2021年10月19日更新

3FM1クラス
第4回:2021年10月19日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

※技術者としていかに行動すべきか
・倫理的問題解決の方法
・エシックステストおよびセブン・ステップ・ガイドに関する詳細解説
・セブン・ステップ・ガイドを用いた演習

授業の運営方法

・PCを用いた講義
・関連する視聴覚教材の視聴やグループ討議を行うこともある
・演習(結果は、各自まとめて提出))

学習課題 予習・復習

・提出:課題2(電子的提出)
・復習:セブン・ステップ・ガイドを使った事例分析の練習(60分)
・次回に向けた予習:課題 3(Agora上でのケースメソッド事例の倫理的問題構造、事実関係、ステイクホルダーなどの把握)(100分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)

Q.上司から、内容が懸念されるドラム缶の中身を「川に流せ」と指示されたら、貴方/貴女は...
A.(解説および全体討議前の反応ですので、原則としてコメントは控えます。良くお読みいただくとわかりますが、「1」あるいは「2」を選択している方の中にも、実質的には「3.その他」を選択している方が多いことにご注意ください)

1.流す

15名(24.2%)

2.流さない

39名(62.9%)

3.その他・無回答

8名(12.9%)

1.流す

・これからの[自分の]立場の方が大事
・しないほうがいいと思っても命令されたら流してしまう。
・とりあえず上司の命令なので従って流して、後日その日の出来事を同僚や、課長よりも上の立場の上司に相談する。
・下っ端の今の自分が流さなくても、結局別の人が流すと考えられるから。自分が上司の立場になった時に変える。
・課長から睨まれることを考えると、その場では指示に従い、その後組合などの倫理委員会に匿名で駆け込むことが良いと考える。
・厳しい口調で命令されたら、さすがに逆らうことができないので命令に従う
・今回は見逃して、後々に危険なものだと判明したら自身の勤める会社を訴えればいいから。
・仕事場での人間関係に悩む方がこの先大変だから。
・指示に従わないと首になる恐れがあるため
・自分の入社したい企業に就職でき、ここで断ることでこれからの仕事がやり辛くなるのは惜しいと思うから。
・上司の話にはとりあえず反抗しながら無理やり従っているような雰囲気を出しながら従う。上司の命令の証拠が取れるのならば録音なりをする。証拠が揃い悪いと思うなら上司の上の立場(社長など)に直談判しに行く。
・上肢[正しくは「上司」]からの評価を落としたくないから。
・人は忘れる生き物だから、気分が悪い事があったとしても何年何か月たてば忘れていくもの。自分の生活が大切なため、10年、100年先のことまでは考えられないから。
・地域の環境も大切だが、自分がその立場になった時に一番優先したいのは自分の親であると考えた。ここで逆らって会社で立場が狭くなると、自分もつらいし親もつらい。さらにここで言うことを聞いておくと課長からの評価も上がりそう。そうなると自分も働きやすいし、親も嬉しい。
・波風たたせたくない

