平成18年6月9日更新

第15回:平成18年6月9日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

科学技術に関する社会的合意の形成
内容例
・社会的合意形成の手法(コンセンサス会議、サイエンスショップなど)に関する解説

授業の運営方法

・パワーポイントやOHPを用いた講義
・ビデオを使った解説

学習課題 予習・復習

・日本で行われているコンセンサス会議についてインターネットを使って調査する。


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。【 】内は金光の補足ないしはコメントです)

Q.1. 技術者として,原子力発電に賛成ですか?

A.1.まずは,専門家としての意見を尋ねました.個々のコメントは控えます.

1.賛成する 11名(65%)
2.反対する 6名(35%)
〔賛成する人,理由は?〕
・技術的にすばらしいし研究が進めばさらに安全性が高まる可能性がある.
・反対する人の理由として挙げられる危険性については,注意すれば防ぐことができるので.それに対する得るものが大きいから.
・今後のエネルギー資源のことを考えると原子力を使うしかないから.
・環境をよごしにくい.
・環境に優しいから.廃棄物の処理方法や,再利用のサイクルも考えられているから,問題ないと思う.
・事故ばかり目立つけど,非常に役立っている.今これがなくなったら,日本の発電は成り立たなくなるのでは?
・現在の日本は原子力発電にたよっている.もちろん,環境に良い発電方法があるならばそちらの方が良い.また,戦争やテロが行われると特に危険をともなうので,なるべくなら早期に手放したい技術である.
・事故の時のリスクは伴うが,膨大な電力を生むことが出きるし,逆に原子力発電をやめて他の電力でカバーできるか?ときかれるとカバーできないから.
・この先やはり有効的な発電はなかなかないような気がする.火力〔発電〕はCO2発生や燃料の不足や〔=などが問題となり〕,その他〔の発電方法〕は,発電量が少ない.これからは原子力が主力になっていくのではないか.
・事故などが起きた場合の影響は大きいが,火力発電などでは限界があると思う.
・廃棄物の問題や事故の危険性等あるが,燃料を再利用する技術ができれば,燃料の心配をする必要がなくなる.
〔反対の人,理由は?〕
・大量のエネルギーを獲捕〔=確保〕することができ,二酸化炭素も出ないが,りんかい〔=臨界〕事故なども現実に起こっているし,使った後の放射性物質も土の中にうめているだけだから.
・廃棄物の処理〔=方法〕がわかっていないから.
・次世代に残す「ゴミ」の影響が大きいから.
・やはりチェルノブイリの事故があったから.それに今は,安全性も高くなっているが,万が一が起こる場合もある.起こってからでは手遅れ.
・廃棄性物質を処理できない現状で,ただ消費していくだけでは,後々問題が大きくなりすぎていると思われる.現状では,研究を進める程度におさえるべきと思う.
・危険性があるから.

Q.2. 地域住民として,原子力発電に賛成ですか?

A.2.授業の最後に,自分の住む地域に原子力発電所が建築される予定の住民として,つまり利害影響を強く被る一般市民として,意見を尋ねました.興味深い数値の変化です.個々のコメントは控えますが,立場の違いからどのように意見が変わるのか,参照してみてください.
※なお,Q1に無回答の人がいるため,回答総数そのものも違っています.

1.賛成する 6名(30%)
2.反対する 14名(70%)
〔賛成する人,理由は?〕
・今は技術的に安全だと思うし,電気料金が安くなるとかの特典もありそうな気がするから.
・生活が豊かになると思うから.
・発電所が近くにあるのが好ましいとは思わない.しかし危険はいらないが利益だけは欲しいというのはわがままだと思う.
・条件付きで賛成.安全性を最重要視してもらうなら賛成.
・ただし,その安全性やその裏付けなどを,自分たちの意見と,第3者の専門家の意見を聞いた上で合意する.
・出来る限りの事故を防ぐ努力があれば別に良い.あまり気にしないと思います.
〔反対する人,理由は?〕
・やはり,いい気持ちはしない.
・原子力発電は今大事だと思うが,自分の住んでいる所から遠くにおいて欲しい.
・場所にもよるが,私は反対する.民家が放れていた〔=離れていた〕としても,原発事故が起これば大きな被害がでるから.
・原発事故は起こる可能性が低いが,もんじゅ等の前例から見てもあまり安心できないから.
・やっぱり事故があるとこわいから.放射能をあびるのはまわりに住んでいる私たちだから….
・やはり事故が起こるかもしれないという不安がある.
・大事故が起きる可能性があるため反対する.
・恐いから.でも福岡にできるわけがない.
・安全性に不安.事故が恐い.
・目にみえない分あぶない.
・安全性からいって危険.別のエネルギー資源を探す方がいい.

今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。〔 〕内は金光の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

・結局良いのか悪いのかという結論はでないと思う.だから,原子力発電の安全性を高めて欲しいと思う.
・リスクを伴う技術は,まだまだ研究が必要だと思う.
〔正解がない,またリスクのある技術だからこそ,専門家だけでなく非専門家の声を聞く必要があるわけです.影響を被るのは,(等の専門家を含めて)他ならぬ一般市民なのですから.〕
・社会への影響が大きければ大きい程,皆の意見を取り入れなくてはならないと思いました.
・合意形成の場をもっと広めて,身近なものにするべきだと思う.
〔全くそのとおりですね.今日お話したように,実際にいろいろな取り組みがなされてもいます.〕
・技術者が一般の人達との距離を縮めようという活動があるのは知らなかった.
〔最近は,サイエンスカフェだけでなく,テクノロジーカフェなどのようなものもあるようです.興味があればぜひ調べてみてください.〕
・前回休んでしまった.すみません.
・腰を痛めた・・・辛い・・・.
〔体調を崩したりしたときのケアはお早めに.とりわけ腰は後々大変ですよ.〕
・つかれた.
・来週は課題の提出が多く忙しい.
・疲れがとれません.
〔たしかに大変だと思いますが,今学期ももうすぐ終わりです.最後の一踏ん張りです.とはいえ無理はしすぎないように.やるべきことを一つずつコツコツと.〕
・今日の授業は常々思っていたことなので参考になった.
・分かりやすかったです.
・今日の授業はおもしろかったので時間が経つのが早かったと思う.
〔ありがとうございます.非常に新しい取り組みを具体的に説明した回でしたね.興味がある点はぜひ自分でも調べてみてください.もちろん研究室に来てもらってもかまいません〕
・倫理をよく考える必要がある.
〔全くそのとおりです.この科目ではあまり「倫理」という言葉を使っていませんが,どのテーマも広い意味で科学技術者の倫理に関連したものです.新カリキュラムの人は3年次の必修科目「科学技術者倫理」でより深く学ぶことになります.旧カリキュラムの人も,この科目でその要素については触れることになります.〕

授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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