平成20年9月17日更新
3EE2クラス
第6回:平成20年9月17日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
・今、なぜ、科学技術者倫理が求められているのか(メタ、マクロ、メゾ、ミクロの観点から)
・科学技術の発展による「行為」の拡大と新しい倫理の必要性
・環境倫理、生命倫理、情報倫理
・市場原理とグローバリズム
・なぜ、技術者は特別の責任を負うのか
・PCを用いた講義
・中間試験用スタディクエスチョンズの解説
・テキスト『技術倫理1』の第1章および第2章を精読する(180分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.今日ご覧いただいたビデオに関して、もし貴方/貴女が登場した夫婦の立場だったら、着床前診断をしますか?
A.あくまでも、「自分があのビデオの夫婦の立場だったら」という条件下での回答です。ご注意ください。どれかだけが「正解」という性質のものではありません。次回補足説明しますので、原則としてコメントは控えます。
1.着床前診断する 18名(24.3%)
2.どちらとも言えない 35名(47.3%)
3.着床前診断しない 17名(23.0%)
4.無回答 4名( 5.4 %)
1.着床前診断する
→ この場合、廃棄された受精卵──あの女の子の立場は?──の扱い、弟の人格の問題(兄の「ために」生まれた?)、経済的に貧しい人々や身障者の差別につながるのではないか、などの問題が発生します
・なんとなく・・・
・我が子のためなら何が何でも助けたいため。
・兄がたすかるから
・後で障害が見つかって苦しむよりも最初から診断を行った方がよい。
・自分も親の立場から考えるとそうすると思う。
・[兄を]助けたいから
・大切な子供を死なせたくないため、辛い想いをさせたくないため
・適さない胚の生命を奪うのは酷だが、胚はその時点では人よりも、物に近い。受精以前、以後に関わらず生命に変わりないが、無意識であり、細胞数個?のあつまりに過ぎない。人として扱うには小さすぎる。
・弟の病気を治せるなら、自分の子供ならなおさらすると思う。
・命がかかっているのなら有りだと思う。2.どちらとも言えない
・その時になってみないとわからない。
・それしかないのならするしかないと思うから。
・できればしたいが、かなり悩む。
・どちらともいえない
・どちらにしても命が失われることになる可能性があるから
・ドナーが見つからなければやるかもしれない。
・まだ親の感覚がわからないから
・もっと情報がないと判断できない。
・よくわからない
・今すぐには決められないし、考えることが多すぎる。
・今は客観的にしか見ることができないので、何とも言えない。
・子どもの治療のためだけに、子どもを産むことは難しい選択だから。
・人工的に遺伝子操作[正しくは出生前診断]をすることによって今後いろいろな問題が社会で発生すると思われるが、当時者の立場になったことを考えると、難しい。
・相手と相談する
・相手と相談するかも [以上、パートナーと、という意味ですね]
・相談する
・着床診断することで、悪い影響がでるかもしれないから。
・着床診断を行わなくても自分の子なので愛す。
・同じ立場になって考えないと答えはでないと思うから
・本当にその立場にならないとわからない
・本来出生前診断は、未知の領域だった為、私はどちらがよいのか判断はできない。しかし、パートナーや親戚の意見をくみ、判断する必要がある。もし、この判断で胚を殺すと「水子」と同じように一生かけて供養すると思う。
・命を軽く見るものではないが、助けたいと思う気持ちは理解できるから。
・倫理上の問題が伴うから分からない。3.着床前診断しない
→ この場合、兄は20歳まで生きることが難しく、また生きている間はずっと治療を受ける必要があります
・この場合の弟が道具となることも考えられる。
・しないけど、難しい問題でよくわからない。
・しなくてもいいから
・やな感じがする。
・運命だと思ってあきらめる。
・自分も障害者なんでいいとは思えない。そうでなくても今までそうだった人はどうするのかと思う。
・病気だろうと、生まれてみないとわからないと思うから
・命や生命に関わることにはふれない方がいい。4.無回答
・着床[前]診断により、遺伝子をより分け、病気のリスクを回避できるのはすばらしい。[しかし]人間は欲深いので、この技術により、「完璧な人間」を造ることを目指したなら、人間の多様性を認め、互いを尊重しあう考えがなくなってしまうのでは、一種のファシズム的思想を生みかねない。 [まったくその通りですね]
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
[ご覧いただいた出生前診断のビデオに関して]
・オーストラリアでは遺伝子操作[正しくは出生前/着床前診断]が許されていることに驚いた。 [日本では例外的なケースを除き、認められていません]
・この問題を解決するのは難しいと思う。
・ビデオの問題は本当に難しい。
・遺伝子[操作? 正しくは出生前/着床前診断]はこわい・・・もし障害がなく生まれてきたらどうなっていたかと考えてしまった。
・完全な人間だけが生きることを許されることには納得しないが、自分がビデオの中の父親ならそういう判断をするかもしれない。 [以上、まったくその通りですね]
・今日のビデオは1年のときに見たおぼえが・・・。 [そうです。ロシアンルーレットで自殺した息子から精子を取り出し、元ガールフレンドの卵子で受精させて第三者が生むというビデオも用意しています。ご希望ならご覧いただけます][今日の一言]
・いろいろ大変 [内容に関してかな? 他科目を含めて課題のことかな?]
・さむかった [そうですね。当方らには調節できないので、座る場所や衣類で調節してみてください。テストも近いので、体調を崩さないようにしましょう]
・たのしかった。 [ありがとうございます]
・科学技術の発展と生命などの倫理のバランスを保つのは本当に難しい。 [まったくその通りですね]
・科学者・技術者として考えなければならない倫理の重要性を強く感じた。 [ありがとうございます]
・技術を優先するか倫理問題を優先するかが難しい。 [ホントにその通りで、やはり基本的には、ケースバイケースで考えることになるでしょうねぇ]
・興味深い内容だった [ありがとうございます。1年生にも見せているビデオですが、まだ幼いのでなかなかリアリティを持って観てはいただけないようです]
・空腹なんでわかりやすかったです。ご飯たべてきます。 [「神の見えざる手」の話ですね。ありがとうございます]
・今日の問題に正解はないと思う。 [いずれの選択も、「あり」ですよね]
・参考になる話だった [ありがとうございます]
・寝不足で頭が痛かった。 [課題等が溜まっているのでしょうか。中間試験の季節なので、週末は休めるといいですね]
・深い話であった。 [命の問題は難しいですよね]
・人間の生涯を操作する必要はない [気持ちはわかります。でももしそれが肉親だったら?]
・生命倫理の問題は判断が難しいと思った。 [まったくその通りですね]
・生命倫理は、イメージしにくいと思った。 [まだそうかもしれませんね]
・生命倫理は、本当に難しい問題だと感じました。
・生命倫理はむずかしい [以上、まったくその通りですね]
・特になし [はい]
・難しい問題は[が?]多かった。 [現実の問題はとても難しいですよね]
西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。