2021年10月20日更新
3FY1クラス
第4回:2021年10月20日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
※技術者としていかに行動すべきか
・倫理的問題解決の方法
・エシックステストおよびセブン・ステップ・ガイドに関する詳細解説
・セブン・ステップ・ガイドを用いた演習
・PCを用いた講義
・関連する視聴覚教材の視聴やグループ討議を行うこともある
・演習(結果は、各自まとめて提出))
・提出:課題2(電子的提出)
・復習:セブン・ステップ・ガイドを使った事例分析の練習(60分)
・次回に向けた予習:課題 3(Agora上でのケースメソッド事例の倫理的問題構造、事実関係、ステイクホルダーなどの把握)(100分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.上司から、内容が懸念されるドラム缶の中身を「川に流せ」と指示されたら、貴方/貴女は...
A.(解説および全体討議前の反応ですので、原則としてコメントは控えます。良くお読みいただくとわかりますが、「1」あるいは「2」を選択している方の中にも、実質的には「3.その他」を選択している方が多いことにご注意ください)
1.流す 4名( 8.7 %)
2.流さない 22名(47.8%)
3.その他・無回答 20名(43.5%)
1.流す
・[自分が流さなくても]どうせ誰かがするので[自分で]流してから引っ越す [退職する、という意味でしょうか]
・やらなければ物語が進まないから。 [なるほど]
・上司と険悪な関係になることは避けたいため、多少の無理をしても実行はする。死ぬようなことをさせないだろうという上司への暗黙の信頼もある。
・上司に流してはいけないモノなのではと言えないから。2.流さない
・それを捨てても大丈夫な場所や業者に渡す
・たとえ上司の命令だったとしても、明らかな有害物質を流すことは専門家としてはあってはならないことだから。
・とりあえず、今日はしない。後日、他の上司に聞いたりしてから考える。一人でドラム缶を持つのもしんどいので、後日同僚を呼んでくる等言って逃げる。
・のちのち[後々]ばれた時に、自分のせいにされそうだから。 [そうなるでしょうねぇ]
・もし何かあった時、自分の責任にされるのは明白であるから。するを選択した最悪のケースと[、]しないを選択した場合の最悪のケースは[、]後者の方がマシだから。
・もし中身が本当に害のあるものであった場合、知識があるにも関わらず流した自分に責任があるので、害がある可能性が高いと上司に説明した上で流さない。
・課長に何故中身を流す必要があるのか理由を聞く。納得できない限りは手伝えないと伝える。
・環境に悪いという可能性がある時点でしない
・環境に悪いものの可能性があり、隠れてやろうとしていることからも良いことではないと予想される。
・環境に悪いものを流したという事実がずっと自分にまとわりつくから。
・環境への影響
・環境汚染につながった場合、間違いなく自身が責任を負うことになるため
・缶の中身を聞く。答えてくれないようだったら、その場から立ち去る。
・危なそうな会社なら辞めればいいから。
・危険性があるから
・技術者として環境に問題のある物質を流すことは容認できないので。
・自分の正義に反するから
・世間にこの行為がばれたときのリスクが高いから。
・他に対処できる方法があるはずだから。
・通報するぞということをにおわせる発言をする
・犯罪に巻き込まれることが最悪の事態だと考えたので、得体のしれないものは取り扱わない。
・流さずに破棄する3.その他
・しました。と言っておいて、しない。そして、もっと上の人に今回の件を相談する。
・ドラム缶の中身が安全なものであると確認できるまでは絶対に流さない。もし危険な物質を流してしまったら、遅かれ早かれ自分に責任が押し寄せてくる。
・ドラム缶の中身を調査に出すか他の職員と一緒に確認し、流すかどうかを決める。
・ドラム缶の中身を聞いてから上司と一緒に業務を行うか判断する。
・とりあえず違う上司や第三者に相談する。この件についての問題が発生した際に責任を取りたくない。
・とりあえず流さずに他人かその人の上司に告発する。「それってどうなの?」
・もう少し事情を聴く。責任の所在やどこからの命令かなど聞ける範囲で
・課長に中身を聴く。教えてくれないのなら安全性をチェックさせてもらう。
・課長に流させる。
・残業をしている時点で[、]他にも仕事を任されているので、中身を流しに行く時間がないと伝える。
・私がその立場だったら、これからの職場内のことを考えて断ることはできないと思う。しかし、自分自身が良くないことだと感じている場合は、体調が悪いなどと言ってできれば帰りたい。
・情報化社会であり、おそらく世間にバレるのは時間の問題なので[、]改善する必要がある旨の報告書を上層部にあげようと課長を説得する。
・他の業者に依頼する
・中身が分からないので、まず中身を確認する。確認して環境に悪いものであったら流さない。
・中身を見て流して害がありそうだったら処理してくれそうなところに電話して任せる。
・電話がかかってきたなどといって、いったんその場から離れて、他の人に相談する
・物質が何かを理解する。
・僕課長のことは尊敬してるんですけど、課長の一番大事にしてることって何ですか?って聞く [なるほど。そう来たかぁ]
・流さないで中身が何なのか上司の口から確認でき次第再度選択をする。
・流した場合課長が責任を取ってくれるなら流す。責任をかぶってくれないならしない
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・1つの決断でも、様々な感情、状況、人間関係が関わっていることが分かった。 [そうなんです。立場によって、見え方がずいぶん違うでしょ?]
