2022年10月25日更新
3BB1クラス
第4回:2022年10月25日 学習内容/授業の運営方法/学習課題(予習、復習)/課題の解答/今日の一言
※技術者としていかに行動すべきか
・倫理的問題解決の方法
・エシックステストおよびセブン・ステップ・ガイドに関する詳細解説
・セブン・ステップ・ガイドを用いた演習
・PCを用いた講義
・関連する視聴覚教材の視聴やグループ討議を行うこともある
・演習(結果は、各自まとめて提出))
・提出:課題2(電子的提出)
・復習:セブン・ステップ・ガイドを使った事例分析の練習(60分)
・次回に向けた予習:課題 3(Agora上でのケースメソッド事例の倫理的問題構造、事実関係、ステイクホルダーなどの把握)(100分)
課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)
Q.上司から、内容が懸念されるドラム缶の中身を「川に流せ」と指示されたら、貴方/貴女は...
A.(解説および全体討議前の反応ですので、原則としてコメントは控えます。良くお読みいただくとわかりますが、「1」あるいは「2」を選択している方の中にも、実質的には「3.その他」を選択している方が多いことにご注意ください)
1.流す 3名( 8.1 %)
2.流さない 24名(64.9%)
3.その他・無回答 10名(27.0%)
1.流す
・ドラム缶の中身を少量だけ抜き取り、その場では上司に怪しまれないためにドラム缶の中身を流す。そして中身を調べて会社に報告する。 [この方は、実質的に「3.」ですね]
・環境を汚す可能性があるから。
・技術者の心よりも自分の立場を優先だと思うため。今後の人間関係を悪くしたくないため。2.流さない
・この時自分の立場が悪くなろうと将来このことがばれて自分がやってることが発覚した時に自分の信頼がガタ落ちになるから。 このことをしかるべき場所に通報することもできるぞといった弱みを握ることもできるから。
・したところで、発覚すれば会社の信用が低下し業績が悪化する可能性があるため、課長との関係云々を考える余裕はなくなるよ予想できる。また、課長は不正をおこなおうとする人物であるため、この問題の責任を立場の弱い自分に押しつけてくると思うので、する時より、しない方が自身のリスクが減るから。 [以上、「長い目で見たら...」ということですね]
・その場でスマホなどを使って、録音をする。その後に、できるだけ怒らせないように断る。
・ドラム缶の中身を教えてもらえずに流せと、上からの圧[力]で脅してくる会社は良くない会社だと思うから。
・ドラム缶の中身を流したことが発覚して問題となったときに、課長に全責任を押し付けられる恐れがあるから。
・ドラム缶の中身を流すことで何か起こったら自分も責任を問われる羽目になるから。
・バレた場合捕まる可能性があるから。また、そのような事を行う会社は他にもこのような行為を行っている可能性があるから。 [以上、確かに]
・安全第一だから
・一回でもドラム缶の中身を流してしまったら今後も同じようなことをやってしまい、後戻りできなくなると思うため。 [なるほど]
・何で流さないといけないのか問い、その問題を解決する。 [この方も、実質的に「3.」の要素を含みます]
・何入っているかわからないから。流して、環境に被害がでててはいけないから
・環境汚染や地域住民への悪影響が考えられるため。その場を離れた後に他の信用できる人間に相談する。 [こちらも]
・環境問題に悪影響を与えれば結局自分の今後の生活が苦しくなるし、流すように指示する上司がいるような会社に居たくないから [ブラック企業というわけですね]
・危険な薬品だったら、中身を知らずに流したことで罪に問われると思うから。自分まで容疑をかけられたくないから。
・技術者として安全性が一番大事であり、それで上司に嫌われたとしても、長い目で見ると今ここで逆らっていたほうがいいと思ったから。 [ご指摘の通り、「長い目で見たら...」ですね]
・共に流し、そのことがばれた時、一緒にひどい目にあうことが確定しているが、流すのを手伝わなかった場合、課長ににらまれるもしくは飛ばされる可能性もあるが、ばれたら批判は免れるし、逆に告発を行えば昇進につながることも考えられる。
