平成18年12月12日更新
3VA1クラス
第6回:平成18年12月11日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
・スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故に関する解説(続き)
・グループディスカッション
・PCおよびOHPを用いた講義
・6名程度のグループを作り、役割を決めた上でのグループディスカッション
・予習:個人としてのレスポンスシートの作成と提出(30分)
・復習:グループディスカッションの結果のまとめ(30分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.チャレンジャー号事故のビデオを見た、その最初の印象は?
A.(あくまで最初の印象なのと、次回の発表後にいろいろ考えたいので、原則としてコメントは控えます)
・(MT社)経営者としての立場と技術者としての立場、さまざまな思いがあったと思うけど最終的には会社の利益を選んでしまった。これは元請からのプレッシャーに耐えられなかったのだと思う。これは建築で言う姉歯氏の事件にも言える事だと思う。したがって、このような問題は元請がしっかり利益のためではなく安全面を優先すべきだったと思う。また、危険性があるプロジェクトでは全てにおいて十分な安全が確保されるように規格などを決めていったほうが良いと思う。 [姉歯氏の件、皆さんには切実な問題ですね。最近の報道によると実際は元請けの圧力ではなく、単に姉歯氏に倫理がなかったから、と判明しつつあるようです。ただし、元請けの下請けの件は考えなければならない問題ですね]
・MTはNASAから仕事をもらっていたので、最終決定はしょうがなかったと思う。
・NASA(元請)とサイコオール社(下請け)の下請け会社が元請にさからえない組織関係が事故を引き起こした。ビデオを見た限りではNASAの方が責任が大きいと思った。技術者の重要性をとても強く感じた。
・NASAがもっと技術者の意見に対して聞く耳を持つべきだったと思う。
・NASAが自分達の科学技術を過信しすぎた。もっと現場の意見を聞くべきだった。
・NASAとサイコオール社、両者の利害によって個人(技術者としての)の意思よりも会社、社会などのほうが優先されてしまい、起こってはならない事件であった。
・NASAの下請けが期限を守ろうとして起こった事故である。日頃から計画的に進めていれば起こらなかった。
・NASAの過信によってこれだけ大きな爆発事故が起きたのはとても残念に思った。
・NASAの見栄とエンジニアの意見に挟まれた社長は辛かっただろうが、最終的に打ち上げに賛成してしまった事が残念だった。
・SRBを開発した会社の担当が打ち上げの失敗が起こる可能性があると言っていたのに止めることは出来なかった。MT社内での問題:下請けと元請の間にいろいろな問題があり春まで延期を嫌がるNASAと失敗をおそれるMT社。技術者は安全を第一に考えなくてはならないと思う。
・いつでも少しでも心配なことがあるなら打ち上げないほうが良かったと思う。人命を大事にしてほしかった。
・こわいです。色んなものが積み重なって起きた事故だと思った。[最後は最前線の人の言うことより地位が上の人が決めるんだと思うと、なんかこわいと思った] [講義でもお話ししましたが、安全(/怖い)という点では、ロケットも建築も同じですよね]
・こんな悲惨なロケット事故が起きていたことに驚いた。やはり世の中は技術者の言う言葉より組織のほうが強いのかなと思った。この事故は引き起こさずに済んだのにと悔しい気持ちになった。
・サイコオール社は立場上どの選択をとっても責任を問われる仕方ない立場だったと思う。結果的に失敗してしまったというだけと考えるしかないと思った。
・たった数人死んだだけで大げさ。家族には悪いがいつ死ぬかなんてわからないんだから。 [冷たいようですが、この主張には一理あります。今この瞬間でも、世界では多くの人が不合理な命の終わり方を迫られているのですから。ただし貴方/貴女が親しい人の死につきあったことがないんだろうなぁーとも思える文章です]
