2021年10月7日更新
3EV2クラス第3回
(第2回):2021年10月7日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
(続き)
・直面する可能性のある倫理的問題に関する具体例
・グループ討議と討議結果に対するコメント
・ eラーニングシステム <Agora>やグループ討議の事例分析課題に関する解説
・セブン・ステップ・ガイドの概説 他
・PCを用いた講義
・グループ討議
・討議結果の発表
など
・復習:第1〜2回で学んだことについての考察の深化(90分)
・予習:教科書の精読(180分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.グループ討議や全体での発表、討議、当方からのコメントの結果、前回の個人的な感想は変化しましたか? あるいは見落としていた点に気づきましたか?
A.(原則としてコメントは控えます)
1.(ある程度)変化した 32名(76.2%)
2.(あまり)変化しない 10名(23.8%)
1.(ある程度)変化した/見落としている点があった
・チームの意見を聞いて視点が変わった [こういうことって、大切ですよね]
・延期するということ [スライドを提示したように実は、割と発生するんですね]
・開催しない時の賠償金などを考えてなくて[、]その点を考慮するようにした [その通りなのですが、逆に、表面的な資金に頭が囚われすぎてしまうという可能性もあります]
・開催する、開催しないという二つの選択肢以外にも考えることができるとわかった。私たちの班の「延期する」という案は話し合うことでできた[=話し合ってこの新しい案に至った]ので良かった。 [素晴らしい]
・開催するか、しないかで考えていたが他の対策もあることを知った [そうなんですね]
・開催者側が代案を用意するなど、想定外のことを考えていなかったことにグループ討議で気づいたから。 [それは良かった]
・開催場所の変更は頭になかった [これはおそらく、根本的な立地条件のことでしょうね]
・協力したら良い意見が出てきた [貴重な経験でしたね]
・見落としていた点はなかった [この方は「2」でしょうね。素晴らしい]
・最初は選手の安全を考慮して開催しないと考えていたが、具体的な金額を提示されたときに開催するという意見に変わった。そもそも事前に対策を考えていないことが問題と分かった。 [あの講義の進め方だと、どうしても流されやすいんですね]
・視野が狭くなっていた [それに気づいていただくよう構成しています。ですから、過度に思い悩む必要はありません]
・事前に考えることについて
・事前に代案や保険をかけることを考えていなかった
・事前条件や保険のことを考慮できていなかった。
・自分が受ける損失の大きさを見落としていた [以上、それ以前の方が問題なのに、ある意味現場がその解決を押し付けられているんですね]
・実行委員の配慮不足であった [これはおそらく、事前準備のことでしょうね]
・人が死ぬことはないだろうと考えていたが、最悪を想定すべきだった。 [やはり最悪の事態を頭に置いて行動する必要があります。特に土木は]
・先生の質問により、開催または未開催の二択しかないような見方に陥ってしまっていたが、元々この条件下でグランプリを行うことがおかしかったというこ[と]に気付けてたら、もう少し良い解決策があるのではないかと思った。 [そうなんですね]
・選手の気持ちが大事だと考えた。 [その通りですが、だからといって万一の時を想定しなくて良い、ということにはなりません]
・選手の命の危険しかしておらず、観客の命の危険を見落としていた。 [今回の事例では、観客の姿がなかなか見えませんよね]
・前提条件から変えていかなければいけなかった
・前提条件を考えなす[「なおす/直す」の打ち間違い]ことが必要 [以上、そうなんですね。それに気づいていただくための例なので、過度に思い悩む必要はありません]
・損害賠償と事故の危険性を天秤にかけることに気が付かなかった [その通りですが、単純に秤に掛けるというわけにもいきません。後の講義の中でこの「コスト便益分析」という手法の問題点と失敗例を考えます]
・代案を考えていないから悪いという結論は気づかなかった。 [そして、前提とね]
・中止の場合の代案や条件を考えておくことを見落としていた。 [そうなんです。あのグループは凄かったですよね]
・特になし [はい]
・保険などがあるため、そこまで損失はない。
・保険やそもそもの会場の立地などは考えることができていなかった。 [以上、視野が狭くなると、このような社会の仕組みが見えなくなってしまうんですね]
・本質的なことを見分けるということ。 [まったくその通り。素晴らしい]2.(あまり)変化しない/見落としている点はあまりなかった
