2022年10月24日更新
3FY1クラス
第4回:2022年10月24日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
※技術者としていかに行動すべきか
・倫理的問題解決の方法
・エシックステストおよびセブン・ステップ・ガイドに関する詳細解説
・セブン・ステップ・ガイドを用いた演習
・PCを用いた講義
・関連する視聴覚教材の視聴やグループ討議を行うこともある
・演習(結果は、各自まとめて提出))
・提出:課題2(電子的提出)
・復習:セブン・ステップ・ガイドを使った事例分析の練習(60分)
・次回に向けた予習:課題 3(Agora上でのケースメソッド事例の倫理的問題構造、事実関係、ステイクホルダーなどの把握)(100分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.上司から、内容が懸念されるドラム缶の中身を「川に流せ」と指示されたら、貴方/貴女は...
A.(解説および全体討議前の反応ですので、原則としてコメントは控えます。良くお読みいただくとわかりますが、「1」あるいは「2」を選択している方の中にも、実質的には「3.その他」を選択している方が多いことにご注意ください)
1.流す 14名(27.5%)
2.流さない 20名(39.2%)
3.その他・無回答 17名(33.3%)
1.流す
・しなかった場合にも責任転嫁される可能性が考えられるから
・とりあえずぞの場は流しておき、強迫された事実や物質について詳しい参考物を保存して、しかるべきところに訴える。自分の意志にそぐわず、犯罪を犯す会社は有名であっても転職すればいい。 [この方は実質的に「3.」ですね]
・もめる時間がもったいないから
・会社に入ったばかりで上司に逆らうことはできないと思うから。その場ではいったん流して、少し持ち帰ってあとで本当に悪影響なものなのかを確認する。
・今回は流して次がないように、さらに上の人や外部の人に相談する。 [こちらも]
・自分の人生がかかっているて、自分の家族にも仕事を辞めてしまうと迷惑をかけてしまうから。また、この程度の汚染物を流さなかったところで日本の汚染問題が解決するわけではないから。
・自分の立場を守るために上司の命令に従う。
・自分は確実な中身を知らないため。後で調べてみて有害物質だと確認できたのであれば、黙って流そうとする課長もだがそもそも仕事の過程で有害物質が発生しその処理先が用意されていない事のほうが危ないので内部通報をする [こちらも]
・上司が中身を分かっていない可能性、責任を押し付けようとしていることがなければドラム缶の中身は川に流しても問題ない物質と考えられるため。。
・上司に流せと言われたから。また、それを手伝うと出世できるかもしれないから。
・中身を聞かされていないことから、大々的に問題になった時に上司を盾にして言い逃れができる可能性が高いため。また、問題にならなかった際は単に失業や出世できないリスクを犯すことになるため。
・怒られるのが嫌だから確認せずにそのまま流す
・変に逆らって立場が悪くなるのを避けたい。自分が偉くなってやめさせればいい。
・流す理由としては、ある程度有害な物質とはわかっていても会社として流している以上、流したことが絶対にバレるような物質では無いと考えられる。そのため、他の機関から有害物質を流していることをバレないように祈りながら流してしまうと考えられる。会社での自分の立場も考えると実行してしまうと考えられる。2.流さない
・「流す物質の正体」、「流す目的」、「第三者からの意見」、「この出来事が公表可能か」、この4つの疑念にて納得できる意見が聴けない限り流さない。 [こちらも実質的に「3.」ですね]
・いいところに就職したのは嬉しいことではあるが、明らかに環境に悪いものなのにも関わらず中身が何かを教えてもらえないのに中身を川に流せと言われているので、そういうことを言う上司がいる会社では働きたくないと考えて命令に従わない。
・どうしてもできないことを伝え、川に流す以外に良い方法を考える。家に持って帰らせてもらい自己処理を試みる。
