平成25年10月10日更新
3EA1クラス
第3回:平成25年10月10日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
※スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故を題材に、倫理的考察や意思決定に必要な概念や用語などの解説を行う
・チャレンジャー号爆発事故に関する解説
・技術者と価値(特に、安全)
・リスクに関する概説
・対立する価値と倫理問題
・ステークホルダーと価値
・技術者の直面し得る倫理問題とその種類(ジレンマ問題、線引き問題など)
・倫理問題と設計問題のアナロジー
・倫理思想の特徴と代表的倫理学理論
・倫理的意思決定の方法(概論):エシックス・テストおよびセブン・ステップ・ガイド
・なぜ、科学技術者倫理が求められているのか@(メタ、マクロ、メゾ、ミクロの観点から)
・科学技術の歴史とエンジニアリングの特質
・近代科学技術と倫理思想
・技術者はなぜ特別の責任を負うのか
・技術者が共有すべき価値と倫理綱領(概説)
・PCを用いた講義
・チャレンジャー号爆発事故に関するビデオの視聴
・関連する視聴覚教材の視聴
・演習
など
・予習:教科書の第4章、第5章、第6章および第7章の精読(120分)
・復習:課題2(Agora上でチャレンジャー号事故について、倫理的問題構造およびステークホルダーなどの事実関係の分析)(180分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.スペースシャトルチャレンジャー号事故に関するビデオをご覧いただいて、個人で最初に感じたことは?
A.解説前の感想であることにご留意ください。講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます。
・“生きる”ってとても難しいことだと実感しました。 [非常に根源的な問題を指摘していると思います。映像を観て、いろいろ考えたからこその記述だと思います]
・MT社は最後まで打ち上げを反対すべきだった。危険性の認識が甘かったと思う。
・NASAとモートン・サイオコール社との接合部の強度の認識が統一されてないことが事故の原因の1つだということが分かった。
・エンジニアは大変。 [その通り。だからこそやり甲斐のある仕事でもあります]
・この事故は、すべての産業の教訓となった。 [事故そのものは悲惨でしたが、原子力産業と違って、航空機・宇宙産業はこのような失敗情報を共有し、そこから教訓を学ぶシステムができています。彼ら彼女らの犠牲は決して無駄ではないんですね]
・これまでの打ち上げでo-ringが焼きついていたのなら、設計変更をしたほうがよかったのではないかと思う。
・すごかったです。
・チャレンジャーの事故は知っていたが、このような複雑な事情があったことは知らなかった。
・とても難しい内容である。利益を追求鵜するのが、安全を優先してしまうのか?? NASAもロケットブースターの構造の問題点を研究・調査すべき。
・どのような状況であっても、人命が優先されるべきだと感じた。 [その通りなのですが、講義内でご説明したように、そればかりを考えていたら何もできない]
・なぜあのようながさつな安全基準を定めたのか分からない。このような事故を教訓に今の厳しい基準にしたのか? [前述したように、航空機・宇宙産業は教訓を生かす仕組みになっています。その点は凄いと思います]
・ビデオを視聴して、NASA、サイオコール者の両代表がもっと危険性について調査するべきだ。
・ランドさんも被害者になるのでは? [その通り]
・安全と政治(利益)をはかり[秤]にかけざるを得ない。
・安全意識の低さ。NASAなどの上層の組織からの圧力。あんぜん[安全]とはなにか、またリスク管理の重要性を確認できた。立場によって万全な対策とれなかったチャレンジャー号の事件は多くの教訓を残してくれたと思う。 [まったくその通りですね]
・安全性が第一。
・安全性を第一に考えることが技術者に必要なことである。 [以上も、まったくその通り。ただし他の価値とのバランスを考える必要があります。これらの点についてはこれからの講義で一緒に考えましょう]
・会社との関係はあるが、中止にするべきと考えた。
・気温の大切さ、柔軟な対応が必要だった。
・技術と経営の間で板ばさみという難しい状況だった。
・技術者という立場から考えても、不安が1%でもあるなら打ち上げは中止にするべきであった。
・技術者の使命。
・技術者の立場と政治の立場の違いにより、重大な問題が見逃されてきて大事故が防げなかったことが非常に残念に思った。
・技術者の立場なら、技術者の立場から見える意見を最後まで、貫き通すべきであった。
・技術者は、安全性だけではなく、その他の要因でも意見を変えなければならないということを知らなかった。
・技術者や経営者が正しい判断をしなかったことで乗り組み員が無駄死にしてしまったように感じた。
・議会だって、延期を認めたら、責められますよね?どこかできびしい事を言う人が必要になりますよね。その人が一番損ではないですか?
・経営者って大変なんだなぁと思った。
・経営者は安全だけでなく利益も考えなくてはいけないので大変だと思う。
・経営者は技術者を大事に扱う必要がある。 [以上、立場によって見えてくるものがずいぶん違いますよね]
・結局上の指示や意見には逆らえなかったと思うと少しやるせない。
・元請け会社と、下請け会社の関係は厳しいと感じられた。
・航空分野は命がかかっているものだと再認識した。 [まったくその通り。皆さんが勉強しているのは、まさにそういう内容なのです]
・国家や会社の圧力は予想以上に強い。
・最終決定をNASAの圧力により賛成、いざ事故が起きると責任を取れされる経営や政治の複雑さは考えさせられた。
・死んだ人の遺族は、自分の家族が政治やお金のせいで死んだなんてくやしいでしょうね。
・事故と責任。確実に成功させるために納期に合わせて準備しないといけない。
・自分がMT社側の立ち場の時、打ち上げ反対を強く主張できるかわからない。メイソンやNASAの圧力で賛成に同意してしまうかもしれない。
・自分ならどうするかはわからない。 [以上、そうですね。ではどうすれば......については、これから一緒に考えましょう]
・実際に映像を見たら、けっこうな衝撃だった。
・集団になると意見が変わる点などは普段の生活でも実感できる。 [でしょ?]
