平成27年4月27日更新

3ET1クラス
第3回:平成27年4月27日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

※スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故を題材に、倫理的考察や意思決定に必要な概念や用語などの解説を行う 
・チャレンジャー号爆発事故に関する解説
・技術者と価値(特に、安全)
・リスクに関する概説
・対立する価値と倫理問題
・ステークホルダーと価値
・技術者の直面し得る倫理問題とその種類(ジレンマ問題、線引き問題など)
・倫理問題と設計問題のアナロジー
・倫理思想の特徴と代表的倫理学理論
・倫理的意思決定の方法(概論):エシックス・テストおよびセブン・ステップ・ガイド
・なぜ、科学技術者倫理が求められているのか@(メタ、マクロ、メゾ、ミクロの観点から)
・科学技術の歴史とエンジニアリングの特質
・近代科学技術と倫理思想
・技術者はなぜ特別の責任を負うのか
・技術者が共有すべき価値と倫理綱領(概説)

授業の運営方法

・PCを用いた講義
・チャレンジャー号爆発事故に関するビデオの視聴
・関連する視聴覚教材の視聴
・演習
など

学習課題 予習・復習

・予習:教科書の第4章、第5章、第6章および第7章の精読(120分)
・復習:課題2(Agora上でチャレンジャー号事故について、倫理的問題構造およびステークホルダーなどの事実関係の分析)(180分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)

Q.スペースシャトルチャレンジャー号事故に関するビデオをご覧いただいて、個人で最初に感じたことは?
A.解説前の感想であることにご留意ください。講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます。

[「今日の一言」のコメントも、ビデオの内容に直接関係するものはこちらにまとめました]

