2021年5月13日更新
3EP3クラス
第4回:2021年5月13日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
※技術者としていかに行動すべきか
・倫理的問題解決の方法
・エシックステストおよびセブン・ステップ・ガイドに関する詳細解説
・セブン・ステップ・ガイドを用いた演習
・PCを用いた講義
・関連する視聴覚教材の視聴やグループ討議を行うこともある
・演習(結果は、各自まとめて提出))
・提出:課題2(電子的提出)
・復習:セブン・ステップ・ガイドを使った事例分析の練習(60分)
・次回に向けた予習:課題 3(Agora上でのケースメソッド事例の倫理的問題構造、事実関係、ステイクホルダーなどの把握)(100分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.上司から、内容が懸念されるドラム缶の中身を「川に流せ」と指示されたら、貴方/貴女は...
A.(解説および全体討議前の反応ですので、原則としてコメントは控えます。良くお読みいただくとわかりますが、「1」あるいは「2」を選択している方の中にも、実質的には「3.その他」を選択している方が多いことにご注意ください)
1.流す 11名(20.0%)
2.流さない 30名(54.5%)
3.その他・無回答 14名(25.5%)
1.流す
・ドラム缶の中身を流す行為が、今回が初めてではないだろうから、一回きりで済むのであれば流し、今後は他の新入社員に順番を回してもらうように頼む。
・課長の目の前で行い、一人で任せられるようになったら、流さず一部回収、自主退職後、匿名で公開
・業務命令だから
・今後の労働環境を悪化させたくはないし、ドラム缶の中身が有害なものである確証もない。さらに、上司の命令でやったことならば上司の責任であるので自分が不利益を被る可能性は低い。なので実行する。
・自分の保身を優先するため
・上司に目をつけられたくないから
・上司の指示であり,逆らえない状況であるから.
・上司の命令だから
・新入社員でまだその会社のことについて知らないことが多くこれからのことも考えると流してしまうと思う。
・責任は会社。今職を失うのは厳しい。
・不審なところはあるがお願いされたことを忠実にこなすことは大切であると考えたから2.流さない
・いくら目上の人の命令でも、やってはいけないことだから。
・その行為によってどれだけの被害が出るかわからないため
・たとえこの行動によってクビになったとしても、自分に何かしらの責任は押し付けられなくてすむ[済む]から
・ドラム缶の中身を流してしまった罪悪感が消えず一生引きずってしまいそうだから。
・もしこれが明るみに出た場合、自分もこの問題に関与したことになり、他企業への就職を考えなければいけなくなる。しかし一度技術者として落ちてしまった信用は取り戻すのが難しく、就活にも不利になるから。
・悪いことをやる勇気がない
・安全性が第一であり、どのような環境問題につながる[繋がる]かわからないから。また、働くうえで自分のやっている仕事に自信がつかなくなって、自分を失ってしまうから。
・何かあったときに責任を問われるのは自分になる可能性が高いから
・課長の悪事に加担させられる可能性があるから
・環境に影響が出る可能性があるため
・環境に被害を及ぼすようなものを川に流すことはできない。そんなことを命令する会社で働いていても人として成長することができない。
・環境の安全が第一であるから
・環境被害が出た場合に[自分の]気分が悪いから。
・間違っていることだから。両親に合わせる顔が無いし、気分が悪くなる。
・危険な気がしたため
・技術者としては絶対にダメな行為だし、たとえ今後嫌われたとしても自分の意思を貫きたいから
・嫌な仕事を押し付ける上司だと、結局合わずにすぐに[会社を]やめ[辞め]そうだから。
・後から問題になった時に責任を自分に擦り付けられる可能性があるから。
・自分が責任を負う必要がないから
・水俣病など公害問題に発展する可能性があり、周りの人に危害が加わるかもしれないから
・世間からにらまれ[睨まれ]ることを想定したときに課長一人ににらまれ[睨まれ]ることは大したことではないから。
・中身が有害物質だったら自分の責任になってしまう気がするから。
・中身の分からなものを捨てることはできないので上司に逆らってでも命令には従わない
