平成21年10月2日更新
3EE2クラス
第1・2回:平成21年10月2日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
・科目の目的・目標、内容、課題、評価方法など
・技術者入門および日本学の内容との比較を踏まえた、本科目の学習教育目標の解説
・科学技術者が直面する可能性のある倫理的問題に関する具体的な事例解説
・仮想事例の解説
・グループディスカッション
・PCを用いた講義
・倫理綱領集など参考資料の配布
・6名程度のグループを作り、役割を決めた上でのグループディスカッション
・学習支援計画書を熟読する(30分)
・テキスト『技術倫理1』の「まえがき」、および「訳者あとがき」を精読する(30分)
・事例に関する課題の提出(「課題1」第3回に提出)(60分)
・仮想事例について各人がレスポンスシートを作成する(30分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
Q.夏の暑い時期、金沢市付近一帯が、大規模に停電してしまいました。停電はもう十数時間も続いています。コンビニはどうなってしまうでしょう?
A.たくさんの面白い回答を寄せていただきました。どれもその通りだと思うのですが、講義でご説明したように、電気が長時間止まると、冷房・冷凍が効かなくなるだけでなく、またレジも働かず、POSの情報もやり取りできないので、やがてお店の機能がまったく停止してしまうんですね。
「コンビニ」はこの現実の社会を指しています。細かいことはともかく、現代社会が科学技術に依存しているということ、そしてその科学技術に携わり、この社会を支えているのが(将来の皆さんを含む)科学者・技術者なのだということを考えていただきたかったのです。(講義中にかなりご説明したので、原則としてコメントは控えます)
・ATMなどが使えない。よって買い物するにも手持ちのお金[=現金]しか使用できなくなる。 [ATMは最後にお話しした「情報」そのものですね。キャッシュカード類や電子マネーが使えないのはその通りです。良い点に気づかれましたね]
・アイスがとけて商品にならなくなる。弁当がくさって商品にならなくなる。レジが動かなくなって営業できなくなる。
・アイスがとける。おにぎりやサンドイッチなどの食品がいたむ。
・アイスがとける。ジュースなどの飲み物がぬるくなる。
・アイスがとける。レジが使えないのでおつりが払えない。 [停電時は手動で開けられるのでは?]
・アイスが溶けて、売り物にならなくなってしまう。会計でレジが動かなくなってしまうので、時間がかかるから人が足りなくなる。
・アイスが溶けるので廃業。売り上げが分からなくなる。
・アイスクリームが全部溶けて売ることができなくなった。氷がとけて売り物ができなくなった。冷ぼうがつかなくてぐったり。
・アイスや冷凍物がとける。レジが止まる。あらそい[争い]がおこる。 [以上、「アイスクリームが...」という回答がたくさんありました。夏→暑い→アイスクリームという連想でしょうか]
・おにぎりや弁当などの食べ物がくさる。アイスが全てとける。虫がコンビニに集まらなくなる。自動ドアが動かなくなる。 [虫の件、虫が走光性(そうこうせい)によってお店の照明を月や星と間違えて集まるけど、それがみんな消えてしまったので...という意味ですね]
・クーラーが止まり、店内が暑くなる。冷蔵、冷凍機能が止まり、アイスは溶けて、ジュースはぬるくなる。また、生物は痛む[正しくは「傷む」]。夜、営業できない。レジを使えない。
・クーラーが消えて店内が暑くなり、店員や客が倒れる。店内の商品がダメになる。 [以上、コンビニのような建物は電気/ガス等による冷暖房を前提としているので、あっというまに室温が上昇してしまうでしょうね]
・コンビニの食品に影響が出る。自動ドアが開かない。 [確かに。でも自動ドアは手で開けられるのでは?]