・2重のoリングの安全性を慎重に確認するべきだった。
・MT者の社員に打ち上げの決定権はないと思った。 [それはわからないではないのですが、もしそう(=NASA以上ですべてを決定する)なら、モートン・サイオコール社やその社員にはほぼ何の責任もないことになりますよ]
・NASAがMT社に0-リングの安全性を[無理やり]認めさせ[、]署名させたのは[NASAが責任を回避する]やり方としてはうまい[上手い]と思った。仮に自分が悪いとしても自分の有利な言質と証拠が必要だと思った。 [もちろん、「上手い」というより「ずるい」でしょうね]
・NASAからあれほどプレッシャーをかけられていたら打ち上げるしかなかったと思うから、MT社にとっては不運だったなと思った。 [でも講義の中でご説明したように、やがて貴方/貴女がその立場になるかもしれませんよ]
・NASAが悪いもの[=「悪い存在」の意]に見えてくる。
・NASAとMT社との間でスペースシャトルを打ち上げないといけないという状況に追い込まれ、ちゃんとした判断できなかったのかと思った。 [「視野狭窄
(しやきょうさく)」に陥ってしまったんですね]
・NASAにはもっと専門家や技術者が必要だと感じた。
・NASAのプレッシャーはあったと思うが、最終決定の時に[現場]技術者を外してしまったのはまずい対応だったと思う。 [気持ちはわからないではない。でも幹部だけで物事を決められないのなら、それはもう幹部ではありませんよ]
・Safety first.
・エンジニアの考えを最後まで通す必要があった,[“,”は原文のママ]安全性を重視することが大切である。
・この事故は元請、下請の関係で引き起こした事故であると思った。
・ステークホルダーは、大事な視点というものを理解すべきだと思った。
・[ボジョレーさんは]スペースシャトルを飛ばせないために更に強く主張できなかったのかと思った。 [この点はこれからの講義および演習で一緒に考えましょう]
・チャレンジャー号の事件の悲惨さを知った。
・ビデオを見て事故の背景などはおおよそわかったが[、]関係者が最終的にどのような責任の取り方をしたのか気になった。
・ボジョレーが、「死者が出るかもしれない」と強く問題点を主張できれば結果は変わっていたかもしれない。 [補足しましたが、プレゼンテーションには問題がありました。今から振り返ると、ですが]
・ボジョレーさんの考えは素晴らしい。しかし、その考えが通用しない社会は非常に残念だ。
・[技術担当副社長の]ボブ[・]ランドさんの立場に自分がいたら[、周囲の圧力に負けて?]もっと早く発射を決断していたと思う。
・[技術担当副社長の]ボブ・ランド氏の決断[=途中で判断を変えたこと]はとても思い罪であると感じた。
・モノをつくる[作る/造る/創る]技術者と会社の売上を行う営業[担当]者では考え方が全く違うことを理解した。
・ゆでがえるの話に似ていると思った。
・[技術担当副社長の]ランドが意見を変えずに反対をしていたとしても、結果は変わったのか、それとも同じだったのか分からず、難かしい[正しくは「難しい」]と感じた。
・[技術担当副社長の]ランドさんが、板挟みに合う[この場合、正しくは「遭う」]は、最終的に賛成したと責められるわで、かわいそうだった。
・安全は大事である。
・安全意識の重要性がわかった。
・安全性が第一だと思わされた[正しくは「思った」など]。
・一人の意見は小さいものであるため。発言[=その意見]を通すためには理解者を作る必要がある。 [その通り、非常に重要な点を指摘していらっしゃいます。この点についてはこれからの講義の中で考えます]
・[打ち上げを]延期すれば責任をとらされる[取らされる]という状況をどうにかしなければと思う。
・[打ち上げ]延期になる責任を取りたくないがために打ち上げに賛成してしまう、という起きてはきけないことだと思った。絶対に起こしてはいけないと思うが、自分がボジョレーだったら同じことができるかわからない。
・温度・気温をコントロール出来るようになりたい。(色々と楽になるため) [う〜ん、それは実際問題として可能でしょうか]
・下請け、元請けの力関係がうかがえる。 [その通りなのですが、講義の最後でご説明したように、必ずしも「下請=弱者」というわけではないんですよね]
・何度も打ち上げを中止する材料となる出来事があったのに中止出来なかったのは残念だった。
・会社の存続を考えると技術者は強く言えない。グレーゾーンの話だと思った。失敗したから持ち上がった[=世の中に知られることになった]話。世の中こういう話[が]いっぱいありそう。
・会社を経営することよりも、安全性を重視し[て]判断すべきであると思った。
・危険性が高く、失敗すれば大きな事故にもつながる[繋がる]のに打ち上げていたが、私は安全性が第一だと思った。
・[会合の場で]危険性を明確に提示[すべきだった]。
・起きるべきして[正しくは「起(こ)るべきして」]起きた事故だと思った。
・技術者である人の意見を尊重すべきだったと考える。
・技術者と経営者との、意見はくい違う[食い違う]ことがある。
・技術者と経営者の立場の違いを知ることができた。
・技術者の発言は重要であると思った。
・技術者は安全性を大切にしなければならないと認識した。
・技術者は企業の経営状況をみなければならず[、]何を優先すべきかをまどわす[惑わす]要素も多い。技術者としての責任をまっとう[全う]することの難しさを見て取れた。
・技術的な問題よりも、組織的な問題が非常に大きく影響していると感じた。
・経営が大切なのも分かるが、安全が第一だと思う。 [以上、その通りなのですが、ではどうやったら技術者の意見を反映できるのでしょう。それをこれからの講義の中で考えます]
