平成25年10月3日更新(10月4日再更新)

3EA1クラス
第2回:平成25年10月3日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

(続き)
・直面する可能性のある倫理的問題に関する具体例
・グループ討議と討議結果に対するコメント
・E-learningやグループ討議の事例分析課題(ソーラーブラインド、ギルベイン・ゴールド)に関する解説
・セブン・ステップ・ガイドの概説
・本学の教育目的と大学の質保証問題
・「倫理」とは何か(用語解説)
・倫理と法
・「科学技術」、「技術者」とは何か
・「科学技術者倫理」とは何か、その特殊性

授業の運営方法

・PCを用いた講義
・グループ討議
・討議結果の発表
・グループ討議の結果に関するレスポンスシートの作成
など

学習課題 予習・復習

・提出:課題1(90分)
・復習:「アカデミック・インテグリティ」に関する文献の精読、第1〜2回で学んだことについての考察の深化(90分)
・予習:教科書の第2章、第3章、第4章、第5章、および第6章の精読(180分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)

Q.仮想事例「百万石F1グランプリ」を読んで、貴方/貴女個人としてはレースを開催すべきだと思いますか?
A.わざと「開催しますか?/しませんか?」と尋ねていますが、何とかその枠組みを越えようという意欲が回答に感じられます。講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます

1.開催するべき

13名(20.3%)

2.開催するべきではない

39名(60.9%)

3.その他

11名(17.2%)

4.無回答

1名( 1.6 %)

1.開催するべき

[以下、単純開催ではなく、大半が路面整備など条件付開催であることにご注意ください。実質的には「3」がほとんどです]

・しかし、開催時間を送らせるよう調整する。
・[ただし]できるだけ安全の対策をしてから開催する。
・一度延期してまた同じようなことがあれば信用も[失うだろう]、今後の開催もどうなるかわからない。
・既に1回延期しているので実行不可能な状態以外ではするべき(台風・地震等)
・気温10度以上で開催する。
・現時点で雨もなく、天気も良くなると考えられるので行うべき選手やクルーもやる気なのでやるべき、様々な意見を聞き自分の意見とくみあわせる[組み合わせる]ことができた。
・実施はする。その際は、スタッフや観客などに当日のコンディションや注意事項などを詳しく説明し、コースの整備など通常以上に気を使ってやる。事前に中止の際の補償金などを全額ではなく金額を決めておくなどの対策をとる。
・小松さんが話をぼかしたのは、だいじょうぶだという意味だったのではないか。 [そうもしれませんが、逆に、そうじゃない可能性もありますよね]
・[ただし、安全確認など]条件付きでおこなう。
・大会の準備はととのって[整って]いるのだからやるしかない。
・地面に塩化ナトリウムをまく[撒く]。タイヤがあたたまる[温まる]までレースを開始しない。
・中止すると金がかかる。 [その通りなのですが、逆に、大事故になると弁償どころではなくなってしまいます]
・氷さえ溶かせばできるという印象を受けたため。

2.開催するべきではない

[以下、それでは逆に、「いつになったら開催できるんだ!!」ということになりますよね。この点については次回のビデオでも問題になります]

