平成20年9月5日更新
第4回:平成20年9月5日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
科学技術と産業
・科学技術と産業の関係に関する検討(科学技術政策、科学技術基本法、基礎研究所モデルの成立と崩壊など)
・OHPなどを用いた講義
・ビデオを使った解説
・科学技術に関する新聞記事レポート(第1回)の提出 (60分)
・予習:科学技術の進展により大きく変化した産業の例を考えておく。 (60分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.貴方/貴女は日本国内の中小企業──例えば洋食器製造業──の社長だとします。東南アジア製の低価格商品の氾濫で、経営が厳しくなっており、経営を続けるかギリギリの判断を迫られています。状況を打開するために、どんな方策を考えますか。
A.具体的な状況がはっきりしていませんので、唯一絶対の正解はありません。
しかしちょっと考えただけでも(1)人件費を圧縮して価格を下げ、競争力を維持する、(2)他社や他国で作れない製品(付加価値の高い製品)を開発、製造して利益を維持する、(3)今までの技術力を生かして、新分野に進出する、(4)国内での製造を諦め、人件費の安い他国に工場を建て、製品を輸入する〔その場合、技術者を含めた従業員の雇用をどうするのかが問題になります〕、(5)他国で製造するにしても、製造機はその国では作れないので、それを技術力の高い国内で作り、メンテナンスもする、さらには(6)その製造機に関する特許権等で利益を上げる......など、いろいろ考えられます。広い意味での「経営」を視野に入れた技術を考えていただきたかったのです。
なお、少しご紹介しましたが、例として挙げた新潟県の三条市・燕市の場合、技術を生かして、米アップル社のiPodの裏面を独占的に製造しています。ここでしか金属を「磨く」ことができないんだそうです。同社の有名なデザイナー(副社長でもある)のジョナサン・アイブ氏が技術を確かめにこの地域の工場を訪問したのだそうです。こういう生き残り方もあるんですね。
今日の講義はやや早足だったので、次回の授業で改めてご説明します。そのため、原則としてコメントは控えます。ずいぶん面白い回答もありますよね。(今回は分量が多くてSAの負担が大きかったので、当方も半分くらい打ちました。)
・あえて高級な製品のシリーズをつくって売る。 [「シリーズ」という点がツボでしょうね]
・あえて値を上げて、高品質のものを作る。
・インパクト大のビックリする商品をつくる
・コストが低く、他社と比べて優れた物を作ることができるようなものを探す
・コストを下げる
・その会社でしか出来ない高度な技術を盛り込み、質を上げて、製品のコストを上げて、数を少なめに製産[正しくは「生産」]する。
・デザインで勝負する。
・デザインなど、他の企業にないものを作る。自社の技術を生かして、他の分野に挑戦する。
・デザインを考える。
・デザインを良くする
・ブランド化させる
・ブランド化する
・ブランド力をつける。
・ユニバーサルデザインの製品を出す
・より質の良い製品を作って、かけにでる。
・卸し屋になる。
・価格でだめなら、最高級の品質でがんばる。[それ]か[、]へいようして、別の事業を立ち上げる。
・外国人労働者を雇ったり、リストラなどで人件費削減。
・機能重視で勝負する。
・金持ちをターゲットにした高級食器への乗り換え
・金持ち向けへ高級品を[作る]。
・金持ち相手に質がよく値段が高いものを売る
・高くても売れるものを造る
・高級品として売る。
・高級品を作り、質で勝負する。(一般人相手ではない→高級レストラン用とか)
・今まで誰も考えもしなかったような物をつくる。
・材料を安くする[=安く仕入れる/安価な材料に切り替える、など]
・自社の技術でしか作れないものを作る。
・自社の商品のクオリティを上げて、ブランド化する。
・自分で技術を開発して独占する。
・質の高いものをつくる・・・ターゲットを変える
・質を上げ、高級志向で売る。外海[正しくは「海外」]向けに。
・商品の質を上げる
・商品の品質を上げる。
・障害者などに[ターゲットを]しぼって専用のスプーンなどを作る。
・食器のデザインや丈夫さなどをうりに少し高い値段で売るものと、デザインをシンプルにしてあまり丈夫ではないが、安い値段で売るものを作る。最悪の場合、他社とがっぺい[合併]。
・食器のような大量生産できるものをあきらめて、技術で勝負できる文野[正しくは「分野」]に乗りかえる。
・食品[正しくは「食器」]以外の別分野に技術を使い[新たな商品を]作製。又は大企業に技術を売り込み[、]より大きなものの作製に使う。
・新しいアイディアをつくる。合併
・新しい商品をつくる
・新しい商品を作る。新しいデザインのもの作る。ブランドものをつくる。
・新しい物をつくる
・新しい物をつくる。
・新たなビジネスを考える or 合併する
・新たな分野に進出する。(自分達が使える技術を使って)高級思考[この場合、正しくは「高級志向」]に方向転換する。(松坂牛みたいに)
・新技術(製品)の開発
・新商品をかいはつするか、ブランド品をしてうりだす。
・新商品を作る(めずらしいもの)
・新製品の開発。
・人員削減
・生産量を少なくして価格を上げる。 [これだと東南アジア製の製品に圧倒されてしまいますよ?]
