2022年10月13日更新

3EV2クラス
第3回:2022年10月13日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

※現実に起きた事例をベースに倫理的考察や意思決定に必要な概念や用語などの解説を行う

授業の運営方法

・PCを用いた講義
・関連する視聴覚教材の視聴
・演習
など

学習課題 予習・復習

・予習:教科書の精読(120分)
・復習:課題2(Agora上で事例分析)(60分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)

Q.スペースシャトル「チャレンジャー号」事故に関するビデオを視聴した感想を...
A.(回答後にご説明しましたので、原則としてコメントは控えます)

・「技術者としての帽子を脱いで、経営者としての帽子を被ったらどうなんだ」という言葉には、視野が狭く危険性などが本当に見えていない状態なんだと感じる。 [まったくその通りですね]
・[前年の]12℃のときに二重のOリングのうち1つが破壊されたのなら、その時点で今後の打ち上げは不可能であると判断するべき [気持ちはわかりますが、判断は微妙なところです]
・あらゆる問題が重なり、爆発事故が起こったのだなと思った。 [その通り。でも、見方を変えると、それら問題のいくつかが解決されていたら、違った結果になったかもしれません]
・このスペースシャトルの打ち上げをの実態を見て、私は今回の問題として全ての関係者に問題があったように感じました。アメリカの国としても下に圧力をかけるような発言を行ったことで下にプレッシャーを与える結果になり、NASAでは問題が浮き彫りになっているのに関わらずリスクを分かっておらず見逃す結果となった。モートン・サイオコールでは、問題を上に提示したにも関わらず上の圧力により意見を変え問題を見なかったことにしたことが事故につながったように感じます [下請への圧力は、日本の方が強いと思います]
・このビデオを視聴して、上の立場(元請け会社)の人に意見することのつらさに共感した。自分もRランドさんのような立場だと圧力などにより打ち上げに賛成してしまっていたので、この技術者倫理という授業を通して今後いっぱしの技術者になるための正しい判断などを学び身に着けていきたい。 [公聴会でのランド副社長、ホントに苦しそうな表情でしたよね]
・スペースシャトル・チャレンジャー爆発事故では、個人のミスではなく組織の体制や上からの圧力、技術者と経営者の視点や価値観の違いによって引き起こされてしまった大事故であることがよく理解できた。私自身も将来は大規模な土木構造物や大規模計画に携わることがあるかもしれないので、この大事故のことは忘れずに、技術者として安全に対する認識を強く持ち続けていきたいと思う。 [素晴らしい。ぜひぜひ]
・スペースシャトルの爆発事故が、実際に起きたことで、思っていたよりも昔ではなかったことに驚いた。問題点が認識されていたのに打ち上げたことから、何があっても成功はすると軽く考えていたことを理解して、注意深く考えることも必要なんだと思った。 [その通りですね]
・ランドさんは打ち上げ反対していたが最後は無理やり賛成にさせられている感じがあった。意見を貫き通すことは勇気がいることだと感じた。 [個人主義の国、アメリカですらこうです。ましてや日本なら...と考えてしまいますよね]
・一人ではすぐに決断できても、組織だと簡単には決断できない難しさがあると思った [その通り。そこが組織運営の難しさです]
・下請けの立場が上の立場に容易に意見を言えるような環境を作らなければならないと思った。 [まったくその通りですね]
・技術者とNASAとの間で板挟みになっていたボブ・ランドさんはとても苦しい立ち位置だと思った。また、元請け会社のNASAはあまり責任感がないように感じた。 [NASAの件は概ねその通りで、組織風土が改善されなかったためにもう一度コロンビア号墜落事故を起こします]
・技術者として、なにか一つでも疑問に思う点があれば早めに他人と相談すること、いわゆる仲間を作ることが大事だと感じた。 [素晴らしい。まったくその通り]
・個人のミスで引き起こされる事故とは違い、企業や政府の思惑が引き起こしたものである。当事者ではないが、少しでも事故の危険があるならばするべきではなかった、事故を起こして得る損失の方が大きくなると考える。 [特に最後の点は重要です。強行して結局、大損しているんですね]
