2021年5月13日更新
3EP1クラス
第4回:2021年5月13日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
※技術者としていかに行動すべきか
・倫理的問題解決の方法
・エシックステストおよびセブン・ステップ・ガイドに関する詳細解説
・セブン・ステップ・ガイドを用いた演習
・PCを用いた講義
・関連する視聴覚教材の視聴やグループ討議を行うこともある
・演習(結果は、各自まとめて提出))
・提出:課題2(電子的提出)
・復習:セブン・ステップ・ガイドを使った事例分析の練習(60分)
・次回に向けた予習:課題 3(Agora上でのケースメソッド事例の倫理的問題構造、事実関係、ステイクホルダーなどの把握)(100分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.上司から、内容が懸念されるドラム缶の中身を「川に流せ」と指示されたら、貴方/貴女は...
A.(解説および全体討議前の反応ですので、原則としてコメントは控えます。良くお読みいただくとわかりますが、「1」あるいは「2」を選択している方の中にも、実質的には「3.その他」を選択している方が多いことにご注意ください)
1.流す 15名(26.3%)
2.流さない 27名(47.4%)
3.その他・無回答 15名(26.3%)
1.流す
・ボイスレコーダーや書面などで上司からの命令でやったという事を手元に残しておくことで、もし中の物が悪い物であった場合に自分だけが悪いことにはならなくなる。 [チャレンジャー号事故からしっかり学んでいますね]
・一旦やって[=廃棄して]、その夜辺りに働く理由の一つである親に相談する。結果働き続けることになった場合、その場でしたほうが丸く収まる。やめる場合でも、やったことが後に尾を引くことは少ないだろうから。
・今後にらまれ[睨まれ]るのが怖いから
・指示を無視したとき[時]に、何をされるかわからないから
・自分が働いている上司のことを怪しむようなことはあまりよく[良く]なく[、今後も]会社に残る為
・自分の中でそれぞれの行動を起こした場合のメリット等を考えて1にしてみたが正直なところなかなか選択できずなんとなくで1にしてしまった。するにもしないにも別の行動をするにも利点があり私には選べなかった。
・自分の立場が大事であるから [これを「保身」と言います。保身自体は悪いことではありません]
・自分の立場を守るうえで仕方のないこと。この人はこういう人間なのか、ということが分かっただけよかったと割り切る。
・上司との仲を険悪にしたくない
・上司の命令だから
・上司の命令を従うしかない。生活に支障が出る可能がある。
・流さないと上司との関係も悪くなり、会社に居づらくなるため
・流すべきであるとおもった[思った]。
・倫理的によろしくないとは言え、自分の出世が大事だから。2.流さない
・1度やってしまうと、今後も同様の指示を受ける可能性が高いから。上司のさらに上司にあたる人に知られたとき[時]、より社内での立場が無くなるから。
・[流しては]いけないものを流した場合、責任は自分にあるから
・ドラム缶の中身がわからないから
・ドラム缶を流すことでそこに住む住民に被害が出る可能性があるから。
・一度[でも悪事に]加担してしまうと、今後も利用される可能性があり、怖いから。記録を残し、いざとなったらそれを持って通報する。 [後者では証拠が必要ですよね]
・何が入っているのか分からないから。
・何を流すのかの説明が出来ないのであれば、環境に悪影響を及ぼすかもしれない他、自分勝手ではあるかもしれないが、共犯になりたくないから
・確実に間違った行為であり、これを行ってしまったら今後ずっとそれが自分の中で引っ掛かり続けて、後悔する事になると思う。後から取り戻せない後悔はしたくないから。
・環境に悪い中身だった場合、被害が非常に大きそうだから
・後から大きな問題になって責任を取りたくない。
・後々のことを考えるとやってしまったときのリスクの方が大きいと思うから
・中の物質が分からないため流さない。上司ににらまれ[睨まれ]る可能性があるが、川への影響が出た場合やそれが世間に指摘された場合[、自分が]責任を押しつけられる方が怖い。嫌がらせをされ続けたとしてもいつかはぼろが出る可能性が高く、自身から会社側に指摘するなどの行動もとれる[取れる]ため
・中身がわからないとか何をやらされているのか分からなければ成長できないし、自分の責任になるかもしれないから
・中身がわからないものを川に流し、環境に悪影響を及ぼしたくないから。一会社での立場よりも社会的立場を優先したいから。
