平成18年6月19日更新
第18回:平成18年6月14日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
まとめ
・21世紀の高度技術社会における科学技術者の社会的・倫理的責任に関する解説
・高度技術社会における科学技術と社会の関係
・科目全体のまとめ
・期末試験に関する質疑応答
・OHPなどを用いた講義
・クラス討議
・予習:科目全体に関する質問事項を考える
・本科目と本学の教育・学習目標との関係に関するレポートを提出する。(180分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は、本田の補足ないしはコメントです)
Q.脳死は人の死だと思いますか?
A.
1.人の死だと思う(18名 66.7%)
→理由?・人間の身体が科学技術で大部分がコントロールでき,再生できるようになった今または将来において,人間の生の拠り所は脳による精神活動しかありえない.これより先,生産可能となる肉体に,人間の生を求められない.故に,脳による精神活動は人間の生の最後の逃げ道だと思う.
・人間社会では言葉を使えてのこと.言葉を失い,復活できなければ,人の死と判断してもよい場合もあると考える.
・いくら脳が死んで体が生きているとしても,生命維持装置を付けなければならないし,何も考えられないただの人間なのでずっとそのままのじょうたいを保つのはむずかしいと思うので.
・脳は司令塔なので死んでしまえばその人でなくなるので死んだも同じだと思う.
・心臓は動いていても,確実に助かることはないのだから生きている人を救うのに使ったらよいんじゃないか?
・人間は,脳によって考えたり行動することができるので,その司令塔である脳が機能を停止したことにより,心臓の停止と扱ってよい.
・脳死の人には意志が無いと思う.
・脳死ということは植物状態なので,たとえ心臓が動いていても死んでいるんだなと思う.
・人が生きる意味を考えたら,何も出来ない人が生きていると言えるのか.ま〜生きる意味なんて分からないですけど,息をする事だけじゃ不十分だと思うから.
・動物としてのヒトは生きているが,その人格がすでに失われているため.人格の再現が可能にならない限りは脳死は人の死だ.
・脳の停止=その人自身の停止と思うから.それで誰かが移植して助かるならいいことだと思いたい.
・肉体と精神の両方あってこその生だと思う.
・脳死患者が脳死を死として認めていたかによる.
・自分が考えられない.意志を持たないから.私は死んでも良いから.
・自分というものをもてなくなったため死と考えてよいと思う.考えをもてないため.人工脳(A.I.)が実用できれば,死とは定義できなくなる.
・考えることができず,反応の示さない体では,何もすることができない.何もできなければ生きている意味はないから.
・意志がなくなったら死んだも同然だと思うから.
・人間らしさが何もないから.2.人の死だと思わない(8名 29.6%)
→理由?・心臓や他の臓器はまだ動いているから.
・まだ心臓が動いているから.
・脳も体の一部.脳という臓器の障害.脳が一番偉いわけではない.
・直面した事はないが,たとえば,親族や恋人,友人などだったとしたら,何もしなかったとしても,生きているだけで嬉しいと思う.
・一部の臓器の機能が停止しても人の死ではない.脳を臓器の一部とすれば脳死は人の死にならない.例)胃ガンで居のすべてを切除した≠人の死 脳死=人の死?
・まだ心臓が頑張って動いているわけなのだから,命が残っている以上人の死とはいえない.
・体は動いているから.(3.無回答 1名3.7%)
・わからないので.
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は、本田の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・人間の干渉できないモノ(突然の死・病・性別・寿命etc.)を受容するために神が産み出されたのならば.人の生き死にのすべてを干渉できるようになったのならば.神を言い訳にできず,すべてを自分達人間で責任を持たなければならない?できるのか?
・人類の進歩はむごいと思った.
・科学技術についてよく考えないといけないと思った.遺伝子操作技術には考えさせられるものがあると思った.
・脳死から回復した人は全くいないと思っていた.
・今日,話おもしろかった.
・技術の進歩が最近になってすごく変わり,未来が心配になった.
・進歩の速さについていけない人は大変な事になりそう.
・技術の進歩の速さに驚き.
・ワンダバ.
・クローン=ドッベルゲンガー?
・生命問題はすごく深刻だと改めて実感した.
・ガタカ見ました.おもしろかったです.
・次の世界大戦は,アメリカは遺伝子操作された兵隊,日本はロボット兵,さらに核兵器も使われるだろう.起こらないように願うばかりだ.
・死とは何なのか考えさせられた.生の逆が死なのだろうか・・・
・死の定義はどうすればいいかわからない.
・遺伝病が分かるのは良いことと思います.
・物理学者が嫌いになった.
・今日はいろいろと教えられたが,人工授精のことが一番自分の中で理解できた.
・遺伝子関係は人それぞれ考え方が違うだろうから統一は難しい.(本田より)
本日の皆さんの回答には驚かされました.真剣に取り上げたら本一冊では書ききれないような深い哲学的テーマに触れているものもあります.この講義でもった疑問やテーマを各自で深めていって下さい.我々教員の使命は,皆さんにPhilosopher-Engineer(哲人技術者)になってもらうことです.20世紀の科学技術の歴史を見て理解してもらえたと思いますが,科学技術が社会に与える影響はとても大きくなりました.科学技術者が産み出すモノは我々の生活の枠組みを規定しています.責任ある科学技術者として,何のために,どのような技術を産み出す「ベキ」かという,価値の思考の訓練も積んでいって欲しいと願っています.
授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。