平成24年4月24日更新

3IS1クラス
第3回:平成24年4月24日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

※スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故を題材に、倫理的考察や意思決定に必要な概念や用語などの解説を行う 
・チャレンジャー号爆発事故に関する解説
・技術者と価値(特に、安全)
・リスクに関する概説
・対立する価値と倫理問題
・ステークホルダーと価値
・技術者の直面し得る倫理問題とその種類(ジレンマ問題、線引き問題など)
・倫理問題と設計問題のアナロジー
・倫理思想の特徴と代表的倫理学理論
・倫理的意思決定の方法(概論):エシックス・テストおよびセブン・ステップ・ガイド
・なぜ、科学技術者倫理が求められているのか@(メタ、マクロ、メゾ、ミクロの観点から)
・科学技術の歴史とエンジニアリングの特質
・近代科学技術と倫理思想
・技術者はなぜ特別の責任を負うのか
・技術者が共有すべき価値と倫理綱領(概説)

授業の運営方法

・PCを用いた講義
・チャレンジャー号爆発事故に関するビデオの視聴
・関連する視聴覚教材の視聴
・演習
など

学習課題 予習・復習

・予習:教科書の第4章、第5章、第6章および第7章の精読(120分)
・復習:課題2(Agora上でチャレンジャー号事故について、倫理的問題構造およびステークホルダーなどの事実関係の分析)(180分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)

Q.スペースシャトルチャレンジャー号事故に関するビデオをご覧いただいて、個人で最初に感じたことは?
A.解説前の感想であることにご留意ください。講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます。

