平成21年4月8日更新
3HB1クラス
第1・2回:平成21年4月8日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
・科目の目的・目標、内容、課題、評価方法など
・技術者入門および日本学の内容との比較を踏まえた、本科目の学習教育目標の解説
・科学技術者が直面する可能性のある倫理的問題に関する具体的な事例解説
・仮想事例の解説
・グループディスカッション
・PCを用いた講義
・倫理綱領集など参考資料の配布
・6名程度のグループを作り、役割を決めた上でのグループディスカッション
・学習支援計画書を熟読する(30分)
・テキスト『技術倫理1』の「まえがき」、および「訳者あとがき」を精読する(30分)
・事例に関する課題の提出(「課題1」第3回に提出)(60分)
・仮想事例について各人がレスポンスシートを作成する(30分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.1. 夏の暑い時期、金沢市付近一帯が、大規模に停電してしまいました。停電はもう十数時間も続いています。コンビニはどうなってしまうでしょう?
A.1. たくさんの面白い回答を寄せていただきました。どれもその通りだと思うのですが、講義でご説明したように、電気が長時間止まると、冷房・冷凍が効かなくなるだけでなく、またレジも働かず、POSの情報もやり取りできないので、やがてお店の機能がまったく停止してしまうんですね。
「コンビニ」はこの現実の社会を指しています。細かいことはともかく、現代社会が科学技術に依存しているということ、そしてその科学技術に携わり、この社会を支えているのが(将来の皆さんを含む)科学者・技術者なのだということを考えていただきたかったのです。(講義中にかなりご説明したので、原則としてコメントは控えます)
・アイスがとける。[複数]
・アイスがとける。赤字になる。
・アイスが溶け、食べ物が腐る。
・アイスが溶ける。
・アイスが溶ける。クーラが消て店内が暑くなる。弁当が腐る[原文は誤字]。
・アイスや飲み物がダメになる。店に入れない。
・エアコンが止まるので気温が上がる。食品が冷えなくなる。
・おにぎり、弁当、冷凍食品とかが腐る。お菓子とかしか売らなくなる。
・コンビニのアイスがとける。ネトゲー[ネットを介したゲームのこと?]の課金ができない。 [これも通信機能(のダウン)ですね]
・コンビニの営業停止。自動ドアが停止して人が閉じ込められる。
・コンビニも停電する。
・ドロボーがお押し寄せる。レジで情報処理ができなくなって在庫管理ができないため物流に支障をきたす。 [在庫管理の件、まったくその通りですね]
・レジが使えずに、[お店を]運営できなくなる。冷蔵庫、冷凍庫が使えなくなる。
・レジが使えなくなる。食べ物がだめになる。 [以上、その通りですね。計算だけなら電卓でもできますが]
・営業ができなくなる。
・客が利用できなくなる。会計ができない。
・事前に停電字のマニュアルを作っておき、それにのっとって適確に対応すべき。 [確かに。でも電気が来ていないと、何もできそうにないですねぇ]
・商品がぬすまれる。発注が取れない。 [両方ともその通りですね]
・食べ物がいたむ。
・食べ物がくさる。
・食べ物が悪くなる。
・食べ物が悪くなる。レジが使えなくなる。
・食べ物が腐る。冷たい物(アイス、飲み物)がだめになる。
・食べ物くさる
・食べ物類(弁当などの生物(?)は全滅)。レジがつかないので物が売りにくい。自動ドアが手動になる。
・食品が腐ってくる。
・食品が腐る。
・食品の類が腐る。
・食品や飲糧水[正しくは「飲料水」]などの品質が保てなくなる。冷凍食品などが溶けてしまう。自動ドアが開かなくなる。
・食品関係の商品が腐り、食中毒の集団感染が起こる。
・食料がくさる。 [以上、いずれも冷蔵、冷凍機能が失われるためですね]
