平成28年4月21日更新

3EP1クラス
第3回:平成28年4月21日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

※スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故を題材に、倫理的考察や意思決定に必要な概念や用語などの解説を行う 
・チャレンジャー号爆発事故に関する解説
・技術者と価値(特に、安全)
・リスクに関する概説
・対立する価値と倫理問題
・ステークホルダーと価値
・技術者の直面し得る倫理問題とその種類(ジレンマ問題、線引き問題など)
・倫理問題と設計問題のアナロジー
・倫理思想の特徴と代表的倫理学理論
・倫理的意思決定の方法(概論):エシックス・テストおよびセブン・ステップ・ガイド
・なぜ、科学技術者倫理が求められているのか@(メタ、マクロ、メゾ、ミクロの観点から)
・科学技術の歴史とエンジニアリングの特質
・近代科学技術と倫理思想
・技術者はなぜ特別の責任を負うのか
・技術者が共有すべき価値と倫理綱領(概説)

授業の運営方法

・PCを用いた講義
・チャレンジャー号爆発事故に関するビデオの視聴
・関連する視聴覚教材の視聴
・演習
など

学習課題 予習・復習

・予習:教科書の第4章、第5章、第6章および第7章の精読(120分)
・復習:課題2(Agora上でチャレンジャー号事故について、倫理的問題構造およびステークホルダーなどの事実関係の分析)(180分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)

Q.スペースシャトルチャレンジャー号事故に関するビデオをご覧いただいて、個人で最初に感じたことは?
A.解説前の感想であることにご留意ください。講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます。

・MT社の社長は、技術的な問題を経営の両方を考える必要があった。NASAからの大きな圧力がなければ賛成してしまうことはなかったと思う。
・NASAとMT社幹部と技術者で認識のズレがあったように思える。
・NASAの圧力にも問題があるが最終決定に同意した責任者全員に問題あり。
・NASAやっちゃったな。
・エンジニアとしての責任を持って最後まで意見を変えるべきではない。安全が何より大事。
・おばかさん。
・サイオコールの上層部とNASAが悪かった。
・サイオコール社が最後まで延期を主張すべき。
・サイオコール社だけを責めることはできないのかなと思った。
・さまざまな思惑によって事故はさけられ[避けられ]ないものになってしまったのだと感じた。
・すごい[凄い]話だった。
・たとえ事情があっても正しい判断をすべきであった。
・チャレンジャー号事故は、不幸な事故というよりもある意味、おこる[起こる]べくしておこった[起こった]事故だと思った。
・とても失敗する可能性が高かったので、打ち上げをするべきでなかった。
・とても怖いと思った。自分もおなじ[同じ]立場だと思う。 [後半は、あのような立場に追い込まれたら自分も同じように判断してしまうだろう、という意味でしょうね]
・なぜ利益を優先したのか。
・フェイルセーフとしての2次リングだと思われるが、1次リングは焼き切れるものとして運用されているのはおかしいと感じた。
・ボブランドさんが最終的に意見を変えたから・・・。
・ミスは起こってからじゃ遅い。その前に止めることが必要だと感じた。ケアレスミスをなくす。
・やっぱり責任は人は負いたくない。
・以前みた[観た/見た]ドキュメンタリーのこのスペースシャトルのをみた[観た/見た]。安全面だけが問題じゃないが難しい。
