平成28年10月6日更新

3BB1クラス
第2回:平成27年10月6日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

(続き)
・直面する可能性のある倫理的問題に関する具体例
・グループ討議と討議結果に対するコメント
・E-learningやグループ討議の事例分析課題(ソーラーブラインド、ギルベイン・ゴールド)に関する解説
・セブン・ステップ・ガイドの概説
・本学の教育目的と大学の質保証問題
・「倫理」とは何か(用語解説)
・倫理と法
・「科学技術」、「技術者」とは何か
・「科学技術者倫理」とは何か、その特殊性

授業の運営方法

・PCを用いた講義
・グループ討議
・討議結果の発表
・グループ討議の結果に関するレスポンスシートの作成
など

学習課題 予習・復習

・提出:課題1(90分)
・復習:「アカデミック・インテグリティ」に関する文献の精読、第1〜2回で学んだことについての考察の深化(90分)
・予習:教科書の第2章、第3章、第4章、第5章、および第6章の精読(180分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)

Q.仮想事例「百万石F1グランプリ」を読んで、貴方/貴女個人としてはレースを開催すべきだと思いますか?
A.わざと「開催しますか?/しませんか?」と二者択一で尋ねています。講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます

1.開催する

20名(42.6%)

2.開催しない

27名(57.4%)

1.(条件付で)開催するべき

[この場合は、「もし事故が発生したら...」を考える必要があります]

・F1レースは元々危険が伴う競技であるので[この条件下でも]事故のリスクはあまり変わらないと思う。また必ず事故が起こるとも限らず、安全に終わる可能性もある。したがって[従って]多くの人の期待に応じて開催すればよい。
・[すでに]お金がかかっているし、お客さんも集まっている。選手やクルーも集まっているため。
・[すでに]お金もかかっているし、多くの人が協力や見に来ているから。しかし、少しコースを短くしたり、開始時間を遅くする。
・コースに水たまりがあるなら処理する。スタッフ、アルバイトに事前にコースを点検させれば事故のリスクは下げられると思う。
・ここで中止したらみんながっかりする。事故にならないかもしれないのでやってみたらいい。個人的にはレーサーの意見をきき[聞き]たい。[彼らの]優先したい。
・やるだけやって気温の上昇がみこまれ[見込まれ]ない、もしくは、事故になった場合、そく[即]中止すべし。
・レーサーに相談する。レースに出ると言った選手だけで行う。
・一度大会は中止になっており、二度目の中止はありえないと考えたから。また、再度中止の選択をすれば、多くのヒトの信頼を失うから。 [もし事故が起きたら、長期的な信頼は?]
・延期するとお金が大量にかかったり、手間がかかるから損失を与える人の数が多い。
・観客1000人や窓口の人、テレビ局の人、弁当販売者など多くの人に迷惑をかけてしまい信用を失ってしまうから。 [同上(↑)]
・現時点で判断する材料が少なすぎるため、中止する必要はない。氷をすべて溶かしてしまえば良い。
・昨夜から待っている人もいるから。
・事故の可能性はどんなコンディションでもゼロになることはないから。それならば、レーサーやお客さんにリスクを説明した上で開催した方が良い。
・周囲の期待に応えるため、中止の際の問題が多いから。
・先週開催を中止して大混乱になったのに、また中止するわけにはいかないから。大会を待っている人がたくさんいるから。
・選手が、やれると思っているから。また、氷が、張っている所は、割ればいいと思う。 [最初の部分は確認された事実でしょうか?]
・多くの金額が動いていることから。
・中止にしなくても、時間をずらせば、できるのでは?
・明確に事故が起こる情況[誤字ではありませんが、「状況」と表記することが多いです]とは言えず危険因子に対しても即時対応可。

2.開催するべきではない

[こちらの場合は、「じゃぁ、いつになったら開催できるんですか」あるいは「損害はどうするんですか」等が問題になります]

