平成22年10月21日更新
3EA1クラス
第5・6回:平成22年10月21日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
※第5〜8回では、スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故を題材に、第8回までの「学習内容」の事項(概念や用語など)の解説を行う
・チャレンジャー号爆発事故に関する解説
・技術者と価値(特に、安全)
・リスクに関する概説
・PCを用いた講義
・チャレンジャー号爆発事故の関するビデオの視聴
・予習・復習:課題2(Agora上でチャレンジャー号事故について、倫理的問題構造およびステークホルダーなどの事実関係の分析)(60分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.スペースシャトルチャレンジャー号事故に関するビデオをご覧いただいて、個人で最初に感じたことは?
A.講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます。
[「今日の一言」に寄せられたコメントの中で、チャレンジャー号事故に関すると判断したものはこちらに記載しました。悪しからずご了承ください]
・「何処意見を変えたのですか? 理解に苦しみます。理由を答えて下さい。」 これ[=公聴会の委員の発言]は当事者じゃないからでる言葉。 [この件に関しては、次回補足します]
・「技術者の帽子を脱いで経営者の帽子をかぶれ」という言葉が非常に印象に残った。技術者の帽子をかぶり続けられたら・・・。
・100%の安全などなく、ちゃんとした答えはない。 [そうですね。しかしまったくおかしい答や、比較的良い/良くない答もそんざいします]
・F1の課題と同じように、MTに圧力がかかっていて、冷静に状況を判断がしづらい環境になっている。最高責任者でも賛成せざるを得なかったと思う。
・MT社は技術者として最後まで打ち上げ反対を貫き通すべきだと思った。
・NASAの判断がまずかったと思う。現場の技術者がダメと言ったらそれに従っていればよかったと思う。
・あの状況で正しい判断をするのは難しいと感じた。
・グレーゾーンは、危険だと伝えるべきだった。
・コックピットが落ちていく様子がショッキングであった。
・これを逃がせば4月まで打ち上げられないとあったがそれはどうしてなのかがわからなかった。お金がかかるかもしれないが場所を変えれば成功したのではないだろうか。 [打ち上げの時間を変えるのは可能でしょうが、場所を変えるのは無理です。]
・すべて安全な選択をすべきだが、それでは今の技術発展は無いのも事実だと思う。リスク管理は非常に難しい。
・チャレンジャーの事故は印象に残っているので安全第一だと感じた。
・チャレンジャーの事故は知っていたが、技術者の立場としてこの事故について考えたことがなかったので、興味深かった。
・チャレンジャー号の事件でもっとも大事なことは、チャレンジャー号に乗っていた人命の命が失われたことが重要であって、誰にもっとも責任があるかが重要ではない。テレビ[=公聴会の場面]では、責任の追求しか考えてないように見える。成功率が99.99%でも失敗するときは、失敗する。 [この件に関しては、次回補足します]
・チャレンジャー号の事故を責めるのは結果だけを見た吊し上げだと思う。また、公聴会で副社長を責めるのではなく、最初から賛成していた幹部3人の方こそ、なぜ賛成したのかを聞くべきであったと思うし、それを責められるべきである。
・チャレンジャー号の爆発の映像が衝撃的だった。
・チャレンジャー事故について本で読んだことがある。授業でより詳しい事実を知ることができた。
・はっきりとした相関関係がないから、打ち上げ承認の方向なら、その相関関係を示して延期を求める。
・ビデオに出ていたクルーの方が全員亡くなったというのは悲しいです。
・ボジョレーさんへの問い詰めが非常に辛そうだった。 [もしかするとランド副社長のことでしょうか]
・ボジョレー氏の言葉はすばらしいと思うが、実際に行動にうつすのは難しいのではないかとも思った。 [そうですね]
・[何としてでも打ち上げを中止するため、マス・]メディアに伝える。 [これは選択肢として、あり、だと思います]
・もう少ししっかりと検討をして、延期しても良かったのではないかと思った。
・やはり、利益>人命であった。
・悪条件で技術者が打ち上げ反対を求めたのに打ち上げてしまったのに汚点があった。
・安全が第一です。
・安全性(人の命)と企業の存続(会社の命)のどちらかを問われている気がした。
・安全性が第一。