・一つの判断ミスがこんな大きなことにつながって[繋がって]しまうのかと思った。経営と技術の関係は難しいと思った。
・下請け企業は大変だなと思った。
・会社の利益と安全のどちらを優先させるべきか考える必要がある。
・危険だとわかっていても、打ち上げてしまうほど安全以外の所でプレッシャーがかかっていたんだと思った。
・危険だと言っているにも[かかわらず]シャトルを打ち上げ、事故を防げなかったのが残念。
・技術者の意見が通らない組織体制が良くないと思った。 [無条件で賛成、というわけには行かないと思いますが、組織の問題という指摘についてはまったくその通りですね]
・技術者は、社長などの上の立場の経営者にはさからえ[逆らえ]ないと感じた。
・技術者側としては中止してほしかったという意見を優先したかったはず。
・経営のためと迫ら[れ]ちゃ[、]しょうがないか。
・経営者の立場からみる[見る]と[スペースシャトルを]飛ばすことに賛成だが[、]安全を考えると飛ばすのは危険のため反対だ。
・結局のところ、いかなる状況でも私利私欲と満心[正しくは「慢心」]が原因で事故につながった[/繋がった]と確信した。
・結合部が温度の関係で打ち上げ失敗するのかほぼわかっているため確実な選択をした方が良いと思った。
・元請けの会社まで問題を理解するのは難しいことが分かった。
・個人の判断と集団心理[による判断の影響]の重さがよく[良く]わかった。
・個人や会社の利益を優先するとこうなるという良い例だと思った。
・後の祭りだが、もっと深く考えるべきだったと思った。
・最後まで打ち上げを拒否するべきであったが、色々背景があり、他が打ち上げすべきと言っている状況でのその決断を行うのは難しいと感じた。
・仕事をもらって[貰って]いる側なので、プレッシャーをかけられたら賛成するしかないと思った。
・止められたら良かったが[、組織の]内部に入れば[判断と行動は]違うのかもしれない。
・事故が起きてアメリカ、NASA、MT社が責任のなすり[擦り]合いをしていて汚ない[原文のママ。正しい送り仮名は「汚い」]なと思った。
・事故が起こることがよけん[予見]できていたが、会社の経営をも考えて判断することがとてもむずかしそう[難しそう]だった
・事故が起こる可能性の高い計画を止められるはずだったのに、いろいろな立場の問題で止められなかった。
・集団の意見に流されてしまうと大きなミスをしてしまうと思った。責任の取り方が大人の世界は複雑だと思った。
・上からのプレッシャーが強すぎ[過ぎ]た。
・人命を預かるとき[時]、技術者、経営者どちらの立場で物を作り世に出さなくてはいけないのか。
・昔にこれほど重大な事故が起こっていて衝撃的だった。
・前年のスペースシャトルの損傷をふまえ[踏まえ]て、事故が起こる可能性が高いと考え、打ち上げを延期するべきだったと思う。
・他人に自分の命を預けられなくなる。政府はどうなの?
・大きな会社でもお金をけちることと設計の過信があることが印象にのこった。
・大きな事故だと思った
・大規模な計画における意思決定はかなり難行する[原文のママ。おそらく「難航する」の誤り]のだと思った。
・大規模な事故になっていないだけで、どこででも起こっていそうなことだと感じた。
・頭では理解していても状況によっては圧力により冷静さを欠いた判断を下す事もあるので、技術者はそのような状況でも冷静に対応する必要がある。
・日本でも人工衛星の打ち上げを延期したことがあった。おそらく、この事故がちらついたのだろう。この事故がなければ、別のところで事故が起きたかもしれない。
・発射を最終的に許可した人はもう少し考えるべきだと思った。
・利益ばかり考えて安全性をおろそか[疎か]にするのはよく[良く]ない。
・利益を求める人とぎ性[原文のママ。正しくは「犠牲」]になる人が同じになることは少ないと思った。