・中身が何か分からないから
・中身が何なのかもわからないので
・憧れだった企業が影[正しくは「陰」]で故意に環境破壊をしていたらまず中身を川に流すのは断り、翌日に会社を辞めると思います。
・明らかに環境を汚染すると分かっているなら、流してはいけないと思うから。
・問題が発覚した際に責められないようにするため
・問題になった場合自分に被害が大きく、地球にも悪影響のある可能性があるから
・流さずに告発。告発者を守る法律があるし、企業側は告発者を辞めさせるとイメージが悪くなるので辞めさせずらくなる。地元の優良企業であれば長く勤めたいのでそうした方が得。 [最初の部分に関しては、講義の最後の方で考えます]
・流さない方がいい[良い]と思うから
・流してしまったことの罪悪感を感じたくないから。
・流すべきではないと思った。3.その他
・がんばって中身について聞く
・ドラム缶の中身を上司に確認し、内容を知ってから処理する。だめなものの場合、断るしか無いと考える。
・まず課長がどうして中身を川に流す必要があるかを聞き、可能であればドラム缶の中身を確認する。中身が川に流しても問題がないかを確認し、問題があるようであればドラム缶を持ち運ぶための力がなく運ぶことが難しいことを理由に辞退する。
・一回断ってみる。無理そうなら流す。
・会社の他の上司に確認して決める
・上司に中身を教えてくださいと言う。環境に及ぼす可能性がある場合は流さない。流して有害な物質だったら責任を自分に押し付けられる可能性があるから。
・他の上司に中身を聞いて判断する
・他の上司に電話、相談し流しても良いなら流し、そうでなければ流さない。
・中身を何か聞いてからするかしないか決める。
・中身を教えてもらえない理由と、環境への影響を聞く。
・中身以外の質問をして、この仕事の目的を探る(「なぜ自分にこの仕事を頼んだのか」「この仕事はこれまで何回行われていたのか」など)
・同期やほか[他]の先輩に相談してみる。
・本当に環境に悪影響の物質が入っているかどうか分からないので中身の成分を調べて有害でなければ流す。そうでなければ流さない。
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
[ボジョレーさんのビデオについて]
・ボジョレーさんは多くのキャリアの重ねてきたのに、それでも安全が第一と言い切れるのが素晴らしいと思った。 [そうですね]
・まずは安全が第一、次に顧客や製品、組織、最後に自分というボジョレー氏の考えに納得しました。 [でしょ?]
・安全性が一番大事ということはよくわかっていたが、第2に顧客、製品、組織が来て、最後が自分だという最後が自分ということはそうなんだという感じだった。それが真の技術者だという。このままだと落ちるだけだと思うので、だからこそ、自分の身は自分で守れるようにするために[何らかの]保険をかけなければならないなとおもった。 [確かに]
・安全性第一で自分のキャリアが最後に来ると、実際に体験した人の言葉は重いと感じた。 [そうですね]
・安全第一 [はい]
・一度自分が失敗したからこその言葉だったからか、とても気持ちが込められていた。いろいろなことを考慮しながら判断を重ねなければならないのでどんな時でも冷静に状況を把握しつつ自分の行動による影響を考えていけるようにしていきたいと思った。 [まったくその通りですね]
・初めのビデオで自身のことは一番最後に考えると言っていたが、それは少し違うのではないかと思った。もちろん安全を第一には考える必要はあると思うが、人間が生き物である限り自身が生き抜くために自身のこと優先することは何も間違ったことではないと思うから、必ずしも組織や周囲の人を優先するのが正しいとは思わない。 [前述(↑)しましたが、保身そのものは悪いことではありません。問題はバランスです]
・自分の職よりも命を優先できるのは実際にすごいと思った。 [言葉に重みがありますよね]
・動画を見てボジョレーさんの意見も正しいが上司としての立場から見る状況と技術者から見る状況で優先鶴[おそらく「優先する」]物事は変わっていくのも間違いない [確かに]
・無人機でも安全が大事という話を聞いて中国のロケットの切り離し部品[=第1段ロケット]が海に落ちた話を思い出した。 [そうなんです。この件をお伝えしようと思いながら、時間を気にして失念してしまいました][今日の一言]
・あのような上司と当たらないように、ならないように頑張ろうと思った。 [気持ちはわかるのですが、中身が雨水ならまったく問題ありませんよ。まぁ、夜の7時に雨水を捨てるよう指示するかどうかは別ですが...]