・食料や飲料水が店から無くなる。
・水を買いしめる客で殺到し、水(ドリンク類)がなくなってしまう。万引き増える。 [以上、お話ししたようにこれは実際に起きます]
・足のはやい[=傷みやすい]商品がくさる。営業停止。 [そうですね]
・大量にお客が着ても精算できない(レジ)
・電源停止により[お店としての]機能の麻痺。腐らない食べ物を求めて人が来る。備品(電池など)を求めて人が来る。 [こちらも、地震発生時などには起きます]
・盗難が起こる
・入れない。食べ物がダメになる。ATMが使えない。 [ATMの件、その通りですね]
・弁当などの商品が売り物にならなくなる。
・弁当やサラダなどが痛む[原文は誤字]。アイスが溶けてしまう。
・弁当や要冷蔵のものが腐る。アイスがとける。ATMがとまる。レジがうてなくなる。 [こちらも]
・防犯カメラが作動しないので万引きが起こる。 [そうなるかもしれませんね]
・要冷蔵の食品が腐る。
・要冷凍、冷蔵のものが[品質低下で]捨てられる。監視カメラがとまる。
・冷ぞうの商品が冷やせなくなり、ほとんどコンビニとして使えなくなる。 [まったくその通りですね]
・冷蔵庫の商品が腐る。真っ暗になる。レジで清算ができなくなる。
・冷凍、冷蔵物の保管ができない。
・冷凍のものが溶けて、売り上げが落ちる
・冷凍食品、生鮮食品が腐る。乾電池が多く売れる。携帯電話の簡易充電気[正しくは「充電器」]が売れる。インスタント食品が売れる。営業停止(レジが動かない) [他もそうですが、充電器や乾電池の件はまったくその通りです]
・冷凍食品やアイスが溶ける。
・冷凍食品や弁当、サンドイッチ当の腐敗。情報端末を介するサービスの停止。
・冷凍食品や冷蔵保存の食品がダメになる。商品管理ができない。レジが使用できない。 [以上、情報端末機能停止の件はその通りですね]
・冷凍食品を始めとする食品が傷む。暗いため、客が商品を選びにくい。レジが打てない。強盗にあった際に対応しきれない。 [強盗の件、機器にもよりますが、警察への通報ができないかもしれませんね]
Q.2. 今日取り上げた事例で、個人的にはどれを選択しますか?
A.2. (講義の中でご説明しましたので、コメントは控えます。皆さん、大変良く考えたと思います)
a.データ「借用」 3名( 5.6 %)
b.データ「補正」 8名(14.8%)
c.高温実験を強行 19名(35.2%)
d.実験打ち切り 16名(29.6%)
e.その他 8名(14.8%)
a.データ「借用」
・報告書に、他者の条件下で理論値が求まったことを記述することがベターな選択である。
b.データ「補正」
・(b)を実行する前に教授に相談。
c.高温実験を強行
・(c)で手際も良くなっているので、期限までは挑戦してみるべきである。
・ギリギリまでは実験はしたい。終わらなければdのようにすればいい。
・仮に間に合わなくてもdという選択ができるため少しでも可能性のある方法をとるべき。
・学内外から注目を集めている研究なので、それに見合った結果が必要。
・期限に実験を成功させるのが一番良い結果だから。
・教授や仲間に協力を求める。
・相談すれば間に合うと思う。
・他メンバーに迷惑かかるし、時間がギリギリであっても正しいデータを出すべきである。
・他人に嘘をつく前に自分に嘘をついてはいけない。d.実験打ち切り
・d、e[「dとeの複合」の意?](d:知見のところで・aについて引用する。Bについて指的[正しくは「指摘」]する)
・データをねつぞうするよりはまし
・可能な限りの対処を行う
・恣意的な操作がばれた時、研究に携わった人の立場が危うい。e.その他
・dやってc
・現在の結果で一応レポートを書いておいて[万一の時のための]保険を作ってから、高温条件下の実験に取り組んでみる。
・最初はc、どうしても間に合いそうになければdに切りかえ
・金沢教授と相談→自分の意見を持っていく