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

[チャレンジャー号事故のビデオ視聴と解説について]

・「安全性が第一です。」自分が技術者になったとき[時]は、これを念頭において[置いて]おきたい。 [その通り。ただし現実の社会でそれを実現するためには「僕/私は反対です」だけでは通りません。いかにして実現するかをこれからの講義で一緒に考えましょう]
・NASAも大変だったと・・・。 [文字通り、板挟みだったんですね。歴史的な経緯もあるし]
・ある条件が絡むと人の考えは揺らぐと思った。あと[後]はプレッシャーなど。 [その通り]
・おとし[落とし]穴にはまった[嵌った]らどうすれば良いでしょうか。(はまらない[嵌らない]ようにするやり方はわかりました。) [それを、これからの講義で考えます]
・キツイ話だった。
・すごく大変なことだと思った。 [以上、でしょ?]
・[この事例に比べれば]ブラック企業[の方]がましに思えてきた。大きな責任をとる[取る]ことに比べれば、長時間労働や低賃金の方がまだいい[良い]方だど思える。 [気持ちはわからないではないのですが、ブラック企業も問題です。そもそも法律違反ですし(法律との関係は講義の中で考えます)]
・ボジョレーさんはインタビューの中でかっこいい事を言っていたけど、[事故が起こる前は]実際は何もできなかったので可哀相だと思った。[その時点で]彼にできた事は多くないと思うけど。 [十分にはご説明できませんでしたが、事故後、ボジョレーさんは可能な限りのことをしています。そのおかげで、問題点が明らかになったのです]
・もし事故が起きてなかったら、どうなっていたか。他[=スペースシャトル]の打ち上げにどう影響がでて[出て]いたか。 [非常に難しいですよね。ただし「ゆでがえる」現象が発生していることは事実なので、いつかは大きな問題になったと思います]
・レーガンさん[大統領]ががまん[我慢]すればよかった[良かった]。 [気持ちはわかりますが、その種の原稿は、他者(ブレーン)が書くんですね。レーガン大統領個人の問題ではないのです]
・圧力と責任逃れ恐[ろ]しい。
・暗い気持になった。
・気が重くなる。 [以上、ご説明しましたが、このような立場を押しつけられないように、この科目をしっかり勉強しましょう]
・技術者としての立場を考えさせられた。
・技術者と経営者の立場として、物事を判断することがむずかしい[難しい]と思った。
・技術者はきびしい[厳しい]立場におかれる[置かれる]事の多い職業だと思った。
・技術者はこわい[怖い] [以上、自分の専門だけでなく、社会との関係を考える必要があるんですね]
・今までは安全が絶対と思っていたけど、[必ずしも]そうではないんだなと思いました。 [公衆の安全は第一です。でも価格その他とのバランスも大切なんですね。戦車で通勤通学できないように]
・今日の講義から、物を作るとき[時]は安全性が第一であり、自分のことを重視するような技術者は良い技術者になれないことがわかった。 [その通り]
・今日みたいにビデオを見るのは、割と好きです。 [なりほど。これからも数回、ビデオをご覧いただきます]
・自分がもしボジョレーと同じ立場になったらボジョレーのように反論を言い切らなければならない。 [その通りなのですが、その考えを敷衍
(ふえん)すると、「どうやったら実現できるのか」の方が重要であることに気づくと思います。貴方/貴女の考えを否定しているのではなく、先に進めているのです]
・自分が技術者になったら・・・ということを考えるきっかけになった。 [なるほど]
・自分は上から言われたことをする。 [忠誠/忠実義務という観点からはまったく正しい行動です。問題は他の価値とのバランスなんですね。この点については次回の講義で考えます]
・社会に出てから、今日の講議[正しくは「講義」]のような落とし穴にはまらない[嵌らない]ように気をつけたいと考えた。 [ぜひぜひ]
・社会に出るのがいや[嫌]になってきた。
・社会に出る恐さがわかった。 [以上、社会のダークな面をご覧いただきましたので、気持ちはわからないではない。でもそれに負けずに、何とかちゃんと生き抜いていただく必要があります。それを考えるのがこの科目なのです。役に立つ科目でしょ?]
・少しでも良いアピールをするため、現状を無視して決行してしまう、という事例は事の大きさは違えど、現代社会いくらでもありそうだなと感じました。 [確かに]
・上からの圧力と周囲からの信用のダブルバインドは正しい判断をとれなく「取れなく」する。 [グレゴリー・ベイトソンの『精神の生態学』で述べられたダブル・バインド仮説ですね。良くご存じでしたね]
・色々とドロドロしていた。
・責任のなすりつけあい[擦り付け合い]は恐いと思った。
・大人の世界の深い暗[原文のママ「暗闇」の意?]。
・難しい線引きの話だと思った。
・判断には大きな責任がつきもの[付き物]だと思った。 [以上、確かにその通りなのですが、目先の出来事──それはそれで重要だけど──にとらわれずに全体を俯瞰
(ふかん)すると、やはりある種のパターンが見えてきます。それを考察し、対策を考えることの方がはるかに重要です]
・非常に興味深い話だった。
・勉強になりました。 [以上、ありがとうございます〜]
・目先の考えしかない人より、未来を予測して行動していかないといけない。 [まったくその通り]
・有人の製品にたいして[対して]の安全性の大切[さ]を理解した。 [ボジョレーさんが指摘していたように、たとえ無人であっても、その通り]
・利権などの要素がからみ[絡み]合って複雑な構造になっていて、事実を見極めることの難しさを知った。 [その通りなのですが、これからの社会を生きる皆さんには、要点を押さえてそれをぜひ軽々と乗り越えてもらいたいと思います]

[今日の一言]

・熊本の地震が心配です。 [何回かご説明したように、センセイも被災しました。とても心配です。特に社会的弱者が]
・先週、出席調査用紙に名前書き忘れました。 [わかりました。訂正しておきました]
・先生の話がわかりやすかった。 [ありがとうございます〜]
・電子的にレポート提出、というのは金工大ではいつごろから行うようになったのですか? [やはり数年前からでしょうね]
・二日よい[酔い]でやばかったです。 [......オイオイ、大丈夫ですか]
・疲れた。 [どうしたのかな?]
・倫理って難しい。 [センセイの説明方法が悪くて簡単なことも理解できないというのなら話は別ですが、こちら側がお伝えしたいことをひとまず理解した上で、というのならその通り。確かに簡単ではありません。でも、良く考えてみると、現実の社会って、今日説明したようなことがいくらでもあります。ぜひ皆さんは、そのような社会をしっかり生き抜き、さらにはこの社会を良い方向に変えていただきたいのです。そのための科目です。その意味で、なら、確かに難しい]


西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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