・いくらF1でも安全性を確保できなければ中止せざるを得ないと思う。
・クルーや人の命が最優先である。
・クレームよりも、安全第一の方針で行くべき。事故の発生が考えられる状態でケガ人が出るより、はじめから開催しない方が誰もケガをしない。
・スリップによる事故が起きる可能性がある。暖かい時期に延期する。
・もし、開催して、事故が起きて死人が出たりすると問題になる。
・やって事故が起きればお金の問題だけでなく、信用なども大きく失うため延期にしたほうがよい。
・レーサー及び車体への危険性、次回のレースへの考慮から、開催しない。
・悪条件でやってもいいパフォーマンスができない。
・安全が最優先である。関係者やお客さんに謝罪する。
・安全が保障[正しくは「保証」]されていない。野球が雷で中止するのと同じ。
・安全のため。
・安全性を優先する。開催してもスリップに注意をそがれて迫力の無いレースになると思うから。
・安全面が第一であるから。
・安全面に問題があり、事故が起きないとは補償[正しくは「保証」]できないから。
・安全面もそうだが、経済的に利益が見込めない。暖かければ外で弁当を食べて売れるが寒い中ではそういう考えにはいたらない[至らない]のもそうである。
・何よりも命が大事!!
・危険な状態では行うべきではない。そもそもこんな[凍結しやすいなど悪い条件の]場所で行うべきではないとも思う。
・気温が下がっていることによる事故が考えられる。
・最も優先すべき事は安全であり、安全と確証できていない状況では開催すべきではない。
・最高気温が10度ということは[、車を]走らせていれば[車体は?]確実に10度以下になる。
・最高気温が10度前後と低すぎる。
・最高気温は10度前後ということで必ずしも10度超えるとは限らないので、レーサーの安全の為レースをやらない。また、そんな中でレースを起こして事故になると責任がとわれ[問われ]る。
・事故、死者の発生を防ぐため。
・事故が起きてからでは遅い。事故が起きたときの損害を考えると、中止すべきと考える。
・事故が起きる可能性が高いから。
・事故が起こる可能性があり、仮に事故が起こった場合は次のレースにも影響することがあるから。どちらの場合も不利益だがこれは「倫理」の問題。 [なるほど]
・事故が起こる可能性があるため。もし、万が一大きな事故が発生したら次回からも開催されない場合があり、それが一番ファンにとって辛いことだと思うため。 [確かにその通りですね]
・事故が怖いので中止にすべき。
・事故のリスクが大きいから。
・事故の発生要因となるものがあることが分かっているのでやめた方がよい。
・事故をおこすリスクが高いため。
・事故を起こしてしまう訳には、いかないから。
・事故を起こして選手や観客が死傷すれば大変だから。
・重大事故の可能性が高い。
・小松氏が、「スリップやスピンは他の要因によっても起こりうることだ」と言っているので、路面が乾いていても事故の可能性はある。氷が張っているのですぐに中止にすべき。人の命は金と比べてはいけないと思う。 [最後の点は、後日、講義の中で取り上げます]
・走らせた上で事故を起こしたら、そちらの方が被害額が大きい。ドライでも滑る。
・大会実行委員長である限り、考えられる危険は回避するべき、今回の事例から安全性を考慮すると大会中止の判断が望ましい。
・氷、気温等で安全が保証されていない。
・路面が濡れているため事故が起きる可能性がある。

3.その他

・「1」かもしれませんが...クレーム覚悟でスタートを遅らせて路上の氷の溶けるのを待つ。その他対策も考えられるのでは? 溶けなければ「2」
・「2」事故のリスクをおかしてまで開催はできないが、「3」レーサーの意見を聞いて大丈夫だと言われればやりたい。
・Bチームがコースを何週が走り大丈夫であったら、レースを開催する。途中でスリップしたら中止。
・各チームのクルーにも意見をあおぐ[仰ぐ]。基本的には中止したいが、開催できると思えるだけの意見が出れば開催する。
・危険を犯すのは、選手なので、選手の意見にゆだねる[委ねる]。
・午前中にウォーミングアップとして走らせて、氷が原因などでコースアウトやスピンしなければ午後開始する。
・時間を変更し、午後13時など、日中最高気温の時間帯に実施する。
・条件付で開催する。ex.時間を遅くして始めるなど・・・
・状況しだいである。(レース開始時に気温が10度以上で路面の氷がとけて[溶けて/融けて]いたらやる)
・大事故(最悪・死亡事故)になるかもしれない。責任を問われるのは、観客、スタッフ、アルバイトでなく実行委員長が問われる。雨天時のプランも考えるべき。レースが出来ない代用として別のイベント(レーサーとふれあう)レーシングカー展示。 [大変具体的に考えていらっしゃる点は、高く評価できると思います]
・路面の氷を取り除くことができるのなら、開催する。


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

[グループ討議に関して]

