平成18年9月2日更新
3VE1クラス
第4回:平成18年9月1日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
・小テストの実施(20分)
・科学技術の発展による「行為」の拡大と新しい倫理の必要性
・環境倫理、生命倫理、情報倫理の概説
・なぜ、技術者は特別の責任を負うのか
・科学技術者倫理に関連する用語、理論などに関する小テストの実施
・PCおよびはOHPを用いた講義
・レポート(事例分析)計画書の提出(120分)
・テキスト『技術倫理1』の第1章および第2章を精読する(60分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.今日ご覧いただいたビデオに関して、もし貴方/貴女が登場した夫婦の立場だったら、着床前診断をしますか?
A.
1.着床前診断する 37名(72.5%)
2.着床前診断しない 8名(15.7%)
3.どちらとも言えない 6名(11.8%)
1.出生前診断する
→ この場合、廃棄された受精卵の扱い、弟の人格の問題(兄の「ために」生まれた?)、経済的に貧しい人々や身障者の差別につながるのではないか、などの問題が発生します
・…絶対する。
・1人の命を救った陰で多くの命が捨てられている。そういった意味では非常に難しい問題だが、もし自分の子供だったら、周りに何を言われても助けてやりたいと考えると思う。
・2人とも生きていけるなら問題ないと思うから。
・このまま何もしなかったら長男は死んでしまう。だから長男が助かるような方法があるからやるべきだ。
・すると思う。20歳までに死ぬのは若すぎる。
・とにかく子供を助けてあげたいと思う。しかし、命としてカウントされない命が処分されるのはどうかと思う。 [後者は受精卵の処分の問題ですね]
・やはり目の前で生きている子供を失うのは悲しいので、私は1番を選ぶ。
・科学技術が発達してきた今だからこそできることである。ぜひ利用するべきであると思う。
・技術が進歩し、兄の病気がなおる可能性があるならやったほうがよいと思う。しかしこれは特例で、一般の人が行なうのはゆるされない。 [冒頭の解説にもあったように、日本では「特別に重い遺伝子疾患に限って」です]
・今生きている子どもを助けたいという気持ちが強いと思うから
・産まれた命を大切にしたいから。
・自分が同じ状況なら同じことをやると思う。
・自分に出来ることを全てしてあげたい。
・自分の子供として生まれてきた子だから自分より早く死なせるわけにはいかない。
・自分の子供の命のためだったら、お金は気にしない。 [講義中でもご説明したように、先進国における貧しい人々や発展途上国の人々はどうなるのか、という問題があります]
・自分の子供を助けたいと思うのは、当然だと思うし、このように新しいことに挑戦することで、さらに技術が向上して、今まで治らなかった病気が治せるようになる可能性もあるから。
・親なら誰でも子供を助けたいと思うはず。しかも自分たちは恵まれていて、お金も出すことができる。子供を助けるためには親はできるだけのことをすると考えるから。
・大人になる前に死んでしまうというのがわかっていて、出生前診断をすれば助かるというのがわかっているのだから、それを行なわない手はないと思う。
・着床前診断がダメなら中絶もダメになってきてしまう。私は、こういう個人の問題に社会的にダメとかいいとかいうのは、おかしいと思う。嫌ならやらなければいいと思う。
・弟がどうなってしまうのかわからないが、いざ自分の子供が同じケースになってしまうとしてしまうかもしれない。 [別に弟にどうこうするわけではありません。骨髄の一部を移植させてもだうだけです。ただし、その際ある程度リスクがあります]
・母親の体をキズつけてしまう可能性もあるが、子供を助けるぎむ的なものがあると思うから。
・命は尊いので助けたいと思う。
・倫理的な問題だか何だか知らないが、今、心ある少年を見殺しにすることはできない。クローン人間やES細胞を否定する人間がいるが、自分には理解できない。 [積極的肯定派ですね。それならば、もしあなたがこういった技術によって「選ばれない」側になったらどうします? たとえばビデオの中の、生まれなかった女の子だとか]2.出生前診断しない
