2020年10月21日更新
3FY1クラス
第4回:2020年10月21日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
※技術者としていかに行動すべきか
・倫理的問題解決の方法
・エシックステストおよびセブン・ステップ・ガイドに関する詳細解説
・セブン・ステップ・ガイドを用いた演習
・PCを用いた講義
・関連する視聴覚教材の視聴やグループ討議を行うこともある
・演習(結果は、各自まとめて提出))
・提出:課題2(電子的提出)
・復習:セブン・ステップ・ガイドを使った事例分析の練習(60分)
・次回に向けた予習:課題 3(Agora上でのケースメソッド事例の倫理的問題構造、事実関係、ステイクホルダーなどの把握)(100分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.上司から、内容が懸念されるドラム缶の中身を「川に流せ」と指示されたら、貴方/貴女は...
A.(解説および全体討議前の反応ですので、原則としてコメントは控えます。良くお読みいただくとわかりますが、「1」あるいは「2」を選択している方の中にも、実質的には「3.その他」を選択している方が多いことにご注意ください)
1.流す 6名(14.0%)
2.流さない 25名(58.1%)
3.その他・無回答 12名(27.9%)
1.流す
・F1のケースにもあったが、後に発覚することを考えると長い目で見たら大損するため。 [この方は「2」では?]
・もし、その依頼を断ってしまったら、せっかく就職できたのに切られてしまう恐れがあるから。いけないことと分かっているが、やらざるを得ない。責任は課長に取ってもらう。
・後々問題になっても上司に帰責できる可能性が高いと判断した。とかげの尻尾切りに遭わないためにやり取りを録音しているとなおよい。 [最後の部分はチャレンジャー号事故から学んだことですね]
・功利主義で考えると、課長の前では黙認し流すのを手伝う。しかし、後に警察などに報告し、確認、回収を行ってもらう。
・自分の出世にかかわることであるため、課長の命令に従うべきだと思ったから。
・日本にいる以上、上司に逆らうと将来の道が無くなるから2.流さない
・もし[流]してしまうといずれメディアなどにばれてしまい、より大きなデメリット(罪に問われるかもしれない)を抱えることになるから。ならやらない方がいい。
・もし社会に知られてしまった場合は責任を問われる可能性があるため。課長ににらまれる場合には内部告発をし、課長の会社での立場を失わせる。
・一度でも、手を染めてしまってはいけないから。それは自信に誇れる仕事ではないから
・環境に悪影響を与える可能性があり、安全性が第一だから。
・環境に悪影響を与える物質であるのならば、近くの住民に害を与える可能性があるからだ。
・環境に問題が生じるから。
・環境系の技術者であれば自ら環境を悪くすることはあってはならないと思うから。自分の立場は一番最後に位置づける勇気を持つ必要があると考える。
・環境破壊になる.現状ではしない選択をして,第三者機関に報告する.
・環境被害を考えて、自分のことをその次に考えたから
・環境問題となって企業が訴えられたら後々に損をするから
・技術者としての信念を貫きたいから。
・許させないと考える。どのような具体策で実施するかを正常時から組織としてルール化しておく必要があった点、食品の技術者として安全性の意識が希薄だった点、食品安全面での危機管理の意識が低下していた点など現場の技術者に明確な落ち度があったから。 [基本的にはまったくその通りですね。大局的、構造的に見ている点は高く評価できます]
・残業であるため、する必要がない。中身が分からないものを川に流すのは環境に悪いから。 [「残業だから...」というのは当てはまるでしょうか?]
・自分のキャリアよりも複数の人の安全の方が大切だから。川に流して問題になったら結局はキャリアにも傷が付くから。
・実行犯になる恐れがあるから。その場合、上司は間違いなくそのような指示はしていないとトカゲのしっぽきりに合う[一種の災難なのでこの場合は「遭う」]可能性がある。
・川には流さない。捨てることが普通になってしまうと、本当に環境問題になってしまうため、流さないようにする。
・大人数の人に被害が及ぶ可能性があるから。
・中に入っている物質のせいで発生する可能性のあるリスクを負いたくないから
・中身が環境に悪影響を与えるものであれば、その物質を適切に処理する方法を考えることが必要になってくると考える
・中身が危ない可能性がある
・中身が分からないため、とても危険で有害な物質であった場合、周辺地域に被害が出る可能性があるため
・中身に確証が持てないものを流すのは危険であるため。危険物質であった時に社会的責任を取る必要になる。もし流すのであれば、責任者にドラム缶の中身がどのようなものなのか聞く必要がある
・中身の処分はするが、川に流すのではなく土に埋めるなどの提案をする。
・流したときのリスクが大きい。
・流していることがばれたら、イメージダウンは必至。そうなるくらいなら会社を辞めて別のところに再就職する3.その他
・しないを選択したいけど、川に流すくらい簡単な行為なら自分がやらなくても誰かがやりそう。この人よりも上の人に報告したい。身の危険があるなら辞めるしかない。そこで働きたくないし、今後も似たことがあると思う。
・その時間、私はいなかったという条件と今後の信頼性を重視するのであればするかもしれない。
・その上司より上の人がいるなら、その人に一度確認する。無理な場合は流す。
・違う上司に相談する。 [この対応策については、後半の議論でご説明します]
・一旦、中身の正体(確実な裏付け証拠)がわかるまで流さない、必ず教えてもらう。中身が大丈夫だったら流す、大丈夫じゃなかったら絶対に流さない、流した場合後からどういう形であれ後悔することになると思うから。
・液体自体を調べて、中和させることが出来るのであれば、中和して流す。