・「知りながら害をなすな」
・[気温]12度でも事故が起きかけたのに、2度でやるのは無茶だと思った。
・NASAとMT[モートン・サイオコール社。以下、同じ]のマネジメント能力の不足が一番の問題。(NASA→技術面の理解不足+財政面での問題 MT→説明能力の不足+財政面での問題)[いかにもISクラスらしい発言ですね]
・NASAの過信と、発注と受注の関係上断ることができなかったことが問題。
・NASAの設計問題への対応が不じゅう分だと感じた。
・NASAは失敗することを予想していた?でも責任はサイオコール社なので打ち上げた?
・お金と信用をかけた判断が逆に両方を失い、さらに7人の命をも奪ってしまった。これは問題である。
・お金のことがばかり考えて失敗したときのことを考えていなかった。
・この事故は未然に防げるものであった。エンジニアの意見を尊重するべきにもかかわらず、NASAが強引に打ち上げを実施したのがすべての原因である。
・スペースシャトルを打ち上げるにあたって、さまざまな人がかかわり、打ち上げるまでに多くの計画を立てて行っていることを知り、絶対安全というものはないのだということを知ることができた。
・チャレンジャー号の爆発にこのようなことがあったのは知らなかった。技術者としては危ないと思っていても、会社として危ないから発射に反対とは言いづらい立場なので賛成に回ってしまった。会社の体質や関係でこのような事故が起こるのは怖いことだと感じた。
・なぜ四月までの二ヶ月間をまてなかったのか? [この件は、次回補足します]
・[技術担当副社長である]ランドさんの立場で考えてみると、NASAからの圧力によって打ち上げを認めるしかなかったのだよ思う。
・ロシアの領域に入ったためうたれた。非常に残念であった。 [いえ、それは違います(キッパリ)]
・安全であること名誉や誇り
・安全を一番に考えなければいけないなと思った。この状況での発射はリスクが大きすぎたと思う。
・延期を選択すれば死者は出なかったはず。なぜ延期をしなかったのか。 [こちらも、次回]
・会社にいると最後はお金になってしまうと思った。
・企業としてのメンツもあるのだろうか100%安全とはいえないのなら、発射延長[この場合は「延期」]することも必要。
・危険であることが判り切っている以上、NASAは打ち上げ反対を受け入れるべきだった。
・危険性があるのに前例のない状況下で打ち上げるのは愚かすぎる。
・気温が低いことや飛行士の意見から打ち上げる日を変更するべきだと思った。
・技術者サイドの意見が少なく、(軽く)感じた。反対がボジョレーだけ
・技術者としてどうするべきかを考えさせられた。エンドユーザを第一に考えられることが安全につながるのだと感じた。
・技術者としては、打ち上げるべきではないと判断することができるが経営者としては下請けの会社なので打ち上げる判断をしないといけないこともあると思った。
・技術者には立場というものがあって、打ち上げに同意をしたのだろうが、最終的には、自分に責任が回ってくるので、危険があったなら、何があっても中止すべきなのが技術者としての責任なのだと感じた。
・技術者の重大の過失により宇宙へ行く希望や乗組員の命を失う形になってしまい。プロの技術者でもこのようなことが発生してしまうことはとても残念に思えた。
・技術者の立場と認識を知ることができた。そこから解決手段を見いだせられるようになりたい。
・経営のことだけを考えて現場を無視した形になっているサイオコール社はNASAに対して最後まで0-リングの問題点について説明し反対すべきである。
・経営者の視点から見ると非常に難しい問題だと思った。技術者と経営者の間で板ばさみになった[技術担当副社長]ランドは難しい決断をしたが安全がすべてにおいて最優先されることを教えるべきだった。
・経営者は技術者の目線に立って判断を下すべきだ。利益よりも安全を重視すべき。
・[そもそも?]計画が甘かった。 [具体的にはどこが?]
・現場のエンジニアと経営者との考えの違いによって起こったように見える。
・個人の意見が通らない場合、どのようにすれば良いのか考えた。
・個人レベルでは打ち上げに反対と冷静で根拠ある意見を持っていても、組織になりその利害がからむと、利益になる、損をしない意見に移り変わってしまう怖さを感じた。
・最終的にMT社は打ち上げに全員一致で賛成してしまった。危険であることが技術者にはわかっていたのだから、上の圧力を押し切ってでも中止するべきだった。また親会社[←親会社というわけではありません]であるNASAの技術者として意識の薄さが前年のオーリングに関する問題への考え方から見ることができた。前回のF1レースの件と比較すると、こちらの場合のほうが[実施まで]時間に余裕があるように見える。また、背景からしても危険性の要素がF1レースの場合より多いため、この件について討論した場合は私は打ち上げに反対するな
・財政が厳しいのはわかるが人の命と比べるものではない。人の命がかかっているはのだから少しでも危険がなくなるように万全を期すべきだと思う。
・事故の映像はショックだった。4月まで発射が延期されるといっていたが、これは自分たちの利益中心に考えているからこういった発言をしたのかなと思った。人命>利益のはずなのに・・・
・事故の話だけを聞いていたらなぜ中止にしなかったかと思っていたが中止を反対したほうにもゴムが二重になっているという意見があったので難しい話と感じた
・自身[正しくは「自信」]があったこととはいえ、打ち上げを決定した人たちは失敗するとわかっていてGOサインを出したのかがぎもん[疑問]だった。
・自分だったら圧力に負けてカンタンに賛成していたと思う。上司や取引先とはよい関係を維時したいからだ。
・上からの圧力は確かに怖いと思う。でも、危険だとわかっているならそこで戦わなければこういった事故につながってしまう。防げることは防がなくてはいけないと思う。
・人の命がかかっわっているのでMT社全体として強く打ち上げに反対すべきたった。自分なら社会や国に批判されても、打ち上げ反対を主張する。どのみち[自分のこの]意見は通らないだろうけど・・・
・人の命が関係しているのでNASA側は、十分に教えたほうが良いと思った。
・人間痛い目見ないとわからないことがたくさんあるよね。
・責任のなすりつけあいや、上司の圧力が感じられてみていてつらいと感じた。
・責任を技術担当副社長だけに言及[この場合は「言及」ではありません。「押しつける」などです]するのは、おかしい。
・先週の[F1グランプリに関する]授業も[、もし]このビデオを見た後[だったら]違った意見ができそうだった。
・組織のポストという立場から打ち上げに賛成・反対するのは、個人の場合と違いはるかに難しいのかと思った。
・大きな問題は圧力? すべての弾をこめたロシアンルーレット(確実に発射されることがわかっていた)
・難しい内容ではあるが、それぞれの人物による価値感[正しくは「価値観」]の違いに関心がわく。
・発注したNASA側も設計について、よく知っておくべきだったのではないか。モートン・サイオコール社風がこのような事件を引き出したことにつながっている。
・立場から自由な発言ができないことが理由なのだと思う。安全性の過信という絶対に許されないことをした。
・話が大きすぎて最終判断はくだしかねると思う。NASAとエンジニアの板ばさみにあう副社長へ本当に責任を押し付けてしまってよいのか疑問が残る。又、なぜ0−リングの改善をしなかったのかも疑問である。


