平成20年12月16日更新
3EC3クラス
第6回:平成20年12月16日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
・今、なぜ、科学技術者倫理が求められているのか(メタ、マクロ、メゾ、ミクロの観点から)
・科学技術の発展による「行為」の拡大と新しい倫理の必要性
・環境倫理、生命倫理、情報倫理
・市場原理とグローバリズム
・なぜ、技術者は特別の責任を負うのか
・PCを用いた講義
・中間試験用スタディクエスチョンズの解説
・テキスト『技術倫理1』の第1章および第2章を精読する(180分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.今日ご覧いただいたビデオに関して、もし貴方/貴女が登場した夫婦の立場だったら、着床前診断をしますか?
A.あくまでも、「自分があのビデオの夫婦の立場だったら」という条件下での回答です。ご注意ください。どれかだけが「正解」という性質のものではありません。次回補足説明しますので、原則としてコメントは控えます。
1.着床前診断する 27名(52.9%)
2.どちらとも言えない 15名(29.4%)
3.着床前診断しない 9名(17.6%)
1.着床前診断する
→ この場合、廃棄された受精卵──あの女の子の立場は?──の扱い、弟の人格の問題(兄の「ために」生まれた?)、経済的に貧しい人々や身障者の差別につながるのではないか、などの問題が発生します
・あの立場であればする。それで息子が健康に育てるのであれば、
・この夫婦の立場だと「子供を救いたい」というのが前提にある。確実に救うためには必要があるから。
・しなかった場合、兄が死ぬのは確実。今ある生命を救うほうが先決だと思う。
・その状況に置かれてみないと何とも言えないがたぶんすると思う。
・その方法しかないのならやるべきだと思う。
・それで人の命が救えるのであれば良いと思う。
・できる環境にいるならすればいいのでは。
・もし自分がその立場になったのなら、子供を助けることを優先すると思う。
・現在の社会はすでにそうしたしくみになっているため。
・子供を守るためだからそれでもすると思う。
・死なせたくないから。
・自分の子供の命を助けたいから。
・授精卵[正しくは「受精卵」]も含め、全てが自分の子供であるが、その全てを救うことができないなら、今人間として生きている子供を救うべきである。
・初めての子供を産むときに選ぶことはさんせいできない。でもビデオのような状況ならばする。
・助かるためならやるべきである。
・選択の余地無し。
・誰にとっても都合がいいから [ご説明したように、本当に「誰のためにも良い」のでしょうか?]
・着床前診断しなければこのように人工受精した意味がない。
・病気を治せるならする
・倫理的に問題があってもそれで助かるならすると思う。2.どちらとも言えない
・そういう状況にならなければ実際にどうするか分からない。
・できればしないほうがいい。でも選ばれる方にも生きる権利がある。 [では例えば、捨てられた受精卵は?]
・どうしてもそれしか方法がないなら仕方ないと思う。しかし、推しょうするものではない。
・結局命をぎせいにしている。ただ当事者になった場合どうなるのか彼らの心情が想像できない。
・今の自分では良い方い悪いは決められないし、わからない。
・今は判断できない。
・子供をもつとわかることもあると思う。
・自分がもしあの家族のような状態ならそれにすがりたい。でももろもろを踏まえるとすごく複雑。
・自分一人では判断が難しいから。
・実際にその立場になってみないとわからない。
・成功の確率は少ないかもしれないが、もし着床診断して兄の病気を治す子供ができたらよいと思う。だが良い点もあるし悪い点もあるため何とも言えない。
・判断が難しい
・判断できない3.着床前診断しない
→ この場合、兄は20歳まで生きることが難しく、また生きている間はずっと治療を受ける必要があります
・そうなって生まれてきたことが運命を受け入れる。胚だって自分の子。人の形になってないから楽なの?
