2000年5月31日更新(6月19日ページ移動)
5月31日(67名出席) 講義内容/課題の回答/今日の一言 ※本日付の質問がありました。こちらへ
最初に、ホームページ上の皆さんの反応の一部を印刷したものを配布して、他人の反応を読んでどう思うか、また、反応をホームページ上で見られることをどう評価するか答えていただきました。
講義に入り、今日は実例を用いながら、帰納が持つ問題点を指摘しました。
例として、金属などが燃焼によって質量が増加することを取り上げ、これを(1)金属が酸素と結合する(=酸化)ことによって酸素の分だけ質量が増加するとする近・現代的な考え方をまず紹介した後、ついで(2)燃焼によって金属からフロギストンが抜け出るとするフロギストン説を紹介しました。現代的な視点からすると、燃焼後の質量が増加していることから簡単にフロギストン説が否定されるように見えるが、実はフロギストンは「負の質量」を持つとされたため、(負の質量を失った)燃焼後の物質はかえって質量が増加すること、したがって、「質量の増加」という検証結果が、フロギストン説を否定することにはならないことを説明しました。要するにフロギストン説でも「データ(/現象/観察)->帰納->原理・原則->演繹->データ(/現象/観察)との適合性で検証」というループを満たすのです。
これはそもそも、科学の対象である「現象」が複雑多様でそのままでは処理しきれないため、何らかの基準(物差しのようなもの)を定め、それが処理できるもののみを取り扱ったために起きるものであり、別な基準を用いれば別な帰納が可能かもしれない、ということを意味します。ただし、この部分は時間が少なかったので、次週改めて説明させてください。努力しましたが、今回は反応が多く、また長いものが多いため、一部しか掲載できません。悪しからずご了承ください。また文意を損なわないようにして一部を省略した場合もあります。
[他人の反応を読んでどう思いましたか?]
[肯定派]
自分の一言が載るのは自分も授業に参加しているというのが実感できて楽しいし、先生もちゃんとチェックしていることがわかるし、良いと思う。
先生が自分の感想をちゃんと読んでくれていることが分かってうれしい。
自分の書いた答などが載っていると、ついつい繰り返し読んでしまう。授業前に集中力を高められて良いと思う。あと、ただアンケートを取るだけでなく、ちゃんとそこに書いてあることを実践してくれるところが良いと思う。
前年も自然科学史を取っていて、みんなどんなことを書いているのだろうと思っていたが、こんな感じなんだなぁと思った。自分の感想にレスがあるのは、気持ち良いです、はい。
先生が各々の意見を読んで答えてくれているということもいいことだと思う。
先生が感想に一言をつけ加えてくれているのが、学生とのキャッチボールのようで実にいいことだと思う。
まるで「ピンポンゲーム」のようなものだと思いますが、お互い確かめあえることはもっと理解を深めてくれる友います。ただ、先生の手間がもっとかかるのではないかなと心配も・・・・ [その通りなのです。]
どうしても受け身になりがちな講義の中で、たの学生の意見を知ることができるのは、正しい、正しくないは別にして「同じ内容を聴いた人達の考え方の違い」を知る上で、とても興味を持った。
他人の感想を読んで、捉え方の違いなどが自分にとっても参考になる。自分たちの反応を読めることは、より授業に対してもそうだし、物の見方にも興味が湧いてきた。
自分の意見と他人の意見を照合し、自分では考えつかなかった事柄(意見)を学ぶことができるので、他人の意見を読めることは大変素晴らしいと思うし、自分のためにもなると思う。[同様多数]
その日の授業で思ったことをその次の週に見られることで、あらためて自分の授業の態度を反省できるので、自分の反応を読めるのはうれしいです。
自分達の反応がホームページで読めるのはうれしい。授業を履修していない人にも役に立つと思う。
しっかりした考えを持っている方が多く、驚かされる。今後は気を引き締めなければならない。[同様複数]
大学の授業にただ出ているだけではない人が多いのだなぁと実感しました。
いろいろな質問(課題)を答えてきたけれど、皆それぞれ違う。それは一人ひとり個性があるからだと思う。
みんなそれぞれに自分の意見を持っていて、すばらしいと思う。自分とは反対の人の意見にすばらしいものがあり、そういう考えもあるんだなぁと思った。
自分が「そうだ」と思っていたことでも、人によってやはりいろんな考えがあると思った。自分の考えが覆されるのも良いことなので、自分たちの反応を読めることは良いアイディアだと思う。
他人の意見を見て、いろいろな考え方があるってことを知れるからいいと思う。
他の方の感想などを見れることは面白いし、発想の展開にもなるので、私は好きです。続けていただきたいと思います。
「科学が絶対に正しい」と答えた人の根拠を見ると、今までの経験で正しかったからというのがほとんどだった。しかし、ソクラテスが言ったように「全ての最初にあるのは疑問である。」という言葉を考えるなら、視点を変えて何に対しても疑問を持つ必要があるのではないか。こういう風に自分たちの反応を読めるのは自分で考えつかなかったことを他人から吸収できる点で良いと思う。