・1人1人がしっかり意見を持っていた。 [確かにそんな感じでしたよね]
・1人1人の意見をききたかった[聞きたかった]。 [まったくその通りなのですが、議論の時間も確保する必要があります。下記ご参照]
・グループディスカッションで他人の意見を聞くことはためになった。 [自分が見落としていた点に気づかされますよね]
・グループでの話し合いでは、自分と同じ意見が多かった。 [今回の場合、安全優先、ということでしょうか]
・グループ活動をして、いろいろな考えがあると感じた。[グループの]色が出ますね。 [そうですね。ただし良く議論したとは思いますが、意見の広がりという点では、やや狭かったかな、という感じがします]
・グループ討議が面白かった。 [それは良かった]
・グループ討議で真剣な討議ができた。決断するとき[時]も勇気があると思う。 [まったくその通り]
・グループ討議はスムーズに行えた。皆積極的に参加していた。
・グループ内でうまく活動し、テーマの話をまとめることが出来た。
・チームで話し合うことができてよかった。最も重視することを自分なりに決め、強い信念を持って取り組む。
・なかなか有意義なグループ活動ができた。 [以上、今回は意図的に放っておいたのですが、自分の意見を持ちながら議論をするという点では大変良くできていたと思います。やはりこのクラスの特徴だろうと思います]
・みんな、自分の意見や意示がある。[しかし]私にはない。[周囲に]流されたり、言われた通りにしたりする方がやりやすく決断すべき立場に立たないようにふるまっている。しかし、そのようなスタンスだと決断すべきときに決断できないし、行動できない。私は、自ら考え行動する技術者とは程遠い。 [お気持ちはわかりますが、「そういう意識を持っている・気づいている」ってことは、すでに解決の扉の前に立っている──確かにまだその中には入っていないけど──ということですよ。過信はいけませんが、実績に裏付けされた自信は失わないようにしてください]
・みんな中止の意見が多くておどろいた[驚いた]。 [そうなんですよ]
・メンバーがだいたい同じような考えを持っていた。 [こちらも安全優先ということでしょうか]
・よく意見を出し合えていてよかった。 [それは良かった]
・以外[正しくは「意外」]と有意義な意見が多く出た。話し合いが良い感じで進んだ。 [こちらも]
・意見はたくさん出たがまとめることが難しかった。
・意見をまとめるのは大変だと思う。  [以上、そりゃそうです。(仕事が忙しく睡眠不足だということもあるのですが、)センセイのまとめ(?)だってそうだったでしょ]
・延期した場合、レース客が少なくなるという意見がグループの中で一番なるほどと思った。 [なるほどね]
・議論する時間がもっとほしかった。 [気持ちはわかりますが、発表討論の時間とトレードオフの関係にあります。また後日講義の中でご説明しますが、現実の社会では限られた時間や情報で判断せざるをえません]
・議論をされる[=討論を指示されている]こうもく[項目]が悪い。レース会場のことをききたかった[聞きたかった]のになかった。 [お気持ちはわからないではないのですが、話のポイントは別な場所にあるんですね]
・時間が無い。 [前述したように、他とのバランスが問題になります。上記ご参照]
・他の人の意見が聞けて良かった。 [気づかなかったことを教えてもらって、はっとすることがありますよね]
・他の人の意見を聞いて、その意見になっとく[納得]して流されてしまった。 [なるほど]
・討論は楽しめた。人の意見考えが聞ける良い機会。 [このクラスはよく頑張ったと思います]
・日本海側にレース場作るかの話はチームで出たが、それを覆えすと話にならない[=前提が崩れて設問にならない]と思う。 [この点については講義の最終回でもう一度考えます。なお日本海側の雪の降る場所でも例えば「日本海間瀬サーキット」──ただしF1は無理──などが存在します]
・普段話さないような内容でディスカッションできて良かった。 [それは良かった]
・話し合いの時間を長くしてほしかった。 [お気持ちはわかりますが、他が犠牲になります。上記ご参照]

[今日の一言]

