2020年10月14日更新

3FY1クラス
第3回:2020年10月14日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

※現実に起きた事例をベースに倫理的考察や意思決定に必要な概念や用語などの解説を行う

授業の運営方法

・PCを用いた講義
・関連する視聴覚教材の視聴
・演習
など

学習課題 予習・復習

・予習:教科書の精読(120分)
・復習:課題2(Agora上で事例分析)(60分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)

Q.スペースシャトル「チャレンジャー号」事故に関するビデオを視聴した感想を...
A.(回答後にご説明しましたので、原則としてコメントは控えます)

・12°[正しくは12℃]での打ち上げが成功してしまうという、例外的な事例が起こったため、NASAは 技術の過信をしてしまう。これが原因の一つであると思った。
・1つの小さな揺れが、最終的に大きな歪みに繋がるのだと思った。
・4人のうち3人が打ち上げに賛成していたら、どれだけ1人が反対しても最終的には打ち上げることになっていたと考えられる。上が重圧に負けずに部下の意見を聞き入れることが大切だと分かった。
・MT社の責任者[=経営陣]がかわいそうだった。圧をかけられている状態で、最後まで反対していたMT社に敬意を表すべきであり、何故反対していたのに最後は手のひらを返したのだと一方的にMT社を責めるのは少し違うのではと感じた。
・いろんな要因に影響されるため、正しい選択をすることは難しいと思った。安全性に関して楽観視するのは良くないと思った。
・これこそ心理学の問題であると思った。立場を変えて考えさせるのではなく、それぞれの立場を尊重し、意見としてまとめるべきだ。
・そもそもこの話し合いを前日に行っているのは遅すぎると思った。乗組員は安全だと思っているし、誰も正解が分からないのでもっと慎重にするべきだと思った。 [非常に重要な指摘です。ここまで追いつめられると、もう、正常な思考が難しくなるんですね。それをいかに事前に察知し、回避するかの方が重要です。また乗組員や家族は危険性を知らされていません]
・たくさんの人の事情や思考で物事が複雑になっていて恐ろしくなった。立場や担っている役割が異なると見えるものが違っていて、話し合うことは非常に大切だと再認識した。
・チャレンジャーの事故は、防ぐことができる事故であった。人の小さな過ちで、人の命を奪ってしまった。お金も大事だが、人の命より大切なものは無い。少数派の意見にもっと耳を傾けるべきだったと思う。
・チャレンジャー号の事件については以前から知っていたが、設計ミスがあったこと、すでに自己[正しくは「事故」]が予見されていた事は知らなかったので、驚いた。政府という大きな圧力に対して、屈してしまうのはしょうがない気がするが、人の命が関わっているところを踏まえると、正しく判断してほしかった。
・チャレンジャー爆発事故は、事前に防げる状況にあったにもかかわらず周りのプレッシャーから事故を防ぐことができなかったのは残念であもあり悔しい気持ちにもなった
・できるかもしれないと思われる状況自体も悪いものだと思いました
・どんなに事故が許されないという状況においても、集団による間違った意志決定がされてしまうことを改めて感じる事故であった。こういった場において間違っているといえる技術者になりたいし、ならなければならないと感じた。
・どんな間違いでも組織が決定した内容を覆すことは難しいと感じた。
・ビデオでは、チャレンジャー打ち上げに賛成の意を示した幹部の方々が「経営者として」判断したという発言があったが、経営者としての判断ならなおさらチャレンジャーの打ち上げは延期するべきだと思った。なぜなら今回のように無理に打ち上げて爆発事故のような大問題が起きた場合、何年後先のシャトル計画にまで、中断といった悪影響が及ぶことになり結果的により大きな損害を招く結果になると思ったからである。 [まったくその通りで、事故により計画は長時間中断されます。またシステムの経費も結局非常に高価なものとなりました。そもそもの概念設計が不適切だったんですね]
・ビデオを見て、間違った判断だったとしてもそれを決行することはとても恐ろしい事態を招くこともあるため、このことも教訓にするべきだと考えた。また、組織の判断によってそれが標準化されるため、自分の意志は持つべきだと考えた。
・安全だけにフォーカスをおいて、考えることができれば事故は起きなかったと思うが、そう簡単に意見が通るものではないのかなと思った。