・もし、流して、事実が公になった場合、共犯者として会社もろとも悪者になってしまうため。早々に警察などに情報を流し、環境汚染を止めた人として、褒賞されつつ、真面目さを売りに再就職する。安全なものだったら、中身を教えてもらえるはず。 [こちらも]
・もし流したのがばれた場合は、疑われてしまい、会社が倒産するかもしれないから
・やはり、ボジョレーさんではないけど人に悪影響を与えるものであるのが分かっているのに、自分の立場のために人に危害を加えるというのは嫌だから。
・一度やってしまったら、その後もやらされたり、このことをきっかけに脅されたりする可能性があるから。
・仮にも技術者であり、中身はしって[知って]いなくても、上司の一言から中身が危険であることは予測でき、場合によっては、流したことにより事故が発生する可能性があるため、流さないことが賢明であると考えられる。
・課長の上司である部長や社長などにドラム缶を流さないことへの賛同を得て、課長に命令してもらう(ドラム缶を流さない方向にもっていく)。 [こちらも]
・怪しいことに自分は加担したくないから。
・環境について学び、悪だとわかっているのに流してしまうのは倫理的によろしくないため。そのため、とりあえず上司に他の方法がないか説得を試みる。それでもだめなら録音して上司を脅す。 [この方もですね]
・環境に悪い物質を川に流したことが明らかになった場合、個人の責任だけでなく、企業全体に迷惑がかかるから。
・技術者として働ける場所はその会社だけではない。そのため、わざわざ手を汚してまでやることではないと考えたから。
・警察に捕まるかもしれないから
・自分が悪いことだと判断できるのならば、目上の人であっても指摘するべきである。また、そのような問題を作る会社であれば働きたいとは思わないので、告発することが正しいことだと考える。 [そして、こちらも]
・上司にと一緒に捨てているところを防犯カメラに見られる可能性があり」罪に問われ働けなくなる可能性があるから
・上司の上司や仕事仲間に仕事内容を一度相談する。 上司にやらされていることが犯罪めいたことならば、共犯になりたくないので上司の指示には従わない。
・中身が何かわからないため、危険なものだったら危ないから。
・理由と述べたうえで断り、課長より地位が高い人に相談する。 [こちらもですね]
・流してしまって大事になった場合に自分も責任を負うことになるため3.その他
・あとあと自分に責任を押し付けられることのないように、環境汚染物であるかどうかを再度うかがってから放流する
・ドラム缶の詳細について尋ねていき、その中身を答えない上司は焦って強迫的になることが想定されるため、そのようになったらその場から逃げて会社に告発する。
・ドラム缶の中身は流さないが、危険な物質だったと判明した場合は上司が失脚して会社にいられなくなるように、マスコミに情報を流す
・ドラム缶の中身を空ける。何か流してはいけないものを流してしまった時に、誰かの責任にしたくないし後悔したくないから
・安全性が確認されれば流す。
・課長以外の人に何か知ってることはないかばれないように聞いて回る。会社ぐるみでやっていることなら流す。
・個人で安全に処理できるならば、後日自分が処理するよう提案する。却下されたら流す。
・指示された場所には流さないが、課長に、「自分で処理します」と伝えて、後日、他の人に相談する。有害物質を捨ててもよい場所を探して流す。
・自分は廃棄に加担しない旨を録音し、後日その録音とその他廃棄した証拠などを持って、然るべき機関へ相談へ行く。
・少しだけ流す 判断が難しいから
・上司にきちんと中身を聞く(危険物質で明らかに良くないものであったら、別のものに変えて流す) 上司の指示を全部録音してマスコミに売るor告発する準備をする(会社がらみでなさそうなら上の人にリークする) 理由:流したくないけど流さないといけないならとりあえずは偽物を流す 喜ぶくらいの企業なら少しリークしてもつぶれるようなことはないと思う
・他の上司に相談してから流すか流さないか決める
・中身の内容を聞いて、見てから考える。詳しく教えてくれない場合や、環境に悪影響のものならば流さない。
・中身をきく[訊く/聞く]
・中身を聞いてから流すかどうかを決める。
・流さなければならないのなら流すが、後に動機や先輩などに聞きまわり戦略を練る。
・流したところで人体に影響がないなら流す。人の命に危険が及ぶ可能性があるなら流さない。