・事故が起こりうる問題点なども確認できているのにも関わらず、発射の決断をしたのは間違いであったと思う。組織としての話し合いや元請、下請けなどの関係性なども平等でなかったためにこのような事故が起こったのではないかと思う。事故の可能性を少しでも感じたら入念に話し合うべきだと思う。 [まったくその通りですね]
・自ら事故を起こしに行ったようなものだと思った。 [見通しを持っていないと、こうなってしまうんですね]
・自分の意見を言えるようにすることは大事だと教わってきたが、結局は権力がある人達の意見が通される世界なんだなと思った。そして現在も権力がある人は安全<金で動いているのかなと思った。 [確かにそのような面があることも事実です。でも自分(たち)で改善できることがあることもまた、事実です]
・失敗するであろうと思われていたチャレンジャーの発射は、やってはいけないことだったなと感じる。7人もの命が無駄になくなってしまって、天候なども好条件ではなかったので、もっと安全性を重視してチャレンジャーの発射をすべきであったと感じる。 [そうですね]
・実例として見ると、事故が発生した時の責任は非常に重いように感じる。そして、その責任が、正しい判断を出来ないようにしていることが分かった。相手を説得することが出来なかったからなのか、悪役になりきる必要があったのか、非常に難しい問題であった。 [この事故はすでに発生したことですが、万一、これからこのような状況になったらどうするか...をこれからの講義で考えましょう]
・上からの圧力があったとしても、安全面に異常があるならば反対するべきだと思った。 [MT社を念頭に置いているのなら、その通りでしょう。ただしボジョレーさんの場合は、もう打開のチャンスはほぼ断たれています]
・上からの圧力で、危険であったにも危険と忠告したのに発射し、結果事故が起きたという、止められたはずの事が起きた悲しい出来事だと感じた。 [そうなんですね]
・人の命が関わるかもしれない時の決定は、少しでも懸念点があったら考え直すべきだと改めて感じました。 [その通り]
・責任がどんどんと重くのしかかってきており、ランドさんは選択肢が少なくなって正しい判断ができるとは思えない。 [その通りで、「そのような状況にさせないこと」が最も重要です。これからの講義で考えましょう]
・組織の体制が事故を引き起こしたと考えられるので何事にも論理性や科学性をもって安全取り組みたい。また、現場でまともな判断ができるがどうかがキーになっていくのではないかと思った。 [いくつかの点を指摘していらっしゃいますが、いずれもその通りですね]
・打ち上げに反対していた副社長は、上席副社長や幹部の意見に反対することができなかったのは集団心理が働いたと感じた。また、上席副社長の雇用契約のことも意見を変えた要因だと感じた。 [確かに]
・打ち上げは失敗すると分かっている人が多い中、打ち上げをおこなわざるを得ない状況が作られてしまっていることがまずかった。 [その通り]
・打ち上げるべきではなかったが、打ち上げる判断をした理由も理解できるためNASAとMT社がすべて悪いとは思えない。打ち上げなければいけない状況をつくった政府にも責任があると感じた。 [こちらもその通りですね]
・特にMT社の幹部たちは、自身の本心の意見を述べたくても、置かされた立場や状況によって異なる意見を言わざるを得ない状態であったと考えられる。そして、NASAは、異なる意見であったMT社の考えに対して安易に捉えたことがミスであると感じた。 [その通りで、NASAはやはり甘く認識しすぎですよね]
・防ぐことができた事故をそうなるかもしれないという予測を甘く見た結果引き起こしてしまったことが理解できた。条件や焦りなど現場でないとわからない状況があったと思うが、民主的に決めるのではなくもう一つの選択肢についてもっと話をするべきであるのだと気づかされた。 [その通り。重要な点ですね]
・命よりも会社の経営、自分の立場を優先するという現実を見てこのビデオを見る前に自分がもしその立場であった時に命を優先で考えることができていなかったと思うので見てよかったと思う。 [ありがとうございます]
・立場によって意見が異なり、今回は事故が起きてしまったからロケットを飛ばしたことが間違いだが、事故が起きなかったらそれは間違いにはならないのか、難しいところだと思った。 [そうなんです。もし事故が起きていなかったら、そこでのやり取りや学ぶべきことはほとんど忘れ去られただろうと思います]
・冷戦下の米国において、米政府から感じる打ち上げの圧力は凄まじいものだったのだと感じた。 [時代は冷戦末期です。その最後のツケを払わされたという感じですね]