・やるべきだと思うが私はしたくない
・兄を助けたい気持ちはあるが、そのために次の命を選ぶのはできない。
・人々は皆、平等であるが、少なくとも遺伝的な病気があるケースがある。この人達は遺伝子を変えることで治療できるわけだが、先祖たちから受け継いだものを無理矢理変えるのはあまりよくないと思う。その人が病気を持っているのはその人の個性であるので病気以上に元気にすごしてほしい。
・生命に格差ができてしまう
・道徳的に間違った判断であるため。 [ご意見はわかります。センセイがそう断定しているわけではありませんので、念のため]
・病気な兄はかわいそうだと思うが遺伝子操作はやりすぎだと思う。
・倫理的に [こちらについては、上記ご参照]
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・クローン人間ができたらいやだと思う。 [気持ちはわかります。でも、もう実験室レベルでは可能なんですね]
・こういう授業ばかりだといい。 [なるほど。確かにビデオの部分になってから、皆さんの目の輝きがすごく変わってきました]
・それにしても、今の医療技術はすごいなと思った。 [確かに。でも......についてはご説明した通り]
・つかれた。 [確かにそういう感じの方がいらっしゃいましたね]
・とくになし [はい]
・とてもねむくなるときがあります [食後でしたからね。食後の眠気は仕方ない面があります。生理現象ですから。ちょっと──15分と言われています──休み時間に眠るとずいぶん楽になりますよ]
・なかなか難しい出来事だった。 [ビデオの件ですね。まったくその通りです。皆さんの時代に見るのと、親になってから見るのとでは、また違います]
・なんで人ってこんなに頭がいいの? [生物学、医学の進歩のことでしょうか?]
・ビデオを見て考えさせられた。 [まったくその通りですよね。センセイが質問されたら悩んでしまいます]
・科学技術の発展により新たな倫理問題が生まれているんですよね。 [まったくその通り。それだけで今日は満点です!!]
・楽しかった [ありがとうございます。もちろん「知的」にですよね]
・環境倫理について理解を深めた。 [ありがとうございます。なおこの件に関しては、後日補足説明をさせてください]
・技術の進歩は凄いけど、怖いと思う。 [まったくそうなんですよね。で、卒業後は皆さんがその最前線に立つんですよね]
・技術の進歩を用いるのは実際そうなのだが、当たり前のように感じている人が多いように思う。命を技術で天秤にかけるのは、慎重にならなければならない。 [とても良いセンスをお持ちだと思います。前半は講義の最初の「コンビニ」の件そのものですよね。文系も、理系も、「当たり前だ」と思ってしまっています。でも実は、(将来の)皆さんが支えているんですよね。できることの大きさと責任、ですよね。貴方/貴女の今後に期待しています]
・金に世界が踊らされている。良いことなのか、悪いことなのか。 [講義の冒頭部分ですね。こちらもまったくその通りなのです。ご理解いただけて嬉しいです]
・[今週後半の]穴水イヤです。希望者のみにしてください。 [お気持ちはわからなくはないのですが、就職対策など、今後の貴方/貴女のためでもあります]
・今日は天気が良いですね。 [明日までは何とか天気が持ちそうですね。冬の北陸地方でこの晴れ間って、貴重ですよね]
・今日も遅刻しなかった [前の時間の教室が遠いんでしたっけ。よく頑張りました]
・最近課題が大変です。 [これは他科目の課題でしょうね。講義前の様子を見ていると、確かにそんな感じですね。応援しかできませんが、頑張ってください!!]
・使わない技術はゴミ [う〜ん、この件に関しては、微妙。朝日新聞の日曜版に、使われていない特許のコーナーがあります]
・私は害虫です。 [センセイも益虫ではないと思います。さて、どうやって生き延びましょう?]
・自分が[ビデオの中の]兄だったら弟を生んでくれと言う [お気持ちはわかります。でも問題は、(1)ビデオの中の弟が、兄のために自分が作られたことをどう納得するか、(2)捨てられた(同じ遺伝子疾患を持つ)女の子の立場は......など、とても難しいと思います]
・暑くて眠く・・・。 [今日は割と気温(特に室温)が高めでしたからね。センセイもジャケットを脱ぎましたが、貴方/貴女も衣類等で調節してください]
・討議が少し楽しみだ。 [さて、どうなりますことやら。このクラスは2日連続で討議、発表となりますので、割と盛り上がるのではないかと予想しています]
・特に [はい]
・[ビデオの件は]難しい問題だった [そうですね。でもこれが現実です]
・倫理は難しいと思った。 [こちらもビデオの件だと思います。でも皆さんは今後、当事者としてこういう難題を乗り切らないといけないんですよ]
西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。