平成18年9月13日更新
3VE1クラス
第7回:平成18年9月13日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
・グループディスカッションの結果報告およびコメント
・レポート計画書の返却とコメント
・倫理的意思決定の方法に関する解説:エシックス・テスト、セブンステップガイド、倫理的判断を促進する要因と阻害する要因など
・グループの代表者による報告とそれに対する教員のコメント
・PCおよびOHPを用いた講義
・「科学技術」と「倫理」に関連する新聞記事レポート(第1回) (60分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.幼女を助けるために川に飛び込み、ともに死亡したAさんの行為、最初にどう感じましたか?
A.(講義でご説明したように、どの立場から考えるかで、評価がまるで変わってしまいますから、人数やパーセントにそれほど大きな意味はありません。原則としてコメントは控えます)
1.賢明な行為だった 28名(53.8%)
2.賢明な行為とはいえない 15名(28.8%)
3.どちらともいえない 9名(17.3%)
1.賢明な行為だった
・Aさんは自ら幼女を助けたいと思い、川へ飛び込んだから。
・すぐにでもおぼれている人を助けたいということはいいことだと思う。しかし、川の水深などを考慮して、飛び込む前に周辺の人に伝えてから、飛び込むべきだと思う。
・結果的に残念だがとった行動は素晴しいと思う。
・最終的に2人が亡くなってしまったが、その時溺れている幼女を助けなかったら後悔するだろう。少なくともAさんが助けようとしなかったら幼女は亡くなっていたので幼女を助けるのが第1だろう。
・助けなかったら女の子は100%死ぬ。しかし、助けにいけば二人とも助かる可能性は0%ではなくなる。1%でも二人とも助かる可能性があるなら助けるべき。
・助けようとする気持ちが大切で結果は2人死んでしまったが、助けようとした人の心が伝わる。
・助けようと思った行動なので、死んだのは、その時の結果だと思う。よってAさんがやりたいようにやったんだから“良い”と考えたほうがいいと思う。
・人として正しい行動だと思う。2.賢明な行為とはいえない
・ま〜普通に助けに行くのかもしれませんが、冬の川をなめんなー!! とりあえず下流方向に走って体あっためてから入るなら入れ。119に電話しながら。
・もっと良い方法がある。
・一人で助けに行くより人を呼んでから助けにいったほうがよい。
・一人で助けようとするのではなく多くの人を呼ぶべきだ。
・行動は評価できるが結果的に2人とも死んでしまっている。まわりの状況を見て判断すべきだ。
・死ぬことぐらいわかるだろう。。
・助けを呼んでから飛び込めばよかった。
・少女がおぼれているのを見て、どうすれば一番良い結果を得られるかを確率的に総合的に考えるべきである。今回の場合は自分が川にとびこんでどうなるかを考えるべきであった。川にとびこまないのは悪い行為ではない。3.どちらともいえない
・Aさんは幼女を助けようとしたのは良い行為だが飛び込まなくても、幼女を助けるすべはあった。
・その助けようとする気持ちはすばらしいがその結果に誰も喜ぶ人はいないので良くも悪くも考えられるため。
・バカたいな〜
・自分で助けようとした気持ちはすばらしいが、結果として助けられなかったのは残念。
・消防署に通報する。
・勇気があり、良いことだと思う。しかし、川の状況や自分の運動面での能力を考え、救急車などを呼ぶべきだった。
・良いとも悪いともとれる。人助けは良いことだが自分ができる範囲で行動しないと結果的に自分も人に迷惑をかけてしまうと思う。
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・(社長として)延期を決断して、倒産すれば後悔するだろう。しかし、一瞬の後悔より生涯の後悔を背負うことの方が辛い。自分の心に従った決断に後悔はない。 [よくお考えになっていますね。実は貴方/貴女のいう「生涯の後悔」、つまり長く、広い視点から考えたらどうだろう......というのが、この講義のポイントの一つなのです。それを先取りしているわけですから、すごいと思いますよ]
・1つの班だけだったけど、打ち上げる派の班もあって興味深かった。 [もう一つのクラスでは半々でした。このクラスはとても打ち上げ派が少なかったです]
・チャレンジャー号事件の討論でいろいろな意見がきけてよかった。 [考えてみなかった意見があったのでは?]
・ちょー眠かった。
・ねむい
・ねむい… [以上、学期も半ばに入り、他科目を含めて課題等が重なっているのでは?]
