平成15年12月2日更新
第4回:平成15年12月2日(補足)
1.一週間は何日間か? こちらへ
2.一週間は何曜日から始まるのか? こちらへ
今日の講義の中で、「暦学的に見た場合、一週間の始まりは土曜日である」とお話ししました。講義中の説明だけでは疑問を解消できない人も多いと思いますので、このページでご説明させていただきます。
一週間の始まりを考える前に、まず、一週間そのものを考えなければなりません。
一週間は7日ですが、7という数字は2、3、4、...といったよく使う数字では割り切れず(「素数」)、非常に使いにくいのです。なぜ7日間なのでしょうか?
そもそも、一週間は暦(正確には「れき」と読みます)から生まれたものです。
その暦とは、端的に言は季節(1年)を正確に表現することです。
季節は農作物の生産や移動する動物の管理に深く関係し、生活に直結していた−−というより生死がかかっていた−−ため、古来から注意深く観測されていました。
しかし、季節(1年)を1日の回数で表そうとする−−これを「太陽暦」と言います−−と、365.2422...※と多すぎて管理しにくい上に、必ず端数が生じてしまいます。
そこで多くの地域では、約29.5日の周期で満ち欠けし、変化をより簡単に知ることができる月を利用して暦を作成するのが普通でした。このような月を利用した暦を「太陰暦」と言います。太陽暦と太陰暦は簡単な比の関係にないため、必ず補正(「閏(うるう)月」)が必要になります。興味のある人は研究してください。
しかし、1月(29.5日)でもまだ、毎日使うにはまだ多すぎる数値です。
そこで、1月を4で割り(端数は無視する)、管理しやすくした「7日」という新たな「単位」を使うようになりました。これが(1)1週間が7日である一つの理由です。
この他、(2)古代から中世に「惑星」として数えられた星−−月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星−−が7つと考えられており、また(3)キリスト教の『聖書』創世記冒頭に、神がこの世界を7日間で創り、その最後の日に休息されたと書かれています。
これら(1)〜(3)の理由から、1週間は7日となったのです。
※この数値は現代値です。古代にここまで正確にわかっていたわけではありません。現代の暦の直接の先祖の中で最古の「ロムルス暦」では、1年はわずか304日(!!)しかありませんでした。
お待たせしました。本題です。
右の図は、古代ギリシアから中世、あるいは近代初頭まで信じられていた、地球を中心とした「天動説」を表したものです(出典:ペトルス・アピアヌス、『宇宙誌』、1539)。
この図は、中心に不動の地球があり、地球に近い(=低い)位置から外側(=高い)、月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星の順に「惑星※」が並んでいて、それらが1日1回転、東から西へ回転することを示しています。
古代ギリシア人は、毎日を支配する星(=神)を考えました。小・中学校のクラスの「日直さん」のようなものです。ギリシア人はこの日々を支配する星を、高い位置にあり、位も高い星(=神)から、つまり土星から割り当てました。
そのため、一週間は土曜日(=土星)から始まったのです。それだけではありません。
中学校には数学の時間や理科の時間...といったように、たくさんの時間がありますよね。
それと同じように、ギリシア人は1日を24時間に分け、それぞれの時間を支配する星も考えたのです(全体としては支配する星があります)。
この1時間ごとに交代する支配星は、土星→木星→火星→・・・と続き、1日の最後の星の、次の星が翌日全体を支配します。ちょっと分かりにくいので、書き直してみます。
第1日:全体としては土星が支配 → 土曜日
1時間目:土星
2時間目:木星
3時間目:火星
c
24時間目:火星(次の日っと時間の支配星は、火星の下に位置する太陽)
第2日:全体としては太陽 → 日曜日
1時間目:太陽
2時間目:金星
3時間目:水星
c
24時間目:水星(次の日と時間のの支配星は、水星の下に位置する月)
第3日:全体としては月が支配 → 月曜日
cという具合で、「土、日、月、火、水、木、金」という順番が生まれたのです!! ......本当にそうなるかどうか、ご自分で確かめてください。
トリビアなネタ、お役に立ちましたでしょうか?
※現在では太陽中心の「地動説」の立場を採っており、月と太陽は惑星に含めません。また古代から近代初頭にかけて、天王星、海王星、冥王星および小惑星や各惑星の衛星はまだ発見されていません。
西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。