・過密すぎる打ち上げの計画をしていて延期なども考えられたが危険なことがある可能性もあると考えられるため、打ち上げは中止するべきだと考える。
・会社の圧力は人の判断を狂わせるという例としてしっかりと覚えておかなければならないと感じた
・外国人ですら同調圧力や会社の体制に負けてしまうことがあるのだから、日本の企業だとさらにそういう悪が跋扈してそう。データの改竄を強いられているとか。 [まったくその通りです。比較文化の視点をお持ちであることは非常に評価されます]
・雁字搦
(がんじがら)めになってしまうと、正常な判断ができていたとしても周りの様子に流されてしまうのかと考えた。自分の思考を論理的に発言できるようにしたい。
・危険とわかっていても立場によって見え方が変わり、他にも様々な心理的作用が働いていることが分かった。
・危険を伴うものは真剣に考えた方が良い。技術者は安全性をもっと考慮するべき
・技術者側もNASAも自分たちの立場を優先した結果起きた事故のため、十分防ぐことができたと考えると残念である。
・経営者が技術者の意見に寄り添えばこのような事故は起こらなかったと思った。
・仕事上で圧力が掛かり、雁字搦
(がんじがら)めになるということは、どこでも起きることであり、自分が、どういった発言をしたかなど、ちゃんと録音などして記録に残しておく必要があると感じた。話を聞いた自分でも、周りに流されて、正しい判断が出来ないと思うため、記録に残すということはしておきたい。
・事故が起こることが分かっているにも関わらず、会社の経営を考えて打ち上げる決断をしたというのは、相当追い込まれている。
・事故には合いたく[事故の場合は「遭いたく」]ないなと思った。
・事前に予想出来た事故でありながら、防げないことはあってはならないと思った。また、設計ミスもありながらそれでもロケットを飛ばそうとすることは判断能力および責任能力が欠けているという事が明らかであると言える。
・自分の立場、責任を考えたらこうなってしまったのは仕方のない事だった。
・自分も同じ立場ならGOサインを出してしまうかもしれない。目の前の利益だけを考えてしまうとろくな事にならない
・収入の半分以上をNASAに依存していたら、冷静な判断ができないのも頷ける。B to Bの会社ならどこでも起こりうると思った。
・周りからの圧力ほど怖いものはないと感じた
・集団極性化には気を付けたいと思った
・上の者も下の者も立場上がんじがらめになって招いてしまった悲劇であると知った。
・上層部の重圧が、判断する側の精神状況を大きく変えてしますことを知り驚いた。スペースシャトルのように世界全体からの期待もあったため、判断に誤ってしまったのだと思う。このような事故を防ぐためには、定期的なミーティングで専門家の意見を聞くことが非常に重要であると思う。 [仰る通り、コミュニケーションが非常に重要です。この点はこれからの事例でも繰り返しポイントになります]
・人は他人の命よりも自分の立場が大事であるということが分かった。また、なぜ下請け会社が反対しても上の会社は無理な仕事を押し通そうとするのかが疑問である。二度と起きてはならない事件だと思った。 [ご説明したように、NASAもアメリカ政府に対しては下請けの立場ですからね]
・組織が大きくなると自分は反対だけど上が何とかしてくれるだろうって他人事になりがちにもなりそう [まったくその通り。これも集団思考の一つです]
・組織の組織形態のせいで起きた最悪な事故をこの映像と説明を通して理解出来た。下の人がいくら反対をし、問題点を呈示しても上の立場の人は利益などのことを考えているため決定を覆すことは難しい。このことは今の社会でも同様ではないかと考えた。
・多方面からの視点から考えるべきであったと思った。
・打ち上げることが危険とわかっていても他数の打ち上げ賛成の人がいると、意見を変えてしまうのはしょうがないこと可[正しくは「か」]と思う。
・大企業の責任の重大さから本質を見抜く能力を著しく失っていたことが挙げられると思う。悪い意味でひどく楽観的であったと言わざるを得ない。 
・単純に繰り返してはいけないと感じた。
・中間管理職のような板挟みみたいだった。周りの雰囲気とは強大であると感じた。
・低気温のため打ち上げはしてはいけない
・板挟みでの状態は大変であると考える。
・命の大切さが事故が起こってから分かるのは遅いけど、下請け会社の決断は難しいものだったと思った。
・役職が重いほど責任はその分だけ重くなることを改めて知った