・ジレンマのジが2つという意味であることに感動した。 [高校の化学と繋がったのでは?]
・タンクの中身を流すか、流さないかで自分の立場や周りの状況でまた意見が変ってくると思った。 [でしょ?]
・プロジェクトデザインと倫理問題は被っていることがあることを初めて知った。 [両方の根底にはアメリカのプラグマティズムがあります。当方は大学院生時代、それを研究していました]
・何を重要視するかによって評価が全く変わるのが面白いと感じた [意図と結果のどちらに、そして立場によってずいぶん見え方が変わったのでは?]
・会社の命令に異議を言うのは難しいと思った [確かに。なお、通常は「異議を唱える」という表現を使います]
・技術者として安全性を考えることが第一だとわかったが、立場など他にも考えることが多く難しいと思った。 [だからこそ、この科目で考えるのですね]
・公衆の安全、健康、福利を背後にいる人達を考え考えることをみんなができているのかと疑問に思った。 [確かに。特に昨今の国内の状況を見ていると、指導層が情けない限りですよね]
・今回の講義はとても分かりやすかった [ありがとうございます。いろいろなことが繋がってきたのでしょうね]
・今日は所々電波状況が悪く聞き取れない部分があったが、概要はつかめたので来週の授業に備えたいと思う。 [無線だとかなりの頻度で切れてしまいます。分からないところがあったら、講義内でもチャットで教えてください]
・次回のケース・スタディとケース・メゾットの動画が楽しみである
・次回の授業が楽しみです [以上、ぜひ。ビデオには意外な人物も登場します。ご期待ください]
・自分が追い詰められた立場なら正しいことができなくなることが分かった。 [その通り。だからこそ、そうならないようにするためには...を、この講義で考える必要があるんですね]
・自分の目標を叶えて両親にも喜んでもらって羨ましいとも思ったのに、全く羨ましくなくなった。 [なるほど。貴方/貴女もぜひそうなってください]
・自分は功利主義的な考え方をしてると感じた。 [なるほど]
・社会人になったらボイスレコーダーを買おうという意思がこういう話題に関わるたびに強くなる。 [たぶんお手持ちのスマートフォンでも可能ですよ]
・上司がいい人間でないことは、自分にとってマイナスしかないと感じた。 [講義の最後の方で話すと思いますが、無能な上司の下で働くって、本当に辛いことです。当方の場合、幸いにも有能な人の下でも働いているので、それを強く感じます]
・人との関係は難しいなと感じた。 [難しいです。でも何とかしてそれを乗り切る必要があります]
・先週までに行ったことの復習にもなり技術者としての考え方が少し理解できた。
・線引き問題に苦手意識を持ってしまっているので、これから慣れていきたいと思った。
・線引き問題は考えるのが難しい [以上、誰がにとっても、やはり線引き問題は難しいです。焦らずに]
・早く討論がしたいと思った [同感です。対面だといいのですが...]
・良い行いと正しい行いは違うなと感じた。 [もちろんそういう場合もあります]
・倫理とは何かを改めて知ることができた。 [いろんなことが繋がってきたんじゃないでしょうか]
・倫理的な考えを学ぶことが出来た [当初の予想とはずいぶん違ってきたんじゃないでしょうか]
西村が担当する授業の様子は、<nishimura-sensei.net>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。