平成21年10月16日更新

3EE2クラス
第5・6回:平成21年10月16日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

・「倫理」とは何か(用語、理論の解説)
・「科学技術」、「技術者」とは何か
・「科学技術者倫理」とは何か、その特殊性
・「道徳的行為者」としての講義への参加
・倫理的意思決定の方法:エシックステスト、セブンステップガイド

授業の運営方法

・PCを用いた講義

学習課題 予習・復習

・復習:必要事項を講義ノートに記入(30分)
・テキスト『技術倫理1』の第1章および第2章を精読する(120分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)

Q.上司から、ドラム缶に入った怪しげな液体を一般の河川に流せと指示されたら?
A.(解説前の最初の印象です。原則としてコメントは省略します)

1.流す

23名(39.7%)

2.流さない

25名(43.1%)

3.それ以外

9名(15.5%)

4.無回答

1名( 1.7 %)

1.流す

・せっかくいい会社に入れたのでやめたくない。
・せっかく就職できたので、上司との関係を大切にしたい。
・せっかく就職できた有力企業なのに、課長ににらまれ退職に追い込まれるのは嫌だから。
・その場では流し、後で自分なりにその中身を調べ、他の処理方法を考える。
・課長からの命令であり、後の立場を考えると命令に従うしかない・・・。
・課長ににらまれて会社を辞めることは避けたい。
・課長ににらまれるようなことは避けたいから。
・課長に逆らうと今後の仕事に悪影響すると思うから。
・課長の命令であり、自分に一切の責任がないから。
・課長の命令であるため、その指示に従う。
・会社の人間になったので[会社の命令に]従う。
・[理不尽だと思っても]会社の制度を変える力がまだない。
・今ここで課長に逆うことは自分にとっては不利営[正しくは「不利益」]が大きい。会社を辞めてもいいのならば流さない選択もいいと思うが、倫理に反すると思っても今は耐えて、後で他の人に相談する。 [こちらは「3.」の要素を含んでいますよね]
・自分は新入社員なので上司に逆らうと、今後がこわいから。
・集団から見離されるのはリスクがでかすぎるから。
・上司ににらまれてしまっては、せっかく就職してしまっては意味がない。
・責任は課長にある。 [中身がヤバイ物質だったとして、確かに]
・中身がわからないし、今後のことを考えると流す。
・中身を流しても流さなくても、きらわれるかバレるかでリスクはどっちも高い。
・明らかに不審であるが、実際の内身が判らずここで断ってもそれについて追及できないから。
・有力企業であるため、出世すると十分な収入を確保することができる。新入社員のときに上司に目をつけられるようなことはできない。
・流した方が自己にとっての[当面の]損失が少ない。問題になれば証拠を残しておき、訴訟を起こせばいい。 [こちらも「3.」の要素を含んでいますね]

2.流さない

・いつかは分からないが不正はばれるものでその時追及された方がやばいから。
・そのうち社会にバレる。そのとき言い訳できる。バレて上司が消えれば・・・
・そんな会社ならば、いる意味もないので悪いことをせずにやめされられたりする方がよいから。 [こちらは「セブンステップガイド」の「7」を先取りしていますよね]
・たとえ上司の命令だろうが環境に悪影響をおよぼす可能性があるため。
・やはり環境を専門とし、その中身が危険だと感じたら流さないべき。その行動で会社内の立場が悪くなるとしてもかまわない。
・悪いことに関わりたくない。
・悪影響を与えるものとわかっているから流さない。
・仮に流したとしてもバレて会社の責任がとわれ、これにかかわった人間はどうせ処分をうけるので、それを考えれば流さない方がよい。
・課長の単独の行動かもしれないから。 [確かに]
・課長の命令であっても、環境汚染する可能性があるものを川に流せない。
・課長もまた上の人から言われているのでやっているかもしれないので他の方法を探す。 [なるほど、そうかもしれませんよね]
・環境について学んできたし、環境に悪影響のある可能性の行為は取るべきではない。
・環境に悪影響をあたえるのは技術者としてダメだから。
・環境に悪影響を与えたくないから。
・環境を汚染する可能性高い。この事が周りに知られれば、課長と一緒に責任を取らされると思われる。なんとか、課長の説得を試みる。 [こちらは「3.」の要素を含んでいますよね]
・技術者としての責任をまっとうしたいから。
・[後日このことが発覚して、会社が]事業停止になるかもしれない。 [確かに]
・自然によくなく、ばれれば問題になる。
・実際に流すことが黒い行動になるとしたら、一度やると何度もやらされる可能性がある。 [こちらも、確かに]
・上司の命令といえど、違法だと思われることはいけないから、また環境分野を専門として勉強してきているので、環境に悪いと分かりながら流すことはできないから。
・人として。
・中身が危険なものであった場合、それが見つかると会社がもっと大きな損失が出る恐れがあるため。 [確かにそうですよね]
・明らかに環境に対して、悪影響を及す、物を流すことはできないので、課長より偉い部長や社長へ相談をする。 [この点についてはご説明しました]
・流しても流さなくても辞める可能性があるため。