・安全性を一番重視しないといけないと感じた。
・安全第一。 [複数]
・[センセイの?/ボジョレーさんの?]意見が参考になった。
・一回の失敗で7人の命を亡くし、多くの成功と命を救ったと思います。 [7人の犠牲は決して無駄ではなかった、という意味ですね]
・一人一人それぞれの悩みがあったのだと思った。
・宇宙開発は民間がやったほうがいいなと思った。 [民間でも事故は起こりますよ]
・映像で見るとよりイメージがつきやすくなった。
・延期を主張すれば怒られ、打ち上げれば事故が起こる。このような状況にならないための対策が重要なのではないかと思った。
・[公聴会では]何が悪いかより誰が悪いかが問題になっていた。 [そうですね。この件に関しては、次回補足します]
・何度見てもショッキングな映像です。 [そうなんです。何度講義していても、気が晴れる、ということはありません]
・会社に入ると、個人や会社に上からや取引き先などから、圧力を受けるので、公正な判断ができなくなってしまうものだと感じた。
・危険性が高かったのに、打ち上げに同意した副社長の判断は理解に苦しむ。
・危険性について、人々を納得させるために、プレゼン能力が非常に重要であると感じた。
・技術者として、これから会社に入ったらおこりうる事の例として、重くうけとめた。航空システム工学科の私からは、とても身近な事に思えた。
・技術者としての考え方と経営者としての考え方は全く違うということを知った。 [でも、両方が求められていますよ]
・技術者としての立場の複雑な心境がみえた気がする。
・技術者はつらい仕事ですね。成功しても表に顔は出ないのに、失敗したら表でたたかれるなんて・・・。 [確かに]
・技術者は技術に責任を持って最後まで反対すべきでしたね。
・技術者は人々の命に関わる仕事をしているのだと改めて感じた。もし私がMT社の最高経営責任者だったら、もっと技術者達の意見を聞いていたと思う。
・技術責任社[正しくは「責任者」]のボジョレーさんは危険であることをよく理解していた。このことから、安全を第1に考えている技術者なのだと思った。
・巨大システムの中にある組織は、上下関係など様々な、ジレンマの中にあるものであると思った。 [そうですね。この件に関しては、次回考えましょう]
・空気を読まない方がいいときもあると思った。 [確かに]
・[さし当たりの]契約がなくなって[=切れて]でも打ち上げを中止するべきだと思った。
・経営ってたいへん。
・結果が大切、フェアではないが何を学ぶのか。 [良くわからない部分があるのですが、「結果を重視すべき」という意味でしょうか]
・現場の意見を取り入れられる組織作りがとても大事であると思った。打ち上げを強欲したNASAがMT社に誓約書を書かせて責任を押し付けようとしたのはさすがに汚いなと思った。
・後からいろいろと言うことはできるが、自分自身が同じ状況に置かれた時に圧力につぶされないようにできるだろうか・・・。 [そうですね]
・今回のビデオの中で飛行士の立場に立った考え方ができなかったので、このような事故がおこったと思う。 [確かに]
・今考えてみるとおかしいことでも、当時にはなかなか正しい判断ができないと思った。やはり、今ではなく今後を考えるのが大切だと感じた。 [そうですね]
・最も技術に精通する現場の人間の意見が、結果として無視されることになった。ボジョレー氏を気の毒に思う。
・事の真相どうであったのか明らかではないが、この条件下で打ち上げを決行したことは[不可避の]事故ではなく、[どこかに明確な原因がある]事件であると思う。危険と知りながら、実行する所に技術者以前に人としての異常性を感じた。
・事故がおこっても大丈夫なように脱出装置をつけておくべき。
・自分がNASAやMT社の立場でもながされてしまったと思う。ただし、Oリングを2つから4こくらいに増やす指示は出したかもしれない。
・自分がボジョレーでも事故を防ぐことはできなかったと思う。
・自分の意見に正直になる大切さを感じた。
・週一の打ち上げはむぼうすぎると思った。 [でも、最初は本当にそう考えていたんですよ。センセイも良く覚えています]
・集りの人の意見も参成ではあるが、技術者の立場であるかぎり、反対の意志をつらぬき通す。
・将来技術者になる私たちにとってはとても大事であり、判断をしっかり行わなければならない。
・乗る人の立場が考えられていないとおもった。 [まったくその通りですね]
・人の命に関わることなので、安全性を第一に考えるべきだと感じる。
・人の命の重さを確認すべきである。
・人の命を左右する技術者としての判断の重要性を感じた。