・チャレンジャー号の事故は企業の利害関係が大きく左右して起こった事故だと思う。企業の利益よりも安全を最優先すべきだと思った。元請と下請けの関係、技術者と経営者との確執。
・とても悲しいと思った。このチャレンジャー号の打ち上げの失敗でNASAは目覚めたと思う。やはり、周りの意見は素直に聞くべきだと思った。絶対に他にも問題があったのではないか。アメリカだから絶対他に隠している気がする。
・ビデオを見て、技術者と経営者の意見の違いはわかるが、両者がお互いに理解する考えがあればこの事故は起きなかったと思った。
・もっと人の命がかかっているということを両方が考えるべきだったと思う。
・安全を最優先するという科学技術の考えを忘れてしまっていたのではないか。
・安全第一で打ち上げを延期すべきだったと思う。
・異状があるなら確実に中止するべきだった。命よりも利益を重視している。
・会社経営やお金のためだけに人の命を犠牲にするのはいけないことだと思った。
・起こるとわかっていた事故を止めることよりも会社の経営を選ばなければならない立場に問題を感じた。
・起こるべくして起こった事故だとおもいました。
・技術者としての考えと経営者としての考えの板ばさみでどちらが正しいのかが判断しにくい体制になっていた。
・技術者と経営者の両方の立場でこんなにも視点が違うとは思わなかった。どちらかの意見だけを見るのではなく、互いの立場から判断していくことが大切だと思う。
・技術者に絶対は無いと思う。
・技術者は大変だ。
・経営者と技術者のパワーバランスを整えることが大切なのだと思った。
・経営者のことを考えるのではなく、安全を取るべきであった。技術者という責任を最後まで持ち続けなければいけないと思った。
・経営者側の目的を達成したいという傲慢さが最大の原因に感じた。経営者に技術者からの視点や危機感が全く無いことに不安を感じた。またMT社がNASAの下請けだったことも影響したかもしれない。
・経営側の考えと技術者の考えのどちらか片方だけを選んでも会社というものは成り立たない。その時、何を重要視すべきかを判断するかが最高責任者には必要だと感じた。
・結局下請けの立場が負けてしまった。大きな仕事だからこそ慎重にならなければならなかった。
・元うけ、下うけの関係性が存在する以上、ロケット以外のどの分野でも十分起こりえることであると感じた。
・元請けは現場を良く知り現場の意見に耳を傾ける必要があると思った。
・事故がおこるかのうせいがあったのなら反対意見を変えるべきではなかったと思う。
・事故が起きて乗員7名を死亡させてしまったという事は、明らかに下請けのサイコオール社のエンジニアが正しかったことが分かる。しかし、上の立場である人たちの判断が正しいことになってしまう。そういう金と圧力に負けることって仕方の無いことであるのだろうか。よく分からなくなる。
・事故をするとわかっていて打ち上げるのは本当に理解に苦しむことだ。NASAとMT社は名誉のために打ち上げたのでは?と少し思った。
・事前に防げると分かっていても防げないエンジニアの立場も辛いものだと思った。もし、あの場で反対していたら今頃どうなっていたのだろうか・・・
・上からの命令に対して反論しても無意味だったように感じる。人々が良いほうだけに目を向けてもダメだと思う。失敗からだけじゃなく成功からも学ぶべきだと考えられる。
・上に行けば行くほど責任levelが高くなることを改めて実感した。 [そうですね。無能な上司の下で働くのは、ホントに辛いものですょ(実感を込めて)]
・常に正しい選択を出来るわけではないからしかたがないような気がする。ただ2度目が起きてはならない。
・人の命をあずかる仕事だから、経営とか関係ないと思った。
・前から分かっていたのに止められなかったのはその事故で亡くなった人や作った技術者達の苦労が無駄になってしまったので適切な判断は重要だと思った。
・組織は経営を優先しなければならないし、技術者は使う人の安全を考えなければならないので複雑。
・打ち上げ失敗は恐ろしいと思った。
・悲惨な事故だった。
・物や商品を与える側の技術者としてはそれが供給される側の立場に立ってものを考えなくてはいけない。自身と相手とのかねあいが重要だと感じた。 [ユーザーの視点のお話は、まったくその通りですね]
