平成25年10月15日更新

3VA3クラス
第3回:平成25年10月15日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

※スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故を題材に、倫理的考察や意思決定に必要な概念や用語などの解説を行う 
・チャレンジャー号爆発事故に関する解説
・技術者と価値(特に、安全)
・リスクに関する概説
・対立する価値と倫理問題
・ステークホルダーと価値
・技術者の直面し得る倫理問題とその種類(ジレンマ問題、線引き問題など)
・倫理問題と設計問題のアナロジー
・倫理思想の特徴と代表的倫理学理論
・倫理的意思決定の方法(概論):エシックス・テストおよびセブン・ステップ・ガイド
・なぜ、科学技術者倫理が求められているのか@(メタ、マクロ、メゾ、ミクロの観点から)
・科学技術の歴史とエンジニアリングの特質
・近代科学技術と倫理思想
・技術者はなぜ特別の責任を負うのか
・技術者が共有すべき価値と倫理綱領(概説)

授業の運営方法

・PCを用いた講義
・チャレンジャー号爆発事故に関するビデオの視聴
・関連する視聴覚教材の視聴
・演習
など

学習課題 予習・復習

・予習:教科書の第4章、第5章、第6章および第7章の精読(120分)
・復習:課題2(Agora上でチャレンジャー号事故について、倫理的問題構造およびステークホルダーなどの事実関係の分析)(180分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)

Q.スペースシャトルチャレンジャー号事故に関するビデオをご覧いただいて、個人で最初に感じたことは?
A.解説前の感想であることにご留意ください。講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます。

・1人でも反対がいた時は、もっと慎重に抗議するべき。
・MT社のエンジニア達は、打ち上げに反対していたが、経営陣やNASAは財政上の思惑により打ち上げを決行した。その結果、1986年1月28日、チャレンジャー号は空中分解した。
・MT社はNASAとの契約を切られないようにするために苦渋の決断だったと思う。 [この件に関しては、(忘れていなかったら)次回の講義で細くします]
・NASAの考え方が理不尽である。
・この事件は、1人の人の決定ではなく多くの意見から成り立つものであった。→NASAのゴリ押しを他の人達も利用しようとしてしまった。(技術者など)→政治が大きくからんでくる。
・サイオコール社はスペースシャトル打ち上げを楽しみにしている人のために無理してでも上げようとしたので危険だと思った。
・スペースシャトルの打ち上げには、NASAの経営についての問題があった。また、技術者の精一杯の反対もむなしく、政治的圧力により決行される。
・スペースシャトルを打ち上げる事のリスクの大きさを知った。
・それぞれが責任の押せ付け合いの立場になった時、正しい行動が必要。自分のおかれた状況を客観的に見ながら、正しい行動をつらぬく[貫く]。そのためには証拠を残す。(書面等で) [最後の部分はご説明した通りです]
・タテ社会こわいです。 [その通りなのですが、じゃぁ、私たちはいったいどう対応したらいいのでしょうか......については、これからの講義で考えます]
・どこの世界も利益を一番として考えているのだなと思った。
・ボジョレー氏の言っていた安全性について、自分も建築に関わる者として人の命を守るという点で共感できる部分があった。 [おぉ、それはすごい。違った分野のネタなのに。貴方は良いセンス、特に良い想像力をお持ちなんでしょうね]
・ボブ・ランドは[他の出席者を]せっとく[説得]するべくだった。技術者側はもう少し注意をするべきだった。
・ほんのささいなことでも会社の利益等を優先していたら、技術的な問題があっても無視されてしまうのかと感じてしまった。
・ゆでガエルの話を思い出した。 [まったくその通りですね]
・リスクを回避と会社を存続することの双方をとる選択肢はないのか。実現する方法はないのか。 [この件に関してはこれからの講義の中で一緒に考えます]
・安全性をもっと重視するべきだった。
・下請けは技術提供をしているが、会社の力関係により立場が弱いため、引き起こされた社会的問題である。
・下請はうけ[受け]てもせめられ[責められ]なくともせめられ[責められ]どっちもじごく[地獄]だと思った。 [以上、その通り──それに気づいたという点はとても高く評価できます──なのですが、下請けは言われるままに行動するしかない弱い立場なのでしょうか。この点については(忘れていなければ)これからの講義の中で考えます]
・会社って大変だなぁ。 [大変ですよ。でも、やり甲斐もあります]
・会社の経営の事を考えて打ち上げても、もし失敗してしまったら、意味はないと思う。よって失敗のリスクがあるなら打ち上げない。
・会社の利益か、乗員の安全かを選ぶなら普通は安全をとっただろうが、会社の上に立つ立場が利益をとらせたのだと思う。
・会社組織の複雑さを感じた。 [その通りなのですが、現実の社会はどのようにしてもやっぱり複雑ですよ]
・確実な安全が得られない場合には、活動すべきではないと感じた。
・企業の思想で事故が起きてしまうのはくだらないと思いました。
・危険だと分かったらどのような状況でも行ってはいけない。
・技術が負う社会に対する責任は非常に大きなものであると感じた。
・技術者としての責任感を強く感じられた。 [以上、まったくその通りですね。違う分野の話題なのに、よく要点をご理解いただけたと思います]
・経営者は、利益を追及するので、同意するしかないと思う。 [う〜ん、その通りなのですが、その判断の結果、(人命その他は措くとして)会社はどうなったと思いますか?]
・現場の人は、反対しやすいが、副社長の立場だったら判断が難しいと思う。 [そうですね]
・残念な出来事ではあるが、会社の決定に一個人の副社長がさからえ[逆らえ]ないのは、仕方のないことだと感じた。 [お気持ちはわかるのですが、それなら副社長はいなくても良いのでは?]
・事故がおこる[起こる]ことが分かっていてスペースシャトルを打ち上げたのはよくなかった。
・事故が起きないことに懸けていたが、起きてしまってはどうしようもない。
・事故が起きるとわかっているのに、それを防げないのはなんだか悲しくなる。
・自分がNASA側の人間か、MT社側の人間かで、打ち上げに対する意見は大きくかわる[変わる]だろうと思う。
・失敗するとわかっていたなら、打ち上げになぜ賛成したのかと思った。どちらでも、せめられ[責められ]たということは、わかっていた。 [ではどうすれば良かったのか、についてはこれからの講義で考えます]
・社会で起きる問題は判断が難しく[、]責任が重いと感じる。 [その通り。でもそれが現実の社会ですし、それを引き受けることが「オトナになる」ってことです]
・集団心理は少しこわい[怖い]。 [まったくその通りで、十分注意する必要がありますよね]
・上には逆らえないなと思った。
・上の人の圧力は怖い。
・人の命を乗せているため、利益より安全を重視するべきだったと思う。
・成功率の低いスペースシャトルでは事故を避けるための努力をするべきだと思う。
・打ち上げ反対。(理由)延期すればいつでもできるし、人の命ほうが大事だから。
・超一流企業でもずさんな所があり驚いた。 [確かに]
・追いつめられて決定したことは成功につながりづらい。 [非常に重要な点を突いていると思います。「じゃぁ、そもそもどうすれば......」がこれから学習する7段階法の7番目なんですね]
・反対している人たちがいることは、安全性がない証拠なのに、無理矢理打ち上げるということは、何か理由でもあるのかと疑ってしまいました。
・防げた事故だったと思う。