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・「公衆の安全、健康、福利」を考える事が大切であると学んだ。 [お話ししたように、これだけは覚えてください]
・いつもはしない考え方をしたため、とても疲れた。 [そうだろうと思います。ご苦労様でした]
・ジレンマってギリシャ語でしたっけ… [ご名答。良くご存じでしたね。ギリシア語の“dilemma”(ラテン文字表記“dilemma”)です ]
・ジレンマ問題など考えさせられることが多かった
・ジレンマ問題は自分で理解できやすかったけど線引き問題は難しいと思った。
・ジレンマ問題や線引き問題はさまざまなことを考えるとどうすればいいか優劣つけずらいので、大変だと感じた。
・ジレンマ問題や線引き問題はすごく難しいけど、セブンステップガイドに基づいて考えていくのが面白かったです。 [以上、ジレンマ/線引き問題は大変だったと思います。でも説明を聞くと「なるほど」という部分があったのではないでしょうか]
・ステークホルダーで自分が一番最後に来るというのが得心が行きました。 [ボジョレーさんにはかなわないですねぇ]
・ステークホルダーや倫理問題について考えるのが難しかったです。 [慣れていないので、当然だと思います。焦る必要はありません]
・ステークホルダーを挙げることはピラミッドストラクチャーに似たものがあり、自信[「自身」の変換ミス?]の考えをまとめることに繋がることが理解できた。 [確かに]
・セブン・ステップ・ガイドの流れを知ることができました。 自分のことは最後に考え、公衆の安全・健康・福利を 考えることが重要なのだと学びました。倫理の話は難しいけど、女の子が川に溺れているという事例で 考えると考えやすかったです。 [ありがとうございます]
・たくさんのことを考えて疲れた。 [前回とは違った意味で大変だったと思います。ご苦労様でした]
・チャレンジャー号に関する課題の答え合わせをしているようで、納得できるところが多かった。 [予習としての課題に取り組んだ後なので、そう感じるんですね。自覚していらっしゃらないかもしれませんが、それだけ成長しているってことですよ]
・チャンカレ美味しいですよね。 [人によって賛否が分かれます。個人的にはカレーとともにご飯が美味しいと思います]
・どうしても最初の印象で物事を考えてしまう。今日の話も部長[正確には「課長」]の印象が最悪になってました。 [(センセイを含めた)誰だってそうなんです。そこで入り込んでいるかもしれない誤解や偏見をできるだけ取り除くためにセブン・ステップ・ガイドは有効なんですね]
・ドラム缶の案件は、会社を信用するかどうかの信用問題につながる気がした。 [素晴らしい。長い目で見るとその通りなんです]
・ドラム缶の話を聞いて、あきらか駄目なものだと思いました。中身を教えられない、夜に、は怪しすぎると思いました。 [百万石F1グランプリや今回のドラム缶の事例など、仮想事例には必ず無理な設定が入ります。そこに気づくと、構図が割と簡単に見えるようになります]
・何が分からないのかを意識することが大切だと分かりました。 [まったくその通り]
・課題をしていて難しいと思っていたところが授業で分かってよかったです。 [前述しましたが、予習としての課題に取り組んだからこそ理解しやすくなるんですね。課題、ご苦労様でした]
・課題を通してひとりで事実関係の整理をするのは難しかったけど、班員と一緒に考えると楽しかったです。 [見ていてもそんな感じでした。次回、次々回は新メンバーでできるだけ時間をかけて討議していただきます]
・確かな事実や不確かな事実を確認する際に、問題で書かれた箇所しか注目することが出来なかったため、広い視野を持って考えていきたい。
・公共[正確には「公衆」]の安全・健康・福利が大切であって、覚え続けていきたい。
・公衆の安全、健康、福利が第一という言葉を覚えた。
・公衆の安全健康福利を念頭に置いてこれからは物事を考えていきたいと思えた。 [以上、他の概念や用語はともかく、公衆の安全、健康、福利だけは暗記してください。これからの行動の基準となります]