・F1のレースはちょっとしたことでも大きな事故になりそうだから、少しでも危険性があるなら開催すべきではないと考えた。
・どんな時でも事故はつきものだ。しかし、万全でない状態で開催すれば、事故が起きた場合[、]責任は実行委員にいく。
・もし、事故が起きて、ドライバーが亡くなってしまったとしたら責任がとれない[「責任を取れない」]。お金も大事だが、人の命を軽く考えてはいけないから。
・安全第一だと思うから。どうせやるなら、最後まで気もち[持ち]よくやりたい。
・怪我人が出る可能性が高いから。
・危険だからやらない。
・危険なのでやらない。
・危険なレースになることが予想できる。もし、大事故につながれば、今後レースを開催できなくなる可能性がある。
・気温が上がらない懸念があるので薄氷がはっているため危険と考えたから。
・客や選手の安全を第一に考えて、開催しないまたは遅らせる。
・金より命のほうが大切だから。
・死傷者が出るよりましだから。
・事故がおきる[起きる]確率が高く危険だから。 [その確率は確実ですか?]
・事故が起きてからでは遅いから。
・事故が起きて死亡者が出た場合の損害が[、]開催しなかった場合の損害よりも大きいから。
・事故が起きる可能性が高く危険だから。 [同上(↑)]
・事故が起こってしまえば、選手や観客の命も危ないし、中止する以上の損害が出る。
・事故の危険があり、技術者から安全の保証がされていないため全責任が金沢大会委員長にかかってくるから。
・人の命が大事!安全第一。
・人命が一番大切だから。失ったお金は取り戻せるが、命は戻せない。優先すべきはレーサーの命だと思う。
・人命が大事。
・選手の安全を考えて。
・選手の安全を優先。今回は開催しないという意味ではなく、気温が高くなるまで延期しなければいいのではないか?もちろん関係者に説明と相談したうえ[上]で延期する。
・大事故が起こる危険があるため。
・大事故になって死人でも出たら取り返しがつかないから。
・百万石サーキットにはところどころ薄氷[が存在]しているようなことをいって[言って]おり、さらにぬれて[濡れて]いることもあり、事故がおこり[起こり]やすくなっているため。