・問いただした[質(ただ)した]結果、環境に有害なものであれば命令であろうと拒否することに加えて、しかるべき対処を行わなければ結果として自分にも不利益だから。
・問題が発覚した場合、実行した責任が問われるため。
・有害な物質である可能性が高いからである。また、次の日から睨まれる可能性を考慮し、動画等で現場を取り、警察に持っていく。3.その他
・この行為が課長及び課のものなのか、組織全体会社全体のものなのか確認する。
・この様な事例で問題となった出来事が最近あったため、よく[良く]ないのではないかとある程度は促すがそれでも押された場合、従ってしまう恐れがあるため。
・そのような状況なら1人だけで呼び出しされるだろうし、何かあったときのために録音して他の人に訴えることもできるだろうから、できるだけ状況やドラム缶の中身について聞いてから判断する。
・ドラム缶の中身が何であるかわかるまでは流さない
・ドラム缶の中身を聞いて中身が何かを確認してから決める
・何らかの理由を付けてその場から離れ別の上司に報告する。
・環境汚染が分かっていて流すのならそういった会社は早いうちに辞めたほうがいいと思い抗議を申し出る。
・川に流す以外の方法はないのか聞く
・中身が本当に有害な物質か確認する。有害物質だった場合は流さず、誤解だった場合は流す。
・中身は流さず、課長からの危険物放出の命令を上司に報告、課長への稟議[おそらく「抗議」のこと]が無効なら転職
・中身は流さず、第三者機関にこの件を相談する。
・内部通報を行う。業務改善が行われなかった場合、離職し第二新卒として就職活動を行う。
・部長や社長など上の人に相談をする。できなかった場合は捨てない
・流したことが問題となった場合、責任はだれ[誰]がとるのかを問う
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
[ボジョレーさんのビデオについて]
・キャリアを気にせずに行動することが出来る人は数少ないと思うので、ボジョレーさんの安全に対する意識の高さすごいと思った。
・どんなことであれ、人命が最優先であるということを感じた
・ボジョレーさんの安全性を大事にして自分を最後に考えるのは技術者の模範となる考えだと感じた。
・ボジョレーさんの言葉で自分を犠牲にしてでも安全を第一にすべきとあった。もちろんこの言葉を聞く前から当たり前のことだと思っていたが、もし本当に自分を犠牲にして安全を優先する立場になった場合とても難しいことだと感じた。 [以上、正直なところ、あそこまではできませんよねぇ]
・やはり安全を第一で技術者は考えるべきなんだと感じた [はい]
・安全が第一で、そのためにキャリアを失ったとしても本望であるというのはあの経験をしたからこそ言えることなのだろうなと思う。そのような経験がない人が心からそう考えるのは難しいだろうなと思った。 [確かに]
・安全が第一はその通りだと思った。しかし、安全を第一で働いている人は全員ではないと感じる。 [残念ながらそういう面はあります]
・安全性は二の次に来ない [そうなんです]
・安全性を第一に考えるという意見には納得できるが、技術者だけではなく社会全体でこの考えを優先する文化が必要だと感じた。 [確かに。今のコロナ禍の日本を見ると、まさにそうですよね]
・一番重要である、安全第一といった考え方は忘れがちである。 [確かに]
・技術者として、自分の責務を果たすことが最も大事であり、自分自身は最後に考えることであるという考えには全くその通りであり、理想的な技術者象であると思うが、実際に授業で取り上げたような場面にあうと自分を優先して考えてしまう人が多いのではないかと思った。 [実際はそうなってしまいがちです]
・技術者としての考え方として、利益など二の次で第一に考えるべきは安全だという心構えは、チャレンジャー号事件を通して明白に感じたので、この心構えはこれからの技術者として社会に出る際に常に念頭に置いておきたいと思った。 [ぜひぜひ]
・技術者としての立場と企業に所属している立場とで実際にありそうな問題事例でその時の環境や状況次第で判断が大分変わりそうだなと思った [そうなんです。状況をどのようにできるだけ適切に把握をすべきかをこれからの講義で考えます]
・技術者として優秀であることが出世には難しそうだと感じました [そうでもありませんよ]
・自分の主張するべきところで主張するのが技術者であることに感銘を受けた [日本人には耳が痛いですよね]
