平成24年10月15日更新

3EI1クラス
第3回:平成24年10月15日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

※スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故を題材に、倫理的考察や意思決定に必要な概念や用語などの解説を行う 
・チャレンジャー号爆発事故に関する解説
・技術者と価値(特に、安全)
・リスクに関する概説
・対立する価値と倫理問題
・ステークホルダーと価値
・技術者の直面し得る倫理問題とその種類(ジレンマ問題、線引き問題など)
・倫理問題と設計問題のアナロジー
・倫理思想の特徴と代表的倫理学理論
・倫理的意思決定の方法(概論):エシックス・テストおよびセブン・ステップ・ガイド
・なぜ、科学技術者倫理が求められているのか@(メタ、マクロ、メゾ、ミクロの観点から)
・科学技術の歴史とエンジニアリングの特質
・近代科学技術と倫理思想
・技術者はなぜ特別の責任を負うのか
・技術者が共有すべき価値と倫理綱領(概説)

授業の運営方法

・PCを用いた講義
・チャレンジャー号爆発事故に関するビデオの視聴
・関連する視聴覚教材の視聴
・演習
など

学習課題 予習・復習

・予習:教科書の第4章、第5章、第6章および第7章の精読(120分)
・復習:課題2(Agora上でチャレンジャー号事故について、倫理的問題構造およびステークホルダーなどの事実関係の分析)(180分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)

Q.スペースシャトルチャレンジャー号事故に関するビデオをご覧いただいて、個人で最初に感じたことは?
A.解説前の感想であることにご留意ください。講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます。

[仰ることは良くわかるのですが、ぜひここに書かれたご自分の感想、主張と、先週の自分自身のF1サーキットへの反応を比べながらお読み下さい]

・MT社の決断はしかたないことだと思う。
・NASAが[広い視野から物事を考えることができない狭い意味での]経営者でしかなかったことが問題。
・NASAには、どうしようもない理由があり、仕方が無かったのではないか。
・NASAにもMT社にも過ちがあった。技術者主任[=モートン・サイオコール社の技術担当副社長、ないしは社長]はOKを出すべきではなかった。
・NASAの安全への認識が甘かったのではないかと思った。
・いろいろな責任が重なると、冷静な判断はできなくなるのだと思った。 [追い込まれて周囲が見えなくなるんですね]
・この爆発事故は起こるべくして起きた事故だと感じた。
・スペースシャトルを打ち上げを延期しても責められ打ち上げを失敗しても責められる人はたいへんだと思った。
・すべてのきかい[機械]にぜったい[絶対]はない。
・ぜったい[絶対]に危険だとわかっていても上の指示に従わないといけないと思うと大変。 [この件はこれからの講義の中で考えましょう]
・その場の損得ではなく、先を見越した安全性を考慮すべきであった。
・それぞれが自分の保身ばかりで危険性を深く考えなかったことがまちがい[間違い]だったと感じた。
・チャレンジャー号の打ち上げでは悲劇や惨劇という言葉では表せないほどむごい事故(事件)だったと思う。お金を第一に考えた経営は必ずどこかで失敗すると思う。
・パイロットがかわいそうである。ロケットの安全性を信じているのに・・・。MT社がパイロットを殺しているようなものである。
・ひどい事件だと思った。
・ボジョレーさんは、技術者の立場として打ち上げは危険だと警告していたのに、このような事故がおこってしまうのは悲しいことだと思いました。
・ボブ・ランド氏は打ち上げにYes or Noで応えても嫌な経験をするだろうと思った。
・モートン・サイオコール社の判断がしかたのないことだとしてもOKをだすべきではなかったと思う。
・もし自分が経営者であればロケットの使用のキョカ[許可]の判断はできない。
・もっと主張して上の人間を説得すべき。上の人間は下の人間のことをもっと聞くべき。
・ランドさんは上から圧力かけられて意見を変えさせられた様に思える。私情では最後まで反対でも会社の責任者の立場だと意見を変えざるを得ないのがえげつない。