・政治のメンツやプライドがあったとしても、専門分野のプロである技術者の警告を無視するという体制が引き起こした事故であったといえる。時には自分を犠牲にしても人命を守ることが技術者には必要であると思った。 [確かに]
・前回に一度危険を感じた事例に関らず、打ち上げてしまう事はあってはいけない後で原因調べても意味ない。
・全ての弾とうに弾を込めたロシアンルーレットのようだと表現したが、そう思っていたならばどんな手段をとってでも打ち上げを延期・中止するべきだった。 [ここは悩ましいところです。この件に関しては、次回]
・組織の利害と上からの圧力で人命が失われた。
・誰が悪いともいえない。 [そうですね。でも、冷たいようですが、「誰もが悪くはなかった」というわけでもないのですね]
・中止すべきだった・・・と思うが会社の経営も大切である。自分だったら打ち上げてしまう気がしまいます。
・難しい問題だと思った。
・反対に徹する。
・複雑すぎて誰が悪いなんてないと思う。 [上記ご参照]
・利益を求めるのも・・・が、後々のことを考え安全性を考える父悪[?]があった。権力をもった立場であっても、多くの意見を聴くべきだ。
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・「技術者は公衆の安全が大事であり信念である」という理想に自分も向かっていきたい。 [その通りですね]
・「将来のために今損をする」 [この件に関しては、今後、ご説明します]
・100km歩行がんばります。 [ご苦労様です。天気は良さそうなので頑張ってください!!]
・コーヒーやココアの持ち込みはOKですか? [他の方が嫌悪感を持たないようにすれば、まぁ、OKです]
・ドイツビールは上面発酵のビールがけっこう多いので、色々な添加物が入ったビールがあって楽しいですね。ペールエールは日本じゃ地ビールじゃないと飲めないのが残念です。 [センセイよりよほど詳しいですね]
・安全システムがきちんとしている会社に入りたい。(安全かんりのチェック項目が多い、一つの部品がみつかるまでさがしつづける等) [システムに着目した点は評価できると思います。でも、余りにチェックが厳しい会社だと、息が詰まりませんか?]
・何が正しい判断だったのか。どれだけ講義を聴いていても、簡単に答えが分からない。 [それはその通りです。でも明らかに間違った答や、より良い/あまり良くない答があることも事実です。そして何より、貴方/貴女も同意していただける(であろう)ように、現実の社会ではその連続なのです]
・今より低コストで安全に宇宙にいけたらいいな。 [そうですね。大量のエネルギーを使用してロケットを打ち上げるのではなく、高層圏用の航空機を使用して大気圏外まで「飛ぶ」時代が近づいているようですよ]
・今日のオススメの曲はヒルクライム「春夏秋冬」です。 [すみません。知りません(センセイはアパートでネットを使えないのです)]
・十分に集中できた。 [ありがとうございます。今日の講義では、身を乗り出して聴いている人がいましたよ]
・信頼性とサポートが必要。 [そうなんですね。物造りでは、ね]
・新米が出荷され古米が倉庫を圧迫しているなか小麦粉の代わりとして米粉が大きな話題となったが、米の値が下がっているのに米粉の値が小麦粉の2倍以上あるのはまだひろまってないからでしょうか? [生産コストがまだまだ高いからではないでしょうか]
・真の技術者は少ないだろうなあ・・・。 [センセイは直接には技術者ではありませんが、ボジョレーさんの基準なら、すぐに落第です]
・先日、模型を塗装しようと塗料を少しずつ、調合していたが、濃くなりすぎてしまった。ゆでガエルは身近にひそんでいるようである。 [面白い。確かに]
・明日から工大祭、忙しそう。 [ぜひぜひ、楽しんでください]
・話に先生の考えが入りすぎてる感じがしました。 [ある意味、その通りです。講義は予習と復習を前提としています。予習で自分なりの考えを持っていることを前提として講義します。この段階で教師は表面的な事実関係だけでなく、教師自身の見解も表明します(そうでなければ教師の存在理由はありません)。事前の学習内容と、教師からのメッセージを照らし合わせた上で、受講生は「ホントにそうなのかどうか。自分はどう考えるのか」を考えます。従って、貴方/貴女の考えは、それ自身は極めて適切なものです。その上で、じゃぁ、どう考えるのか(さらに、自分で調べる、など)が問われています。これ以降は貴方/貴女自身が主体的に学習する場面です。良い考察を期待しています......が、もちろん十分に予習してきていますよね?]
西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。