平成24年10月9日更新
3VA1クラス
第2回:平成24年10月9日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
(続き)
・直面する可能性のある倫理的問題に関する具体例
・グループ討議と討議結果に対するコメント
・E-learningやグループ討議の事例分析課題(ソーラーブラインド、ギルベイン・ゴールド)に関する解説
・セブン・ステップ・ガイドの概説
・本学の教育目的と大学の質保証問題
・「倫理」とは何か(用語解説)
・倫理と法
・「科学技術」、「技術者」とは何か
・「科学技術者倫理」とは何か、その特殊性
・PCを用いた講義
・グループ討議
・討議結果の発表
・グループ討議の結果に関するレスポンスシートの作成
など
・提出:課題1(90分)
・復習:「アカデミック・インテグリティ」に関する文献の精読、第1〜2回で学んだことについての考察の深化(90分)
・予習:教科書の第2章、第3章、第4章、第5章、および第6章の精読(180分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.仮想事例「百万石F1グランプリ」を読んで、貴方/貴女個人としてはレースを開催すべきだと思いますか?
A.わざと「開催しますか?/しませんか?」と尋ねていますが、何とかその枠組みを越えようという意欲が回答に感じられます。講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます
1.開催するべき 22名(38.6%)
2.開催するべきではない 35名(61.4%)
1.開催するべき
・1000人以上の人が待っているから。大会の規模が大きい。
・F1に危険やトラブルはつきもの[だし、]ファンを待たせている。
・これ以上延期できない状態。これ以上延期したら中止するしかないかも。
・サーキット上を機械などで温めて安全を確保する。
・スポーツの大会はファンあっての大会なので2回連続中止はファン離れの元であるから開催する。
・スリップやスピンも見せもの。ドライバーはそこまで下手じゃない。氷はスタッフが溶かすのがあたり前。モータースポーツは雨でもするのが普通。
・レーサーに気を付けるよう注意をうながす。関係者への補償が大変だから。
・開祭[正しくは「開催」]する。
・危ない→ドライバーは命がけ。
・気温が上がりそうだから。
・気温が上がるのを待ち、開催する。
・客を楽しませるべき。
・経済的な損失が大きい。
・今回も中止したら暴動が起きるから。 [お話ししましたが、日本では暴動は起きないと思います]
・再延期では、[もう]人がほとんど来ないと思う。
・市の財政。多額の負債[が残る]。 [仰ることはわかるのですが、「市営」とは限定していません]
・選手やクルーはちゃんとしたコンディションで来ているだろうと思うから事故の可能性は低く、もし事故して[原文のママ。「事故を起こして」の意]も大丈夫だと思うのでクレームで損するより良い。確実に損するよりはやった方が良い。
・損失がイタい[原文のママ]から。
・天候や路面の状況は悪いが、ベストな状態を待っていては実施できない。事故は必ずしも起こるわけではないし、ドライバーも悪いコンディションでのレースも想定しているはず。前回の中止もあり観客やマスコミ、業者は実施するものと考えているはず。時間帯を少し遅らすなどで気候[この場合、「気候」(=「地域の長期間の天気」の意)は不適切]を調整することも可能だろうし開催する方法はある。
・万全の状態であっても、事故は起こってしまうもの。もしかしたら、事故は起こらないかもしれない。
・路面に氷が張っているのは恐いが、2度も延期されては観客側も実行側もいろいろ大変。時間を遅らせて実行してもいい。2.開催するべきではない
・F1レーサーの安全が第1で、事故が起こりそうなコースでレースをさせ[ら]れない[原文、いわゆる「ら抜き言葉」]から。
・この系[原文のママ]の事件での[=万一の事故発生時の]リスクは不時行[原文のママ。「開催しない時」の意?]リスクよりも大きい。
・[安全面での]リスクがあるので開催しない。
・レーサーの安全が第一だから。
・レースふたたび延期する。レーサーの生命[が大切]。
・安全に大会を行えるかを最優先と考える。[そもそも降雪が心配される北陸での開催]時期がおかしい。 [後半については、まったく仰る通り]
・安全を第一とし、それを優先して経済的損失がでてもかまわないと思う。
・安全性に足りない状態では行なえない。
・安全性を重視する。もし事故を起こしたら来年以降の開催があやぶまれる[危ぶまれる]ため。 [後半部分、こちらも別な意味でその通り]
・安全性重視。
・安全第一であり、予想の段階で判断するのははやい。また、時期を変えてやる[=開催する]べきであると思う。
・延期。
・危険があると解っているのに開催できない。
・危険が多いから。
・危険だから、クレームなどは何も恐くないから。
・危険を犯すより安全性をとる。
・最悪の事態を想定するから。
・最低限の安全がないと良くない。特に事故によっては命にもかかわるので安全だけはとる[=きちんと確保する]。
・事故がおきる可能性があり、命にかかわることが起きるかもしれない。
・事故が危険。
・事故が起きてけが人が出てからではおそいから。
・事故が起きるかもしれないし、そうすればレーサーだけでなくて観客の命も失われるかもしれないから。損害のお金より命が大事。
・事故が起こる可能性が高い。
・事故が発生して、人の命が失われるよりも、他の問題が発生した方がまだ良い。
・事故の問題。命にはかえられない。
・車どおしの接触による死亡事故の危険性が高いため。
・少しでも危険があれば中止すべき。
・人が死んでまでやる必要はないから。
・人命、安全が第一。
・選手の安全のため。
・多くの危険がよそう[予想]される。
・大事故が起こってしまうかもしれない。人の命の方が大切。
・目先のことしか見えず、いざ開催して事故が起きると更に大事(原文、ふりがな「おおごと」)になる。 [こちらも重要な指摘ですね]
・冷静に[原文、この部分はアンダーライン]考えればすべきでない。人命優先!