・ひ〜発表キンチョーしたぁー!! [よく頑張ったと思います。中には震えている広報担当者もいらっしゃったんですよ]
・みんないろいろな意見があっておもしろかった。 [みんな頑張ったと思います]
・やはり会社のことよりも人命の方が大事なので延期・中止が良いと思った。 [わかるのですが、考えれば考えるほど微妙ですよね]
・よかったと思う。 [発表が、でしょうね。みんながんばりました]
・各班それぞれの様々な意見を聞けてよかった。
・各班の討論結果がきけてよかった。 [以上、気がつかなかったいろんな要素が出てきましたよね]
・寒いと私なら助けないかも。水泳部の○○君[原文は、半分個人名]は助けるべきだ。 [......オイオイ。飛び込まなくても他にできることがあるのでは?]
・教室内が暑く感じました。 [お話ししたように、これ以上はどうにもならないので、衣類等で調節してみてください]
・緊張してうまく言えなかった。 [それは、そうでしょう。小刻みに震えている方もいらっしゃいました。頑張ったと思います。この経験を(この科目じゃないかもしれないけど)次のチャンスに生かしてください。何事も経験です]
・結果と意図は違う。 [まったくその通り。ただし、一致する時もあるけど]
・今回は教室があつかった。 [すみませんが、今回はどうしようもないので、衣類等で調節してください]
・今回は人命を優先し打ち上げを延期することになったが、これは自分が結果を知っているからではないかとも考える。結果が分かっていなかったらもしかすると打ち上げに賛成したかもしれない。 [その通りですね。このクラスではちょっと「事故が起きた」という事実に影響されているのかもしれないなぁーと感じていました]
・最高責任者の役として、NASAや政府との信頼、国民の信頼、いくつかの信頼と、会社の存続を天秤にかけ、難しい判断を下したと思った。 [社長って、大変でしょ? それだけでも体験した価値はありますよ]
・暑かったです。 [お話ししたように、現在の状況ではどうしようもないので、ご自分で工夫してみてください。もちろん、センセイも換気等には気をつけます]
・[高橋川に飛び込んで]助けに行くなら根性で助けなければならない。 [もしかして、体育会系?]
・上から指令を出されても上の信頼性を失っても、現在の安全性や設計や計画の技術的な問題で不安が残っていたのなら報告すべきだろう。それ以降は自らの判断で! [「ほうれんそう」ですね]
・人がいる上空や動く車に関しては、安全性が第一である。環境条件が悪い中で、飛ぶ事は問題だろう。全てを理解し、納得しつつ自らの決断で選んだのなら正しいかもしれないが。 [その通りですね。しかし、与えられた条件かでは完璧なデータは得られない、かつ、判断しなければならない......難しいです]
・人命が一番大切だと思う。 [その通りですね。でも、完全無欠にこだわっていたら、仕事が進まないのも事実です。例えば、人を傷つける可能性があるからといって、自動車の運転を絶対に拒みますか?]
・打ち上げ派だったが、やはりもし社長が打ち上げると言ったら技術者といえど一社員が反対しても、最終的には社長が決定権があるし…。っていうか、その日打ち上げなかったら、政治、世論的に永久に打ち上げる日はやってこないんじゃないの…延期なんてどうなるか、でもたしかに人命は大切。 [なるほど。いろいろ考えたんですね。でも、(墜落したかどうかはともかく)長〜い目で考えたらどう映りますか?]
・討論では結果がわかっているから延期にしたが、じっさいあのように状況になれば意見はかわっていたかもしれない。 [まったくその通りなのです]
・討論もうヤダー [どうしたのかな?]
・討論らしいいい発表になったと思います。 [よく頑張ったと思います。せっかくの機会ですから、次回以降は手順を踏んで考えてみましょう]
・発表では、グループの数だけ、答えがあり考え方も色々あった。 [短い時間なのに、よく頑張ったと思いました]
・発表者の広報以外の人が質問すべきだと思った。 [打ち上げ賛成/反対がある程度出れば可能だったと思います。実際、もう一つのクラスではそうだったのです]
・眠かった。 [お疲れのご様子]
・様々な意見が聞けたのは良かった。 [みんな頑張ったと思いますよ]
・倫理問題と設計問題の類似点と相違点を知ることができて良かった。 [工学の設計問題を考える皆さんの特権なんですね]
・倫理問題に正解はないことがわかった。車の話はわかりやすかった。 [ありがとうございます]
・例えば「米国は契約社会であり、日本と違い、事故後の詰問委員会でもふせておくことがある。」等の条件が不足している点が多く、議論のみなので、強いて言えばもう少し条件や背景を出して欲しかった。 [最後にお話ししたように、条件は常に不足します。今回は最初の議論ということもあって、とても制約された条件(≒何でもあり)下で議論していただきました。ですから「正解」はありません。次回以降の議論では、ご指摘の条件をもっと具体的に考えます。ご期待ください]
西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。