→ この場合、兄は20歳まで生きることが難しく、また生きている間はずっと治療を受ける必要があります
・このようなことはやらない方がいいと思う。自然のバランスがくずれる。
・やはりリスクが伴うし、さらにはハイリスクであるからやらないというよりは、出来ないと思う。
・現実から逃げているだけに思えるから。
・限られた命だけど2人の子供なので、他の力をかりたくない。
・自分が愛している人といられるならそれだけで幸せであるのではないかと考える。
・人がそれをすることを否定するのではないが自分はあのビデオを見て気持ちわるくなったのでやりたくはない。
・人間も生物なのだから、若くても長生きしても死ぬのだから、兄の死もうけいれなければならない。
・着床前診断で産む子供を決めるのはおかしいと思う。技術の進歩でできるようになったとしても受精したらそこから生きていることになるのではないでしょうか。 [この点は次回復習しましょう]3.どちらとも言えない
・それにより兄が助かるのは良い。でも弟はその後、健康で生きれるのか、の説明がなかった。万が一弟の身になにかあるのならばAである。2人とも健康ならば@である。 [前述(↑)したように、基本的には弟がどうこうなるわけではありません]
・自分がその人の立場になって観なければわからない。短絡的な考えはいけないと考える。結論をすぐに出してはいけない。受け入れることも重要である。
・人に価値をつけているようなものではないかと考えられるが、親の立場で考えれば、今生きている子供を助けたいというのもわかるが、自分は正直どちらにするかはきめられないと思う。
・弟の存在が兄の治療のために生まれた感じがいやな気がする。でも、子供は助けたい。 [ジレンマ問題ですね]
・本当にこれはその状況にならないとわからない。最終的に妻に判断をまかせてしまうかもしれない。 [二人で考えないと、「頼りにならない夫だ」ということに......だいじょうぶ?]
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・ああゆう映像を見たのははじめてだった。 [特に男子学生はそうでしょうね]
・クローンはダメ [上(↑)にもあった通り、積極的肯定派もいます]
・クローン人間が誕生することは、恐いことだと思う。 [こちらも]
・この生命倫理の問題は、人の考えは皆違うので、永久的に答えは出ないと思う。 [その通りなのですが、次々と新しい科学技術は生まれていますから、時間を限られた状況の中で判断しなければならなくなります]
・さしあたりという言葉を使いすぎ。 [すみません。何か一つの言葉に引っかかると、繰り返す癖があるようですね]
・すごく興味があった。けど自分にはどれが正しくて、どれが悪いのかはわからない。 [それはわかるのですが、あのご主人の立場だったらどうでしょう?]
・テストできたのかな〜 [すみません。そのまま出張に出たので、全然みてません。]
・テストは、それなりにできたと思う。 [ちゃんと予習したんでしょうね]
・ビデオがおもしろかった。 [正直なところ、男子学生にはキツ過ぎる映像かなぁーと心配したのですが...]
・ヒトラーのような考え方は嫌いです。 [優生学的思想のことですね]
・ブラックコーヒーの味がわかってきた。 [お、大人の仲間入りですね。次はビールの味かな?(ビールの味がわかるのは平均23歳と言われています)]
・むずかしい課題だと思う。 [重い......ですよね]
・医学のすごさをしった。
・医学の進歩がスゴかった。
・医学の進歩はすごい。
・医学の進歩はすごいですね、いろんな意味で [以上、すごいんだけど、じゃぁ、どうしたらいいのでしょう?]
・科学技術が進歩したが故に、出てきた問題で非常に難しい問題だと思う。進歩することは素晴しいと思うが皮肉だとも思う。
・科学技術が発達して、何でもできるようになって逆に困るところがあるんだと思った。 [以上、その通りで、講義でも少しお話しましたが、例えば現代は「ちゃんと畳の上で死ねない」のですね]
・健康な子供が確実に産むことができるのならば、将来は体外受精のみになってしまうかもしれない。 [生みわけが進み、普通のことになるとそうなるかもしれませんね]
・考えさせるテーマでした。 [でしょ?]