・あなたはこの状況下においてどうするか、といった設問に対して、前提条件がおかしいなどと論述試験で書いた場合、点数が付かなくなるのに、今回の模範解答として持ち上げられたのが気に食わなかった。これに対してどう思ったか?という聞き方なら、まだ許容できたかも。 [最初ですから気持ちはわかるのですが、今回の例は、数学でいうと「“3x+6y=67”である。x、yは何か」というような内容で、これだけでは解が決まらない内容です。しかも倫理の場合、解は一つではありません。それに気づいた段階で、書かれていない必要な情報を探したり、前提を疑う必要があります。もしそれができないと、福知山線脱線事故の運転手の状況に陥ってしまいますよ。次回の講義で解説しますが、教科書p.42の「表2-6」を読んでください。なお「気にくわない」、「むかつく」等の表現は、社会人になったら、あるいは就職活動で現実の社会と接するようになったら使用を控えましょう(頭の中で考えるのはご自由です)。実際に使用するとほぼ即座に、「この人物は採用できない」あるいは社内で「使えないヤツだ」ということになります。一度貼られたラベルを剥がすのはとても難しいです]
・サーキットの場所を考えるということは見落としていた [まぁ、そのように構成されていましたからねぇ。そう簡単に気づけることではありません]
・そもそも、開催するしないよりもかんがえる[考える]ことがあるだろうとは思っていた。とくに文章にもあるこの時期は天気が悪い等の文章とかが例に挙げられる。 [この方は事実上、問題設定の本来の意味、つまり前提がおかしいということに気づいていらっしゃったわけです。素晴らしい]
・なし [はい]
・見落とした点はほとんどない [こちらも別な意味で良くできました]
・最初から損害のほうに重点を置いて考えていたため特に意見が変わることはなかった.けれどレーサーの命ばかり考えて観客の命についてを考えることは自分ではできなかった. [これから「公衆の安全、健康、福利」について考えます。焦らずに]
・事前に予測することが大事であるということがわかった [そうなんです。そこで基本設計やツメが甘いと、福知山線の事故のように、責任が現場に押し付けられてしまうんですね]
・代案を考えるという考えが足りなかったが、だいたい変わらなかった [素晴らしい]
・別日に行うと良いと思った [この件は、次回視聴するビデオに関する講義の中でも解説します]
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・1限なので頭が回らなかった。
・nemui [以上、数名の方がそんな感じでしたね。どうしても夜更かししがちな時期ですし、講義が2周してだいたい様子がわかり、ちょっと緊張感が緩んできたんだと思います。でも講義は講義、できる限りのことをしましょう]
・いろいろな意見がでて面白かった。 [なかなかでしたね。特に最後にご紹介したグループは良い点を見抜いていました]
・いろいろ考えなければならないことが多くて難しいと感じた [今回は最初なので、ほとんど議論の進め方を指導していません。次回以降のグループ討議では「セブン・ステップ・ガイド」(教科書pp.45-51)というガイドを使用します。次回ご説明します]
・グループ活動が良かった
・グループ討議はとても良い機会となった。 [以上、それは良かった。行動案の内容はともかく、少なくとも自分一人で考えていた狭い内容から脱皮できたんじゃないでしょうか]
・グループ討議前の損失の金額を見て[、]開催するという意見がより強く固まってしまった。 [そうなるように構成しています(今から振り返ると、良くわかっていただけると思います)。わざとですから、過度に思い悩む必要はありません]
・このような場合、利用,客側と運営側のどちらの立場に立って考えるべきなのかが知りたいと思った。 [非常に重要な指摘です。「利用」が何を指すのかちょっと良くわかりませんが、今回の議論を通じて、どの立場から考えるかで見え方が一変したんだろうと思います。まったくその通りです。次回視聴するビデオの中で、特に副社長がその立場に立たされます。彼は打ち上げに反対する現場の意志を尊重しようとするのですが、社長にどやされて、つまり今回のセンセイのスライドその他のように圧力を掛けられて、判断を変えてしまい、その結果、爆発、墜落に至ります。その社長もまた、元請け会社からの圧力に晒されていますし、契約更新の時期だったので、元請けの意志に逆らいづらいという事情があります。されど社長はやはり、会社全体のこと、そして元請け関係との関係、そして何より「商品」の利用者(乗員)とその背後にいる家族、そしてさらには公衆のこと全体を考える必要がありました。ただし、このように書くことは簡単ですが、実際に全てを考慮するというのは非常に難しいです]
・なんで気づかなかったのかという意見があった [いえいえ、視野狭窄に陥ったら誰でもそうなるのです。焦る必要はありませんよ]
・みんなの意見が聞けて良かった [それは良かった。意外と視野が広がったのではないでしょうか]
・委員長として考えると難しい [まったくその通り。しかも現在はすでに追い詰められた状況です。次回のビデオで解説しますが、こうなるともう、残念ながら正常な判断は難しいのです]
・開催するか否かは選べるのに、先生の一言で気持ちが揺らぐのは少し悔しい。 [今回はわざとそのように構成しています。(当方が怒られるのは仕方ありませんが、)過度に思い悩む必要はありません]
・楽しかった [それは良かった。もちろん知的に、でしょうね]
・寒いとこにサーキット場を建設するのが悪いのは納得した [そうなんです。実は冬その他は開催できないので、採算面でも問題があります。つまりもともと商売にならないのです]