・個人のミスではなく[、]組織の体系[=「組織的な問題点」の意]によって引き起こされた事故であった。
・国に責任はあったのでしょうか。 [調べてみてください。それでもわからなかったら申し出てください]
・事故が起きないのが理想だが、事故が起きる可能性が高くても打ち上げないといけない状況が大変だと感じた。
・事故が起きるという事を、重要視していなかったのではないかと思った。(打ち上げる事だけが目標だったのでは?)
・事故が起きる可能性が高かったので[=「高かったにもかかわらず」の意。順接ではなく逆接]、それをそのままにしてしまったことがわるい[悪い]。
・事故の映像は驚きます。
・事故の原因は、上からの圧力からも起りえる[「から」を繰り返しています]。
・自分が[技術担当副社長ボブ・]ランドの立場でも[、]同じく打ち上げに賛成してしまうかもしれない。
・自分の意見ははっきり言うべきなのかなぁと思う。けど[、]それで失敗したら[=この場合なら「技術者の意見を聞いて中止した結果、会社が倒産した」など]...とも思う。
・社会は色々と大変だなぁと感じたと同時に、数年後にはこの社会にでないといけないのかと思った。 [その通り。現在はまだネガティブに感じているかもしれませんが、実はとても働きがいのある社会ですよ]
・周りからの圧力に負けない事はむずかしい[難しい]のだと思った。
・上からの圧力があったとはいえ、失敗する可能性があっても実行したのは、技術者にも責任があると考える。
・上からの圧力もあり、その中で自分たち[達]のもつ意見を主張することは厳しいことだと感じた。
・上の圧力はとても強く、かかわった全ての人間が悪いような気がした。
・上層部の圧力にはなかなか逆らえないということを知った。
・場合により、周りの空気に流されないようにした方が良いと思った。 [以上、その通りなのですが、では具体的にどうするのか。それをこれからの講義の中で考えます]
・人の命を大切[に]するのが重要である。
・人間は追いこまれる[追い込まれる]と良くない[この場合は「不適切な」など]判断をしてしまう。 [前述(↑)した「視野狭窄
(しやきょうさく)」が起きていたんですね]
・人命を軽くみるのは経営者として足りない。
・数人の意見だけで最終決定されてしまうのは恐ろしく感じた。 [気持ちはわかるつもりですが、組織の幹部になるとどうしてもそういう立場になります]
・政治がからんで[絡んで]いて複雑。 [その通り。だから背景を知るためには社会との繋がり(歴史、文化、政治、経済など)を考える必要があるのですね]
・精神的においつめられた[追い詰められた]面もあったと思う。
・責任の強い[この場合は「責任が大きい」]立場の人程[この場合は「ほど」][、]正しかったはずの感覚がまひ[麻痺]すると思った。 [以上、前述(↑)の「視野狭窄
(しやきょうさく)」ですね]
・責任を取りたくない気持ちもわかるが、場の空気に流されてしまう事が、どれだけ危険かということがわかった。
・接合部の強度を過信し、今までの打ち上げに成功したという結果のみを判断基準に[して、]乗員を乗せて[「乗る」を繰り返しています。「乗員を搭乗させて」などの方が良いです]実行してしまった。
・絶対に当たるロシアンルーレットという言葉が印象に残った。
・前回[=1年前の打ち上げ]の結果が活かされておらず、打ち上げることしか考えていなかったのが怖かった。
・前回の打ち上げですでに[既に][ガスが]もれて[漏れて]いたのに今回も大丈夫と考えたのがおかしい。
・組織の決定に反対する方法が分からない。 [この点については、これからの講義および演習の中で考えます]
・打ち上げなければよかったのに。
・打ち上げに反対した[にもかかわらずその意見を聞いてもらえなかった]技術者の人たち[「人」(「者」および「人たち」)を繰り返しています]は気の毒だと感じた。
・打ち上げ反対のNASAの意見[←モートン・サイオコール社の現場技術者の意見です]を参考にしなかったのが間違い。
・大人は汚い。 [その通り。でも大人は綺麗でもあります。逆に言うと、子供(=貴方/貴女のことではありません)は汚くありませんか?]
・[技術者の]忠告は聞いた方が良い。 [その通りなのですが、では、どうすべきだったのでしょう。それをこれからの講義の中で考えます]
・難しい問題だと思った。
・判断を慎重にすることが大切だと思った。
・[技術担当のランド副社長は打ち上げに]反対をしていたのに社長から[賛成しろと]言われ賛成にしてしまったので、気持ちがきついだろうなと思った。
・防げる事故を様々な思惑があったために防げないのは悲しいことだと思う。
・本来防げるはずの事故が会社の存続[という理由]のために防げなかったことをとても残念に思います。しかし、私も経営者の立場で考えると、とても難しい判断ではなかったのかと感じる。 [講義の最後にご説明しましたが、会社は事故を起こしても結局存続しているんですね。逆に言うと、存続を考えない判断も可能だったんです(結果論ですが)]
・優秀な技術者の意思も、経営者によって操作されてしまうのは悲しいことだ。
・様々な要因が重なった結果[、この]事故が起きてしまったのだと思った。
・[会社幹部の?]立場が多数決の意味を無くすなら、事故発生後にNASA側ではなくMT社側のランド[副社長]のインタビューだけが写って[正しくは「映って」]いたことに違和感を感じた[この場合は「違和感を覚えた」などの方が適切]。
・立場ごとに、それぞれの考えがあるのだなと思った。
・良くないと思っていることは何があっても貫き通すべき。
・倫理観は難しいと思った。