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

・NASAの話が印象深かった。気候の問題で事故が起こり、人の命や人生を変えてしまった。しかし、この事故があることによって世界の技術者や経営者の考え方が変わったはずである。もう少し理解のある世の中になることを願う。 [NASAは非常に批判され、計画も長期間中断します。結局、長い目で見た場合、仮にコストだけに限定しても大損をしてしまったんですね]
・アメリカ政府の責任転換が酷い…
・アメリカ政府の対応は納得のいくものではないが、政府もNASAもMT社も何かに追い詰められて下した決断であったため、いろんな角度からの原因を次に生かすしかないのかなと思った。 [以上、今回はご説明していませんが、たとえば原爆を広島と長崎に落とした時も、アメリカ政府および軍は、原爆開発に携わった科学者に責任を転嫁します]
・いろいろなことを総合的に考えるのは難しいと思った。 [確かに。でもオトナになったらそれを考えなければならない]
・この事故があったことで、同じようなことを繰り返さないように考える事例となったと思う。 [前述(↑)しましたが、仰る通りその後に大きな影響を与えています]
・サイコパシーのように生来的な悪人もいるような気がする。 [確かに、そうでしょうねぇ。でもそれはごく少数なのでは?]
・すごいのはNASAだけじゃない。 [アメリカ政府も...という意味でしょうか]
・どの立場にいても命にかかわる判断は難しいことが分かった。 [その通り。でも皆さんがこれから果たす役目も、直接/間接、あるいは見えやすい/見えにくいの別はあっても、安全や人命と繋がっているんですよ]
・どんなに金銭的費用がかかっても自然災害には、抗う技術がないので安全を優先すべきだと分かった。 [ただし、一般論ですが、たとえば安全な堤防のために無尽蔵の資金を投入するわけにはいきません]
・もう長袖じゃないと生活できなくなりました。 [そうなんですよ。急に寒くなりましたよね。金沢でのセンセイは安普請のアパートに住んでいるので、寒くて毛布を掛け布団に替えました]
・もし自分が追い詰められた技術者の立場であったら、絶対に発射を許可しないとは言い切れないと思った。自分の意思や視野を広くして客観的意見を持つことの重要性を知った。 [素晴らしい]
・やっぱり集団極性化には気を付けたい [その通りですね]
・やるべき答えが分かっていても、周りからの重圧などにより判断が鈍くなるということが授業を通じて理解することができた。たとえ相手が目上の方でも正しいことを伝えることは、勇気がいると思うが、伝えていく必要がある [まったくその通りですね]
・ロケットが爆破するシーンをみて、とても怖いと感じた。経営者は市民や乗員の命を第一に考えるべきであったと思う。 [こちらも]
・過去に起こった事案に対する対応を見て就職先を選ぶのも良いかと思えた [まったくその通り。次の事例で言及するタカタという会社は、分社して経営者が変わった後も自動車のシートベルトのデータを改竄していた、と今日報道されました。会社の体質はそう簡単には変わらないものです。会社を選ぶ時は慎重になりましょう]
・外の音が好きなので多少寒くても窓は常に開ける派です。 [偉いなぁ。ただし、外の音が聞こえると安心するという面はあるかなと思います。密室だと気が滅入ってしまいます。ただし遠隔授業中は騒音が入るので締め切っていますが]
・危険を察知したら、その危険によって起こる問題を想像し、未然に防ぐことが大切である。 [まったくその通りですね]
・基本的に世の中全員良い奴だと思っているのですが、やっぱりたまに何もかもに辟易としちゃうこともあります。 [「すべてがどうでも良いと感じるように」という意味でしょうか]
・技術者は安全を求めているため打ち上げを延期したいと考えていると分かった。 [現場は現実を良く知っているので、危険性をリアルに感じていたはずです]
・金木犀の香りが最近弱くなってきました… [素晴らしいセンスですね。見習いたいものだ]
・経営者からの視点や技術者からの視点など、いろんな視点があるが、安全性に関して技術者からの視点をないがしろにするのは良くないと感じた。 [基本中の基本、ですよね]
・今までの修学基礎[科目群]の中で一番ためになる [ありがとうございます〜(涙)。皆さんの期待を裏切らないように頑張ります]
・今回の講義はビデオで見た事故が一番印象深かった。何かに巻き込まれることは避けて通れない時もあると考えるが、巻き込まれないためにはどうすればよいのかということを考え続ける必要がある。 [まったくその通り]