・少しの甘えが大きな事故につながってしまった。自分の立場ではなく、安全性をとれる人になりたい。
・場の空気が意見を決定する危険な状況だったのだと思う。
・人間はお金や名誉が関わってくると考えの軸がブレると感じた。
・政事がからんでくるとろくなことにならない。
・政治の影響により人命を危くするのは、おかしいと思った。
・政治も大事だが、それよりも人命が優先されるべきだと思った。
・政治的価値>人命は見直されるべき。
・正しいことを行えない環境の怖さが分かった。
・設計ミスが分かった時点で中止すべきだった。
・設計段階での中止は、必然だった。 [以上、お気持ちは分かるのですが、重要度をどう評価するかが問題です。すべてをやり直すわけにはいきませんからね]
・組織のことを考えるか、倫理をとるか判断は難しい。
・打ち上げに同意しなければ必ず責任をとらされるため、同意した理由はしかたないと思う。
・打ち上げ中止の意見を押し通して、NASAの信頼がいち時期[一時期]なくなっても問題点を納得するまで説明したら信頼が戻る。 [まったくその通り。F1の時にもお話ししましたが、長い目で考えることができると、ずいぶん対応は変わっていたんですよね]
・同じあやまちは、繰り返してはいけない。
・悲惨な事故だと思った。政治的圧力がどれほど強いか知ることができた。
・分解される映像がショッキングだった。
・米政府が社会での話題を欲しがった為に起きた事故である。
・命を考えたら打ち上げるべきではなかった。
・予算などの問題もあるがやはり安全第一なので打ち上げは中止するべきだったと思う。
・利益のためなら人の命も気にする必要はないのか。
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・「Always safety first」ー良い言葉だと思いました。 [そうですね。ただしこれかもご説明しますが、「絶対安全」は事実上不可能なので、それ以外の要素とどう折り合いをつけるかが問題になります。これからの講義で一緒に考えましょう]
・VTRがおもしろかった。 [何度観ても、いろいろ考えさせられる映像です]
・あっという間に時間が過ぎた。 [おぉ、それはすごい。積極的に参加していらっしゃったんでしょうね。本当ならばもっと皆さんの活動を取り入れたかったのですが]
・エンジニアとは難しい立場の職業だな。 [その通りで、社会に関するいろいろなことを考えなければならないんですね。しかしその反面、とてもやり甲斐のある仕事です]
・お金か時間か勉学の何が大切かわからない。 [う〜ん、これはどういう意味なんでしょう。ビデオに関係しているような、していないような...]
・ジレンマ、線引き問題について詳しく学ぶことができた。エンジニアが政治と関係している事例があることを知った。 [前者については、次回演習を行います]
・ジレンマ問題は、思っていたよりも様々な問題があるのだと感じた。 [言われてみると、そうでしょ?]
・チャレンジャー号の映像があって理解しやすかった。 [確かに映像があるとわかりやすいですよね]
・チャレンジャー号の関係者(大統領)を含め、しっかりと問題を認識するべき。 [その通りですね]
・ボジョレーさんの名前を見て、ボジョレーヌーボーを思い出しました。 [実は、センセイもそうです]
・ラミレスは引退しないでほしい。 [そうなんですよね。あれだけみんなに愛されるキャラクターなのですから]
・わかりやすい授業だった。 [ありがとうございます〜]
・安全第一。 [確かに。この点については次回以降、一緒に考えましょう]
・課題でなぜ外国のサーバーを使うのか、わからない。 [オランダで開発され、運営されているシステムだからです。我々が直接運営しているのではなく、「利用させていただいている」のです]
・頑張った分だけ成績につながることでますますやる気が出た。 [おぉ。アゴラの評価の件ですね。ぜひぜひ頑張ってください。決して損はさせません]
・技術者になるものとして、改めて様々なことを考えさせられた。
・技術者の責任は重いと思った。
・技術者は安全が第一だとわかった。
・技術者は安全を第一に考えるべき。 [以上、その通りなのですが、経営面その他を無視して会社を倒産させるわけにもいきません。「じゃぁ、どうすれば...」については次回以降、一緒に考えましょう]
・私も経営者の立場でこの状況であったら打ち上げていたかもしれない。 [センセイもそうかもしれません。でももっと「小松さん」の意見を聴くべきでしょうし、逆に小松さんはもっと適切にプレゼンテーションすべきでしたね]
・次回の教室はどこ? [教室は変わりません。ここです]
・人の命が軽いなと思った。 [結果的にそう扱われたと言われても反論できない部分があります。ただし彼らの命は、教訓という形でその後に引き継がれています]
・正しいと思うことを突き通せないなんて・・・リスク評価の難しさ。 [その通りですね。なお、リスクについては後日改めて講義の中で考えます]
・風強かった。(昨日) [そうでしたね。チャンカレ前のビデオ店では屋根が飛び、おまけに夜は火災になってしまいました]
・倫理的な問題を解決するのは難しいですね。
・倫理的問題は、答えに正解がなく、つらい選択になる人だなと思った。
・倫理的問題は難しいと思った。
・倫理問題はとても複雑で考えさせられました。 [以上、その通りですが、「じゃぁ、どうすれば...」については次回以降の講義で、演習などもしながら具体的に考えましょう]
・歴史の説明が分かりやすかった。 [ありがとうございます。背景が分かると、ずいぶん理解しやすくなりますよね]
西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。