2022年5月10日更新
3ER1クラス
第4回:2022年5月10日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
※技術者としていかに行動すべきか
・倫理的問題解決の方法
・エシックステストおよびセブン・ステップ・ガイドに関する詳細解説
・セブン・ステップ・ガイドを用いた演習
・PCを用いた講義
・関連する視聴覚教材の視聴やグループ討議を行うこともある
・演習(結果は、各自まとめて提出))
・提出:課題2(電子的提出)
・復習:セブン・ステップ・ガイドを使った事例分析の練習(60分)
・次回に向けた予習:課題 3(Agora上でのケースメソッド事例の倫理的問題構造、事実関係、ステイクホルダーなどの把握)(100分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.上司から、内容が懸念されるドラム缶の中身を「川に流せ」と指示されたら、貴方/貴女は...
A.(解説および全体討議前の反応ですので、原則としてコメントは控えます。良くお読みいただくとわかりますが、「1」あるいは「2」を選択している方の中にも、実質的には「3.その他」を選択している方が多いことにご注意ください)
1.流す 17名(27.9%)
2.流さない 29名(47.5%)
3.その他・無回答 15名(24.6%)
1.流す
・した場合においてもとがめを受けるのは上司。 [確かに。でも「君も加担したでしょ?」ということになりかねません]
・その場の雰囲気に流されて良くないとわかっていても流してしまう。
・なぜなら上司が命令してきたことであり、上司の責任だから。 [上記(↑)ご参照]
・会社で生き残るため流す
・企業の一員である以上、従わなくてはならないため
・技術者としての倫理を捨ててでも、現在の自分の対場を悪くしたくないため。親も自分も満足する企業に就職できているのに万が一首になるようなことにはなりたくないから。親に失望されたくないから。
・恐らく、今の自分では上司に言われたことをそのまましまい、怪しいと思っても何も言い返せずに川へドラム缶の中身を流してしまうと思う。
・今後、会社で昇格するのが難しくなる可能性があるから
・最悪ばれても上司に責任転嫁出来るから
・仕事だから。
・自分の生活や会社での立場が最も大切だから、上司の機嫌を損ねることはしたくない
・自分はドラム缶の中身を知らないので何か言われても上司に言われたからという言い訳ができるから
・[自分を?/上司を?]助けることができる可能性があるから
・上司が起こると怖いから
・上司に目を付けられると、仕事を辞めさせられる可能性があるから
・上司の指示である証拠を残してやる。本当にまずい物なら帰らせてくれないだろうしやるしかない
・流さないほうがいいのは確かだが、拒めば自分にとってマイナスになることが確実だから。2.流さない
・せっかく就職できたが環境への配慮や技術者としての倫理的に手を貸すべきではない。もし行為が世間にばれればさらに厳しい子音[?]になると考えられる。しかし、自分が実際その立場ならば断わることはできないと思う。
・そんなことしたくないから。
・どうあれ、会社の課長を通報したほうが後々のリスク回避になるため。また、それで会社の居場所がなくなるならば転職などほかのやり方を取ったほうが良いため。
・ドラム缶のなかにどのようなものがあるかわからないから。
・ドラム缶の中身がわからないから
・やらないことで今後に影響があるならその程度の会社で転職を視野に入れてもいいと考えるから
・悪い行いだから
・安全性を考えた結果、流すと危険が伴うかもしれないから。
・何が入っているかが分からない状態での中身を流すことは危険であると考えるから
・何が入っているかわからないから
・環境にどんな影響を及ぼすかわからないものを流すわけにはいかないから。
・環境に悪いものを流し続けて公害で痛い目にあっているから。
・環境に悪影響なため
・個人的責任を負うよりも社会的責任を尊重した方がいいと思った。
・後々問題になるおそれがあり、その際自分が勝手にやったことだといわれる恐れがあるから。課長の上の人に確認をとる。 [この方は実質的に「3.」ですね]
・功利主義で考えた場合、流れ出した物質によって不特定多数の健康被害が出る恐れがあるから。