・実験データは、そのまま報告する。そして参考として金石[研究室の]先輩の実験データをのせ、結論は言及しない報告をまとめる。
・1年前の実験データを報告書に入れるときは引用する。実験はしない。今までの実験結果と比較してどのような要素が2回目、5回目の実験地を出してしまったのか考察して報告書にまとめる。報告書はあくまで自分の意思で。
・先生や窪田先輩に相談する。先生に怒られるというのは、太郎の思い込み。a〜dどれを選んでも、不正、人に迷惑をかける可能性があるから、まず人に相談すべきだと思う。
・とりあえず先生やチームのメンバーに相談する。
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・イメージとだいぶ違う。 [でしょ? もちろん良い意味で、ですよね。ご期待を裏切らないように頑張ります]
・おもしそろうな授業だ。 [こちらも]
・おもしろい受業[正しくは「授業」]でした。 [そして、こちらも]
・カフェ・オレはおいしい。 [フランス語で“cafe au lait”(英語なら“coffee with milk”)。つまりミルク入りコーヒーですね]
・クラスが違く[原文のママ。「遠く」?/「違い」?]アウェーです。 [気分がアウェーなのでしょうか。他クラスの人が1/3以上いますから、決して特別ではありませんよ。これを良い機会と考えましょう]
・グループがんばろう。 [ぜひぜひ]
・グループディスカッションは初耳だった。 [そうですか。それじゃぁ、ずいぶん事前のイメージと違うでしょうね]
・グループを自分たちで決めたかった。 [気持ちは分かります。でも、社会に出たらお友達で仕事をすることなんてありません]
・グループ討議がうまくできた。 [それは良かった。お話ししたように、グループ活動に関する金沢工大のレベルは高いと思いますよ]
・グループ討議でもっと頑張って、発言しようと思った。 [次回はぜひ]
・グループ討議めんどい。 [気持ちは分かりますが、社会に出てからとても大切な能力です]
・この科目に興味が沸いた。 [ありがとうございます。嬉しいです。期待を途中で裏切らないように頑張ります]
・この授業を受ける前と全部終わった時で、自分の考えがどう変わるか楽しみ。 [その通りですね。ただし、この科目の履修を通じてとても能力が伸びたら、逆にそれを意識しないほど自分自身と同一化しているので、「伸びた」とは感じないはず......]
・コミュニケーションは大切である。 [まったくその通りなんですね。太郎君、問題を一人で抱え込みすぎですよね]
・これからよろしくおねがいします。 [こちらこそ]
・これから頑張ろう! [ぜひぜひ]
・ダブルバインド「問いの立て方を変える」「問いの次元を一つ上げる」 [印象に残ることができたようですね]
・まさかグループ活動があるとは・・・。[仲の良い仲間が?]みんなバラバラになるとは・・・。 [前述しましたが、社会に出たら「お仲間」での仕事なんてありませんよ]
・まだこーゆう種類の授業があるんだな。[たぶん「もっと専門を勉強したいのに」とか「科学技術と社会の関係なんて」という意味だと思います。この種の科目が必要だということは、授業が進むと徐々に分かってもらえるんじゃないかと考えています]
・科学技術と〜の人[=「科学技術と社会」担当の先生]はフランクな人が多いと思う。 [確かにそうかもしれませんね]
・科学技術と社会(析内[正しくは「栃内」]先生)がすごくおもしろかったのでこの授業もたのしみです。 [前半については栃内先生、そうだそうです。後半についてはご期待を裏切らないように頑張ります]
・活動しやすそうなグループで安心した。 [それは良かった]
・教育というのは難しい問題ですね。 [実はまったくその通りなのです。根本的な問題を考えずに目先だけで教育を論じてもあまり意味はないのですが......]