・後でその行動を後悔するから。悪事が公になった場合、企業の不利益になるから。
・自分が専攻してきた分野の事で、いくら上司の命令でも法律を破ることになる行為は従わなくてもいいから
・断った時点で人間関係が良い方向にはいかないので、後日、警察などに相談し、解決する方向にもっていきたい [こちらも]
・中身が分からないが、河川を汚染してしまう恐れがあるものを私目線ではできないのでしない。また、親は会社に入ったことを喜んでいるとあるがこのようなことをして喜ぶはずがないのでしない。
・中身を流してばれた場合に責任を取らされるのは、自分になってしまうため、命令に背いて会社にいられなくなるより、責任問題で会社を辞めた場合の方が、次の就職先に響いてしまうと考えるから。
・流して問題になって後悔するかと、流さないで後悔しないかだったら、中身を流さない。上の人に相談する。 [そして、こちらも]
・流すことによって、その地域に住んでいる多くの人が環境被害にあう可能性があるから。
・流すと悪影響を及ぼすような危険な液体が入っている可能性があるため3.その他
・ドラム缶の中身を確認する。課長を問い詰める。
・何か別の用事があると言って、その場をしのぎ[、]他の人にも相談して判断する。
・課長にドラム缶の中身を聞いて確認する。さらに他の人にも聞いてから判断する。
・技術者の立場なら会社に従うしかないのですると考えるが、専門家なら中身の正体が分かりなんとかできるのではないか
・初回は流してしまうと思う。その後他の上司に相談し、対策を考える。
・上に命令されたと記録に残せるように録音したうえで、流す。準備できなかった場合は流さない
・中身の正体をもう一度聞いて、有害物質でないかを確認してから流す。信頼できる上司ならすぐにわからないことを尋ねるべきであるし、もし危険なものだったら責任を問われて仕事を辞めなければならなくなるから。
・中身を知るまで流さない。納得したら流す。納得できなかったら、自分では流さない。どうしてもというなら上司に流してもらう。また、一連の会話を録音しておく。
・内部告発を行い、世間を味方につけ、部長及び会社で指示した者をクビにする。
・別の上司にこの状況を相談する。もし、厳しかったら国の機関に相談する。何かあった時のために、音声などを録音する。とにかく、自分が納得いく方法で中身の処理を行う。
今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載
・このドラム缶の件使って課長おどせるなぁ。と思いながら、ドラム缶の中身に思いをはせてました。 [...という妄想をたくましくしていたわけですね。でも、もし中身が雨水だったら「何の問題もないのに、俺(=課長)を脅しやがって...」ということになりますよ]
・ジレンマと線引きの問題の対処法を考えた。最初の価値観を大切にしたいと思った。
・ジレンマや線引き問題などの定義がよくわかった。トリレンマを初めて聞いた。
・ジレンマ問題と線引き問題が大事だとわかった
・ジレンマ問題の「ジ」に意味がある事を初めて知った。また、ドラム缶問題の選択が少し難しかった。 [以上、言われてみれば...という内容だったのではないでしょうか]
・チャンピオンカレーが食べたくなった。 [気持ちは、わかる。お昼前だし]
・どの立場で考えるのかが難しかった。特に線引き問題は考えてもわからなくなりことが多いので、理解できるようになりたいと思った。 [しばらくはジレンマ問題として考えることをお勧めします]
・ドラム缶の話で、流す流さないは倫理ではないといわれて確かにそうだよなと思った。ジレンマ問題を頭に思い浮かべたら倫理について少し理解ができたと思う。 [すばらしい。最も難しい部分の一つをご理解いただけたようですね]
・まだぴんと来ていないので実習を通してできるだけ理解していこうと思う。 [セブン・ステップ・ガイドは難しいです。現時点では決して焦る必要はありません。次回および次々回の議論と考察を通じて、徐々に身に付けていきましょう]
・課題2で線引き問題のところが難しかったので、少し理解できた。事例を挙げながら普段考えないことを考えていったので少し疲れたが、新しい視点で考える練習になった。
・課題で分からなかったことを少しでも理解出来てよかった。