・製造業をやめて、卸し屋になる。PB[プライベート・ブランド]商品の製作に取り組み、業販で1ケース単位で売る。技術は売る。
・製品の質を上げる。新商品を作る。
・製品を小さくするなどして質を落とす [販売価格を引き下げる、という意味でしょうね]
・他にない製品をつくる。シェア[を]独占できるような製品
・他のもの(他業界)にも進出
・他のものをつくる。自分たちは開発に専念して、外国に作った工場に渡し、利益の一部をもらう。
・他の会社には真似できないようなものをつくる
・他の企業と手を組み作業の効率化を計る[この場合、正しくは「図る」]。
・他の商品の[製造?]会社と連携して新商品[を]開発して販売してみる
・他の中小企業と合体[=合併のこと]
・他社にないユニークな製品を開発する。
・耐久性能(サビひくく、傷つきにくいもの)を向上させ[て差別化す]る
・大手の下受けに入る。
・大手企業に吸収される
・中世の食器のレプリカを作る
・長持ちする製品のように品質を向上させ、価格が高くてもよいものを生産する。
・賃金を少しけずって、自分のを多くけずり、そのけずったお金で宣伝アピールし、買ってくれた人にサービスをし、技術こうじょうさせる。
・低価格商品のネガティブキャンペーンをする。
・東南アジア[諸国の工場]には[製作]出来ない付加かち(ディティールをこるなど)をつけて高い値段を受け入れてもらえるようにする。
・東南アジアに進出。東南アジアの会社に技術を提供するかわりに業務連携[通常は「業務提携」]をする。 [この選択は、アリでしょう]
・同業者を集めて組合でまとめる。技術を利用する
・独自の品質の良さをアピールする
・売れる物を作る。 [具体的には?]
・販売方法を変えたり、工夫する。
・品質で勝負する
・品質をあげて高価なものにする。(ブランド化)
・品質をよくして、他には真似できない付加価値をつける
・品質を上げる
・品質を上げ高く売る。
・品質を売りにする
・副業[を]やる
・副業をやる。リストラ勧告する。 [下手にリストラすると、そもそも製品を作れなくなってしまいますよ]
・別の価値をつける。オリジナルブランドを創る。実力しょうぶ
・変わった商品をつくり始める。
・保障[正しくは「保証」]できるほど、強くアピールをする。技術力の高さから高価な物を作る。
・量産品では、勝負にならないので、自社ならでわ[正しくは「ならでは」]の製品を作って、インターネットなどを利用して販売する。
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
※内容から、設問の解答と見なして上(↑)にまわした「一言」があります。悪しからずご了承ください。
・「フロンティア」ってなんですか。 [講義の最後の部分ですね。フロンティアというのは......お答えするのは簡単ですが、まずノートのURLから、自分で調べてみてください。それでも分からなかったら再度質問してください]
・100年前の日本と今の中国の技術の取り入れ方が似ていることにおどろいた。 [その中国人の学生の表情はとても明るかったです。何の不安も感じていないんですね。日本はその後、戦争や郊外を経験──講義でご説明します──し、幾多の犠牲を払いながら、大切なことを学びます。それを口頭で伝えているのに......というのが正直な感想でした]
・1年[間]で5兆円はすごい [それだけ重要視しているんですね]
・iPodタッチがほしい [個人的にも欲しいです]
・iPod持ってません [「持っている人が多い」と言っただけで「買いなさい」と言ったわけではありませんのd、念のため。音楽プレーヤとしては携帯電話の付属機能と同じようなものですよ]
・あつかった [複数]
・あっちぃ [以上、ホントに暑かったですね。後述の解説もご参照]
・いろいろと考えさせられた。 [ありがとうございます。その「考える」ということがとても大切なのです]
・うーみゅ [?]