・コンビニも停電する。暗くなる。食べ物を求め人が多く集まる。食品がいたむ。 [そうですね。たくさんの人が来たら、あっという間に商品がなくなりそうですね。地震の際は実際にそうなりました]
・コンビニも停電なので商品がだめになる。サラダや弁当など。 [そうですね。お話ししましたが、現在の食品は冷蔵冷凍を大前提として流通しています。それができなくなると、あっという間に品質が低下してしまうんですね]
・コンビニ側が飲料水などを周辺地域の人に無償提供する。 [コンビニがどうかは知りませんが、自治体と協定を結び、災害時に飲み物類を無料で配布する自動販売機が存在します。もっともその場合はもはや「販売」ではありませんが]
・ダメになる商品がでて、損害がでる。 [損害というのは経済的な観念です。つまり経済学と関連づけることができたわけで、とても高く評価できる発想だと思います]
・レジが使えない→・売り上げがわからない。[計算]ミスが起こる。・[精算に]時間がかかる。←レジがこむ。混雑→・非常用の物(電池等)を多くの人が買いにくる。 [できるだけ原文のママ。原文はもっと紙面を生かしてダイナミックに表現しています]
・監視が甘くなり、万引きなどの犯罪がおこる。 [確かに、夜間は危険でしょうねぇ]
・客がこない
・客が増える。 [以上、こちらは両方ともありえるのではないでしょうか。例えば、最初は飲食物を求めてお客がどっとくるけど、品切れになるし冷蔵庫が使えないのでその後は客足が途絶えるとか]
・自動ドア 夜間営業できない(実際に夜間は営業してませんでした。)食品が劣化する。コンビニに人が殺到し、[一時的には]物が売れる。(特に充電器とか電池。)レジが使えない。監視カメラを使えない。店内の環境悪化 犯罪 [できるだけ原文のママ。この方は地震ないしは停電などの災害を実際に経験していらっしゃるんでしょうね。リアリティが感じられます]
・周りに住む住民が冷たいのみものや照明器具を買いに来る。 [「照明器具」というのはシーリングライトの類(たぐい)ではなく、懐中電灯など非常用のものでしょうね]
・住民が水分を買い求めに押しよせてくる。 [そうかもしれません。でも、水道はポンプ場などである程度圧力をかけて送り出しているので、すぐには止まらないと思います(ただし、地震だとあっという間にダウンする)。もっともそのポンプも電気で動いているわけですから、いずれ水圧がなくなって水が出なくなるでしょうが]
・商品がダメになる。トイレが使用不可になる。 [確かに。トイレの件は上記ご参照。地震だと水が来なくなるので、水洗式のトイレはすぐに使えなくなります(経験者は語る)]
・商品を買い求める客が多く来る。 [最初のうちは、おにぎりなどすぐに食べられるものを求めて殺到するでしょうね。地震の際はまさにその通りになりました]
・食べ物がくさる。アイスがとける。 [その通りですね]
・食べ物が痛む。ATMがつかえなくなる。 [ATMの件、前述しましたが、着眼点が良いと思います]
・食品がいたむ。 [複数]
・食品がいたむ。クーラーが使えないので室温が上がる。
・食品がいたむ。れいとう食品がだめになる。
・食品がいたんでしまい、大量の廃棄が発生する。ろうそく等を買いに来る人が多く、店内が混乱する。 [ご説明したように、コンビニやスーパーにとって食品は「商品」、つまり広くは「資産」──知らない人は経済学を勉強してね──なので、すぐに捨てるわけにはいかないのです。きちんと記帳して損失とする必要があります]
・食品がダメになる。レジがダメになって電子マネーが使えなくなる。
・食品が駄目になる。懐中電灯が売れる。
・食品が痛む[正しくは「傷む」]。アイスや冷凍食品がとける。
・食品が腐る。アイスがとける。 [以上、食品の質が低下して販売できなくなる点はその通りですね。前述しましたが、現代の食品は要するに大電力を使う冷蔵冷凍技術によって品質を保持しているんですね]
・食品が腐る。防犯カメラの停止。→犯罪 自動ドアが開閉しない→蒸し風呂状態→脱水を起こす レジが使えない。 [その通りですね。たぶんあっという間に蒸し風呂になってしまうでしょう]
・食品を買いに客であふれる。 [最初はそうでしょうね。とくにお弁当やおにぎりの類を求めるお客さんで...]
・水が売れ切れになる。 [そうなのですが、水の供給は別系統なので、すぐには止まらないんですよ。地震だと配管がやられてあっというまに出なくなりますが]
・[コンビニが慈善で]水を配る。食品がいたむ。アイスがダメになる。人が集まる。パンツ(下着)が売れる。 [下着の件、ある程度の期間、水が使えない時──地震や水害が典型──はその通りです。少し長い海外旅行へ出かける時は使い捨ての下着を使用する人もいます(センセイは使ったことはありません)]
・水を買いに人が集まる。 [ご意見はわかるのですが、地震や水害は別ですが、停電の場合、水はしばらく供給されると思います]
・店内の食品がいたむ。レジが使えないのでこんざつする。店内があつくなる。 [たぶん、あっという間に暑くなってしまうんでしょうねぇ]
・電気機器のほとんどが停止するので食品がいたむ。営業が難しい。 [正直なところ、営業は無理だと思います。↑の経験談にもありましたが、特に夜の営業は不可能でしょう]
・電池が売れる。
・電池などの光を得るためのものが売れる。暑くなる。
・電池売り切れ 食料品切れ(→代金支払いなし) レジが使えない 食品劣化 [出来るだけ原文のママ。以上、電池の件はまったくその通りです。懐中電灯やラジカセの電池、点検してないでしょ?(センセイもそうです) いざという時に限って、ずっと交換していなかったので電池が液漏れを起こしていたりするんですよね]
・特定の冷蔵器が撤去される。 [これはたぶん、冷蔵庫が使えないということでしょうね]
・弁当などが腐る。アイスがとける。営業できない。 [まったくその通りで、日中はともかく、夜は営業できないだろうと思います]
・弁当などの冷蔵食品がくさる。 [その通りですね]
・冷蔵、冷凍食品が駄目になる。レジが使えないが、非常時なので[電卓で計算するなどして]販売を行う。
・冷蔵庫、冷凍庫の電源が切れることで、食品が傷みくさる。釣銭の管理ができない。 [以上、しばらく販売は可能かもしれませんが、在庫管理も発注もできなくなってしまうんですね]
・冷凍食品が溶けて商品価値がなくなる。夏の日、消費者はエアコンが使えず、冷たいものが欲しくなりコンビニにアイスを買いにいくが、[すでに売り切れているか溶けてしまっているため]無くてクレーマーがでる。 [ご指摘の状況はよく目に浮かぶのですが、意外にも、日本の場合、少なくとも災害直後は被災者がみんな助け合い、クレーマーの類はほとんど出ません(経験者は語る)。ただし、もしこれが長期間続くとなると、どうなるかわかりません]
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・イメージと違った授業だった。 [予想を裏切ることができて、嬉しいです(もちろん嫌味ではありませんよ)。これからも知的に驚いていただけるような授業を目指します]
・グループ討議がまあまあ上手くいったのでよかった。 [講義の中でもお話しましたが、金沢工大の学生は議論やプレゼンは上手いと思います]
・コミュニケーションをうまくとれた。 [それは良かった。でもこのクラス、1名を除くほぼ全員がEE2クラスの諸君なのですが...]