・教育のルーツは引き出すこと [記憶に残ったようですね。ありがとうございます]
・教訓になる話が多く、面白かった。 [ありがとうございます〜。あまりお説教したつもりはないのですが]
・軽い感じで、だるさがなかった。 [こちらもお褒めの言葉ですね]
・現実的な話ばかりだった。 [初回だったので、割と現実的で「役に立つ」種類のお話でした。でも途中には理論的な部分もありますし、逆にもっとずっと現実的なお話もあります。ご期待ください]
・考える時間がある授業なのでおもしろい。 [ありがとうございます。「考える」って、ホントはとても大切なことなんですよね]
・考え方が少し変わりました。 [それは凄い!! センセイもうれしいです]
・考え方が変わるなーと思った。 [こちらも。正直なところ、びっくりです]
・今までは思いつかなかった考え方に触れることができたので、良い機会だった。 [そしてこちらも。初日の皆さんの反応は凄いと思いますよ(一部例外の方もいらっしゃいますが)]
・最初なので、がんばりたいです。 [倫理について考えるのが初めて、という意味でしょうか。それなら一緒に頑張りましょう]
・桜が満開になっていて、花見をしたい。 [まったくその通りですね。センセイは裏口から出入りするのですが、そちらの桜はもう少しです。見頃は週末でしょうか]
・自分で考える事が多かったので良いと思った。グループは自分達で決めたい。 [前述したように、自分で考える、ってとても大切なことだと思います。グループ編成については、冷たいようですが、現実の社会に出た時のことを考えて、です]
・自分も新潟出身ですが、災害時は買い物に困りますね。 [今日の停電の話、あれは数年前に新潟で実際に発生した冬期の停電が元です。あの時は寒かったのですが、電気が来ないだけで本当に大混乱になりました。それを夏に置き換えたのが今日の話なのです]
・質問しなかったが何か忘れている(聞きのがしている)ようで気になる。 [思い出したらぜひご質問を。センセイも一つ言い忘れたことがありました。次回補足します]
・受けてみたけど科学技術と社会に受業[正しくは「授業」]形式がそっくりですね。 [特に最初は、ね。でも途中からどんどん「貴方/貴女ならどうするの」という方向に話が変わりますので、注意してください]
・授業内容はとてもおもしろかった。 [ありがとうございます〜。うれしいです〜]
・初受業[正しくは「授業」]時間を間違える。 [途中で入ってきた学生さんでしょうか...]
・人からいろいろな意見をもっときいてみたくなった。 [それは良いことですね。大きなグループ活動はあと二つあります]
・先生の話がおもしろかった。 [ありがとうございます]
・他の先生とは少し違う考え方、アプローチの方法で講義を聞いていておもしろかった。 [こちらも、ありがとうございます。今後もご期待を裏切らないように頑張ります]
・太郎君を見て、ほうれんそうを思い出した。 [「報告、連絡、相談」ですね。まったくその通りです。太郎君、このまま就職したら......大変だろうなぁ]
・内容的には分かりやすく感じた [ありがとうございます。これから、ちょっと理論的だったり、国際社会の話をしたりしますが、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと考えています]
・眠くなるような授業じゃなくてよかった。 [それは良かった]
・眠たいです──・・・ [こちらは逆ですね。昼食直後だから、条件はかなり悪いのですね]
・理想や模範的な行動を示すだけでない授業のようで、やりがいがありそうだ。 [ありがとうございます。ご期待ください。きれい事で済ませるつもりはありません]
・倫理観というのは哲学と似ている気がする。 [実はそうなんです。たぶん金光秀和先生の「人間と哲学」を受講されたのだと思いますが、彼はこの「科学技術者倫理」も担当していらっしゃいます]
・話し合いは難しい。時間足りない。 [時間が足りなかったのはご指摘どおりです。でも今日を振り返ると、あの時間枠の中では最大限確保したつもりです。いろいろご不満はおありでしょうが、時間的制約もご理解ください]
西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。