・おもしろかった [ありがとうございます]
・ギリギリセーフ [授業に間に合った、ということでしょうね]
・クイズが難しかったがこれから、考えていかなければならない場面になるかもしれない。 [間違いなく、この種の判断を迫られることになります。それも遠くない将来に]
・サイフ忘れた。 [アパートに忘れた、ということですよね。それならダメージは少ないと思うのですが]
・スライド[の切り替え]が速すぎ[この場合は「早過ぎ」]。 [お気持ちはわかるのですが、重要な点や書き写す場面ではとてもゆっくり切り替えています。そうでないスライドの内容はノートに記されています。また講義には予習してから臨んでください]
・スライドが良かった。 [ありがとうございます。制作されたのは若手の先生です]
・つかれた。 [他科目を含めて、講義が本格化してきたんでしょうね]
・とてもおもしろかった。 [ありがとうございます。うれしいです]
・ネむい
・ねむたかった [以上、お疲れのご様子。課題等がたまっているんでしょうね]
・のどがいたい [どうしたのでしょう。風邪のひきはじめ? いずれにせよ、お大事に]
・また、暑くなってきた [そうでしたね。なお、8号館の冷房の件に関しては最後(↓)の解説をご参照]
・ややこしや [それはそうだと思います。でもこれが、皆さんがこれから出ていく現実の社会なんですよ]
・よく分かった。 [ありがとうございます。励みになります]
・下町のナポレオン「いいちこ」。 [焼酎ですね。センセイはビール党ですが]
・価値が安い[原文のママ。「価格が安い」の意味?]物の方が買いやすい [もちろんその通りです。だから身の回りの品はどんどん東南アジア製になり、100円ショップは繁盛し......ということになったのです]
・科学技術に[5年間で]25兆円も投入[する]予定なので、とても驚いた。 [政府としては、日本は資源がなく、物造りで生きていくしかないから、それくらい集中投資しないと競争に負けてしまい、生き残れないという判断なんですね]
・科学技術の時代背景は思ったより複雑だった。 [初めて聴く話が多く、戸惑われたと思います。前回から今回の内容は、科学者や技術者でも知らない人が多いと思います。でも、物事を根本から考えて問題を解決するためには必要なことなんですね]
・科学技術の社会的責任は重くなってきている。 [そうなんです。この点については、次回とその次の回を使って、じっくりと考えていただきます。ビデオも数本ご覧いただきます。ご期待ください]
・科学技術はすごくお金になるんだと思った。 [あまり意識していなかったと思いますが、まったくその通りなのですね。将来の皆さんをなぜ企業──メーカーだとして──は採用するのでしょう。新しい知見をライバルに先駆けて使用して、新しく魅力的な製品を開発、販売し、利益を上げるためには皆さんが必要なのです。皆さんはいわば、すでに社会にその一歩を踏み入れつつあるんですね]
・企業の方向性について考えるのは中々楽しかった。 [「社長!!」の件ですね。次回、補足説明します]
・久しぶりに晴れました。 [ホントに久しぶりでしたね。でもその代わり(?)......あづい]
・経営は大変です・・・
・経営者は大変。 [以上、まったくその通りです。でも──まだあんまり気づいてないだろうけど──皆さんのお父さん、お母さん、保護者の方はそうやって頑張って家族を支えているんですよ。それがわかると、簡単に「人件費削減」とか「リストラ!!」なんて言えないですよね]
・現代の技術者に求められていることがはっきり、この教科や技術者入門などの必要性を感じた。 [まったくその通りですね。実は、これらの科目、他大学には少ないか、ほとんど存在しない(特に「技術者入門」)科目なのです。金沢工大に入って良かったでしょ?(冗談抜きで、センセイらはそう考えています)]
・行動する技術者へ [そうありたいものですね。まったく]
・国家予算の約6%近くを科学技術基本計画の実施に使っているとは知らなかった。 [実際に計算されたんですね。前述(↑)しましたが、それくらい集中投資しないと生き残れないと、政府は考えているからです]
・今まで自分が社長の立場で物を考えたことがなかった。 [でしょ? そのことに気づくだけでも、大きな一歩なんですよ]
・今回の授業にはあわてずに間に合った。 [遅刻しなかった、という意味ですね。真面目な方だと思いますので、たぶん前の時間、南校地などの離れた場所で講義(/体育?)があるんでしょうね]
・今日はだいぶあつかった。
・今日はちょうどいい温度だった。 [ちょうど良かった、と述べられたのは、今回お一人だけでした]
・今日は暑かった。
・今日は晴れてよかった。 [そうでしたね]
・今日は大変暑い
・今日は非常に暑かった。 [以上、晴れたのは嬉しいのですが、暑かったですねぇ。8号館の暑さについては下記(↓)もご参照ください]