3.それ以外 ※皆さん良く考えられたと思います

・ドラム缶の中身もわからないし、中身を流すことはしない。詳しい情報を聞く。
・ハイキ[廃棄]物処理の業者にとってもらわないかきいてみる。
・バラム缶の中身を聞く。聞くなと言われても聞く。その後、環境に影響があるか無いかで決める。答えない場合は手伝わない。
・社長に中身を確認して、ヤバイ物なら告発する。
・上司の命令に従うが、後で別の偉い人に相談する。
・選択1をやって、内部告はつし、どこかの環境団体にしゅうしょくする。
・他の場所で処理をする。
・別の方法を提示してみる。
・流さないと部長ににらまれる。流すと後に川を汚したとして責任を追求される可能性がある。より上の上司に報告する。


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

・「大人になれよ」の説明がなるほどと思った。 [でしょ? ありがとうございます]
・「侖」の意味には興味が湧いた。上手く表していると思った。 [スライドには明記しておきましたが、北海道大学の新田孝彦先生の説明を一部加工の上で使用させていただいています。わかりやすい説明ですよね]
・いろいろ考えさせられた。 [ありがとうございます。うれしいです]
・おぼれている人間は何でもする、おいつめられた人間は何をするかわからない。おぼれた人間を助けるよりもおぼれないようにすることが大切だとわかった。 [まったくその通り。危険を予測、察知することの方が大切なんですね]
・これが絶体[正しくは「絶対」]ということがないというのが分かった。
・これが絶対でないことがわかった。 [以上、その通りではあるのですが、すべてケースバイケースだ、と言っているのではなく、普遍性も大切ですので念のため]
・セブンステップガイドはとてもためになった。
・セブンステップガイドを少しは理解できた。 [ありがとうございます。「セブンステップガイド」については講義の中でも繰り返し練習します]
・なし。 [はい]
・興味深い内容だった。 [ありがとうございます]
・考え方やとるべき行動など参考になることが多かった。 [こちらもうれしいです]
・今回の授業内容は面白かった。 [こちらも知的に楽しんでいただけたようで、何よりです]
・私語していてスイマセン。 [ご説明した通りなので、次回からは少し考えましょう]
・自分が倫理的問題に関わったとき、どういう答えを導くべき。またその方法を学ぶことができた。 [ありがとうございます。講義の中でもうちょっと練習(?)しましょう]
・社会で仕事するのは難しいと感じた。 [その通りです。いろいろなことを考えないといけないんですね。でも、念のために申しますが、それだけやり甲斐があるってことでもあるんですよ]
・授業は楽しかった。 [知的に楽しんでいただけたようで、何より]
・集中して学習できた。 [こちらも嬉しいです]
・身近な出来事にセブンステップガイドを応用してみよう。 [ぜひ練習してみてください。結構難しいですよ]
・世の中ケースバイケースだとわかった。 [それはその通りなのですが、すべてが同じレベルだといっているわけではありませんので、念のため。優劣はありますし、普遍性を重視しなければなりません]
・先生から見て、今の若い人達は大人ですか。 [難しいですね。ホンネは「子供だなぁ」と思っています──すみません──が、センセイが逆の立場だった時は、明らかにもっとずっと「子供」でした。決して偉そうなことは言えないと思います]
・先生の授業はいつもおもしろい話しでひきつけられます。毎週たのしみです。 [ありがとうございます。気合、入ってますよぉー]
・倫理的な問題には人それぞれ考え方があるが、絶対的な正解はないことがわかった。 [その通りなのですが、すべてが相対的で同じレベルだといっているのではありません。念のため。優劣や、例題での「見なかったことにする」という明らかに誤った対応も存在しますからね]
・倫理的問題は深く考えなければいけないと思った。 [そうなんです。直感と論理、その両方が必要なんですね]
・冷静に考え、判断することが大切だと思った。 [まったくその通りです。しかも時間、空間など限られた条件の中で。でもその中でいわば「最適解」を見出さなければなりませんし、それができた時の喜びも大きいんですね。「やり甲斐」ってことです]


西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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