平成25年10月11日更新

3EM3クラス
第3回:平成25年10月11日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

※スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故を題材に、倫理的考察や意思決定に必要な概念や用語などの解説を行う 
・チャレンジャー号爆発事故に関する解説
・技術者と価値(特に、安全)
・リスクに関する概説
・対立する価値と倫理問題
・ステークホルダーと価値
・技術者の直面し得る倫理問題とその種類(ジレンマ問題、線引き問題など)
・倫理問題と設計問題のアナロジー
・倫理思想の特徴と代表的倫理学理論
・倫理的意思決定の方法(概論):エシックス・テストおよびセブン・ステップ・ガイド
・なぜ、科学技術者倫理が求められているのか@(メタ、マクロ、メゾ、ミクロの観点から)
・科学技術の歴史とエンジニアリングの特質
・近代科学技術と倫理思想
・技術者はなぜ特別の責任を負うのか
・技術者が共有すべき価値と倫理綱領(概説)

授業の運営方法

・PCを用いた講義
・チャレンジャー号爆発事故に関するビデオの視聴
・関連する視聴覚教材の視聴
・演習
など

学習課題 予習・復習

・予習:教科書の第4章、第5章、第6章および第7章の精読(120分)
・復習:課題2(Agora上でチャレンジャー号事故について、倫理的問題構造およびステークホルダーなどの事実関係の分析)(180分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)

Q.スペースシャトルチャレンジャー号事故に関するビデオをご覧いただいて、個人で最初に感じたことは?
A.解説前の感想であることにご留意ください。講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます。

・NASAは技術者の意見をきく[聞く]べきだった。
・NASAは経営に苦しんでいたし[、]下請けは、立場に苦しんでいた。そのツケが事故につながった。
・o-ringの強度の過信、機械部品の強度の過信、エンジニアであれば、少し考えればわかるであろうことを経営という考えで生かせなかったのは残念だ。
・イタばさみ[板挟み]になっていてたいへん[大変]だった。
・コストはあるとはいえ、危険なら、何度でも中止にするのがふつう[普通]。
・ジレンマ問題を解決するのは難しい。 [この件については、次回以降]
・[爆発の映像が?]すごすぎる[凄すぎる]と思う。
・スペースシャトルだったため、数人だったが、[一般の]飛行機とかだと数百人被害にあっていたので、技術者の判断は大事であると思った。
・チャレンジャー号の事故は防ぐことができた。経営陣の安全性の重要度の認識は低かったことが原因である。しかし政治的圧力が強く、打ち上げを中止することが難しかったといえる。
・チャレンジャー号爆発事故は未然に防ぐことができた。アメリカの醜態をさらさないようにしたために最もひどい[酷い]醜態をさらす[晒す]ためになってしまった。
・なぜ打ち上げは危ないと言い続けていたのに、打ち上げ許可のサインをしたのか。
・バランスが大事です。
・ボブ・ランドは他人の命に関わる問題であることを理解して決断しなければならなかった。
・ボブランドさんがとてもかわいそうだった。安全ではない乗り物には乗りたくない。
・ランドさんは打ち上げ反対を貫き通すべきだと思った。
・ロケット発射に失敗したのは事実だが、中止を言える人がいないのも事実。安全か会社か。
・安全、健康、福利などもあるが自分[=「保身」といいます]も心配。 [この件に関しては、後日]
・安全が大事。
・安全に関わるものに関しては常に状況を理解し、妥協をするものでは無い。
・安全のため延期すべき。
