殺しかり、原爆しかり。なんて人間は傲慢なんだと思った。
・ 戦争で勝った国も負けた国も立場の低い人がいつも被害を受けていて、ひどいと思った。〔同感〕
・ アメリカの戦略は合理的ですごいと思った。
・ 軍事研究のすごさが分かった。
・ アメリカに対する嫌悪感が増した。
・ 戦争のための技術ではないために戦争に使えてしまうのであれば、どうすればよいのか分からなくなる。〔すばらしい。その葛藤を止めなければ、きっとすばらしい技術者になれます。大事なのは葛藤を面倒臭がらないことだと思います。〕
・ 原爆は時代の流れを変える大発明であることが分かった。


授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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