・課題をやった時は内容がよく分からなかったが、今回の授業で全てではないが少し理解することができた。 [以上、課題2はご苦労様でした。予習の課題なので、何をどうしたらいいのかわからない部分が多かったと思います。でもその苦労があるからこそ、今日の難しい内容も割と理解していただけたんですね]
・技術者としての立場と人間関係を考えると、人間関係を取ってしまう自分が嫌であった。 [人間関係も重要ですよ]
・技術者は公衆の安全、健康、福利を何よりも優先することを学びました。 [これが基本原則なんですね]
・公衆の安全、健康、福利を最優先し、自分は最後という考え方は言うのは簡単でそうあるべきだと考えているが、実際に自分の立場になった時に、そのようにできるか分からないと感じた。 [もちろんその通り。ポイントは原理原則を踏まえた上で、どうやって現実的かつ最も適切と考えられる行動案を導くか、です]
・最初にまず疑ってかかることで施行[「思考」の変換ミス]にバイアスがかかり考え方が偏ってしまうのが難しいと感じた [でしょ? それに気づいただけでも大きな進歩ですよ]
・最初に考えた意見や相談した後の他の人の意見が参考になった [ありがとうございます。次回および次々回は、もっと大きく変化すると思います]
・事例を見たときの第一印象が強すぎて、判断することに支障がでることを感じた [その通りなんです。だからこそセブン・ステップ・ガイドなどを利用して冷静に考える必要があるんですね]
・次回のビデオを楽しみにしておきたい。 [ぜひぜひ]
・実際に働き始めてこういう場面に遭遇したら自分はどうするかなと考えながら授業を受けていました。 [大切なことです。この講義のポイントは「困難な場面に陥ったらどうするか」ではなく、「そのような危険性をいかに早く察知し、事前に回避するか」です。百万石もチャレンジャー号も、追い詰められてから解決策を考えています。実はこうなるともう適切な行動は難しいのです。だからこの科目での学びをぜひ今後(の危険察知と回避)に役立ててください]
・上司の言うことは聞かなければいけないが、その内容が正しくないときに自分ですべきか否か考えられる力が大事だと思った。 [そうですね]
・色々なことを考えて、より優れた解決策になるように努力したいと思った。 [ぜひぜひ]
・線引き問題とジレンマ問題の具体的な表現が難しかった。
・線引き問題はなんとなくわかった状態で自分が使える状態ではないので、理解して使えるようになりたいと感じた。
・線引き問題やジレンマ問題を倫理的に考えるのが難しかった。来週の討論も頭をいっぱい使いそうで大変そうだけど楽しみ。 [以上、ありがとうございます。お話ししたように、しばらくはジレンマ問題で考えるようにしましょう]
・福利の意味を初めて知れた [正確にはもっと多様な意味がありますよ。「倖せ」はこの科目での意味だとご理解ください]
・予習も含め、線引き問題について考えることが難しかった。ジレンマ問題から慣れていきたい。 [でしょ? しばらくはジレンマ問題で考えましょう]
・利益よりも安全が一番大切である [もちろん。でもなかなかそうならない現実があることもまた事実]
・理解できたこととできないことがあって、まだ困惑が残った。 [今回の内容は、この講義で一番難しい部分です。理解できないことが残るのは当然です。焦る必要はありませんから、次回および次々回の議論などを通じて、少しずつ理解を深めるようにしましょう]
・倫理の中にも種類が存在している事が分かりました [おそらく、「どこに注目するか」を指してでしょうね]
・倫理的な問題に対する考え方が変わった気がする。 [ありがとうございます]
・倫理問題と線引き問題の対象がどこになるのか難しいと思った。 [線引き問題は慣れないと難しいので、当面はジレンマ問題として考えてみましょう]
・倫理問題を考える際には公衆の安全・健康・福利を第一に考えるべきだと知った。 [これが基本原理なんですね]
・倫理問題を考える上で、色々な人の視点に立って考えなければならなく難しいと感じた。 [そうなんです。立場が変わることによって、見え方がずいぶん違ってきます]
西村が担当する授業の様子は、<nishimura-sensei.net>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。