・簡単に損害を補償できると捉えてはいけないことが分かった。 [そうなんです。実は補償金のことだけを考えても大問題なのです。これは後日の講義の中で、フォード社の「ピント」という車の失敗例──これで会社が倒産しそうになった──で考えます]
・観客の命のことを忘れていた。線引きをあらかじめしなければならない意見が褒められてよかった。 [これは最後にご紹介したチームでしょうね。他のグループにはない良さがありました]
・金沢さんのあほさが腹立った。 [というか彼は、すでに追いつめられているのです。この段階でどちらかを判断しても実は、たぶんもう良い結果になりません。この件は次回のビデオの中でご紹介します]
・最初にレースの話を読んだ時に、金沢市の4月の平均気温が14度前後だったため何故この時期に開催するのか疑問を持った。何度読み返しても不思議に思った。 [実際の気温の件はわかりませんが、この方は事前に最大の問題点を見抜いていたってことですよね。素晴らしい]
・視野を広げて物事を見ることは大事だと感じた
・視野を広げることが大切 [以上、まったくその通り。今日は当方も疲れていたためお話ししていません──忘れていなければ次回補足します──が、時間的にも長い目で考えたら焦らない方が賢明なのです。例えば、今回無理に強行して事故が発生したとします。賠償その他を済ませても採算は取れるかもしれません。でもここから先が問題で、「こんなサーキット場」でこれからレースをやって貰えるでしょうか。つまり目先に眩んで、長い目で見た時に損をすることになるんですね]
・事例を読んでグループ討議で話したときに、そもそもこの事例がおかしいのではとなっていたため、腑に落ちた。 [何となくですが、最大の問題点を見抜いていたってことですね。素晴らしい。この点は、次回以降の講義で説明する「セブン・ステップ・ガイド」(教科書pp.45-51)の、「ステップ0」そのものです]
・自分の班が褒められてうれしかった[嬉しかった]です。 [明らかに、他チームにはない点がありましたよね。書いてある量は少なかったのですが、たぶんグループ内で本当にいろいろ考えたんだろうと思います]
・周りの意見を聞いて自分の意見が変わった。 [そうなんです。自分一人だと実は、視野が狭くなっているんですね。そのためには他者、あるいは他グループ、そして立場の違った人と意見を交換する必要があります]
・先生の掌の上で踊らされてしまった。 [掌(たなごころ:手のひらのこと)という言葉、良くご存じでしたね]
・先生の罠にはまった。 [以上、初回と今回は偉大な罠だったわけです。もちろん一度そこに落ちていただいて、問題の所在に気づいていただくためのものです。次回以降はそのような仕掛けはありませんので、ご安心ください]
・前提の条件について考えなくてはならないと思った
・前提条件に気づかなかった。 [以上、難しいですがそのとおりなのです。前述(↑)しましたが、それに気づかないと、福知山線脱線事故のように現場の人間、つまり将来の皆さんが本来なら負わなくても良い責任を取らされてしまうんですね]
・代案の意見は素晴らしいと思った。 [Yes/Noの罠から何とか脱出しようという意図と努力が感じられましたよね]
・討議ができた。
・討論をするのは楽しかった。 [以上、多くの方はよく頑張ったと思います。ご苦労様でした]
・難しい問だと感じた [もちろん。だって簡単だったら大学の講義にならないですから。それはともかく、現実の社会では起きること、皆さんが将来接することは、やはりかなり複雑で難しい内容です。そのための科目だと考えてください]
・疲れた
・疲れました [以上、数名の方がそんな感じでしたね。もちろん議論を頑張って...という方もいらっしゃるでしょうが、朝イチで、という方も数名いらっしゃいました。やはり学生の本分は勉強です。完璧は無理でも、やっぱりできるだけ頑張りましょう]
・物事に取り掛かるときに事前条件や代案を考えることで視野狭窄する[通常は「視野狭窄に陥る」という表現を使います]ことなく実施できるという事を学んだ。 [素晴らしい。講義のツボをご理解いただけたようですね。初回と今回だけはそれに気づいていただくための特別な構成になっています。悪しからず]
・保険適用は見落としでした。 [前回の講義で説明したんですけどね。でも、もし自分で車を運転するようになったら、必ず保険のことを思い出します。ご安心を]
・本日のベストアンサー「レースを中止する条件や、中止した際の代案を詳しく決めておくべきだった。」 [そうですね。それを敷衍(ふえん)すると、「前提条件がおかしくないか確認しよう」でしょうか]
・面白かった [ありがとうございます]
・問題解決の際には本質的なことを見分ける。 [非常に重要な点です。簡潔な表現ですが、この方は今回の講義のツボを十分ご理解していらっしゃいます。素晴らしい]
・立場が上の人の言葉には力があるなと感じた。
・騙された!
・騙された― [以上、初回と今回はわざとこのような構成にしています。次回以降はちゃんとやりますので、お許しを...。はい]
西村が担当する授業の様子は、<nishimura-sensei.net>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。