平成28年4月26日更新
3ER1クラス
第3回:平成28年4月26日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
※スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故を題材に、倫理的考察や意思決定に必要な概念や用語などの解説を行う
・チャレンジャー号爆発事故に関する解説
・技術者と価値(特に、安全)
・リスクに関する概説
・対立する価値と倫理問題
・ステークホルダーと価値
・技術者の直面し得る倫理問題とその種類(ジレンマ問題、線引き問題など)
・倫理問題と設計問題のアナロジー
・倫理思想の特徴と代表的倫理学理論
・倫理的意思決定の方法(概論):エシックス・テストおよびセブン・ステップ・ガイド
・なぜ、科学技術者倫理が求められているのか@(メタ、マクロ、メゾ、ミクロの観点から)
・科学技術の歴史とエンジニアリングの特質
・近代科学技術と倫理思想
・技術者はなぜ特別の責任を負うのか
・技術者が共有すべき価値と倫理綱領(概説)
・PCを用いた講義
・チャレンジャー号爆発事故に関するビデオの視聴
・関連する視聴覚教材の視聴
・演習
など
・予習:教科書の第4章、第5章、第6章および第7章の精読(120分)
・復習:課題2(Agora上でチャレンジャー号事故について、倫理的問題構造およびステークホルダーなどの事実関係の分析)(180分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.スペースシャトルチャレンジャー号事故に関するビデオをご覧いただいて、個人で最初に感じたことは?
A.解説前の感想であることにご留意ください。講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます。
・1度、1つ目の部品が機能しなかった事例を知りながら安全と思うのがわからない。
・MT社の幹部がなぜ危険性を理解していないのに打ち上げに賛成したのかわからない。
・MT社は難しい立場にいたのだと思えた。
・NASAからの圧力がとても大きく感じた。
・NASAからの圧力と寒さによる問題で板ばさみ[挟み]になってしまったことが最大の原因。
・NASAは、技術者の意見を圧力で変えたように感じた。技術者として打ち上げに賛成した人はいなかったと感じた。技術者の意見の影響が小さすぎる[/過ぎる]と思った。
・oリングが役割をはたさない[果たさない]ことを説明できていれば事故はおこらなかった[起こらなかった]かもしれない。 [後付ですが、やはりプレゼンテーション能力は必要なんですね]
・エンジニアとして同調圧力[=集団思考のこと]にたえねば[耐えねば]ならないと思う。
・エンジニアはもっとo-リングの二重構造のことを追究するべきだった。
・それぞれの立場というものはあるが、どんな立場においても人命を第一に考えるべきだと思いました。
・とてもひさん[悲惨]な事故だと思った。
・なぜ最後まで反対を通す人がいなかったのか。
・ボジョレー[氏]は安全性が第一だといって[言って]いたし、自分もそれに賛成だ。
・モートン・サイオコール社は技術者の言葉の重みと前回[=1年前]の事例をもっと重要に考えて[今回は打ち上げを]中断すべきだった。また、NASAに事故が起こる確立[正しくは「確率」]と事故の責任性(→事故が起こった時の被害)をうったえ[訴え]なければならなかった。
・ロケット打ち上げに反対。現場の人間が危険と言っている。
・安全を軽視することの危険性を感じた。
・安全性ではなく、企業[の利益]を優先してしまったから事故につながった[繋がった]。
・意思決定[の場]になぜ技術者がいなかったのか疑問である。
・下うけ[下請]会社の立場だと、不可能とわかっていても実行しなければならないのだと感じた。
・下請けと[し]ては元請けであるNASAが発射を求めたので断る方が難しいと思った。
・下請けは元請けの意見に流されやすいのは厳しい。
・会社の収入の半分がNASAから入っているとなるとNASAからの意見に反対するのはきびしそう[厳しそう]。
・会社は関係者全員がおいつめ[追い詰め]られた結果でおきた[起きた]ことで[、]大なり小なりはあるが誰かだけが悪いというわけではないと思った。でも誰かが責任を取らないといけないので、社会で生きるのはつらい[辛い]と思った。 [前半はとても重要な点を指摘しています。画に描いたような「悪者」っていないんですね。それでも事故はおきてしまう。後半を含めて、「じゃぁ、そうならないために、どうすれば...」をこれからの講義で考えます]
