平成25年3月23日更新
3IS1クラス
第3回:平成25年4月23日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
※スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故を題材に、倫理的考察や意思決定に必要な概念や用語などの解説を行う
・チャレンジャー号爆発事故に関する解説
・技術者と価値(特に、安全)
・リスクに関する概説
・対立する価値と倫理問題
・ステークホルダーと価値
・技術者の直面し得る倫理問題とその種類(ジレンマ問題、線引き問題など)
・倫理問題と設計問題のアナロジー
・倫理思想の特徴と代表的倫理学理論
・倫理的意思決定の方法(概論):エシックス・テストおよびセブン・ステップ・ガイド
・なぜ、科学技術者倫理が求められているのか@(メタ、マクロ、メゾ、ミクロの観点から)
・科学技術の歴史とエンジニアリングの特質
・近代科学技術と倫理思想
・技術者はなぜ特別の責任を負うのか
・技術者が共有すべき価値と倫理綱領(概説)
・PCを用いた講義
・チャレンジャー号爆発事故に関するビデオの視聴
・関連する視聴覚教材の視聴
・演習
など
・予習:教科書の第4章、第5章、第6章および第7章の精読(120分)
・復習:課題2(Agora上でチャレンジャー号事故について、倫理的問題構造およびステークホルダーなどの事実関係の分析)(180分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.スペースシャトルチャレンジャー号事故に関するビデオをご覧いただいて、個人で最初に感じたことは?
A.解説前の感想であることにご留意ください。講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます。
・「エンジニアの帽子を脱いで、経営者にまわったらどうだ」が印象的であり、決断に追いうち[打ち]をかける言葉だと思った。
・MS社[正しくは「MT社」]は技術者として打ち上げは危険だと判断したのに技術者から経営者としての目線に変えてしまったことで誤った判断をしてしまった。
・MT社だけでなく、NASAもデータを収集し、過去の失敗事例に基づいた判断をするべきだったと思う。
・MT社の立場で、NASAにプレッシャーをかけられたら同意するのもしかたがないと思った。
・NASAがサイオコール社に圧力をかけて賛成にさせているように思えた。
・NASAはもう少し考えて判断をくだすべきだった。結果的に事故につながり批判を浴びることになったのである。
・あんな最悪のコンディションで飛ばすということは[、]改めて究極の選択だと思った。
・エンジニアと経営者の考え方の差を痛感した。 [立場が変わると見え方が全然違いますよね]
・オーリングに問題があると言われていたのにNASAは、それを何とも思わなかったのは良くないと思う。
・ただでさえ危険な打ち上げであるのにブースターを使い捨てでなく再利用可能にしたのは、正しくはなかったのではないかと考える。 [確かに。一般論ですが、その後は使い捨てロケットに戻ります]
・データの核心がないと反対できない状況になっている。 [この件は次回補足します]
・ロケット打ち上げの事故だととても深酷[正しくは「深刻」]な気がする。
・安全より利益を優先した結果事故が起きたので安全第一は大切なことだと思った。
・以前打ち上げたときの温度よりもかなり低く、危険性が高かったのに、打ち上げを無理に行ったことは、愚かに感じる。
・会社の利益も大事であるが、安全を重視する方が後々の会社のことも考えると利益につながると思う。 [この意見も、次回補足します]
・企業の利益だけで人命を左右する決断をしてはいけないと分かった。
・危険と分かっていて打ち上げた責任者の考えがおかしいと思う。
・危険性があるのは、ずっと前から分かっていたはずなのに、なぜ打ち上げを許可してしまったのか分からない。
・危険性が高いときは打ち上げない方がよいと思った。遅れたとしても安全を大事にした方がよい。
・危険性が高かったので打ち上げなければよかったと思った。
・技術者が影響したことが、NASAには、通らず結果事故がおこった。間違っていることが、必ず意見が通るわけではなく周りにながされてしまうことが不思議に思った。
・技術者側の意見は打ち上げ反対ということだったが、経営者側は、会社の経営を考えると賛成ということで、経営側は、技術者の言葉をもっと聞くべきだったと思う。NASAは、SRBを開発しているわけでないのだから、MT社の技術者の言葉を聞くべきだったと思う。
・経営のことも大事だがそれよりも人命の方が大事ということを忘れてはいけない。
・経営上仕方なかったと思うけれど、自分の意見を曲げることは、悔しいだろうと思った。
・元請け会社であるNASAは自社の利益を優先し下請け会社のモートン・サイオコール社に圧力をかけてスペース・シャトル発射を実行したのが間違い。
・今回の事故が他人事と思わず、自分の身の周りでも同じようなことがあるであろうと考えていかなければならないっと思った。
・今回の打ち上げができなかったら4月になってしたうという理由で打ち上げが失敗してしまう可能性があったのに行ったことは責任者として良くない判断だと感じた。
・最悪の事態を予測した決断をしなければならない大きなリスクをともなうことならなおさらである。
・私がロジャー[・ボジョレー氏]だったら、打ち上げは反対と強く言えるが、MTの幹部クラスだったら、打ち上げ延期の責任を負うのが嫌で賛成とするかもしれない。幹部クラスも技術に関して知識を持つべきだった。
・事故がおこる[起こる]確率が高いのに、失敗が起こるということが分かっていたのにスペースシャトルを打ち上げたがどうしてそこまでリスクを負ってまで打ち上げをしなければならなかったのか?