・時間が長く感じた。 [う〜ん。一般論ですが、時間を長く感じるのはつまらない時です。ドキドキ、ワクワクしている時はアッという間に時間が過ぎてしまうでしょ? 講義に問題があったのかなぁ(もちろん100点満点なんて言うつもりはないけど)]
・社長にはなれそうにない。 [いえ。この方の解答(↑)には、とても高く評価できる部分があります。社長になる才能はあると思いますよ]
・集中 [「集中できた」。あるいは「集中したかった」でしょうか。さて、どちらだったのでしょう]
・宿題の確認を忘れていた。 [次回改めてご説明しますが、予習のための宿題──変な表現ですね──です。前半は小さな課題が続きますが、ご自身の理解を助けるためですので、頑張りましょう]
・暑い [複数]
・暑かった。
・暑かった・・・ [以上、ホントに暑かったですね。実は8号館の冷暖房は他の号館と違っていて、地下に冷水槽があって、それで空気を冷やして、館内を循環させているんだそうです。ただしこれまでの経験からすると、どうもレスポンスに難があり、暑くてたまらない日になかなか冷えなかったり、ちょうどいいやと感じるような日に冷気が入ったりします。季節的にも難しい温度──同じ気温でも暑く感じたり涼しく感じたりする人がいる──になるので、衣類や着席場所で調節してみてください。冷気の吹き出し口の関係で、場所によっては相当冷える場所があります]
・少々難しい [初めて勉強する内容が多かったですからね。でもご自身の将来のためですので、ここはちょっと頑張りましょう。なお次回はずっと分かりやすくなります]
・世の社長は様々なアイディアを出しているのだろうと思った。 [もちろんそうです。そして、もし自分でなかなかアイディアを思いつかないようなタイプの社長は、部下にアイディアを提案させるのです。スーパーマンは存在しません。誰だって長所短所はありますから、短所を補えばいいんですね。だから考えようによっては、誰だって社長になれる(かもしれない)のです。要は、頭の使い方ですね]
・[講義の進み方が]早い[正しくは「速い」]です。 [お気持ちは分かります。今日は理論的な話でしたからね。でも、1時間の講義に対しては1時間の予習が求められています。初回の講義でご説明したように、特にこの講義の前半部分では、「宿題に取り組む」という形で予習してもらっています。パーフェクトでなくても結構ですから、とにかく自分で考えて宿題をすれば、講義はずっと分かりやすくなるはずです。大変でしょうが、がんばりましょう]
・単に先端技術を取り入れてもそれだけでは駄目だということが分かった。 [そうなんです。日本が国際的な競争で負ける典型的なパターンが市場(マーケット)が求めているものを適切に把握できずに、「最先端」など、こちらの思い込みを売りつけてしまうことなんですね。戦後初の国産機“YS-11”の技術的な成功とプロジェクトとしての「失敗」など、興味があったら調べてみてください]
・中小企業はとても大変だと思った。 [そうです。そして──信じてもらえないかもしれませんが──とても働きがいのある場所です]
・得意分野を知ることが大事 [その通りですね]
・難しいクイズだった。
・難しい問題だった。 [以上、その通りですね。正解なんてありません。でもその難題にどうやって取り組むか。情報収集、判断、企画実行、そしてグループワーク、それらが求められているんですね]
・日本すげぇ [科学技術基本計画の件ですね。政府もそれくらい本腰だ、というわけです。上記ご参照]
・日本はストッキング[の製造]大国だったんですね。 [いえ、違います。その素材の絹の生産大国だったのです。「お蚕(かいこ)さま」と呼ばれ、国内のあちこちで生産されていました]
・日本は科学技術基本計画の策定・実施に投入する金額が高すぎる。 [金額が大きいのはその通りです。ただしそれが適当かどうかについては判断が分かれると思います。もし将来に対して投資しなかったら、日本の工業はどうなりますか? 他国もものすごい勢いで投資しているんですよ]
・日本独自の科学技術が大切だと思った。 [ありがとうございます。お気持ちはよくわかります。ただし、上記YS-11などの経験からすると、独自性に走って市場が求めているものを見誤ると、とんでもないことになります。やはり微妙な判断です]
・熱い [意味やその感覚はわかるつもりですが、やはり「暑い」でしょうね。ホントに、「熱い」という字を使いたくなるくらい、暑かったですね]
・勉強になりました。 [ありがとうございます]
・僕も新潟出身です。 [三条、燕の件、感覚がおわかりになったのでは?]
・眠かった。 [相当お疲れのご様子。週末は休んで、元気を取り戻しましょう]
・話が難しい [今日の話は理論的な部分がありましたからね。次回とその次はとても分かりやすくなります。ビデオもご覧いただきます。ご期待ください]
西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。