・7ステップの考え方について学んでいきたいと思った。こういう考え方がというのを理解していきたい。
・7ステップを考える癖をつけたいなと思った。 [以上、セブン・ステップ・ガイドは、見かけ以上に難しいです。焦らずに、何度も繰り返すようにしましょう]
・ジレンマと線引きによる考え方や、公衆の安全と健康と福利を考えることについて理解できた。
・ジレンマ問題にあたるとかなり難しい判断が迫られるんだと実感した。
・ジレンマ問題は簡単に理解できたのですが、線引き問題については難しく感じました。
・ジレンマ問題を学んだ [以上、教室内の花瓶の件は、割とわかりやすかったんじゃないかと思います。ただし、一部の方は古傷に触られたような感じがしたかもしれません(センセイもそうです)。メタレベルから考えてみると、ちょっと楽になりますよ]
・セブン・ステップ・ガイドの考え方や内容が前回の予習課題では理解できなかったが、簡単に考える等、少し考え方について理解できた。
・セブン・ステップ・ガイドを考えることは簡単なものではないと感じた。
・セブン・ステップ・ガイドを自分で課題を通してやった時は、理解できずに何を書けばいいのか分からなかったが、今回の講義で大まかなことは理解できた気がする。 [以上、前述(↑)しましたが、セブン・ステップ・ガイドは見かけ以上に難しいです。特に説明なしで課題に取り組んだ際は何が何だか...という感じだったと思います。これから繰り返しますので、焦らずに進みましょう]
・ところどころで話し合いをいれてくれると授業に集中しやすくて助かる [そうですよねぇ。遠隔だとチャット以外の活動はないので、100分はしんどいと思います]
・ミニケースの文章の切り替えが早く、その後の事実等、覚えている限りでしか書けないため、考える材料が少なく感じた。 [最初は誰でもそうです。焦る必要はありませんよ]
・意外と単純な点を問題として扱うことに少し驚いた。 [でしょ? 言い換えると、最初の第一印象ではあまりに多くの事柄を含みすぎているんですね]
・確かな事実と不確かな事実の選別をするのが意外と難しかった。線引き問題もその人の塩梅だと思うので難しいなと思った。 [まったくその通りです。セブン。ステップ・ガイドは、どちらかというと場数を踏んで理解するタイプのものです。焦らずに]
・楽しく有意義な議論だった。花瓶を割ってしまった話で、花瓶を割ったことは故意ではなく不注意なことであったので、注意すべきことではあるが怒られることではないと思った。ヒステリー起こす先生[は、]本当に色々考えてなさそうと思った [日本人なら「ゴメンなさい」と言いますが、アジア系だったらたぶん「この花瓶は今日割れる運命だったんだ(。だから責任は取らない)」と言うでしょうね]
・結局人間関係の話? [必ずしもそうではありません。まず物理あるいは工学的な要素があります。でもそれをどう取り上げて判断し、どう行動するかについてはまさにメディアや心理学の範疇です]
・行動1つするにも色々考えなければならないから、倫理って難しいなぁって感じた。実際の場面でそんな一瞬で判断するのは絶対無理そう。 [最後の部分はもちろんまったくその通りです。ただし第一印象その他に流されるは非常に危険です。だからこの科目で何度も考えましょうというわけです]
・行動で何が悪かったのかを考える際に、人間関係を先に考える節が自分にはあるなと感じた。 [そういうことってあるでしょうね。たぶん、日本人はその比率が高いと思います]
・今日の講義では、ジレンマ問題や線引き問題について理解することが出来た。 [言われてみると、なるほど...という感じだったのでは?]