・動画にて職務を果たすという話が出ていたが、身を賭してまでの給料や対価が払われているかは疑問に思った。 [確かに。センセイらの月給は...トホホ]
・例え自分のキャリアに傷がついたとしても第一にお客様のことを考えるといった考えかたは技術者を目指す私たちにとってとても大切なことだと実感した [本当に見習いたいものですね][今日の一言]
・ジレンマという問題は簡単に比較的簡単に解決することが出来るということはわかったが、線引き問題はどこで区切るのかを判断するのが難しいと思った。 [後で練習しますが、ジレンマでも難しいですよ。線引きはもっと大変です]
・ジレンマ問題や線引き問題について理解することができた [習うより慣れろです。焦らずに進みましょう]
・ステイクホルダーの立場にたって[立って]考えることが難しいと感じた [特に学生のうちは難しいと思います。こちらも焦らずに]
・セブン・ステップ・ガイドが難しかった [最初は特に難しく感じます。前述(↑)しましたが、習うより慣れろです]
・タイピングが遅く、チャットに書き込むのが遅れるので練習しようと思います。 [なるほど。ちょっと焦らせたかもしれませんね。すみません]
・ドラム缶の事例を見て、より一層社会に出たくなくなった。 [気持ちはわかるのですが、解説したように雨水だったら何の問題もありませんよ]
・何か問題が起きた時に、その状況を整理する時間が必要だが、起きた時に判断しなくてはいけない場面も多くあると思う。そういう時のためにも演習をしておく必要があるのだと理解した。 [まったくその通り。まだ十分にはお話ししていませんが、限られた情報で、限られた時間内で判断、行動する必要があります]
・今回の科学技術者倫理の講義を受けて思ったことは、人間関係を構築する上でジレンマ問題などもあるが安全性を損なうことをしてはいけないと学んだ。また、何が正しいのかしっかりと考えていきたいと思った。 [まったくその通りですね。ありがとうございます]
・今日の講義最後あたりのドラム缶の話で、私は水俣病などの公害問題を思い出して、絶対に流さない方がいい!と思っていたのですが、よくよく考えてみると、ドラム缶に何が入っているかというのは一切書かれていなかったんですよね…。ドラム缶の中身が明らかに有害物質に見えるといっても実際には何の問題もない物質なのかもしれないし、そもそも中身が有害物質だって決めつけているのは勝手な思い込みなので(もし本当に有害物質でないのであれば、上司が中身について聞くなというのは少し辻褄が合わない気がするが)、倫理的に物事を考えるときは目の前に起こっている事実を見て考えるのが大事だと感じた。 [その通りです。ただし講義でも言及しましたが、仮想事例はどうしても無理な設定が入ります。これから視聴するケースやビデオでもそうです]
・次回やるセブンステップガイドはかなりボリュームがありそうだと感じた [最初のうちは特に難しく感じます。焦らずに進みましょう]
・自分が判断しなければいけない事を当事者意識以外でも見る事の重要さを知った。 [まったくその通り]
・新人は上司との良好な関係を築くことが大事だとわかった。 [そうなんです。コミュニケーションの重要性ですよね]
・絶対的な正解がないのが難しい [確かに。でも、講義内でご説明しましたが、優劣はあります]
・川に流す流さないを決断する話で,上司の目の前ですぐに決断しろと言われた場合は,講義内で考えたことよりも視野が狭くなってしまうのだろうなと感じた. [それが人間です]
・適格な判断をするためには、詳細な情報が多く必要であることが分かった。
・背後にあることを確認することが大切だと知った [その通り。「明記されていない情報が必要だ」と認識することが大切なんですね]
・倫理についてなんとなく理解していると思っていたが、言葉で説明することができなかったため今回の講義で学ぶことができた。 [それは良かった。着実に進んでいますよ]
・倫理観という一つの要素をとってもどこを重要視するかによって違いが大きいことを認識させられた。 [意図と結果のどちらに注目するかで、見え方がずいぶん変わってくるんですね]
・倫理的思考と,それを行動に移す難しさを感じた. [その通り。でもご自身のためですから、焦らずに進みましょう]
西村が担当する授業の様子は、<nishimura-sensei.net>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。