・問題があったのにもかかわらず経営のために打ち上げを行いその結果事故になってしまった。やはり問題を解決するまで行ってはいけないと感じた。過信はしてはいけない経営者という立場ではなくエンジニアの立場で考えるべきであった。
・予測できていても、事前に防げなかったことがあるのだなと思った。これを教訓にエンジニアが少しでも心配したことは気にし、完成したもので宇宙に行って欲しい。
・立場が上の組織と下の組織が対立した場合お金の面で下の組織はその指示に反することは難しいと思った。
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・あまり[議論の]時間がなかった。 [すみません。ちょっと段取りが悪くて]
・いい天気!! [ホントに久しぶりでしたね]
・カゼが治ってよかったですね。ノロウィルスには気をつけて下サイ。 [どうも風邪ではなかったようです。ご心配をおかけしました。ノロウィルス、お互いに気をつけましょう]
・かぜをひきました。 [この冬はずっとお腹の風邪が流行っているんです。臨時試験の時期も近いので早く治してください]
・グループ活動はつかれた。 [初めてだったからでしょうか]
・グループ討議の授業は楽しい。 [次回の発表を期待しています]
・さむかった。 [すみません。8号館は個別冷暖房ではないので、衣類等で調節してください]
・しっかりグループで討議できた。 [たいしたものだ。こういうところが金沢工大の強みだと思います。ホントに]
・[映像が]しょうげき的だった。 [先生のご両親を直視できませんよね]
・チャレンジャー号はツラかった。 [こちらも]
・チャレンジャー事故の裏側を初めて知りました。 [そうですか。次回はいわばその当事者の視点で考えてみましょう]
・つかれた。 [課題やテスト勉強が重なってきたのかな?]
・なやみます。 [どう対応するか、ですね]
・なんか社会の嫌な部分を思い出した気がした。 [う〜ん、そうなのですが、嫌とかいうより、現実世界にはこういう複雑なことが溢れています]
・やとわれるがわになるといけんはかわってしまうのかと思った。 [そうかもしれません。特に(この講義の最後でお話しするような)広い視野を持てない場合は、ね]
・悪夢のようなビデオを見た・・・ [相当ショックだったようですね]
・下らん! [以前に見たことがあるのかな?]
・楽しいと思う。
・楽しかった。 [以上、こちらは割と余裕派ですね。議論を楽しめた、という意味でしょうか?]
・技術者と経営者の立場の違いを感じた。 [視点によってずいぶん見え方が違うでしょ?]
・技術者の気分が味わえた。 [権限と責任の大きさですね]
・技術者は大変だ。 [こちらも]
・議論は難しい。 [後日解説しますが、今回は初めてだったので特に難しく感じられたのだと思います。]
・考えさせられる内容だった。 [前述しましたが、ご両親の姿が目に焼き付きますよね。また返答に困る技術担当副社長も]
・今日はいい天気でした。 [ホントに久しぶりでしたからね]
・今日はソフトボールをしてスッキリした。 [若いなぁー。次はしっかり勉強を!!]
・今日は自転車のパンク修理をした。 [晴れて気持ちよい日だったこともあったのでしょうか。ちなみに、センセイは自転車で通勤していますが、センセイのものは絶対にパンクしません。なぜならチューブがない──タイヤ全体が発泡ゴムでできている──からです。パンクのことを考えて、そうしました。ちょっと乗り心地が固いですけど、パンクしないのはいいですよ。ちょうど5年間乗っています]
・[風邪が]治ってよかったですネ [ありがとうございます。どうも風邪ではなかったようですが、あの鼻水と涙は何だったんだろう?]
・晴れだと気分が軽いです。 [ずっと雨が続いていましたからね。ホント、センセイもそう思いました]
・難しかった。 [議論が、でしょうね。次回の発表を期待しています]
・発表がんばります。 [ぜひぜひ]
・命 [大切だ、ということでしょうね]
西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。