・企業[=元請け]からの圧力があっても技術者は「安全」を考えないといけないのだと感じました。
・企業のミスは個人個人の反断[正しくは「判断」]のミスやプレッシャーでおとづけられている[原文のママ。「片づけられている」?]。企業が安全を考えなくなっていたと思う。
・危険だと感じたらやめる[止める]べき。120%慎重に行動すべき。 [気持ちはわかりますが、「じゃあ、いつになったら打ち上げられるんですか?」と問われたらどうしますか]
・気温が低いという最悪の状態でなぜ、打ち上げてしまったのかよく[よく]分からない。
・技術者としてではなく計営[正しくは「経営」]側になれという言葉が印象的だった。
・技術者としても経営者としてもよく[良く]わかる気がする。
・技術者と経営社[原文のママ。正しくは「経営者」]では、価値感[正しくは「価値観」]が違うのだと思った。
・技術者に対して圧力をかけていた当時の背景が見える。
・技術者の立場ではどれだけ意見を[具申(ぐしん)]しても意味がない物に感じた。
・技術的な最善の判断が企業としての最善な[正しくは「最善の」]判断にならない。
・技術的に不可能だったことが、プレッシャーによって可能だと思わす恐怖。
・経営が難し中[原文のママ]の決定は難しい。
・決断むずかしい・・・。
・結論ありきの議論gな行われているように見えた。
・現場の意見のほう[方]が大事だった。
・現場の意見は大切なはずなのに[社内の]地位を持つと自分の事しか考えない。
・現場の声を重視すべきであった。
・考えるのをやめ[止め]たい。
・最終的に様々な組織が急ぎ過ぎていたと思う。
・最初の打ち上げに反対していても、圧力などによって意見を変えてしまうのはよく[良く]ないと思っていたが、[もし自分がその立場なら]自分でもそうするかもしれない。 [後半に気づいているのは成長だと思います]
・事故が起こるとわかっていて打ち上げたのならそれは、人殺しと同じだと思った。
・自分がその[=判断をする]立場にいたら、意見の多い測[正しくは「側」]について[付いて]いたと思う。
・自分の意見をもって[持って]いても[社内や会社間での]格が下だと、ほとんど耳を傾けてもらえない。また、上は上で圧力がすごい[凄い]と思った。
・上からの圧力があり、打ち上げをすることになってしまったが、安全を一番に考えるならば、最後まで反対するべきだったと思った。
・世の中金が大事ではあるけれど、それでも人命を選べる様になりたい。
・責任を問われる立場なら最後まで反対するべきだったと思う。
・前年も自己寸前であったのでやめる[止める]べきであった。
・打ち上げるべきではない。
・打ち上げを強行した理由がわからない。
・第3者視点から見ると、なぜ問題や危険のあった状態で[打ち上げを]行ったのかと感じるが、当時の状況から、人間として、とても難しい判断だったと感じた。
・板ばさみ[挟み]になるのは大変なことだと感じた。
・被こよう[雇用]者の発言力はとても低い。その上で反論したとき[時]はこよう[雇用]者[の側]が、ちゃんと理解する必要があるのだと思った。
・副社長がどりたにたおれて[倒れて]も責任の内容が違うダウけだった。oリングの実験データがなぜないのか。
・命にかかわることなのに、みな[皆]他人事で、そんなにも利益が必要なんだと感じた。
・様々な方面からの圧力や意見を考えなければならないのは大変だと思いました。
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
[チャレンジャー号事故のビデオ視聴と解説について]
・いつか自分も[同じような立場に]・・・と思うと、ゾッとします。 [それを想像できたのは、貴方/貴女が才能を持っているからですよ。大半の方はどうしても他人事として捉えてしまいがちです]
・ジレンマ状態は恐ろしい。 [その通り。対処方法についてはこれからの講義で考えます]
・スペースシャトルの事故についての説明が分かりやすい。 [ありがとうございます]
・チャレンジャー号事件の本質的な話ができたのでとてもためになった。 [ありがとうございます。歴史を含めた背景がわかると、ずいぶん印象が違うのでは?]