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

・6連休どこか旅行に行きたいypお。 [まぁ、それもあり、だとは思いますが、せっかくの工大祭なんですから楽しんでみませんか?]
・アメリカやNASAやMT社は、結局、自分のことしか考えていないということ。 [組織はどこでも、組織された時は本来の目的を持っていますが、その後は組織の存在そのものを自己目的化するという傾向が見られます]
・アメリカ国債大丈夫かな? [この件、特にその本質については、これからの講義の中で考えます。意外に思われるかもしれませんが]
・おつかれさまです。 [皆さんこそ]
・ジレンマ問題は大変だと思った。 [確かにその通りなのですが、少し解説したように、発想を変えると線引き問題より解きやすいと思います。この件に関しては後日]
・しんどい! [他科目の課題等で大変なのでしょうか]
・チャレンジャー号のビデオがおもしろい。 [個人的にはあまり観たくない映像です]
・[講義が?]はやい[速い]。 [そうかもしれませんが、重要な点はしっかり、そしてゆっくり講義するようにしています。質問等があれば個別に対応します]
・安全性を第一にということは、今後も考えていけるようにしたい。 [まったくその通りですね]
・安全第一だけど、バランスも重要だと思った。 [こちらも、上(↑)とは見かけだけが異なりますが、まったくその通りだと思います]
・暗くてねむかった[眠かった]です。 [気持ちは、わかる。でも今日の映像は教室を暗くしないと細部がよくわからかったのです]
・[餃子の]王将に行きたい。 [ついに逮捕者まで出る騒ぎになってしまいましたね]
・価値は大切だと思った。 [まったくその通り。この点に突いてはこれからの講義で考えます]
・技術者にはもっとどうどうと意見して欲しい。 [こちらもまったくその通り]
・技術者の立場を考えさせられた。 [そうなんですよね。多方面を考えることが必要です]
・経済面と安全面の2つについて、両立させていくことは、とても難しいことであると思った。 [その通り。この件についてはこれからの講義で考えます]
・考える内に、この事故は誰が悪いか結局わからなくなりました。 [まったくその通りなのですが、(例えば副社長のランド氏など)特定の人物だけを責めるわけにもいかず、かといって「みんなが悪い」(≒誰も悪くない)というわけにもいかず......。この点についてもこれからの講義の中で考えます]
・次のハレー彗星出現は2061年ですね。48年後、自分の歳であれば69歳です。生きているか? [どうでしょう。かなりの確率で存在しているのでは?]
・自分の立場になって、自分だったらどう行動するのかを考える機会でした。 [非常に重要な点をご理解いただいていると思います。ありがとうございます]
・書面の大切さを感じた。 [そうなんですね。最近なら音声やファイルなどのデジタルデータということになるかもしれませんが、少なくとも「言った」「言わない」は回避すべきです]
・上には逆らえない。 [お気持ちはわかるのですが、それでは下(↓)の方のように、都合の良いように使われるばかりですよ。ではどうしたら......については、これからの講義の中で考えます]
・上の立場はいろいろと便利だ。 [こちらは上(↑)のご意見の意味を考えてみてください]
・寝たい! [お疲れのご様子]
・先生の近代史の話し方がとても分かりやすくて、おもしろかった。 [ありがとうございます]
・第1は安全だと思った。 [その通りですね]
・道徳的な問題は答え[名詞なので通常は「答」]がないと思った。 [その通り。ただしぼんやりとで結構ですが、その「答」にも相対的に良し悪しがあることに気づきませんか?]
・飛行機こわい[恐い]です。 [実はセンセイもあまり得意ではありません。国内は、それが北海道であれ九州であれ、ほとんど鉄道で移動します]
・風邪でつらかった。 [疲れが溜まっているんだと思います。寒暖の差も激しいし。工大祭の期間を使って、ゆっくり休んでください]
・様々な要因を考えるのは大変だと感じた。 [まったくその通り。でもそれを考えられるようになることが「オトナになる」ってことなんだと思います]
・立場によって人の考え方は変わる。 [そうなんです。立場によって見える景色がずいぶん違いますよね。それに気づくことと、その能力を獲得することがとても重要ですよ]


西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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