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

・F1レースの議題と比べて規模が大きすぎて考えることも難しそうだと思った。 [気持ちはわかります。いろいろと知識が必要ですし。でも起きていることの本質はほぼ共通ですよ]
・このスペースシャトルの事故で、自分が知らない裏側の事情が沢山渦巻いているのだなと勉強になった。 [今回は前振りが長くなりましたが、その分、追い詰められていく状況を良くわかっていただけたんじゃないかと思います]
・こんな悲劇を繰り返さないために事例を知ってしっかり勉強します。 [ありがとうございます。ぜひぜひ]
・スペースシャトルが成功していたら、今頃もっと気軽に宇宙旅行に行けてたのかも...。 [確かに。考えたことはありませんでしたが]
・チャレンジャーの爆発事故の問題は前回まで例題でやった百万石とは動いている金額など大きな差があり、打ち上げを反対することはかなり難しい状態だと思った。 [気持ちは、わかります。だって国家規模の出来事ですから]
・ちゃんと周りを見られるようにならないと怖いなと思った。 [まったくその通りですね。この点はこれからの講義の中で繰り返し取り上げます]
・どこの国でも責任をなすりつけ合うのだと思った。 [残念ながらそれが人間の本性のようです]
・宇宙はあんまり好きじゃないです。 [なるほど]
・下請け、元請が平等な立場や言い合える関係にならない限りこのような事故は一生起きるのではないかと思った。 [確かにそういう面はあります。でも講義の最後の方でお話ししたように、まったく無力でもないんですね]
・課題についてですが、自由でもしっかり書いていれば満点というのは、文量的には最低ラインはありますか。 [ありません。ただしごくごく短い文章で主張を表すことは不可能なので、当然、一定量の分量になります。興味があったら、“?”という手紙に対する“!”という返事の話を調べてください。世界で一番短い手紙と言われています]
・技術者の判断は使用者の使用状況に深くかかわってくるので、上の会社からの圧力があっても意見を変えてはいけないと思った。 [そうですね。そしてその意見を、相手が理解してくれるように説明する必要があります]
・久しぶりに中学で学んだ歴史を思い出して面白かった。 [なるほど。でも意外と繋がっていたでしょ?]
・興味深い内容でした。
・興味深い内容でした。いろいろな人の立場になって考えてみると、正解の行動はないなと感じます。 [以上、ふだんはお話ししない歴史の内容を含んでいました。同じ事柄でも、ちょっと新鮮に感じられたのでは?]
・経営よりも命 [もちろん。ただし会社が潰れると...が難しい]
・元請けと下請けは土木業界ではよく出る話なので今日はシンパシーを感じた [でしょ?]
・元請と下請けでの、関係性が分かった。下請けが必ずしも弱いわけではないということが分かった。 [最後の話は意外だったのでは? 同級生の借金の話は実話です]
・現代も、事故が発生した際には、責任転換や事故を隠したりする。そのため、本当の原因が分からず、改善出来ていないような気がする。それを今後、直していけたら良いと思う。 [まったくその通りですね]
・国やNASA といった元請け会社が失敗した際に下受けにすべてを押し付けるような仕組みは今もあるためしっかり周りの仕組みを見て考えて行動する必要がある [そうですね]
・今日も面白かったです。 [ありがとうございます〜]
・自分が携わると思われる建設業においても今回のスペースシャトルの事故と類似した事故が起こる可能性があることを認識して仕事についていきたいと思う。 [やはり土木の分野とかなり共通する点があると思います]
・実際の事故が題材で、本当に考えたくないことでも何が起こるかわからないため、考えていかないといけないと感じた。 [その通り。希望的観測に基づくのではなく、むしろ都合の悪いこと、最悪の状態から考えるべき何ですね]
・社会人として成功するためには、技術だけではなく、経営側の心理状態や社会情勢なども知っておく必要があると感じた。 [素晴らしい。まったくその通りです]
・社長でも元請け会社でも下請け会社でもそれぞれの人に立場というものがあるので、何かの判断を下すのは非常に難しいことだと思った。今後このような場面にあっても、正しい判断を下せるように技術者倫理という科目を大事に受講していきたい。 [そうなんです。視点を変えると見えるものがガラッと変わるんですね。その能力を伸ばすことが重要です]
・政府やNASAの立ち回りがずるいなと感じたが下請け企業ではそこを見抜く力が必要になる [まったくその通り]
・大きな組織からの圧力などは自分の判断を誤らせてしまうなと感じる。 [残念ながら、どうしてもそのような傾向があります]
・日本だけでなくどこの国でも、どの人種でも責任を逃れようとすることはあるのだなと感じた。責任の意味がより複雑になった気がする。 [残念ながら、これが社会の一面です]
・普段雪が降らないのに降った天候が不思議に思った。 [どうしてなんでしょうねぇ。仕事でフロリダを訪れた時は、本当に南国でした。とても雪が降るなんて思えませんでした]
・眠かった [気持ちは、わかる。午後イチですからねぇ]
・立場によって責任がかわってしまうことは自分が企業に関わるうえで大切なことだと思った。
・立場や状況によって、意見や意志の優位が変わることを学んだ。 [以上、その通り。重要な点ですから、相手の立場から見たら...という能力を伸ばしてください]


西村が担当する授業の様子は、<nishimura-sensei.net>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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