・F1のコースは車が観客席に飛び込まないようにできている。フロントフェンダーだけで900万円、タイムアタックの上位チームは、タイムアタックで使用したタイヤを使用しなければならない。 [たぶん相当な知識をお持ちなのでしょうが、事故で車両本体が客席に飛びこむことがなくても、破損した部品が入ることはあります(テレビで見ました)]
・F1マシンならあのサーキットは普通に走れると思う。 [お気持ちはわかるのですが、この議論の本当のポイントは、ちょっと違った場所にあるんですね]
・スペースシャトルの爆発は悲惨なものでした。 [そうですね。背景を含めて、次回ご説明します。このクラスの皆さんにはとても身近な問題だと思いますので、ご期待ください]
・チャレンジャー号については、テレビで何度も見たことがある。 [こちらも]
・どんなじょうきょう[状況]でも、事故がおきる。 [それはそうです(後の講義の中でもご説明します)。ただし「だから・・・」と直結はしないと思います]
・やはり、命は大事です。 [その通り。ただし前述したように、「それならいつ開催する(飛行機やロケットを飛ばす)ことができるのか」ということになります。後で一緒に考えましょう]
・リスクっていやらしい問題ですね。 [そうなんです。後日、講義の中で取り上げます]
・ロケットの爆発には衝げき[衝撃]を受けた。 [次回、背景やその後を含めてご説明した後、もう一度ちゃんと見ていただきます]
・安全がやはり一番だいじ[大事]だと分かった。 [やはりそれが基本ですよね。でもそれだけに固執すると、飛行機を飛ばすことができなくなってしまいます。このジレンマ問題への適切な対応方法をこれからの講義の中で考えていきましょう]
・一つの物事について、様々な角度から考えることは面白いと感じた。 [そうなんですよね。違った角度から見ると、ずいぶん印象が違いますよね]
・仮想事例によくにた[似た]ことがF1であった。 [そうなんですか。後で教えてください]
・何かをするにはいろいろな事を考えた上でやらなければならない。 [そうなんです。とても重要な点を見抜きましたね。そしてそれがコドモからオトナになる、ってことなんです]
・何が正しいのかはわからない。 [気持ちはわかります。でも「どれも同じ」だとしたら、適切に対応できるかもしれないし、できないかもしれない(要するに賭です)。そうではなく、可能な限り適切な手順で対応するためには......をこれからの講義で考えます。現時点ではあまり焦らずに]
・課題やらんなんな〜(-_-) [宿題をため続けた──しかも現在進行形──センセイとしては偉そうなことは言えませんが、それが学生の本分]
・学科が違えば考え方も違うのは興味深い。 [皆さんはなかなか経験することが少ないかと思いますが、正直なところ、ずいぶん違いますよ]
・技術者としての心構えを考えさせられた。 [とても重要なことです。これからの講義で引き続き考えましょう]
・君子危きに近寄らずですね。 [その通り。ただし当事者としては避けられないこともあります。じゃぁ、その場合、どうすれば......について、これからの講義の中で考えます]
・計画も長期的に幅広く考える必要がある。
・広い視野を持つことが大切だと思った。 [以上、講義の最終回で再び考えますが、それがとても重要なんですね(今回なら「こんな場所に...」)]
・考えることの大切さを再確認できた。 [ありがとうございます。頭の中の、ふだんの講義では使わない部分を使ったんじゃないかと思います]
・今回の事例がスペース・シャトルと深い関わりがあるようだが、2年前の小松航空祭が中止になった事例も似ていると思う(2年前[=左記航空祭]は安全を優先) [そうですね。あの時は外部燃料タンクが基地外に落下して、その時点では安全性を確保できなかったんですね]
・今日は全く集中できませんでした、すみません [どうしたのかな? 次回はがんばりましょう]
・今日議論で物を考えることは双方面で見て考えるべきだと思った。 [まったくその通りですね]
・思っている以上に考えるためつかれた[疲れた]。 [ふだん考えないようなことを取り扱いましたからね]
・重大事故が起こる確率が非常に高いかもしれない、予想できることはやるべきではない!! [実際には何が起きたのか、次回の講義で考えます。ご期待ください]
・状況を把握することが大切であることがわかった。 [そうなんです。とても重要な点です。それによって、その後の判断がどんどん変わってくるんですね]
・人の命を取るのかお金を取るのか、よく考えることができた。 [ありがとうございます。この二者択一を迫られている状況を「ジレンマ状況」と言います。近いうちにご説明します]
・人命>金である事を考えさせられた。 [基本的にはその通り。でもそれだけに固執しすぎると何もできなくなってしまいますよ]
・責任のなすりつけ。 [現実にはそうなりがちです。なすりつけ=無責任ですね]
・大変です。 [どうしたのかな?]
・百万石サーキットでは、ダートレースをするべきだ。 [そうかもしれませんね]
・問題を様々な視点から見ることによって新しい考え方が生まれた。 [非常に重要な指摘だと思います。倫理──まだ説明していませんが──を「やらなければならないもの」と考えるのではなく、「より良くするチャンス」と考えると、新しい発想が生まれますよね]
・来週はF1日本GPです [好きなんでしょうね。ぜひ楽しんでください]


西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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