8.とても便利な、Macの「FireWireターゲットディスクモード」
(1)複数台でのデータの管理とSCSI(スカジー)ディスク・モード
MacintoshにはWindowsには見られないユニークな特徴がいくつもあります。その一つが「SCSIディスク・モード」という使い方で、従来PowerBookをコンピュータとしてではなく、外付けハードディスクとして使用してしまうというものです。
一般に、パソコンを複数台使用する場合、データの管理が問題となります。自宅のパソコン、勤務先のパソコン、挙げ句の果てにノート型......。あちこちで書類を作ったり修正したりすると、どれが最新版かどれだかわからなくなります。
また必要なデータが分散してしまい、必要な時に必要なファイルが見つからないこともあります。この問題を解決する方法はいくつもあります。FDやMOなどの持ち運び可能な媒体に最新のデータを書き込むとか、全てをネットでつないで自分なりのルールを定めて書類を管理するとか。あるいは全ての最新データを特定のパソコン(ノート型が便利)に集中させるという方法もあります。
解決方法は一つではないので、その人に似合った方法を使えばいいのですが、センセイ自身はこれまでの数年間、PowerBook 2400cに全ての最新データを集中させ、自宅のPowerMac 8500で毎回データを一致させ、かつバックアップするという方法を使ってきました。とても有効な方法でした。いずれにせよ、複数台でデータを管理する場合はそれらをどのようにして結ぶかということが問題になります。
EtherNet等のネットで結ぶのが普通でしょう。しかしこの場合、簡単な書類など容量の小さなものは問題ないのですが、画像や音楽、動画などの巨大なファイルを管理しようとするととんでもないことになり、事実上不可能です。
またネット接続の場合は、コンピュータが持っている情報の全てを伝えるわけではありません。ファイルはその人の好みに応じてフォルダ内に特定の順番で特定の画面上の場所にしまわれていますが、「パソコンの左下隅のファイル」という情報をネットで伝えることはできません。ところが、PowerBookを「SCSIディスク・モード」で接続すると、それ自体が1台の外付けハードディスクと見なされるため、画面上の情報を含めたすべてのデータを伝えることができます。しかもまぎれもないSCSI接続なのではるかに高速(SCSI1規格:5MB/s)です。重いファイルも楽々と伝えることができます。
ところがパソコンの世代交代が進み、SCSIインターフェースはあまり一般的でなくなってしまい......さて、どうなった?
(2)FireWireターゲットディスクモード
あまり話題にのぼることのないSCSIディスク・モード。わかる人にはわかる便利な使い方です。SCSIがなくなってどうなるかと思っていたのですが、やはりApple。ちゃんとそれに代わる使い方を残してくれました。
まず2台のMacを用意します。SCSIディスク・モードが使えたのはPowerBookに限られましたが、現在発売中のMacならデスクトップでもかまいません。
メインになるMacを決めます。しばらく「メイン」と略称することにしましょう。こちらはまだ起動しません。
もう一台のMac、つまりサブもまだ起動しません。
で、最初に、サブとメインをAppleの言うFireWire、つまりIEEE1394ケーブルでつなぎます。サブには必ずキーボードをつなぎます(SCSIディスク・モードでは不必要だった)。ホントのことを言うと、CRTないしは液晶のディスプレイは必要ありません。
で、サブのMacを起動したら、すぐにキーボード上のTを押し続けます......すると、おぉ、画面に不思議なマーク(写真)が......。FireWireの印です。実はこの時点でディスプレイの役目は終わりです。センセイはCRTの電源を切ったり、液晶のパワーを切ります(バックライトの寿命が延びます)。
これで、サブは1台のハードディスクになり切りました。これを「FireWireターゲットディスクモード」と言います。もっと簡単な名前の方がいいのですけどね。ここでメインの電源を普通通りに入れます。すると......。
普通の画面に続いて(写真の左側:二つのボリュームが見える)に続いて、サブが1台のハードディスクとしてマウントされます(右側:三つ目のボリュームが見える)。サブにディスクを挿入するとちゃんと認識されます!!
これだけならネットでの接続と同じなのですが、前述したように、画面上の同じ場所にサブのファイルやフォルダが開かれます。これは本当に便利です。サブを切り離す時は、アイコンをゴミ箱にドラッグしてから電源を切ります。
ただし、一つだけ条件があります。「メインの画面がサブのそれより大きい」ということです。
Macintoshはファイルやフォルダの位置情報を不可視ファイルで持っています。ファイルをフロッピーにコピーしても同じように表示できるのはそのためです。ネットではこの情報を完全に伝えることはできません。
またメインの画面がサブのそれより小さい時などは、画面にあわせて適当に再配置されます。ただしこの場合は、サブを単独で起動してももともとの配置が崩れてしまいます。というわけで、これらSCSIディスク・モードやFireWireターゲットディスクモードでは同じ画面の大きさか、少し小さめだと全然問題なく快適に使用することができます。
センセイの場合、SCSIディスク・モードではメイン(8500):1024*768、サブ(2400c):800*600で使用し、現在のFireWireターゲットディスクモードでも同様の使い方をしています。ここではメイン/サブと言う表現を使いましたが、ポータブル機をメインに繋げる(8500+2400c)方法もあれば、ロケットにブースターを装着してハードディスクの容量を増加するような使い方(PowerBook G4+G4 Cube)もあると思います。実際、西村センセイは両方の使い方を活用しています。この辺は本当に工夫次第でしょう。
Windows機でもこのような使い方がないわけではない−−例えば富士通−−のですが、ここまでシステマティックなものはありません。Macユーザーで良かったなぁーと感じる貴重な時間だと思うのですが、皆さんはどうお感じになりましたか?
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