平成27年7月6日更新

3ET1クラス
第13回:平成27年7月6日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

高度技術社会における技術者の新しい役割
・科学技術とリスク
・リスク評価の難しさ
・リスクと公共性
・社会的合意形成
・トランス・サイエンス
・科学技術社会論 
・科学技術コミュニケーション
・科学技術の研究開発と倫理
・Grand Challengesに関する解説

授業の運営方法

・PCを用いた講義
・関連する視聴覚教材を視聴することもある

学習課題 予習・復習

・提出:課題6(電子的提出)
・復習:教科書第15章の精読(60分)
・予習:課題7(事例分析)(120分)
・予習:課題8(Grand Challenge for Engineering)(60分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)

Q.原子力発電に関して、(1)技術者としての立場と、(2)地域に原子力発電所が建設されることになった地域住民の立場で賛否は異なりますか?
A.(立場によって評価がずいぶん違うことを考えてもらうための問題です。原発建設に関する賛否そのものを問うているわけではないことにご注意ください。講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます。なお、2011年3月の東日本大震災と福島原子力発電所の事故以降、「どちらの立場でも反対なので、『変わらない』」と回答する方が増えています)

1.変わった

43名(57.3%)

2.変わらない

32名(42.7%)

1.変わった

・[原発が建設された地域が、実は]一時的にしか儲からないのであれば、建設する意味があまり感じられない。
・技術者がいくら、技術的向上を行ったとしても、金の流れが優先されてしまう現実を知ったから。
・技術者からだと、利益について考えてしまう。
・技術者ではなくてはならないものかもしれないが、地元にはできてほしくないという思いは大きく[この場合は「強く」]ある。
・技術者としての考えと地域住民としての考えに差があった。
・技術者としては効率を考えてしまったが、住民としては、安全を取ってしまった。
・技術者としては[原子力発電所は]必要であり、地域住民としては嫌なら自分が出ていけばよい[良い]から。 [嫌なら移住しろ、ということだとおもいますが、その場合の費用は誰が負担するのでしょう。また移住に伴う精神的な負担は補償されるのでしょうか]
・技術者として考えたとき[時]と、住民として考えたとき[時]では感じ方が違っていることに気付いた。
・見る側によって意見が異なって、[自分が]主観的に考えていることを知った。
・原子力発電所は効率もよく[良く]便利だが、危険もあるので、自分たち[/達]の地域には作って[「造って」がより適切]ほしくない。
・原発の与える[与える]負の力が大きい。
・原発を作る[「造る」がより適切]ことで地域に対してお金が入る事は知っていたが[、それが]一時的なものだとは知らなかった。
・[原発を]作る[「造って」がより適切]ことは賛成ですが[、]場所はもっと安全な場所(富山など―出身は富山です)が良い。 [ご出身の場所に、というのはわかりましたが、同じ地域の他の方も賛成されるでしょうか?]
・自分が立場の悪い方にならないように選んだ。 [おそらく「それぞれの立場で、自分の利益になる選択をした」ということでしょうね]
・自分の身を考えると2番[=立場が変わっても意見は変わらない]になる。
・住民としては、問題[=原子力発電所での事故やトラブル]がおきたとき[起きた時]こわい[恐い/怖い]から。
・住民としては安全性を求める。
・住民として安全性をもとめる[求める]
・将来的に技術者になるかもしれない立場からすると、[自分は]技術者にならなくてもよい[良い]かなというところがある。 [進路について迷いがあるようですね]
・情報があったり、視点が違ったり[すること]で考え方がかなり変わる。
・地域が壊れてしまっては困る。
・日本のエネルギー面を考えると賛成だが、地域住民としては危なく[、そのような]存在性のあるものはつくって[造って]欲しくないと思った。
・[原発交付金という]麻薬には慣れたくない。
・立ち場[正しくは「立場」]によって見方は変わる。
・立場によって意見が変わった。 [複数]
・立場によって考え方が変わることを実感した。
・立場を変えてみると、原発に対する見方が大きく変わった。

2.変わらない(「原子力発電をどんどん推進すべきだ」とか「原発絶対反対」)などがこの立場になります

[原子力発電を推進する立場]