・安全というものはとても難しいものだと思った。
・安全を維持するのは難しいことだと思いました。
・安全を第一に考えるべきだった。
・安全性を後回しにすると大変なことになる。
・下請けにかかる圧力はとても大きく反対できる立場ではなくなってしまったことは、技術者としてもとても心苦しかったと思う。
・下請けの技術者がどんなに異議を申し出しても縦社会が邪魔をし、受けいれられず、事故が起きた。考え直すべきことである。 [アメリカではこのような場合、かなり率直に意見を述べます。それでも、この結果なんですね。「調和」を過度に重視する日本だったらどうでしょう]
・危検[正しくは「危険」]だと思っているのなら自分の意思を曲げず反対の意思をつらぬくことが必要だと思った。
・危険を回避する為に開く安全投票会議が利益や都合の為にその機能を止められていたというのが奇妙で、同時に恐ろしく感じた。
・技術者とはもっと話し合うべきだった。
・技術者と経営者との考え方、意見の違いが事故を引き起こすんだなと思った。
・技術者の意見をもっと聞いておくべき。
・技術者は安全が確保されなければ行動してはいけない。
・技術者は危険があるとわかったら、確実に止めなければいけない立場だと思った。
・技術者出身、もしくは技術についての知識がある人以外が決定権を持ってもロクな事にならないのか。
・技術的問題がある場合は、原因を追及して改善まで行わなければいけないと考えさせられる良い例だと感じた。
・技術部門の責任者は会社の経営とは関係なく主張し続けるべきだった。
・経営[上の問題]がかかった状態で自分も同じ選択をせまられたら打ち上げに賛成したかもしれない。
・結果的に事故が起こり、最悪の事態になってしまったが、もし発射しなかったら、それはそれで批判されていた。
・今回のチャレンジャー爆発事故は意思決定の時点で防ぐ事ができただけに残念な事故だと思う。
・事故が起きてからの結果であって予定どおりあげるプレッシャーは大きかったと思う。
・事故が起きる可能性が高い状況では正しい判断をしなければならない。
・自分がボブ・ランドなら同じ結定[正しくは「決定」]したと思う。
・上から圧力がかかっても、間違っていると感じることへの意見を曲げてはいけないと感じた。
・上席副社長が発射を決定したのは、やはり上からの組織のプレッシャーがあったからかもしれない。
・人の命がかかった計画では、より慎重に議論しなければならないと思った。
・政治の力(国益)は大きいと感じた。
・正しい判断ができていれば、ふせげるはずの事故であったと思う。
・前回の打ち上げで成功していたとしても、大丈夫だとは断言できない「0-リング」の2重構造を過信していた点がある。人の命を乗せているわけだから、安全を重視して打ち上げをするべきであった。
・前年度にOリングの欠点が分かっていたのならこうなるのは分かっていたはずだし、確実に発射されるロシアンルーレットというのも無理はないと思った。
・多くの人が関わってくる問題ほど、いざという時の判断が難しくなるように感じる。特に政治等の国家規模のものは、様々な力が働き、倫理感[正しくは「倫理観」]もそれぞれであり、本当に大切なことはかすんでしまう時もある。しかし、そんな時だからこそ、人の命を尊ぶ判断を第一とすべきであると考える。→打ち上げるべきではなかった。
・打ち上げはやめておくべきでした。打ち上げるにしろ、そうでないにしろ損害は大きなものでNASAもMTも誤った判断をしたと思う。
・打ち上げ出来ない理由をアメリカ政府に知らせるなど、どんな事をしてでも打ち上げを止めるべきだった。 [興味深い反応です。じゃ、具体的にはどうしましょう......ということをこれからの講義で考えます]
・誰もが責任を負いたくなくそのために起こってしまった事故であった。
・難しい問題だと再度感じた。
・二重構造の安全性、ロケットの設計を詳しく確認するべきだった。
・反対しつづけるべきだった。
・防げる事故を防げなかったのは残念だと思う。
・問題点があるのに打ち上げを強行するという姿勢は良くない。
・利益や会社のためというのもわかるが人の命がかかっているので、もっと慎重にして欲しかった。
・利益を上げるために人の命を危険にさらしてはいけないと思った。
・冷静な判断の重要性を感じた。