・チャレンジャー号事故はむずかしい問題だ。 [まったくその通り。我々は結果を知っているので偉そうなことを言えるという面があります]
・とても興味のある背後関係です。 [ありがとうございます。背景がわかると印象が相当違うと思います]
・ボジョレーさんは、プレゼンをせいこう[成功]する[原文のママ。正しくは「成功させる」]べき。 [それはその通り。ただし彼としてはできる限りのことをしています]
・安全を第一にする真の技術者の重要性がわかった。
・安全性が第一。
・安全性を第一にかんがえよう[考えよう]と思った。
・安全第一。
・安全第一はとても重要であることが分かった。 [以上、まったくその通り。ただし、次回の講義以降ご説明しますが、他とのバランスが難しいのです]
・会社組織は大変だと思った。 [その通り。でもやり甲斐もあります。両方が真実です]
・技術屋の意見を大事にしてほしい。 [その通りですが一般論として、危険性その他を専門家ではない経営陣に理解してもらう必要があります。技術者にはその能力が求められているのです]
・技術者には社員としてのジレンマがあることがわかった。
・技術者は辛い仕事だと思った。
・技術者は物を作っているだけの仕事ではないのだなと思った。
・巨大システムの不和[原文のママ。「不調和」の意?]は、人間1人で変えられそうにない。ヒヤリハットの重要性を再確認できた。 [その通り。これらの件についてはこれからの講義を通じて考えます]
・今回の事例はとても考えることが多いと感じた。 [前述しましたが、歴史を含めた背景を考えると、いろいろ考えさせられますよね]
・社会って難しいですね。 [その通り。でも講義の最後にお伝えしたように、それでも何とか乗り切って生きていかなければならない]
・上の立場の人[や組織]に言いくるめられないようにしたい。 [まったくその通り]
・前回も似たようなことを述べさせてもらいましたが、人間あわてる[慌てる]とまともな判断ができなくなってしまうので、落ち着きを持って行動するようになりたいです。 [こちらもその通りで、次回の講義でその方法を考えます]
・誰か特別悪いわけではなくても、こうして事故が起こるのは恐いと思った。 [非常に重要な点を指摘しています。上(↑)の「回答」の中にも同意見の方がいらっしゃるのですが、独力で考えたのですからとても偉いと思います。「悪人」って、実際にはあんまりいないんですよね。それでも事故などが起きてしまう。「じゃぁ、どうすれば...」をこれからの講義の中で考えます]
・中間管理職って辛い。 [その通り。でも誰かがやらなければ組織は動きません。それにやり甲斐のある仕事です]
・背景を見ていくと上[=NASAや、そのさらに上のアメリカ政府]が大きすぎ[/過ぎ]た。板ばさみ[挟み]による問題ほどいや[嫌]なものはない。 [その通り。ジレンマ問題への対処方法はこれからの講義の中で考えます]
・非常に難しい問題だと思った。 [むしろ、背景を知れば知るほど、ね]
・様々な思わく[思惑]がある中で、最善の行動を選択することはしなければいけないが大変難しい事だと感じた。 [こちらもその通り。でも何とかして適切な判断をしなければならない]
・歴史の勉強になりました。 [歴史的な見地が入ると、ずいぶん印象が違うんじゃないかと思います]
・話が複雑すぎる[/過ぎる]。 [気持ちはわからないではない。でも現実の社会って良し悪しは別にして、こんなものですよ。そして皆さんは何とかしてその社会を生き抜かなければならないのです][今日の一言]
・あつい[暑い]。 [今日はそうでしたね。お分かりの通りすべての窓を開けました。冷房が入るまではこれが限界です]
・だんだん難しくなっていく。 [気持ちはわかります。でもこの講義は大学の正規の科目なので、やはり難しいことも考える必要があります]
・ねむかった[眠かった]。
・ねむく[眠く]なった。
・みんな3限目は[眠くて]つらそう[辛そう]だ。 [以上、上(↑)にも下(↓)にも出てきますが、実は新学期の疲れが出ているんだと思います。もうすぐ連休なのでそれを使ってリフレッシュしてください]
・課題がんばり[/頑張り]ます。 [ぜひぜひ]
・今回はねむかった[眠かった]。 [上記(↑)ご参照]
・今日はあつかった[暑かった]。
・今日は暑かったし、眠気もすごかった[凄かった]。 [以上、密かに疲れが溜まっている上に今日は暖かい。しかも食事後だったし、グループワークもありませんでしたからね。次回はグループ活動をしますよ]
西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。