・功利主義の「最大多数の最大幸福」という言葉は以前から知っていたけれど、功利主義が具体的にどういった考え方なのか理解していなかったので、詳しく知ることができた。 [功利主義については、後で再び考えます]
・講義を通して様々な事例に触れ、課題2について詳しく知ることが出来たので良かった。特に、講義内であったドラム缶の話は、様残な観点から考えることが出来、非常に興味深かった。 [ありがとうございます。予習の課題だったので、取り組んでいる時は大変だっただろうと思います]
・今回、隣と「女の子と助けることが良い行為なのか悪い行為なのか」話していた時に、隣人は結果ではなく行為の意図について話していたのですが、自分は結果から考えていたので、功利主義だったことをこの授業で知ることができ、とても興味深かったです。 [貴重な経験でしたね。今回のポイントは視点の重要性です]
・思い込みから判断をしてしまう危険性を改めて認識しました。 [誰でも思い込みをしがちなんですね。でももしかするとそこに誤りや偏見が入り込んでいるかもしれませんからね]
・次回からグループが変わるので、また頑張りたいと思った。 [ぜひぜひ]
・自身が行う事に対して周囲への悪影響が起こる可能性があるのならば、その事について慎重に考え、対策を練ければならないと思った。 [まったくその通りですね]
・自分は特に川に飛び込んでしまいそうなので、気を付けたい [なるほど。それならばぜひぜひ]
・自分や周りの状況ばかり考えていたが、公衆の安全・健康・福利を考えることが重要であると、ここで知ることができて良かったです。 自分や周りの利益不利益だけでなく、関係のない人たちのことまで考えられるようにしたいと思いました。 [素晴らしい。それをこれからの人生に生かしてください]
・実際には、自分の利益を優先している社会人が多いのではないかと思った。 [確かにそのような面があります。ただしすべてがそうでもありません]
・川に流すか否かと、思考する時点で罪悪感を感じる。 [気持ちは、わかる。当然の反応だろうと思います]
・線引き問題について詳しく知ることができた。
・線引き問題は、どこまで奥深く考えれば、事業などが円滑に進むのかと思った。
・線引き問題を上手く考えるのは難しいと思った。 [以上、ポイントをご理解いただけたようで嬉しいです]
・前回の課題で線引き問題をあまり理解できていなかったので、今回の授業で明確化出来て良かった。 [あらかじめ課題として取り組んだので、今日は理解が進んだんですね。ご苦労様でした]
・溺れた女の子の話やドラム缶の話で判断を下すのが難しく、何がベストであるかを自分1人で決断することは非常に難しいことだなと改めて思った。 [その通り。だからこそグループなど複数で考えていただき、他者のの視点や意見に耳を傾ける必要があるんですね]
・頭がこんがらがる様な問題が多く、動かないのに疲れたのは始めて[正しくは「初めて」]の経験だった。 [そうだろうと思います。その分、次回および次々回は、思う存分討議してください]
・不確かな事実と確認すべき事実の境界線が分かりにくいと感じた。 [その通りです。これも一種の線引き問題なんです]
・福利が幸せということを初めて知りました。技術者としてまずは、公衆の安全福利健康を考えるということを忘れないようにしたい。 [ぜひぜひ]
・明確な正解がないことがすっきりしない [気持ちは、わかる。でも現実の問題の大半が数学のような解答ではないんですね]
・問題や解決について分解していくことでより多くの視点を見ることができたのがよかった。 [それは良かった]
・予習段階で7ステップがとても難しく感じていましたが、演習を踏まえてなんとなく理解できました。来週も頑張りたいです。 [セブン・ステップ・ガイドは本当に、誰にとっても難しいです。だから予習していただきました。焦る必要はありませんよ]
・様々な要素が複雑に絡み合う線引き問題は、ジレンマ問題よりも難解に感じた。 [そうなんです。だからしばらくはジレンマで考えるようにしましょう]
・来週の[グループ]組み換えが不安です。 [乱数表にお祈りしてください]
西村が担当する授業の様子は、<nishimura-sensei.net>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。