・安全性はやはり重要、安心しすぎは命取り。
・安全第一。(一回目のビデオ感想) [以上、でもご説明したように絶対安全な飛行機などは存在しませんよ]
・遺族の顔を見ていられなかった。 [確かに]
・下請けよりも元請けの方が立場が強いという社会の体質をどうにかしなければと思った。 [その通りですが、社会に出るとその事実を嫌でも思い知らされます]
・会社ではやはり利えき[利益]をもとめ[求め]られるが、技術者は技術面[を]つよく[強く]みなくてはならない。
・会社を経営をするうえ[上]での難しさや技術部とのギャップを感じた。
・企業のことも大事だが、自分の意見を通すことも大事だと思った。
・技術者としてか経営者としてかどちらの立場で判断するべきなのか難しい問題だと思う。
・技術者としてはくやしい[悔しい]と思う。
・技術者として危険だと感じたら止めるべきだった。
・技術者として使用してはいけないと判断してその意見を通そうと思っても[、]上からの圧力には反対することは難しいと思った。
・技術者と経営者では考え方に違いがある。
・技術者の意見は尊重すべきであると思う。元請け、下請け契約が会社の判断を左右したのだと思う。
・技術者の立場から、中止を求められたのを会社のためと考え、実行したことが問題であった。
・技術者は人命やロケットを大事に思っているが、経営者はお金や立場を大事に思っている。
・経営ばかり考えてはダメだと思った。
・現場と設計者の意見は重要されるべきだと思った。
・現場の人間と現場を知らない人間が意思疎通できなかった結果起きた事故だと思った。NASA側も追いつめられてて冷静ではなかったのではないかと見ていて思った。 [コミュニケーションの重要性に関して、非常に重要な指摘をしていると思います。この件については、後日]
・賛成するのがおかしい。上の圧力。
・私が社長の立場だったら断れなかったと思う。
・自分がロジャーの立場だったなら、深く悩み落ち込んでいたと思う。
・自分が板ばさみ[板挟み]になっても安全を優先することはないと思う。
・自分の金しか心配していないから他人が死ね。NASAもMT社も会談はただのアピール扱いで会談をしようが、発射することはかえられない。
・自分もサイオコール社の立場だったら、打ち上げに反対する自信がない。
・実際に技術者として、このような場面にでくわしたら、技術者として最善の行動をとるのは難しい。
・少しでも安全でないというが分かったら打ち上げを中止する。
・上からの圧力の力は大きい。
・人の命を乗せる仕事で妥協は許されない。打ち上げるべきではなかった。
・責任の押し付け合いで、立場の弱い者を責めるのはどうかと思った。
・責任者のモートンサイオールはロケットの打ち上げを止めたのにもかかわらず、ロケットを打ち上げてしまって死者を出してしまった。
・設計は人の命やけが[怪我]などが関係してくるので慎重に考えなければならない。
・設計ミスを想定できなかったのは失敗だと思う。最悪なことを考えることは重要だと思った。 [まったくその通りですね]
・組織がらみで起こっているためこの事故はどうしても防ぐことができなかったといえる。上層部に声が届いてはいないことがよくわかった。
・組織ってのはコワいねぇ。
・打ち上げない→安全第一。
・中間管理職のような仕事は大変であると思った。また、下請け企業の立場上の弱さも問題であると思った。
・頭がいいだけで利益しか考えてない技術者より昔かたぎ[気質]の技術者みたいに絶対だめと言えないとだめと思った。
・難しいと思った。
・板ばさみ大変そう。
・面白かった。
・優先するべき事を考え、人命が危険にさらされ[晒され]ることが無いように技術者として安全性が保障[この場合は「保証」]できないモノは公に出すべきではない。
・立場が弱いと正しい意見でも、通らないし[、]聞く耳を持たれない[=持ってもらえない]。