[以上、「ではどうすればよかったのか」については、これからの講義で考えましょう]


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

[ビデオの内容に直接関係することは「課題の解答」へ回しました]

・[暑さのせいで? 講義に]あまり集中できなかった。 [室温もそうですが、天気の変化が激しいので、どうしても体のリズムを崩しがちですよね。センセイも気をつけています]
・いい話を聴けた。 [ありがとうございます。歴史の話か、問題の考え方に関してだと思います。これからも「意外と役に立つ講義」を目指します]
・いざ自分が責任の大きい立場についた[就いた]時に、正しい判断ができるか不安である。 [その通り。だからこそこの科目があるんです]
・この教室、暑い・・・。 [気持ちは、わかる。でも現時点では取り得る最大限の対応策を取りました。早くエアコンが入らないかなぁ]
・奥が深い内容で[、]立場で考え方が変わるのだなと思った。 [でしょ? 非常に重要な点をご理解いただけたようですね]
・技術者は大変だ。 [その通り(キッパリ)。でも絶対忘れていただきたくないのは、それ以上にやり甲斐のある仕事だということです]
・[教室内が]暑かった。 [その通り。人数のせいかもしれませんが、他の教室より暑かったです。今回は最大限の対処をしていますので、ご容赦ください]
・[何か問題が起きた時は]証拠を残すことの重要さが分かった。 [その通り。ご自分を護るためですよ]
・状況によって安全と立場[=忠誠義務]のどちらが大切か分からなくなる。 [そうだろうと思います。この点についてはこれからの講義の中で考えます]
・人間だれもが[誰もが]同じ考えじゃないのが問題[。]まぁ[、]しょうがないこと。 [う〜ん、これはどうだろう]
・生き残るためには記録(証拠)を残す。 [まったくその通り。ご自分(ら)のためですよ]
・責任ある立場[に]はなりたくないと思った。 [気持ちはわからないではないのですが、やがては必ずそのような立場に立ちます。だって多くの方は結婚して夫/妻になりますよ。なお「結婚しなくてはいけない」といっているわけではありませんので、念のため]
・早くクーラーがついて[正しくは「をつけて」]ほしい。 [まったく、その通り]
・窓をもう少し開けてほしい。 [気持ちは良くわかるのですが、あれ以上開けるとブラインドを損傷させてしまうんです]
・頭いたい[痛い]。 [どうしたのかな?]
・二度目の履修ですが、以前[の講義]では聞けなかった話が聞けて良かったです。 [2回目(以上)なら、講義がよりわかりやすいと思います。嫌味ではありません]
・目先のことにとらわれず[囚われず]に[、]もっと先のことを考えて行動しなければいけないと思った。 [その通り。じゃぁ、具体的にどうしたら......については、これからの講義の中で考えましょう]
・歴史がおもしろかったです。
・歴史の話が面白かった。 [以上、今日の講義のような説明って、中学や高校の歴史(日本史・世界史)とずいぶん違うんじゃないかと思います]


西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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