2.流さない

・いくらにらまれ[睨まれ]ようと有力企業である場合、仲間に援助してもらうことが出来る。また課長より上層部の人から行動を認められれば自身にとって大きな味方となるから。
・しっかりこれが何なのかを聞いて適切な処理をする。
・その液体で問題が起きた場合、自分の責任になるから
・その行為が間違っていると思うから。そのようなことをする人の下で働きたくないし社長に報告する
・その川が汚染されて、人に被害が出る可能性があるから。課長にどう思われても、どうでもよい
・そんな怪しいものを確認もせずに流すことはできないから
・できるだけリスクを取りたくない。
・もし何か問題が発生した場合、責任を負わされるため。
・もし環境を宣[「汚染」のタイプミス]する物質であったら環境破壊になってしまうし、自分の信用を失う可能性が高いから。
・悪いことだと分かっているから。就職はまた頑張ればできると思う。
・課長より上の会社の人間に、技術者の立場として公衆の安全性は欠如しない[「考慮/配慮しない」の打ち間違い?]のかを聞く。
・環境に悪いから。責任が問われるから
・環境に悪いことが分かっているから
・環境に悪いと分かった状態で流してしまうと、絶対に罪悪感がひどく[酷く]なることが目に見えているため[、]流さない選択をすると思う。
・環境に悪影響を及ぼすことが分かったうえで、悪事に手を貸すことはしたくない。たとえ、課長に嫌われようが、仕事は世の中にいくらでもあるし、転職すればいい。また、会社の悪事の証拠を撮り、正しい方へ導くか、上にその気がないなら、証拠を然るべき場所に突き出して、会社をつぶして[潰して]しまった方が、環境のためであり、世の中のためにもなる。
・環境に害のあるものを部下を使って流させようとする会社は有力企業とはいえクリーンな会社といえないので、断った上で会社を辞めて、院卒を武器に再就職する。
・環境汚染が原因で問題が起きたとき[時]に[、]責任を問われて損害が出るから。
・環境汚染になることを考えると、関係のない一般市民に被害が及ぶ可能性がある。自分が今後その会社で仕事を続けることができるかどうかは最後に考えるべき。
・環境問題に繋がるか分からない物質を上司に従ってまで流すのかと考えたため。
・共犯に仕立て上げられて、逃れられなくなるから。
・近隣の住民への被害が発生することが考えられるため。また、環境を汚染する可能性があることから、自分の所属する会社への評価が著しく下がることが考えられるため。
・公衆に対して被害を及ぼす可能性があるため。
・公衆の安全に悪影響が出ると考えられるから。
・持ち合わせたもので、証拠を残したうえで断る。今後自身の立場が悪くなった場合に、証拠を提示する。
・自分が間違っていると思ったことはするべきではないから。
・社会的なトラブルに巻き込まれる可能性がある。そのため、環境問題を引き起こすと発生する企業への損害を伝え、指示に従わないようにする。
・上司に目を付けられるのは勘弁してほしいが、それ以上に環境を破壊するような行為は避けたい。課長の上司に報告し、それでももみ消されたのであればしかるべき機関に通報する。
・世間的に正しいことをするべきであり、課長の間違った命令を聞くべきではない。
・他のところに飛ばされても、流したことによる会社の不利益を、流した責任で自分も被ることになるかもしれないよりはいいから。
・中身が分からないドラム缶の中身を流すのであれば、この会社は犯罪に関わっている可能性が十分にあるため、上司の命令を断る。それでも圧力を使って命令するようであれば、院卒なのでその会社を辞めて転職する。
・中身が分からないまま流して、罪悪感を今後持ち続けたくないから
・中身の物質が分からない以上は、流すことはできない。流してしまったことで今後どのような影響が起こるかわからないから。
・中身の分からないものを流して、もし悪影響を及ぼしたら共犯になってしまうから。
・中身を教えてくれない上に部下に流させる時点でどうせ悪いものだから、自分は流さずにどうしても流したいなら課長自身が流してほしいと伝える
・中身同様、俺の心も流されない。 [面白い!!]
・法に触れるものだとしたら退職よりも重い罰を受けることになるから
・明らかに怪しいから
・流したものが環境に悪くて、近隣住民に迷惑が掛かり会社に風評被害がかかるかもしれないから。
・流す理由を聞き、それが違法な場合法的理由で手伝わないことを伝える。その上で強要されそうな場合労基や社長など上の立場の人に報告する。

3.その他

・3回ほど手伝っていつ流すのかなどを把握したところでマスコミに情報を漏らしスキャンダルとして報道させる。その際何を流してどのような影響が出るのかも自分の名前を出しながら報告する。
・する[=流す]場合は自分の中の正義に後悔を残し、しない選択をしたいが敵をつくるだけなので、手持ちのスマートフォンなどで録音し状況をできるだけ証拠を保存するなどして、その場だけは指示に従い、後日追求する。
・ドラム缶の中身を聞いてから行動するようにする。
・もし、課長に流せって言われた証拠があれば流す。証拠がなければ流さない。責任問題になったときに課長のせいにできるようにする。
・悪影響について課長に説明し、そのうえでもやれと言われたら流す。
・課長にいつまでに内容物を処理すればいいか聞き、自分だけで処理をする旨を伝え、正規の方法で処理する。もし断られた場合は、スマホを持っている場合は会話を録音できるようにしておき、最大限流さないように説得する。
・携帯で録音の機能を使い、上司との会話のやりとりを録音する。そして自分が流さないということをしっかりと主張する。
・状況証拠を残すため、まず録音をする。ほとんどの液体は自分の栄誉を守るために流すが、一部を採取し水質調査をする。もし異常があれば悪質行為を訴え、それをばねに自分は昇進する。問題がなければ特に何もない。仮に録音や水質調査がばれた場合は中身を教えてもらえなかったことに不信感を抱いたと正直に話す。