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・(前回の続き・・・)新潟の上越市(旧:板倉町)です。春に地すべりがあった所です。 [そうなんですか。上越地方はどこまでも「上越市」になってしまいましたからね。あの辺の地形はずいぶん複雑だと思います]
・1人で考えたときは命を優先して開催しないことにしたが、グループで話すとなぜか利益の方をとった。実際の社会でも組織にいれば周りに流され、冷静な考え方ができないかもしれないと思った。 [そうなんです。この点については次回ご説明します]
・F1やからがんばれた。 [好きなんでしょうねぇ]
・VA[建築学科]独特の雰囲気とはどのような雰囲気ですか? [信頼関係をベースにした独特の仲の良さがあります。ただしそれが裏目に出ると、自他に甘い、ということになりがちです。今回のケースで、個人とグループでは意見がずいぶん相違していましたが、集団思考的な弱点がちょっと出ていると思います]
・おもしろかった。 [複数。ありがとうございました。次回もぜひ頑張りましょう]
・この教室は[机と椅子が固定されているので]グループ討議に向いていないと思う。 [その通りなのですが、希望が常に叶うとは限りません]
・する、しない班ごとの考え方が異なっていておもしろかった。 [開催する/しない、そのものはあまり気にしなくてもいいのですが、そういう結論に至った理由と、その選択が引き起こす影響についてはずいぶん考え方が違っていましたよね]
・チームの話し合いで考え方や選択が大きく変えられる事が今回のグループ討議で思い知らされた。 [まったくその通り。上記もご参照ください]
・みんなの意見が多く出て、議論として良かった。 [そうですね。ずいぶん頑張ったと思います]
・レースを開催するか、しないかの決定に時間がかかった。一度このような問題を出され、考えることで、今後このような事態に早急に対応できるのではないかと思い、経験することは大切だと感じた。 [その通りですが、講義全体を通して考えますので、あまり焦らずにいきましょう]
・一人で考えるのと、グループで考えるのとで意見が変化しておもしろかった。 [そうでしたね。ただしこの点についてはこのクラスの「弱点」が反映されていると思います。次回以降にご説明します]
・楽しい講義でした。
・楽しかったです。 [以上、もちろん「知的に」ですよね。お互い、次回も頑張りましょう]
・決断するのは難しい。
・結局、するかしないか迷いました。 [以上、気持ちはわかります。でも人生は決断(+反省してやり直し)の繰り返しですよ]
・言っていることはわかる! しかし・・・ [センセイの口癖ですね。“Yss, but...”です]
・考えさせられました。 [いろいろ深く考えたんでしょうねぇ]
・腰が痛い。 [どうしたのかな?]
・今日はおもしろい議題でした。 [ありがとうございます。次回以降もご期待を裏切らないように頑張ります]
・最後の写真の雲がサギみたい・・・ [なるほど]
・視野を広げ[ら]れた[原文、いわゆる「ら抜き言葉」]。 [ありがとうございます。この点は、講義全体を通して考えます]
・社会に出て経験しそうなことだった。 [まったくその通りですね]
・手を上げる人数がかわっておどろいた。 [そうなんです。この点については次回ご説明します]
・色々な意見が聞けた。
・色々な意見に、色々な理由、考慮すべき事柄が出てきて面白かった。
・色々考えさせられた。
・深く考えさせられた。
・人によって違う考え方、面白い意見が出て、チーム内で有意義な話し合いになった。 [以上、広がりという面でも、深さという面でもずいぶん興味深い回答がありましたよね]
・正解がない問題を解決しようとしたら難しいが最善の策があるということを知った。 [最善かどうかは別として、唯一絶対の解はないものの「より良い対処」とか「絶対にやってはいけないこと」はありますよね。この点については講義全体を通して考えましょう]
・生のサーキットを見てみたい。 [そうですね。センセイも見てみたいです]
・大好きなF1についての授業ではおもしろかった。 [お好きなんでしょうねぇ。行間から伝わってきます]
・長い期間で見ると、大きな損失が出る。その点で意見が変わった。
・長期的にとらえて、先のことも考える必要がある。 [以上、数人の方がこの点を鋭く指摘されましたよね。たいしたものです]
・答えがないって難しい。
・答えのないことであっても、深く考えるととても難しく感じた。 [「ない」といっても「唯一絶対の答がない」ということで、「より良い答」は存在します。この講義全体を通じて考えましょう]
・討論の重要性がわかってよかった。 [一人で考えている時よりグループで議論すると、そしてクラス全体で討議すると見落としていた点がたくさんあることを思い知らされますよね]
・命の価値は人によって違う。 [たぶん「評価する人によって違う」という意味だと思いますが、確かに難しいですね]
・様々な可能性、選択があることを考えさせられた。 [今日はお互いに教え合いっこ、という感じでしたね]
・倫理って難しい! [確かにそうかもしれません。あまり焦らずに行きましょう]
・話し合いがしっかりできたのでよかった。
・話し合いが楽しかった。 [以上、有意義な議論となったようで何よりです。次回以降も頑張ります]
西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。