・今回の講義を基に、自分の置かれている状況を理解しながら原因をまとめることが必要であることがわかった [こちらも、その通りですよね]
・今回の最後のスライドに記載してあった「関係性の中で誰もが非倫理的行動を取ってしまう」というの自分にも今まで生きてきた中で思い当たる節がいくつもあったので心に強く響いた。ちなみにその場面のほとんどで後々後悔していたなという自信がある。 [気持ちは良くわかる。何故わかるか...については問わないように]
・今回の授業では、立場や責任に押しつぶされ正常な判断ができず、招いてしまった人為的ともいえる事故の例を見て、正に反面教師になった授業であったと言える。 [そうですね。実際、その後に大きな影響を与えます]
・事故の映像が衝撃だった。 [本物の映像は、決して派手ではないかもしれませんが、有無を言わせない力がありますよね。しかもセンセイのご両親の姿も入っていましたし]
・自分の意見を主張することも大事 [その通りですが、どうやって相手を説得するかもポイントです。ボジョレー氏のプレゼンの事例から学ぶべき点ですよね]
・自分自身、すごく流されやすい人間なので、チャレンジャー号の事件では、普通に打ち上げてしまうと思った。 [気持ちは、わかる]
・将来入社し、会社のために働いたとき、今回の授業で紹介された事例と同様に上の決定にしか従うことが出来ない状況があるかも知れない。そうなったとき、いかに最善の選択ができるかに掛かっているのではないかと考えた。 [その通りですね]
・小さな判断ミスの怖さを知った [しかも、部下から報告を受けているのに...です]
・上からの圧力をなくすことは出来ないのかとむなしく思う。
・上から圧力をかけられた時、部下はどんな間違った内容でも逆らうことが出来ないことがわかった。 [以上、上から、あるいは元請けからの圧力をなくすことは難しいです。そのために必要なのは良好なコミュニケーションです。この点についてはこれからの講義でご説明します]
・色々知ることができた。 [それは良かった]
・人の意見に流されない心に芯を持った社会人になりたい。 [まったくそうありたいものです。頑張ってください]
・人の命を優先するか、自分たちの立場を優先するか、冷静に考えれば簡単な答えだが、追いつめられると適切な判断が出来なくなってしまうのは怖いと思った。 [仰る通りで、だからこそ危険を事前に察知する力が重要なんですよね]
・人を乗せているにも関わらず、命を優先的にしない人間の心理が考えられない [その通りなのですが、後から考えると、皆が追いつめられて正常な思考が難しくなっているんですよね]
・責任の押し付け合いがあるのが悲しいなと思った。それが当然なのは仕方ないけどあまり許容したくない。だからといって何かできるわけでもないけど…。やっぱりそういう場から逃げるのが一番なんでしょうね。 [最後の最後は、ね。でもより大切なのは、このような状況に陥らないことです。これからの講義で考えましょう]
・大企業は大変だなと思った。 [大企業はどうしても「大企業病」に罹りやすいんですね]
・大人ってずるい生き物だなと思った [ズルいです。はい。でも、いつまでも子供でいるわけにはいかないのですね]
・不備があればそのことを考慮に入れないとチャレンジャー号みたいになることが分かった [その通りですね]
・来週の話し合いが楽しみです。 [来週は大きなディスカッションをするわけではありません。意見交換、情報交換は行います。次々回にビデオを視聴し、次の対面授業の際に、メンバーを変更してディスカッションをします]
・立場か責任のどちらかに重きを置かねばならない状況に持ち込まれると正しいか考えられる行動に移すのは難しくなる? [次回の講義で説明しますが、この状況を「ジレンマ状況」(ジレンマ問題)と言います。どう対応すべきかは、次回以降の講義で説明します]
・立場や開示されるデータによって、判断が変わるということを学んだ。できるだけ、相手に、伝わるような情報の伝達を行うようにしたい。 [ボジョレー氏のプレゼンから学ぶべき点ですよね]
・倫理の視点として,ごく平凡な人がミスを犯しても許容できるという視点は今まで持っていなかったが,授業を通して納得した. [繰り返しになりますが、長所も短所も持った普通の人間がどう行動すべきか、ということなんですね]
・倫理的な問題だと思った [でしょ?]


西村が担当する授業の様子は、<nishimura-sensei.net>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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