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

・7ステップを考えると、何回も考え直すことが必要になると感じた。 [まったくその通りです。何度も何度も考えたり確認したりすることになります。焦る必要はありません]
・ある事例のどこ位[「どこに」のタイプミス?]問題があるか、どのような可能性があるか、事実確認など多くの段階を経ることで、様々な視点から物事を考えることができて、面白かった。 [ずいぶん見え方が変わったのでは?]
・しっかり周りの人と意見を交換できるのが楽しい [今日はホントに楽しそうでしたね]
・ジレンマは多角的に考えることで解決できることがある。 [実は、そうなんです]
・ジレンマ問題と線引き問題について考えるのは難しいと思った。 [そうなんです。だからゆっくり進み、思考方法に慣れるようにしましょう]
・ジレンマ問題に直面した時点で詰んでいることが多そうなのでジレンマ問題を避けるべきだと思った。 [前半、後半ともに、非常に重要な点を指摘しています。まったくその通りです]
・ジレンマ問題は考え方がいっぱいあって難しいと思った。 [皆さんはたぶん、今日のお話のような内容にまだ慣れていないと思います。焦る必要はありませんよ]
・ジレンマ問題や、線引き問題はとても面倒な問題だと感じた。 [正直なところ、かなり難しいです。焦らずに進みましょう]
・ステークホルダーと価値の必要性がわからなかったが、今回の授業を通して知ることができ良かった。 [それは良かった。現在はまだイントロですが、組織的系統的に考えると全体の構図が割と見えやすくなるでしょ?]
・セブン・ステップ・ガイドに沿って問題を考える方法を学んだ。
・セブン・ステップ・ガイドの考え方を学ぶことができた。 [以上、正直なところ、実際にやってみるとかなり難しいです。焦らずに繰り返して考えましょう]
・まだ安全第一の考え方をすることが出来なかった。自分が当事者であると考えたとき、自分に対するデメリットが一番少ないことが最善だと考えてしまう。 [最初は誰でもそうです。焦る必要はありません]
・むずかしい問題だった [そりゃそうですよ。簡単だったら大学の授業じゃありませんから]
・[チャレンジャー号事故の件は、]安全性やそのほかの条件を確実にクリアしていきながら物事を進めていけば良いのに、なぜそこまで急いだり妥協をする必要があるのか疑問に感じた。しかもそれが日本だけでなくそれ以外の国でも妥協したりすることがあることに驚いた。 [もしかすると誤解させたかもしれませんが、この種の問題は世界中で起きているんですね]
・安全性を技術者は第一に考えるべきだと感じた。 [別な方も仰っていました(↑)が、やはりこれからは公衆の安全、健康、福利を最優先させる必要があるんですね]
・何度かモニターの文字が見えにくいことがあった [すみません。前の席の人の頭で、下部が見えにくかったということでしょうか。必要ならばご連絡ください]
・活発に議論できて楽しかった。 [このクラスは、本当にそんな感じですよね]
・気づけば究極の選択を迫られる状況を想定するのはつらい [もちろん。別な方も仰っていました(↑)が、そのような状況に陥らないことの方がはるかに重要なんです]
・技術者の守るべきことが、倫理的問題の場合に重要になってくることが分かった。 [おそらく今まであまり考えたことがなかったかもしれませんが、言われてみると確かに...だったのでは?]
・公衆の安全・健康・福利については忘れないようにしたいと感じた。また、倫理を分別する難しさと、それでも普遍的な部分については、文章として理解しておく必要があると感じた。 [まったくその通り]
・広い視点で物事を捉える必要があると感じた [こちらも、別な意味でまったくその通り]
・考えるだけでもエネルギーを使うことが分かった。 [そうなんです。今日は一生懸命いろいろ考えたんでしょうね。ご苦労様でした]
・今回の授業でジレンマ問題がどのようなものかよくわかった。
・今回の授業でセブン・ステップ・ガイドの手順と倫理的思考についての理解が深まった。 [以上、実際にやってみるとかなり難しいです。焦る必要はありませんよ]
・事実関係の整理が大切だと感じた [まったくその通りなんです。例えば「問題だ」と思っても、よく調べていると問題でも何でもないことがあります]