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

・1つのソフトのために3DSを買ってしまった。本体のレンタルがあれば良いなあ・・・。 [ゲーム機ですね。好きなんでしょうねぇ]
・iPS細胞で上がった日本の価値を森口氏と事実確認せず記事にした読売新聞の記者が下げた。 [韓国で似たような大問題が発生したのですが、日本も偉そうなことは言えなくなってしまいましたね。ご本人は自分が何をしてしまったのかは良くわかっていないと思います]
・SRBで別のことを考えてしまいました。Star Right Breaker・・・。 [何のことが分からなかったので調べてみたら、「魔法少女リリカルなのは」に登場するもののようですね。ただしスペルは“Starlight Breaker”ですが]
・アゴラよくわかんない。 [とにかくひとまずやってみましょう。それからです]
・いい天気。 [そうですね。時々ひどい雨になります──帰宅を数時間遅らせたこともありました──が、全般的には良い天気が続いていますよね]
・コントラスト。 [???]
・ジレンマ[問題]は難しい。 [その対処方法については次回以降の講義の中で]
・スライド[の切り替えが]はやいです・・・。
・スライドが変わるのが早かった。 [以上、確かにそうだったかもしれません。今日、講義をしていて気づいたのですが、スライドが替わるたびに全ての情報をノートに書き込もうとしていた方が複数いらっしゃいました。決してそのようなつもりでスライドを作成しているわけではありません。この件については次回の講義で説明します]
・ちょっとした余談がいい! [ありがとうございます。ただし講義と無縁の雑談は絶対にしていない──少なくともそのつもり──です]
・ネット接続の調子が悪い・・・。 [う〜ん、そういう時ってありますよね。イライラしがちですが、できればあまり焦らずに]
・ねむいですー。
・ねむたかった。 [以上、課題か何かでそんな感じでしたね。それもあって、早めに講義を切り上げました。集中力が続いていなかったので]
・ボジョレードンマイ。 [彼の名誉のために申し添えると、事故後、彼は可能な限りの対処をしています]
・みかづきのシーフードカレーイタリアンは復刻版商品で、普通盛りは390円大盛は460円です。カレーイタリアンより少し辛く、エビやイカが入っています。 [なるほど。特定の条件でしか食べられないんですね]
・もう少しで工大祭ですね! [そうですね。センセイも楽しみにしています]
・ロケットの設計っていい加減なんですね。 [「いい加減」かどうかはともかく、意外と古く、古典的な設計製造方法の方が信頼性が高かったりするんだそうです。最新のアメリカの民間宇宙船もその技術を使っています]
・一般人は政治家のおもちゃ。 [う〜ん、確かにそういう面があるかもしれません。でもそれは、主権在民の原則に反しますよね]
・下請けや元請けなどへの話を聞くと、昨年の東北大震災での東電を思い出す。 [まったくその通り。でも、東京電力も「国策」で動いていたのです。もちろん「だから東電に責任なし」というつもりはありませんが]
・何かをこつこつ続けるために先生が工夫してることってありますか。それは何ですか。 [まず第一に、センセイはまず貴方/貴女がお考えのような人間ではありません(キッパリ)。でもそんなセンセイであっても、たとえばこの講義の記録はちゃんと残しています。どうするかというと、「無理をせず習慣化する」ということではないかと思います。たいていの人は起床すると顔を洗うのですが、誰も無理強いはしていませんよね。もし「無理だ」と思ったら止めてしまえばいいんです。「ご縁がなかった」ということでしょうから]
・何とも言えない気分になった。 [ビデオの内容ですね。まったく何度見てもその通りです]
・技術者が優秀でも、上に立つ人間が聞き入れなければ意味がない。 [その通りですが、技術者はもっとやりようがあっただろうし、貴方/貴女もやがてその「上に立つ人間」になるのですよ。場所や立場はともかく]
・技術者とは、実はすごく難しい立場にある。
・技術者は大変だと実感できた。 [以上、まったくその通りです。でも講義の中でご説明したように、渋いけれどもそれだけやり甲斐のある仕事なのです。ホントに]
・工大祭までもうすこし・・・。 [そうですね。センセイも立場上いろいろ関係しているので、とても楽しみしています]
・考えさせられる問題だった。
・考えるべき問題だった。 [以上、その通りですね。でも「そもそも何が問題なのか」「それでは何をどうすれば...」については、これからの講義の中でいっしょに考えましょう]
・今週は課題が大変です。 [なるほど。皆さんずいぶんお疲れ、という感じだったのですが、そういう理由だったのですね]
・今日も1日お疲れさまでした。 [そちらこそ]
・今日も難しい問題だった。 [確かに。でも難しい問題であればあるほど、あまり焦らずに着実に進みましょう。もちろんこの講義を通して、ですよ]
・耳鼻科紹介していただきありがとうございます。 [いえいえどういたしまして。ちなみに先生はセンセイより年下です]
・自らの利益の為だけに動く人は信頼を得られないと思う。 [短期的にはともかく、長い目で考えるとまったくその通りですよね]
・自分も巻高校卒です。実家は、元は西蒲原群[正しくは「西蒲原郡」]で合併で新潟市になりました。 [よろしければ、ですが、西蒲原のどちらでしょう。家人は潟東村の出身です]
・授業数を重ねていく毎に技術者の倫理的な考え方の大切さが理解できると同時に自分の中で充実した考察ができるようになってきた。 [ありがとうございます〜(涙)]
・女の子同士がイチャイチャしてるのは最高だと思いませんか? [どうかなぁー。ちなみ欧米人の感覚だと、そのような状況は妙に勘ぐられると思います]
・上司に従わないといけないのが大変。 [この問題についてはこれからの講義で考えましょう]
・昔のNASAとかMTのエラい人、クズだなぁ。 [こちらも]
・先生はパチンコに興味はおありでしょうか? [いえ。わが家の家系は、賭け事系はダメです]
・早く終わってうれしかった。 [やることはちゃんとやったんだから、問題ありません]
・妥協こそあれ最善が無い、判断の難しいケースだと思う。 [その通り。でもこれが現実の社会ですよ。それではどうすれば.....については、これからの講義で一緒に考えましょう。皆さんに期待していますよ]
・体が怠いです。 [「怠(だる)い」なんて良くご存じでしたね。それはともかく、大丈夫ですか。授業中に具合が悪くなった時は、目で合図してトイレないしは診療所へ]
・体調わるい。 [こちらも]
・難しい問題だと思った。
・判断が難しい。 [以上、ビデオの内容ですね。「では、どうすればよいのか」については、これからの講義で一緒に考えましょう]
・風邪で体調がすぐれ[「優れ」]ませんでした。
・風邪をひいた。 [以上、疲れがたまっているんだと思います。工大祭の期間を利用してゆっくり休息してください(センセイは担当なので工大祭も仕事ですが)]
・麻雀がしたい。 [好きなんだろうなぁー。センセイは勘所がなくて、ルールを覚えられません。「トンナンシャーペー」は知っていますが]
・倫理的問題は難しいと再認識した。 [その通り。でもいずれ皆さんが直面する問題です。これからの講義の中で一緒に考えましょう]


西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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