・課長にドラム缶の中身が何なのか、なぜ流したいかを聞き、納得がいったら流す。
・会社の相談室とか外部相談室に相談する。 [この意見についても、後日取り上げます]
・他の上司に相談する。また、急用など嘘をついてその場から回避する。
・中身について聞く。答えてくれないもしくは有害な物だった場合は流さない。流しても問題ないものであった場合は流す。
・流さないと断る瞬間の会話をボイスレコーダーにおさめる
・流すふりをして、川の流れに影響しないような穴にいれ、翌日に埋める
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・この授業をしていると、社会が嫌いになりそうで少し不安だ。 [最初はそう感じられるかもしれませんが、この講義で目指していることは真逆です。次回の議論を終えると、ある程度安心していただけると思います]
・しっかり最適の判断が下せる気がしない [最初は誰でもそうです。セブン・ステップ・ガイドはどちらかというと「習うより慣れろ」です。対面で議論するとかなり印象が変わると思います。もう少々お付き合いください]
・ジレンマ問題が出てきたときは、とりあえずいったん落ち着いて考えるということを学んだ。落ち着いていなければ、まともな判断もできないため、落ち着いて考えるということをしたい。 [まったくその通りですね]
・セブン・ステップ・ガイドが難しそうだった。
・セブン・ステップ・ガイドは難しいそうだと思った。
・セブンステップガイドが思っていたよりも難しかった。
・セブンステップが難しそうだった [以上、実際にやってみるとわかりますが、セブン・ステップ・ガイドは見かけより難しいです。場数を踏むことが大切です。ぜひ討論シートは印刷して、とにかく手を動かして書き込みをしてみてください]
・どちらにするか、難しい判断であると思った。 [それを適切に判断するためには、内容物が何なのかなど、情報を整理、確認する必要があるんですね]
・ドラム缶の中になに[何]が入っているのかは、そこで働いているのなら知っておくべきだと思った。 [その通りですよね]
・ドラム缶の中身が危険物であること以外の可能性を考えていなかったため、意見が偏ってしまっていた。 [雨水の件はびっくりしたんじゃないでしょうか。ただしご説明しましたが、この例題の設定にはやや難があります]
・もうこたつを出しました。最高です。 [急に寒くなりましたからね]
・咳大丈夫ですか? [ご心配をおかけしました。当方は原因物質不明のアレルギーを持っており、薬を服用しています。呼吸器系も丈夫ではないので、声が枯れたり、咳をしがちです。悪しからずご了承ください]
・技術者は安全第一であり、自分の事は最後に考えると分かった。 [ボジョレーさんから学んだことですね]
・激しい気温の変化はつらい [まったくその通り。朝晩は寒いですよね]
・結果を見る功利主義と、意図を見る義務倫理について勉強になった。 [どこに着目するかで見え方がずいぶん変わるんですよね]
・考えさせるような内容であった。個人的に、流される子を助ける行為について、良いも悪いも言えないと考えていたので、悪いと考えている人の方が多く、驚いた。
・講義を聴いて、行動理念を考え直した気がした。
・今回の授業も中々面白かったです。(これは一言ではないのですが、webサイト内の2000年代前の旅行記を拝見いたしました。寝台列車と言いますか鉄道での旅、お好きなんですね。私も鉄道での旅は大好きでして、今までに何度も18切符を握って旅をしてきました。夜行列車はムーンライトながら・信州、急行はまなす、サンライズに乗ったことがあります。寝台特急が沢山走っていた時代が羨ましいです。 [ありがとうございます。貴方の年齢を考えると、とてもたくさん乗っていらっしゃることに驚かされます。当方はJR東日本の一部区間(関東)を除けば、JR全線に乗車しています。興味があったら遊びに来てください。なお、「今日の一言」は何を書いても良いので、ご自由にメッセージをお残しください]
・今回の講義で心に残っているのは行為の結果ではなく意図を重視するという義務倫理学の考え方である。当たり前のような内容だが、昨今この考えがないがしろにされる風潮が世間でも度々見られるので私自身胸にしっかり刻み直そうと思った。 [まったくその通り。非常によいセンスをお持ちだと思います]
・今日も天気が良い [でも、明日からは下り坂です]
・最近寒いですね [朝晩は寒いですよね]
・社会人になりたくないと感じた。
・社会問題を考える良い機会になった。
・就職する事が嫌になりそうです [以上、次回の講義後に改めてご説明しますが、実際の企業はもっと健全です。というか、そうでないと維持できません]
・初めて倫理学理論を知ったが、川に飛び込む例のとき、自分がどこに注目しているかハッキリしなかった。非常に難しい問題だった。
・状況に対しての事実、ステークホルダーに対しての考え方を復習しようと考えた。 [以上、その通りで、どこに着目するかで全く違って見えるんですね]
・線引きよりもジレンマの方が、分かりやすく、解きやすいということがわかりました。 [次回の講義での最初に、ダブルバインドの例を紹介します]
・眠かった [睡眠不足かな?]
・来週の内容も楽しみだ。 [ぜひぜひ]
・倫理は普遍的なものなんだとよく分かった [物理法則ほどではありませんけどね。日本は普遍性を軽視するので、ぜひこのチャンスに、ちゃんと考えてみましょう]
・倫理を実際に考えると、悩ましい問題がいくつもあって、判断が難しいと感じた。
・倫理問題には唯一無二の答えがないため、自分の正しい判断が必要であることが分かった。
・倫理問題の考え方は難しいと思った。 [以上、最初はとても取っつきにくいと思います。どちらかというと「習うより慣れろ」です。できるだけ手と頭を動かし、場数を踏みましょう]
西村が担当する授業の様子は、<nishimura-sensei.net>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。