・次の課題に備えてしっかり学びたい。 [ぜひぜひ]
・質問によっていろんな選択肢があり難しいと思った [見方を切り替えるのが難しかったのでは?]
・実際に、その立場に立った時に、冷静な判断が下せないような気がして、不安になった。
・社会にでるとこのような倫理的な対応が求められる場面が出てくる可能性があると考えたら億劫である。
・社会は怖いなと思った。 [以上、その通りですが。そうならないように学ぶための科目です。焦る必要はありませんよ]
・就職する企業はよく選ぼうと思いました… [もちろん。とても大切ですよ]
・柔らか頭が必要ですね [まったくその通り]
・人々の幸福、福利、健康が大切である [ぜひこれだけは記憶してください]
・正義と正義がぶつかり合い争いとなる [そうなんです。「悪」だと知っていたら、大したことはできないものです]
・線引き問題とジレンマ問題について理解できた
・線引き問題とジレンマ問題の概念が分かった。線引き問題の難しさが分かった。 [以上、この問題はかなり難しいです。これからの講義で考えますので、焦る必要はありません]
・前回の課題が分からないところが多く苦戦したが、今回の授業でどうやって取り組めばよかったのかを知ることができてよかった。 [前回ご説明したのですが、今回は予習の宿題、つまり一種の反転授業です。大変だったと思いますが、だからこそ今日の説明を理解しやすくなっているんですね]
・相談することによって新しい考えも取り入れることができた。 [でしょ? 自分一人だと見落としが大きいんですね]
・誰の何を考えるか、とても考えさせられた。 [重要な点です]
・当事者と加害者、開発者など第三者視点から見た問題点の列挙が主だった。正解の道筋は誰にも分らないが、正しくあろうとする考えと、理想に逆らう人の性との関わり合いはどちらを優先するべきなのだろうか。 [それをこれからの講義で具体的に考えましょう]
・討議の方がやる気が出て楽しかった。いろいろなことを考える時間はあったので良かったのかなとも思う。 [でしょ。ただし全体の時間は限られているため、ちょっと駆け足でしたが]
・物事を客観的に広い範囲で考えることで、解決策などにつながることが分かった。 [そうなんですね]
・分からないことがある時点で決定を行おうとしていることがおかしい [その通り。この点は「百万石」からずっと続いています]
・法令のところを探すのが難しそうだなと思った [全てのケースで法令が関係するとは限りませんよ]
・無し [はい]
・問題を明確にすることが重要だと分かった。 [まったくその通り。非常に重要な点です。ステップ1が最も難しいです]
・問題提起についていろいろな意見をきけた
・友達の意見を聞いて、参考になった。 [以上、他者の意見を聴くと、世界がどんどん広がったのでは?]
・様々な状況で、ジレンマ問題のような状況になり得ると分かった。本当に難しい問題であると感じた。 [そうなんです。だからこそその問題をこれから具体的に考えましょう]
・倫理の中にも種類があることが分かった。 [理論的な枠組みですよね]
・倫理の理解を深めることができた。 [ありがとうございます]
・倫理学において1つの事例でも様々な考え方出来ると感じた。 [どこに着目するかで、見え方がガラリと変化したのでは?]
・倫理問題は何が正解で何が間違いなのかよくわからない。その場の状況で最善の回答を導きだせるようにしたい。 [その通りなのですが、講義でご説明したように相対的な優劣や、明らかに不適切な案もあります。それをこれからの講義で考えましょう]
・倫理問題は難しいと思った。 [まだ焦る必要はありませんよ]
・例題を考えていく中で、確定している事実と、確定していない事実が何なのかで自身の立場や、周りとの関係が大きく変わることが分かった。 [でしょ?]
・話し合いが楽しかったです。 [知的に、ですよね。それにしても、皆さんホントに楽しそうでしたよね]


西村が担当する授業の様子は、<nishimura-sensei.net>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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