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

・1つの判断がとても重要になることがわかりました。ビデオたのしみ[楽しみ]にしています。 [ぜひぜひ]
・NoかYesかの考えしかできていなかったので、話を聞いてみておもしろかった。
・Yes,Noの問題ではなかった。
・YesかNoか以外の答えも考えることが大切であると思った。
・YesかNoで決めると言われたら、どちらかで決めてしまうと思った。 [以上、特に最後の方の気持ちはわかります。次回の最初で別なケースを用いてご説明します]
・おもしろい意見が聴けた。 [良く頑張ったと思いますよ]
・ケースバイケースだと思う。 [確かにその通り。ただしすべてが個別事例であり、共通の要素要因がないのなら、勉強する必要はないということになりますよ(嫌味で言っているのではありません。論理的な問題です)]
・けつだん[決断]の大切さを学んだ。 [それをこの講義全体で考えようというわけです]
・スペースシャトルの事例を知らなかった。怖い。 [工学倫理では有名な事例ですが、皆さんが生まれるはるか前なので知らなくても無理はありません]
・そもそも金沢でF1を行なえるはずがないと思っていました。 [実は気づいていたんですね。とても大切なことです。でも「YesかNoか...」と迫れる中で、そのことを忘れてしまっていた、あるいは遠景に遠のいていたのではありませんか]
・つかれ[疲れ]ました。 [う〜ん、議論にでしょうか。それとも別な要因でしょうか]
・どんな答えを出しても必ず批判はくる[来る]。 [確かに。でもそれぞれに対してきちんと理屈を立てられるようになる必要があります]
・やはり安全性を重視すべきだった。 [確かに大切なことです。でも次回以降ご説明しますが、価格その他の要因も重要ですよ。採算が取れなければ事業は成立しなくなってしまいます]
・ロケットマジで怖い。視野の広さの大切さを知った。 [まったくその通りなんですね]
・安全性と資金が両立できることを考えなければならないと思った。 [こちらも、別な意味でその通り]
・一つの事例をとっても考えることはたくさんあるんだなと思った。 [そうなんです。見えている(=与えられた)条件は僅かなので、自分たちでその背後にあるいろいろな要素を考える必要があるんですね]
・開催する、しないの判断はどちらを選択してもリスクはあり、決断は難しい。 [その通り。ただしすべてがバラバラなのではなく、実は背後にかなり共通する要因があります。それを一緒に考え、体得しようというわけです]
・各グループの意見が五分五分に分かれていたことに驚いた。 [そうでしたね。最初の42.6/57.4%から大きく変化しましたよね]
・楽しかった。 [ありがとうございます〜]
・割とみんな発想力がないんだなと思った。 [最初はまだ頭が堅いので、こんなものです。それでも良くできた方ですよ。これからに期待しています]
・気が付かぬ間に、視野狭搾に陥って、周りに流されることに恐怖を憶えた。 [非常に重要な点に気づかれましたね。「視野狭窄
(きょうさく)」を漢字でしっかり書いていることを含めて、素晴らしい]
・技術者は大変だ。 [その通り。でもその分、非常にやり甲斐のある仕事だと思います]
・議論を黒板に書かせるのは良いと方法だと思った。 [ありがとうございます〜]
・金沢の山の方でレースなんておかしいと思った!しかも4月っていうのが悪い。 [ある種の引っかけ問題だったんですね(ペコリ)。でも例えば雪が降る新潟にも「日本海間瀬サーキット」があります。F1ではありませんが]
・広い視野をもって物事を見ることの大切さを知った。
・広い目で物事を見ることの重要性を知った。 [以上、みんなで考えた後で、違う角度から問題を見直すと、ずいぶん新鮮に感じられたのではないでしょうか。その驚きを覚えておいてください]
・昨日の台風はすごかった[凄かった]です。 [いやぁ、センセイもびっくりしました。個人的には強風に吹き飛ばされたことが2回あります──実話──が、それは新潟の海岸部の話。金沢でこんなに強い風を経験したのは初めてです]
・視野を広くしたいと思った。 [そうとうびっくりしたようですね。まったくその通りで、視点を変えると問題の所在がはっきり見えてくることがあります。次回の最初に別な事例を用いてご説明します]
・次の事例は、恐い話だが少し興味がある。 [ご期待ください]
・自分で思い付かない対処法もあり、興味深かった。 [グループで、そして教室全体で話し合うと、気づかなかったことがたくさんあることに驚かされます]
・授業が楽しかった。 [ありがとうございます。次回以降も期待を裏切らないように頑張ります]
・正確な判断は難しい。 [その通り。じゃぁ、どうすれば......を、次回以降系統的に考えます。ご期待ください]
・先生には詐欺[師]や教主[原文のママ。たぶん宗教などの「教祖」の意]になることができると思う。 [う〜ん、どうでしょう]
・先生の誘導にハマる人が多かった。 [実は、最初の「YesかNoか...」で舞台は設定済なんですね。そこから抜け出るためにはどうすればよいのか、をこれから一緒に考えましょう]
・先生の話がためになった。 [ありがとうございます〜]
・選択をせまられ[迫られ]た時にも冷静な判断ができるようになりたい。 [ぜひぜひ。今日は割と時間を使いましたが、実際の場面では僅かな時間で判断する必要があります。そのために必要な考え方や方法、技術をこれからの講義で学びます]
・台風のせいで、さい[犀]川のサイクリングロードの木が何本か折れていた。 [そうですか。やはり最大瞬間風速40m/s以上の風。それを考えると被害はかる違法だと思います]
・長い目で考えるべき事しようなら、前提条件の「あなたが○○さんならどうするか」という質問のしかた[仕方]をかえる[変える]べきだと思う。「この問題についてどう思うか?」など。 [その通り。だからこそ罠(?)に落ちていただくために「どうするか」という問いにしています。実はもう一つ、「道徳的行為者」という考え方があるのですが、これは後日説明します]
・追いつめ[詰め]られた場合、その場でするしかないと決定するのはいけないと思った。長い目で見ることが大切だと思った。 [その通りで、追い詰められると良い判断をする可能性はどんどん低下してしまうんですね。「じゃぁ、どうすれば...」をこれからの講義の中で考えます]
・適切な判断するのは難しい。 [そりゃそうです。でも貴方/貴女だって現実の問題を判断しています。さらにこれらの問題の背後にはかなり共通する要因があります。それをこれからの講義の中で考えようというわけです]
・答えを2択で求められているのだからそのどちらかで答えるしかない。 [気持ちは、わかる。次回の講義の冒頭で、別な事例を用いて説明します]
・難しかったです。 [そりゃそうでしょう。頭の、ふだんは使わない部分を酷使したのですから。でもこれからしっかり生きていくためには必要なことです。頑張りましょう]
・抜け道を見つける。 [そうなんです。今回の場合は「創造的中道法」と言います。後日ご説明します]
・物事を考える際には視野を広くする。
・物事を判断するときに、長い目で判断することが重要やなと思いました。 [以上、まったくその通りで、時間的、空間的、そして関係性の面で長く、広く、そして相対的に考える必要があるんですね]
・問いの本質を見抜けなかった。もう少し考える力を身に付けたい。 [最初ですからわざと「落とし穴」に落ちていただきました。その驚きがこれからの勉強に繋がります]
・容易な判断による危険性を垣間見た気がする。 [一種の予感、ですね。上(↑)の方もそうですが、その予感や驚き、違和感がまだ見たこと、考えたことのない未知の世界へ導いてくれるのです。その感覚を大切にしましょう]


西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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