・どちら[の立場で]も賛成。
・仮に[自分の]地域に建造されても住居移転の自由があるから、会社が転勤可[能]なら、転勤する。 [前述(↑)した、移転費用や精神的負担はどうでしょう]
・技術者として判断するとき[時]に、地域住民としての判断も考慮しているから。
・[原発が]嫌だったら[自分が]引越せば良いと思う。 [こちらも]
・正しくないこと[=原発を建設し、稼働させること]も多数が[電気エネルギーという]利益を選択しなければならない。
・先を考える余裕などないから。 [気持ちはわからなくはないのですが、それで就職活動を乗り切れるでしょうか]
・長い目で見ると、利益の方が多そう。

[原子力発電に反対する立場]

・お金より公衆の安全の方が大切である。
・トイレのないマンションであることが変わりないため。東京に原発を作って[「造って」がより適切]ほしい。
・技術者としても、住民としてもやはり安全が第一だと考える。
・原子力は扱いきれているようで、[まだ]正しい[廃棄物]処理の仕方すらできていない危険なものなので反対です。
・原子力発電そのものが良くないと思う。
・原発に反対だから。
・公衆の安全を考えるのであれば、原発は絶対に反対である。
・私がまだ学生であり、原発の重要性を理解していないのかもしれないが、やはり被害がでた[出た]時のことを考えてしまう。
・普通に動かすには問題ないが、先のような災害[=東日本大震災]時には、とても危険になると考える。
・福島での被害状況を見ると[、]とても作ろう[「造ろう」がより適切]と思う気にならない。
・利点も多いが欠点も多いことを知っていたため。


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

[例として取り上げた原子力発電について]

・安全の優先が先ではないのか。 [もちろん最優先です。でも経営面も考える必要があります]
・原子力発電について深く考えられた。 [今日の話は全部実話です。知らなかったことが多いだろうと思います]
・原発は雇用などの問題も解消し、事故が起こる確率も極めて低いと考えられるから建てても問題ない。 [それはそれでわかりますが、福島の事故を経験しても、「確率は極めて低い」と言いきれるでしょうか]
・市民の生活圏に入らない安全な場所に発電所が[この場合は「発電所を」]作れ[「造れ」がより適切]ないものか。 [う〜ん、国内にそんな場所があるでしょうか。またお話ししたように、電力消費地から遠く離れるわけにもいきません]
・対策による絶対安全は不可能。 [それはそれでわかるのですが、この方は原発賛成の立場です。主張の整合性はだいじょうぶでしょうか]

[研究倫理について]

・FFPはやってはいけないことだと思う。
・レポートなどの盗用に気を付けたい。 [以上、スライドを見ると、研究不正の印象がずいぶん変わったんじゃないかと思います]
・今回の講義で紹介された、捏造の裏にある気の迷いは[、]特に自分達が気にとめて[留めて]おくべきことだろう。 [まったくその通り。非常に重要な点です。大学や研究所、あるいは研究室といった所属組織に問題があり、研究不正に疎いリーダーがいて、そこに弱い人間が入ると研究不正は非常に起きやすくなります]
・大学でも不正があったことに驚いた。 [残念ながら、それが現実です]
・不正など勉強になった。
・不正行為はしてはいけないと改めて思った。
・論文の不正行為等が意外と身近で起こっていることにおどろいた[驚いた]。 [以上、今日のスライドでずいぶん考えが変わったんじゃないかと思います。「自分から守る」ことが大切なんですね]

[今日の一言]

・つかれた[疲れた]。 [課題か実験かで大変なようですね]
・なし。 [はい]
・何か頭がクラクラする。 [どうしたのかな。調子があるレベル以下になったら、診療所を訪れてください]
・技術者は、自分の都合ではなく、社会について考えなくてはいけないことが分かった。 [まったくその通り。特にこれからは大切になります]
・人間の身勝手さがよく[良く]分かった。 [立場が替わると......の件ですね。びっくりしたでしょ]
・立場が違えば物の見方が変わる話は非常に納得できた。授業で何のためにるテークホルダーや価値について学んでいるのか理解できた。 [ありがとうございます。逆にこちらは、その点を先に教えておくべきだと気づきました。お礼申し上げます]


西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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