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

・90分は長くて大変だった。
・90分授業が厳しいので、5分程度の休けいがほしいです。
・90分授業は長い工大は何を考えているのか・・・。人間の集中力はそれほど長く持たない。 [以上、実は、大学の講義は通常90分なのです。ただし金沢工大の場合、これまで45〜60〜70分だったので、まだ90分に慣れていません。そこでしばらくはどこかで短い休憩を入れる等の配慮をしたいと思います。慣れてきたら90分にします]
・F1レースよりも問題点が多かった。前回の討論では開催よりの考え方を持ったが、チャレンジャーの件に関しては間違いなく中止の考えをもった。 [前回は仮想事例で、状況をわざとぼかしていましたからね]
・あたたかい [そうなんです。急に暖かくなりましたよね。まだ身体が慣れていないので、お互い、大変です]
・おつかれさまです。
・お疲れ様でした。 [以上、今日は主に講義だったので、皆さんも大変だったと思います]
・スペースシャトルはのりたくない [でも、チャンスがあれば時代の最先端を行く機体に乗ってみたいという気も......ありませんか?]
・チャレンジャー号が墜落した背景がわかってよかった。 [背景を知ると、いろいろな事情を抱えていたことがわかります]
・チャレンジャー号事故は「宇宙からの警告」により引き起こされた。 [?]
・どうすれば、組織で正しく、倫理的に活動できるだろうか。 [大変重要な指摘です。それをこの講義で考えようというわけです]
・ねむかった。 [複数。皆さんに疲れが溜まっているのと、急に暖かくなったので、今日は辛そうでしたね]
・ボジョレーさんがいいこといってるなと思った。アメリカ英語だったんですか? [アメリカ英語と言うより、我々が日常話す日本語のように、少しくだけた言い方でしたよね]
・ボジョレー氏の言葉は自己啓発に聞こえた。 [確かに、我が身を振り返ってしまいますよね]
・もっとビデオが見たい [すみません。このビデオの先はありません]
・休みの時間10分ほしいです。 [気持ちはわかりますが、それは長すぎます]
・休憩なしにしてください。毎週火曜日はすぐに帰らないといけないので・・・ [こちらも、別な意味で気持ちをわからないではないのですが、90分は本来の講義時間です]
・興味が持てる内容だった。 [ありがとうございます。次回、このビデオの意味を再度考えてみましょう]
・経営者と技術者では、考え方に違いがあると思った。 [そうなんです。それをまず認識した上でさらに、お互いの考え方も知る必要があるのです。ちゃんと通じる会話をするためには、ね]
・考える時間を増やしたい。 [ぜひぜひ]
・今日の倫理的問題は少し難しく理解がしづらい箇所がいくつかあった。 [お話しした通り、理論的でちょっと慣れない部分もありました。次回再度説明しますので、あまり焦らずに]
・今日は講義ノートを持ってこれた [毎回必ず持参しましょう]
・今日明日とあったかくなるみたいですね。後ろから見ていて、みんなとてもねむそうでした。 [そうなんです。急に暖かくなったし、お昼を食べた後だし......。でも学生の本分は勉強です(キッパリ)]
・事故の映像はあまり見たくなかった。 [気持ちはわからないではありません。でも現実を直視しなければならない時もありますよ。生きていると節目で出くわします]
・事故の詳細について初めて知った。 [事情を知ってから見ると、ずいぶん印象が違うのでは]
・[90分の]授業[は]長い。 [気持ちは、わかる。対応については上記(↑)ご参照]
・集中力をつけたい [偉い。一つの方法は、午後イチに講義がある場合は、お昼の量を少な目にすることですね]
・暑くなってくると集中力落ちます・・・。 [気持ちは、わかります。気がついたかどうか、かなり換気には気を使ったのです。冷房が入るまでちょっと調節が大変です]
・人命第一だと思った。 [それはその通り。ただし他の要素とのバランスも大切です]
・先生ってテレビゲームとかします?できれば好きなゲームを教えてほしいです。 [すみませんが、センセイはゲームをほぼまったくしません。悪しからず]
・先徒への心遣いがありがたい [ありがとうございます。でも皆さんは「生徒」ではなく「学生」です。その点は自覚するようにしましょう。ちなみに学校教育法に書かれています]
・中に少しで良いので休みがほしい。
・途中休憩はよい案だと思います。 [以上、気持ちはわかります。そのため講義でご説明したような対応方法にさせてください]
・板ばさみになる立場の仕事はつらいなーと感じた [確かに。でもこれからこの種の場面に必ず立ち会うことになりますよ。じゃぁその時どうすれば・・・・・・を考えることがこの講義の一つの目的なのです]
・部屋を暗くしたらねむくなった [気持ちは、わかる]
・妙に教室が暑かった。外の気温のせいか? [そうです。今日はかなり気温が上昇しました]
・立場をとるか、技術者としての責任を果たすか、どちらにしてもいい結果を生まないかもしれない状況に立たされるかもしれない点で、技術者は覚悟が必要だと感じた。 [そうですね。そして、できれば「どちらか」ではなく、それを乗り越える発想ができるようになってください。これからの講義の中で考えます]


西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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