・とてもためになる話でした。 [ありがとうございます。勉強の話や「求められる人物」のお話ですね。機会があったらまたぜひ]
・もう少し考える時間が欲しかった。災害を経験したことがないのでイメージがやりにくかった。 [前者に関してはそうかもしれません。後者は想像力の問題です。この科目とは無関係でも結構ですから、「イザという時」どうなるかを考えて対応するようにしましょう]
・モチベーションが上がった。 [ありがとうございますぅ〜]
・奥が深いと思った。 [ありがとうございます。この科目で取り上げる全体像を概ねイメージしていただけたようですね]
・確かに[仮想事例の主人公]太郎君の立場になると、嫌だなと思う。 [申し訳ありませんが、わざとそういう設定にしています。さて次回、太郎君はどうなるのでしょう?]
・企業が求める人材を考える。 [その通り、発想の転換なんですね]
・久しぶりのグループ討議は楽しかった。 [なるほど。夏休み明けですからね]
・教室の空気が暗い。 [この場合、「空気」はたぶん雰囲気の意味だと思いますが、最初にお話した通り、ずいぶん大人しいクラスという印象です。議論のあたりからはずいぶん様子が変わりましたが]
・現在の社会が求める人物象[正しくは「人物像」]がすこしわかった気がして、よかった。 [大事な点をご理解いただけたようでありがとうございます]
・考え方の立ち位置、見方を変えてみる。 [まったくその通り。重要な点をご理解いただけたようですね]
・採用試験の話がとても参考になった。 [ありがとうございます。機会があったら、また、ぜひ]
・思っていたよりも大変そうだ。 [そうかなぁー。確かに課題や議論は結構ありますが]
・自分が考えつかなかった意見が多くでて興味深かった。 [↑をご覧いただくとわかりますが、ATMやカード、あるいはPOSなど「情報」関係の意見もずいぶんあったんですね]
・授業の進め方がわかった。 [ありがとうございます。現時点ではそれで十分だと思います。次回から本格的な授業になります]
・就職についての考え方などが変わってよかった。
・就職の話は興味があった。
・就職を控えている私にとって、非常に為になる話をきくことができて良かった。 [以上、ありがとうございます、就職活動がいよいよ本格化します。チャンスがあったらまたいろいろお話したいと思います]
・初めてのグループ討議で緊張すると思ったがスムーズにできた。 [なるほど。でも同一クラス(3EE2)内の議論なのですが...]
・色々と考えることがあって楽しかった。 [ありがとうございます。これからもいろいろ知的に悩み、考えていただけるような授業を目指します]
・積極的に議論したい。 [ぜひぜひ]
・先生の授業はたぶん2回目です。よろしくお願いします。 [たぶん必修選択科目「科学技術と社会」ですね。途中までは似ていますが、3回目あたりからどんどん違ってくるので油断しないようにしてください]
・多視的な見方を先生自身から感じました。 [「多面的」あるいは「多角的」という意味でしょうね。ありがとうございます。視点を変えると、見え方がずいぶん違ってくるんですよ]
・電気の大切さについて考えさせられた。 [まったくその通りなんです。そしてそれを将来、支えることになるのが、EEクラスの皆さんなのです]
・電池がたくさん売れるようになるのは意外だった。 [例えば懐中電灯って、必要な時に電池が切れているものなのです]
・難しかった。 [細かい用語がありましたが、今日はイントロ部分なのであまり気にしないように。それよりも授業全体のイメージをつかむことの方が先です]
・悩むことが多くなりそう。 [そうですね。仮想事例を通じて、あるいは議論によっていろいろ知的に悩み、そして考え、強くなっていただくための科目です]
・勉強は本人自身の問題である。 [「教育」の本来の意味が「引き出す」ということに関してですね。重要な点をご理解いただけたようで嬉しいです]
・様々な視点から物事を考えることが新鮮でよかったと思う。 [ありがとうございます。それができるのとそうでないのとでは、結果が大きく違ってきます]
・話が為になった。 [おそらく勉強の部分と求められている人物(就職を含む)の部分でしょうね。機会があったら、またぜひ続きを]
西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。