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

・「アポロ13号」ぼくも見ました。月に生物はいるのでしょうか・・・ [何度か見ていますが良くできてた映画だと思います。ちなみにセンセイはアポロ13号の危機をリアルタイムで体験しています。あの時の、世界が一つになって3人の生還を願う状況は、今では想像するのが難しいほどです]
・2つの魔が現れたジレンマと睡魔だ! [うまい!!]
・あ、ありのまま起こった事を話すぜ。気が付いたら14:30だった。 [念のために解説しますが、要するに、ずっと寝ていた、ってことです。今日、他クラスの報告も受けたのですが、EM系は課題か何かが集中しているようで大変なようですね。今回は無理ですが、将来的には皆さんの負荷も平均化させる等を工夫したいと思っています]
・おつかれ[疲れ]さまでした。 [皆さんこそ。上記ご参照]
・キャリア[=保身]よりも安全を選択する。 [その通りですが、正直なところ、バランスが難しい]
・これからジレンマ問題があると思うとふるえて[震えて]くる。 [お気持ちはわかりますが、そのように追いつめられないように、あるいは意図せず追いつめられても何とか自分の力で生き延びることができるようにこの科目が解説されているのです。役に立つ科目でしょ?(恩を売るわけではないけれど)]
・しがらみから自分の意見をつらぬく[貫く]ことは難しいことを知った。 [難しいです(キッパリ)。だからこそ、いざという時にどうするかをこの科目で考えるのです]
・ジレンマ問題はとても難しいと思った。 [こちらも]
・たのし[楽し]かった。 [ありがとうございます。いろいろ考えていただいたのでしょうね]
・チャレンジャー。 [?]
・なぜ技術者倫理が求められるか学べた。 [こちらもありがとうございます。短期、あるいは長期的に見ても皆さんのための科目なのです]
・ねむさ[眠さ]をふりきる[振り切る]授業でした。 [とても嬉しいです。ありがとうございます。きっと、ご自分のことだ、と分かってもらえたのでしょうね]
・ボジョレーさんの意見は技術者全員が持っているべき。
・ボジョレー氏は、本当に信念を持った技術者だと思った。
・ボジョレはすごかった。 [以上、その通りなのですが、採算や忠誠義務などはどうします? バランスが難しいのです。この件に関しては、これからの講義で一緒に考えましょう]
・ランドさんかわいそう・・・。 [そうなんです。スケープゴートにされた、という面は否定できません]
・ロジャーさん大変ですね。 [こちらも。だから、そうならないためには、万一、結果的にそうなってしまった場合......これからの講義で考えましょう]
・安全は大事だと思った。
・安全性の大切さを改めて認識した。
・安全第一の意味を知った。
・何を第一にするのかを考える必要があると感じました。 [以上、その通りであり、皆さんの意見はありがたいのですが、採算や忠誠義務も考える必要があります。これらについては今後、一緒に考えましょう]
・技術者としてしっかり自分の意見を伝えるようにしたい。 [まったくその通り。ご説明したように、プレゼンテーション力って、いざという時にとても大切なんですね]
・興味深い授業でした。
・興味深い話だった。 [以上、ありがとうございます。いろいろ感じ、考えられたのでしょうね]
・公衆の安全、健康、福利が第一。 [その通り。これが一丁目一番地です]
・今回の授業はためになった。 [ありがとうございます。うれしいです]
・今日、自分の運の無さに絶望しました。 [う〜ん、どうしたのかなぁー。(どうやら講義に関係した内容ではないようなので)]
・今日は技術者はどのような立場で立たなくてはならないのか。 [それを、これからの講義で一緒に考えます]
・最近、野菜を多くとっています。 [それは偉い。きっと、朝の○通が良くなったのでは? 大腸ガンの予防にもなりますよ]
・昨日部活があったのでとてもねむかったです。でも授業中はねてません!! [こちらも別な意味で偉い。貴方のように「頑張っている」顔の方がかなりいらっしゃいました。残念ながら疲れがたまってしまって撃沈してしまった方がいらっしゃったことも事実ですが]
・実際にスペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故のような場面に直面したら決断することが難しいと思った。 [それはその通り。センセイも綺麗事を言うつもりはありません。ただし、彼ら彼女らの後に残された我々がしなければならないのは、「そこから何を学び、何を後生に伝えるか」です。犠牲者を弔うにはそれしかできないと思います]
・実際の出来事からきけて[聞けて]よかった[良かった]。 [ありがとうございます]
・社訓でよく意見を交わしあえる会社ってありますけど、ほとんど虚言ですよね。実行できている会社ってごく一部だと思います。 [この件に関しては、その妥当性を含めて、次回の議論(講義としては数回後)のビデの最後に象徴的な場面が出てきます]
・少し内容が分かりにくくなった。 [なるほど。あまり細かいことは気にせず、当方が「全体として何を伝えたいのか」に注目してください]
・上司に反対するのは困難ですね。 [それはその通り。でも......については、次回以降の講義で一緒に考えましょう]
・人の命について考えた。 [皆さんの約2.5倍、50年以上生きてきましたが、ホントにそう思います]
・生きていくって難し〜!!! [こちらも]
・西村でHPをしらべると、西村京太郎が出た。西村寿行は出なかった。 [へえぇー。ちょっと不思議な感じがしますね(もちろん疑っているわけではありません)]
・先生の今までの一番の思い出が知りたい。 [武士の情け、勘弁してください。辛すぎるので]
・先生はボジョレーさんの立場だったら反対できますか。 [正直なところ、難しいと思います]
・代表的な倫理問題がわかってよかった。 [この点は、次回以降も続きます]
・第一にエンドユーザー自分は最後という言葉を覚えておく。 [ありがとうございます]
・同じ内容の話が多いと感じた。 [う〜ん、貴方は割と優秀な方なんだと思います。だから「こちらが何を伝えたいのか」を比較的早くに見抜かれたんだと思います。ただし皆が皆、貴方のように優れているわけではないので、重要な点については意図的に繰り返しています。悪しからずご了承ください]
・特になし。 [はい]
・歴史の話が久々に聞けて個人的に良かった。 [背景がわかると、ずいぶん印象が違いますよね]
・話が大変になってきた。 [う〜ん。確かにそういう面があるかもしれません。ただし、こちらとしては大げさな話をするのは本意ではなく、将来の皆さんが、割と直面するような場面で適切な判断ができるような講義を目ざしています。チャレンジャー号の件は、その象徴的な事例で、確かにかなり大きすぎると思います]


西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


「授業に関するご連絡」に戻る

トップページに戻る