・今しない場合は、上司に仕事を辞めさせられる可能性がある。ところが、した場合は行為の責任を押し付けられて社会的な不名誉も被ることになり、職を失うだけでは済まなくなるから。していなければ上司を訴えればよい。環境のことは自分の問題ではなくなり、上司の問題になる。
・今後この問題が発覚した際に自身にも責任を負わされるかもしれないから。
・罪悪感が残るから
・私は、ドラム缶の中身は流しません。流したことで問題となったことを昔からよく知っているし、流して良いなら公明正大な手順を踏んで流すはず
・自身の念願だった企業ではあるが恐らく悪影響が出るであろう物質を流そうとする上司の下で働き続けるのは不本意であること、両親の期待は外れてしまうがそれでも裏で不正をする企業に居続けることも両親を裏切る行為であると考えると上司の機嫌を損ねても辞めるべきと考えた。
・上司に睨まれるようになったとしても環境汚染に繋がる行為は犯罪であるため、手を貸すようなことはしない。
・上司の指示とは言え、違法性があるようなことや明らかに問題になるようなことはできないから。
・中身が何か分からないものを捨てて不法投棄にふれる可能性があるから
・中身が環境に悪影響を与える物質であったとき、後々、事件として調査などがはいった場合に、社会人として干されるより会社内で干されたほうがいいと考えるから。また、会社内で良くない扱いを受けるとしても、労働基準局などに助けを求めることができるから。 [直接には「労働基準監督署」です]
・中身を教えてくれない時点でやばいものだと分かるし、そこまでして会社に居座ろうと思わない。
・本当に危険物であった場合、世間にばれた際にクビになることはわかっているから。
・有害物質を川に流してしまうと、それらを利用している人々の健康問題に関わる大きな事件を引き起こしてしまいかねないため
・流した場合のデメリットが大きすぎるから。3.その他
・こっそり携帯の録画機能で上司の言葉と様子を撮影してから断って出て行く。その後、記録した動画をネタに課長を揺さぶる。 [脅迫行為はいかがでしょうか?]
・その中身の情報を得てから判断する。得られない場合はやらない。
・ドラム缶の中に危険物が入っている可能性があるから。
・とりあえずドラム缶の中身を確認して違法でなければ流す。中身を教えてくれなければ流さない
・ボイスレコーダーで課長との会話を録音して流すのをやめないとこのボイスをばらまくという [上記(↑)ご参照]
・もっと立場が高い人物に相談し、それが容認されているようなら警察や労基[労働基準監督署]に相談
・一度上司に何かの理由をつけてその場から一時的に離脱し、違う上司やもっと上の人に支持を乞う
・課長は何の物質を流しているのか分かるのかと聞き、それを流していいのかと問う。汚れ役をする必要はないと説得を試みる。
・腰が痛いとか予定が入っているなどして何かしら理由を付けて現場に行かない。 するかしないかだったらしない。どう考えてもダメなことなので。
・上司を一旦やり過ごし中身のサンプルを取り研究機関や告発する。
・中身に関する情報を手に入れない限り流すか否か判断しない。手に入れなられない場合関わらない。
・中身を聞いて大丈夫なものだったら流す。駄目なものだったら流さない。
・中身を聞くまでは流さない。中身を聞いて流しても問題ない物質なら流す。ダメな物質なら正規の処理方法で片づける。
・問題を起こして延期させる
・理由を聞いて納得したら流す。
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・1つの問題にいろいろな答えがあるんだなと思った
・ジレンマや線引きの使い方がわかった
・ジレンマ問題でどこにも害にならないような解決策を考えるのは非常に難しいことだと感じた。
・ジレンマ問題は明確になっていない部分こそが重要なことが多いように感じた。
・ジレンマ問題を考えるのは容易に考えられるが線引き問題を考えるのはとても難しかった。 [以上、まだ勉強を始めたばかりなのに、良く理解できるなぁと感心させられます]
・ステークホルダーなど身近なことにもあてはめて考えていきたい。 [そうなんです。自分の問題に置き換えると、わかりやすくなります]
・セブン・ステップ・ガイドに沿った考え方を学ぶことができた。