・事故が起こってしまってからではもう遅いと思った。NASAもサイコオール社も会社のことしか考えず、自社が良ければいいという考え方にも見えたが、個人個人ではまったくちがう[違う]ことも分かった。
・事故が起こることがわかっていたのにプレッシャーに負けて最悪の結果になってしまったのでNOというのは重要なことだと思った。
・事故に関わって生き残っている人たちは一生後悔するんやろうなと強く思った。
・事故の映像を見て、事故のすさまじさに驚き、ショックを受けた。上下の立場や資金の問題が無ければ防げたかもしれないが、問題が無くなるのは難しいと思う。
・自分たちの出す製品には責任を持たなくてはならないと考えさせられた。
・失敗する可能性が高かったにも関わらず行ったことはあまりに無望[正しくは「無謀」]なことだ。[その]結果死人が出て最悪な結果となった。
・少しでも危険性があることはしてはいけないと思った。人の命がかかっているのでもっと気を付かないといけない。
・上からのプレッシャーがあると、本来していた(できていた)判断ができなくなってしまうのは良くないと感じた。正しい判断はどうやったら通るもしくは考え、行うことができるのか。リスク管理をするべきだと思う。
・人の上に立つ人間の人間性で物事は大きく変わってしまう。
・責任をおしつけ[押しつけ]られたボジョレーさんはかわいそうだった。ボジョレーさんも事故の被害者の一人だと思う。
・前の授業までは、リスクを無視して、経営を優先すべきだと思っていたが、今回のビデオで考えが変わった。
・前回の授業内容とかぶっていて、チームとして中止ではなく開催を選んだが、今回のように最悪のケースを考えると中止を選べば良かったと思った。また必ず成功する保障[正しくは「保証」]がなければ簡単に賛同してはいけないと思った。 [「かぶっている」のは当然で、この事故をアレンジしたものですから]
・打ち上げに関係した人全員が、多方面から圧力を受けていた。感じたのは、「決めさせられた」というイメージが強い事である。
・大きな技術には大きな責任がつきまとう。技術者は周囲の環境に影響されやすい。失敗する可能性が1つでもあるのならば、行うべきではなかった。
・大きな組織からの圧力は、大きいものであると思った。現場の声が最も重要であると感じた。
・低気温で飛ばすと問題が起こるのに、打ち上げを止めることができずに悔しかったと思う。
・本来ならば未然に防げたものが、このように事故になってしまったことが許せない。会社の利害関係のために亡って[正しくは「亡くなって」]いい命はないと思う。
・目先の利益を追求しすぎると思わぬしっぺがえしをかえされると思った。
・利益を求めるばかりに安全性が確立されないまま、打ち上げしてしまったことが問題である。安全を第一に考えて打ち上げを決定するべきだった。
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
[視聴したビデオに関係して]
・なるほどなと思った。 [実際の事件を、しかも映像で見ると良くわかりますよね]
・ロケットの映像は考えさせられるものだった。 [確かに、いろいろな意味で]
・圧力は怖いと思った。 [その通りなのですが、「じゃぁ、どうするのか」こそが課題なのです。これからの講義で考えましょう]
・利害関係が分かった。 [この件に関しては次回理論的にご説明します][今日の一言]
・GW楽しみ。 [学生時代最後のGWかもしれません(来年は就職活動なので)。どうするにせよ、有意義に使ってください]
・広い視野で考えることが大事。 [最後の話を含めて、まったくその通りですね]
・今日の授業はおもしろかったですが、ディスカッションが無く、有ったところで、無益だと思うと少し、悲しかったです。 [実は、以前はこの事件を議論していただいたのです。でも毎回ディスカッションというわけには行かないので。お気持ちはわかるつもりです。何とかして改善したいと思います]
・最後の話はおもしろかった。 [ありがとうございます。言われてみると、その通りでしょ?]
・集中力は大切。 [学期始まりのダッシュで疲れたのか、今日はちょっと集中力が不足気味でしたね。連休を使ってリフレッシュし、次回はきちんと講義に臨みましょう]
・人は誰かを責めることでしか問題解決できないのだろうか。 [気持ちはわからないではないのですが、それは違うんじゃないかな。これからの講義の中でご説明します]
・先生の話はよくわかった。 [ありがとうございます。直接には最後の話を指してでしょうか]
・先生の話は深い話ばかりでした。 [ありがとうございます。ただし決して「ばかり」ではありませんが]
・面接で使えそう。 [最後の話でしょうか。使えるネタはどうぞご自由にご使用ください。拡散大オッケーです]
西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。