・視点を変えて、他の可能性を考えることの難しさが分かった。 [でしょ? だからこそ、これから繰り返し練習しましょう]
・時節、討議の機会が挟まれており良かった。 [遠隔だとチャットしかできないので、辛いですよね。それにしても皆さん、楽しそうでしたね]
・自身が直観的に抱いた第一印象は倫理的な判断材料にならないと考えていたため、本講義では有意義な知見を得ることが出来た [その通りで、第一印象も大切なのです。でもそれに振り回されてしまいがちなので、それをこれから考えようということです]
・自分の価値観をまとめておくべきだと思った。 [確かに。でも今まであまり考えたことがない内容なのですから、そんなに焦る必要はありませんよ]
・周りの安全・健康・福利に配慮しつつ会社や自分たちの身の保身をすることは非常に難しいと感じた。 [その通り。だからこそこの科目で考えましょう、というわけです]
・真面目な学生が多い心理科学科は真面目に回答するということ。もっと柔軟になりたい。 [確かに。このクラスは優秀な方、そして感受性の高い方が多いのですが、その反面、かなり線が細く、「打たれ弱い」という印象を持っています。もっとリラックスして進みましょう]
・折衷案っていうのはやっぱり大切なんだと感じた。また、課長は許してはいけないト[「と」のタイプミス]感じた。 [純粋←→折衷/妥協はそれぞれ良い面と悪い面を持っています。そのバランスの取り方をこれから考えましょう]
・先週の課題で思い違いをしていたところを修正できた気がしました。 [前回の課題は予習で。難しかったと思います。今日の説明を聞いて、やっと少し理解できるようになったんじゃないかと思います]
・想像よりもセブン・ステップ・ガイドは大分難しいと思いました。 [そうなんですよ。だから繰り返し練習して、どちらかというと体で覚える方が良いです]
・着目する点によって良い行為か悪い行為か変わるということが分かった。 [でしょ?]
・長野いいですよね [長野は大好きです。当方は新潟出身なので、子供の頃はりんご狩りや善光寺参りに、その後は仕事その他で県内各地へ行きました。最近はコロナ禍でできませんが...]
・直感も考えるうえでは重要な理由になりえることを学んだ。 [第一印象はダメなのではなく、大切です。でもいろいろなものが混在しているので整理整頓する必要があるんですね]
・悩まされるような事に対して必死に考える良い癖がつきそうです。 [おぉ、なるほど]
・物事の良しあしを考えるのは難しいと感じました。 [そうなんです。立場によって見え方がかなり違うんですね]
・本当の問題は何なのかを明確にできるよう、練習していきたい。
・本当の問題を見つけるのは難しいなと思いました。
・問題に直面した際には、その問題の本質を見極めることが大切なんだと感じた。
・問題を見極めることが重要だと思いました。 [以上、まったくその通り。教室内の先生のように、「メタ・メッセージ」を考える必要があるんですね。あのオチをお伝えして、目からウロコという方がいらっしゃったんじゃないでしょうか]
・予習課題で線引き問題をあまり理解していなかったが、今回の講義を聞いて理解できるようになった。また「公衆の安全・健康・福利」を第一に考えて行動しなければならないが、実際に問題が起こるとそれができなくなってしまうことがあるので自分自身も気をつけたいと思った。 [前半については、ありがとうございます。後半については、まったくその通り。だからこそこれからこの講義で一緒に考えましょう]
・様々な可能性について考えた。 [ありがとうございます。この点は意識していないと、どうしても視野が狭くなってしまうんですね]
・倫の字の成り立ちを知った。 [お話しした通り、センセイは知りませんでした。教えてもらうと、なるほどという感じですよね]
・倫理の説明において、「唯一の正解はないが優劣はあるし明らかな間違いはある」という内容が印象に残った。 [そうなんです。やはり「見なかったことにする」はいろいろな意味(徳倫理学/義務論/功利主義)でダメですよね]
・倫理的な問題も、人間関係から生じる問題ばかりだなと感じた。 [前提の部分では物理的、工学的な問題がありますが、それをどう受け取って考え、行動するかは皆さんの専門と深く関係しているんですね]
・倫理的にダメだと感じることをしなければならない事態になることもあるんだなと思ったら[、]自分の正義だけじゃ測れないことをどう対処すればいいのかこの授業で学べそうだなと思った。 [ありがとうございます。その通りでどう対処するか、そしてそれ以前にそのような事態に陥らない/近寄らないかが大切です。それをこれからの講義で考えましょう]
・倫理問題の構造であるジレンマと線引きの違いを理解することが出来た。 [言われてみると、なるほどという感じだったのでは]
・話し合いがたくさんできて楽しかった。 [それは良かった。皆さんホントに楽しそうでした]
西村が担当する授業の様子は、<nishimura-sensei.net>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。