・セブンステップガイドについての理解を深めることが出来た。
・セブンステップガイドの1番を考えるのが難しかった。 [以上、セブン・ステップ・ガイドは見かけよりもずっと難しいです。予習が効果的だったようで、かなり良く理解していただいていると思います]
・どの問題も簡単には解決できないものばかりだった。当事者なら冷静な判断ができないだろうから練習できてよかったと思う。 [これからも動画その他を用いてできるだけリアルに考察することで、わかりやすくなると思います]
・ドラム缶の問題はもっと説明が必要だと感じた。 [まったくその通り。書かれていない情報の方がはるかに重要なんですね]
・ひたすらよくわからない問題について考えているようだった。高橋川の話も、延々と考えようもないことを考えさせられていた。 [最初はかなり戸惑うと思います。そのうちにだんだん慣れてきます。要は考え方の問題なのです]
・ひとつの問題でも影響を及ぼす人はたくさんいることが分かった。様々な目線で問題を見ることで複数の問題解決策が考えられることが分かった。 [素晴らしい。その通りですね]
・もし、犯罪を強引にさせるような会社ならこちらから願い下げだと思った。 [その通り、この会社はブラック企業かもしれませんよ]
・課題において考えるのが難しかったジレンマ問題と線引き問題に関して、今回の授業で例を用いてわかりやすく説明して頂くことで、自身の倫理的観点とそれぞれの利益とそれに準ずる問題点など総合的に客観視するのが重要だと思いました。 [こちらも素晴らしい。写真をご紹介し損ねましたが、センセイが初めて勉強した時なんかよりはるかに良く理解できていると感心させられます]
・楽しかった [今日の後半は抽象的な話ばかりだったのによく頑張りました。素晴らしい]
・技術者として、また職場の社員としての考えを一緒に通すのは難しいということ [気持ちはわかる。後でご説明しますが、両者が一致することが理想なんですね]
・義務倫理と功利倫理では、自分は功利倫理の考え方をしていると思った。 [振り返ってみると、良くわかっていただけると思います。なお、それができるってことは才能があるということですよ]
・個人的に今回の学習内容は難しく感じた。また、そのほかの分野でも考えることはあるため、自身でも理解を深められるようにしていく。 [前述(↑)しましたが、最初はとても難しく感じると思います。考え方がポイントなので、そこを理解できればずっとわかりやすくなります]
・考えるまでもなく判断できそうな内容でも、上司と部下や、運営と顧客といった人間関係が判断を難しくしているので、人間関係に縛られずに判断できるような環境になってほしいと思いました。 [まったくその通りですね。例に挙げた会社はブラック企業かもしれませんよ]
・行為者や行為、結果など視点を変えることで善悪の判断が変化することが良く分かった。 [こちらも素晴らしい。普通は1回でそこまで理解できません]
・今回の講義を受けながら、チャレンジャー号の事例のことを考えていたが、前回の課題で行ったことは7ステップ・ガイドのやり方の一部であると思った。改めて考え直してみるとステイクホルダーはもっと多くいたし、ジレンマ問題、線引き問題などももっと細かいところまで詳細を考えるべきだったと感じた。 [良く気づきましたね。まったくその通りです。最初は全貌を理解できません。繰り返すことでツボを理解できるようになるんですね。焦る必要はありませんよ]
・今回の事例は抜けている説明が大きく想像で状況を補っている部分あった。実際の事例でも同じような事があるなら狭い想像をしないようにしたい [まったくその通り。重要なポイントは書かれていないのです。その存在に気づき、可能な限りの情報を得てできるだけ適切に判断することが重要なんですね]
・今日の一言への回答はあくまでも任意という認識であっていますか。 [はい。まったくの任意です。データをダウンロード(ここまでは回答の有無や個人情報がわかる)後、氏名その他をすべて削除しています。書く/書かない、あるいはその内容は成績その他に一切関係させていません。約束は守ります]
・次回の授業が楽しみだ。 [ぜひビデオを楽しんでください]
・食後のこの時間が結構うとうとする。 [当然の生理現象です。食後、机に伏せて少し(長くても20分)眠るとずいぶん楽になりますよ]