・今回のビデオを見て、やれることとやっていいことを判断するのはまだまだ考えていかなくてはならないと思う。 [講義の要点をご理解いただけたようですね]
・今回の話(ビデオ)みたいなことは、実際、その立場に立ってみないとわからないことだと思う。 [それはその通りだと思います]
・今後あのようなビデオが流される場合さりげなく帰ります。 [授業を抜ける、という意味ですか? 理由は何なのでしょう? 怒りませんから教えてください。なお、刺激的なビデオは今回限りだと思います。ただし、センセイが刺激的ではないと判断しても、そう感じない方もいらっしゃるかもしれませんが]
・今日のバイトも怖いが、生命に関する科学の進歩にも、驚きと怖さを感じた。 [何故に「バイトが怖い」?]
・今日のビデオの問題は難しい問題だった。 [そうなんですね]
・今日のビデオを見て考えさせられた。実際、自分があの立場になったらどうするか、はっきりとは言えない。 [こちらも]
・今日の授業はすこし内容がむずかしかった。 [初めて聞く用語――「出生前診断」とか――が多かったかもしれませんね]
・今日の小テストで質問をした人がいましたが、その他をなければ書かないのは常識だと思います。大学生にもなってそんなことを聞くのは恥ずかしくないんですかね?教授もそれくらいは判断できると考えてあえて何も書かなかったんですよね?本当こういうくだらない質問は集中力が切れるのでやめて欲しいと思います。そう思いませんか?ぶっちゃけ、こういう質問をするのはいつも同じ人です。 [まぁ、そう言わず]
・今日の話は深かった [今回ほどではないにせよ、就職や結婚、出産では同じように判断を迫られることになります]
・今日はなかなか難しい問題でしたね [かなり重かったですね]
・今日見たビデオは近い将来もっとよく考えなければならない事になる可能性もあると思う。 [お察しの通りです。良いセンスをお持ちだと思いますよ]
・子供は男の子と女の子一人ずつ欲しい。名前はまだ決めてません。 [へぇー。でもその前に、結婚するという難関が......。(結婚しなくても子供はできるけど)]
・自分の子供のためにあそこまですることは、大変なことだと思う。 [親になるとわかります――ただし、全員がというわけではない――が、あのご両親の気持ちはよぉーく伝わってきます]
・小テストがよくわからなかった。 [予習しなかったのかな?]
・小テストが微妙な感じになってしまった。 [こちらも]
・小テストでいじめられた [いじめてなんかいません(キッパリ)]
・小テストの○×問題…まったく自信がありません!! [さて、どうだったのでしょう(まだ見てません)]
・小テストらくでした。 [でしょ? きっと予習なさったんですね]
・少し考えさせられた。 [今までの皆さんには、なかなか考える機会がなかった問題ですね]
・人間の命に関わる倫理的問題については難しいが考えなければならないと思う。 [その通りですし、皆さんが活躍する場面――土木工事など――でも、見かけこそ違っても、やはりこういう倫理的問題が存在すると思う]
・生死にかかわることに手を出すのは、身勝手に思う。 [気持ちはよぉーくわかるのですが、そうするとどこまでがやっていい治療なんだ、ということになりますよ。例えばセンセイの娘は帝王切開で出産したのですが、昔なら母子とも死んでいます]
・生殖技術についての話を聞き、今の医療技術の発展に驚いた。 [その光の面と、陰の面の問題ですね]
・知識の前に道徳が必要だと感じた。 [「道徳」という言葉の問題はともかく、仰ることはよくわかります]
・着床前診断は今のところ賛成です。正直したいです。 [でもそうすると、選ばれなかった命はどうなるのでしょう?]
・中学や高校が一緒だった人がすでに3,4人結婚しました。 [そうですか。20歳くらいのはずですが、ずいぶん多いんですね。「まだだと思うけど」とか言って、失礼しました]
・答えが見つかりません。でも、母親が笑っているのを見ると良かったと思う。 [あの笑顔に、あの夫婦の選択の結果が出ていましたね]
・妊娠が分かってまだ産まれてこない子供が障害を持っていても、そのまま産ませると思う。 [それも一つの立派な心がけだと思います。(否定するわけではないのですが)現実はとても重くて、たまたま妻の知り合い(遠縁)の女性が妻と同じ時期に同じ病院で出産したのです。ところがその方の娘さんは遺伝性の重い障害を持っていました。もちろんご両親はその子を愛して育てているのですが、第二子をつくろうとはしませんでした]
西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。