・人の見方によって、行為の価値観が変わるが、絶対にやってはいけないことは避けなければならないと感じた。 [その通り。今回の戦争がその典型ですよね。どちらにもひとまず理由はありますが、ひとたび事が起きてしまうともう戻れません]
・川にドラム缶の中身を流すかどうかの質問が選択するのにとても迷った。 [よく考える方ほど難しかったんじゃないかと思います]
・川に流す液体が話の中で有害なものだという文はなかったが勝手に有害だと思い込んでいた。思い込みの怖さも思い知った。 [今回はまったくの練習問題でしたが、それでも最初はかなり難しかったと思います。焦る必要はありませんよ]
・線引きやセブンステップが難しかった。 [難しいです。この講義の最後まで行ってやっと何とか使えるようになるというのが普通です。焦る必要はありませんよ]
・線引き問題は、ジレンマ問題を包含したやり方だと思った。線引き問題は過去の事例をもとに思考するが、100%過去の事例と一致することは基本的になく、あくまで過去の事例は指標になるだけでそこからまたジレンマ問題として思考する必要があるのだろうと考える。 [基本的にはかなり良く理解していただけると思います。講義の中では対照的な考え方として取り上げていますが、実際にはそうではない面がかなりあります]
・線引き問題は難しいと感じた
・直面している問題を考えることが本当に難しかった。特に線引き問題と絡めて考えると頭がこんがらがりました[以上、でしょ? ジレンマの方が理解しやすいですよ]
・入りの先生のトーンで「先週とは違うぞ!」という空気感を感じた。また、倫理的に考えてよい行為なのか、悪い行為なのかは見る視点によって異なることやセブンステップガイドについて理解できた。 [最初の部分は「そうかなぁ」というのが本音です。ただし仰る通り今日からは大学らしい理論の話をし始めました。だから最初は特に難しかったと思いますよ。良くご理解いただけた方だと思います]
・物事を考えるときは、自分の損得だけでなくその決断でどのような人にどんな影響を与えるのかも考えるようにしたい。 [まったくその通り。重要な点です。貴方/貴女はおそらく、かなり現実的に考えることができるタイプなんだと思います。素晴らしい]
・利害関係について考えることができた
・立場を逆にして考えることでいろいろなことが見えてくると思った。 [以上、見方を変えるとずいぶん違って感じられたんじゃないでしょうか]
・良いことをしようとしても場合によっては危険だと思った。 [まったくその通り。戦争なんてその典型です]
・良い行為と悪い行為を両立して生きる [なるほど。ご存じかどうか、ドイツの哲学者ヘーゲルの「正、反、合(止揚“Aufheben”)」という矛盾する要素を対立過程を通じて発展的に統一するという考え方に共通するものがあります。チャンスがあれば調べてみてください]
・倫理というのを考える時間は大事だと思う [その通りですね、と担当者は考えます。嬉しいです]
・倫理にも種類があり、視点によって考え方が変わり、とても難しかった。 [その通り。でも別な考え方にも確かに評価すべき点があります。それはお気づきになっただろうと思います]
・倫理の問題を考えていくには想像力や練習が必要だと感じた。
・倫理や道徳は見方によって様々な捉え方ができるんだなと感じた。 [以上、こちらも別な意味でその通り。最初は取っつきにくいですが、繰り返していくうちにポイントを掴めるようになると思います]
・倫理的な問題は多くの組織や人に影響されると感じた [そうなんです。単独で存在しているのではなく、いろいろな意味でのネットワークの中で存在しているんですね。よく考えると人間はそもそもそのような存在なんです]
・倫理的問題を考えるときは、線引き問題よりもジレンマ問題で考えるほうがより簡単に考えられることを知った。 [いつかお話ししますが、ジレンマに感じられる時は、発想を変えるとストンと理解できるようになります]
・倫理問題の考え方がわかった。 [素晴らしい。見方が広がったんじゃないでしょうか]
西村が担当する授業の様子は、<nishimura-sensei.net>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。