他の学生がどういうことを考えているのかよくわかる。[同様多数]
様々な意見を読むことができておもしろいと思います。[同様多数]
他人の感想を読んで、共感できる感想もあった。
他のいろいろな人が考えていることを見られるのは、見ている分にはけっこう面白い。しかし自分のを見られるのは少し恥ずかしいかも。[同様複数]
先生のホームページは家でさっそく見てみました。みんなそれぞれの感想を読めるし、しかも先生のコメントもついていてけっこう面白かったので、こういうのは良いと思います。自分だけでなく、他の人がどういう感想とか疑問とか出しているか読めるのはいい刺激だと思います。
学生がどのような考えを持っているのかわかり、興味深い。高校時代詰め込み教育を過ごしてきた学生たちにとって新鮮な感じを持つのではないか。
人の意見を見て、私は共感するところがありました。ただ、講義を受けても何の満足も得られなかった。だから講義をもうちょっときちんと聞いて楽しいものにしたい。[先生もがんばりますから、貴方もがんばりましょう]
[冷静派]
はっきり言って何も思わない。[他]人の意見[=正しい/正しくないかも、の根拠]は参考程度しか思わないし、何か感嘆を受けた理由もない。このプリントが読めることに対しては、個々の学生の意識が見えることには○、しかしわざわざ学生のためにプリントするほどの内容としては×である。
[他の]人がこの講義をどう思っているのか、とか、どういうことに興味があるのかとかは、正直どうでもいいことなのでは・・・という気もする。先生が言うように、出たい人だけ講義に出ればいいのだから。でも他の人の反応は読んでいてなるほどなぁと思う部分もあったし、共感できる意見もあった。※ 意外に思われるかもしれませんが、西村センセイは実は上記のお二人の意見に近いのです。学生の反応をできるだけ紹介したいとは思います。皆さんは本当に素直に反応してくださります(ホンネです)。
そして、上記の反応を読めば一目瞭然なように、皆さんもそれによって今まで自分一人では気づかなかったことを気づかされることがあります。それはとても貴重な体験です。
でも、他の人がどう考えるかによって判断を変えるほど貴方/貴女の考えは軽いものなのですか? また印刷物で配るほどのものなのでしょうか。来週、改めて当方の考えをご説明したいと思います。さてさて、どうなりますことやら......。[自分でも]勉強を積めば積むほど、面白い授業として聞けるようになると思う。
科学とは、[現象から何らかの基準で]切りとる・[そして残りを]捨てることがあったのだと初めて知った。
科学が現象からものを切り取り[残りを]捨てるということは初めてきいてビックリ。 [以上、来週またご説明します。]今日の内容はよく分かったです。
今日の内容は分かりやすかったと思う。
今日の授業も理解できました。
むずかしかったけど、なんとなく理解できた。
酸化については、少し学んだことがあったので、いつもよりはわかった。
燃焼のしくみがわかったような気がする
燃焼にもいろいろなことがあり、燃焼のしくみなどがよく理解できた。今日の説明は半分わかって、半分わからなかった。
今日の内容は、難しい、わからないことが多かった。[同様複数]
フロギストン説は、いまいち、わからなかった。
わかりにくかった。
わかったようなわからないような感じだった。フロギストン説がアツイ!! 目からウロコ。超、画期的アイディア。落ちたっす、もうすげー。 [原文のママ]
負の重さが出てきた時は、目からうろこだった。話は変わるけど、先生の授業を聴いていると、今まで習ったことがうそっぽい。新しい考え方を得た感じ。 [原文のママ]
[フロギストン説を]説明されると、負の概念についてあらためて驚かされる。確かに掛け算でも、○×○=12として○の中にあてはまるのは1〜12の正の数だが、-12〜-1の負の数同士でも正の12になるのだから。 [面白い発想ですね。大切にしましょう。]
フロギストン説は昨年[の自然科学史]も出たような。確かに現代人にとっては違和感のある考えだけど、言っていることは、そんなに分からないわけではないと思う。
フロギストンの話を聞いて、昔の人の考え方にも共感できた。
フロギストン説、僕は納得しましたよ。
フロギストン説に、意外性とややこしさを感じました。
フロギストン説は面白かった。どうしてこの考えがなくなってしまったのか不思議です。
[ぜひご自分で調べてみてください。面白いですよ。手がかりとして、図書館にある、伊東俊太郎多編、『科学史技術史事典』、1983、pp.932-933.を紹介しておきます]
酸化説とフロギストン説の違いを復習してほしい。
最後の部分[科学は現象の一部を切りとり、それ以外を捨てること]がわからなかったので、来週もう一度お願いします。 [わかりました。要点を復習させてください。]大きい声を出してください。よく聞こえない。 [すみません。今日は声がかれていたので。]
書くことがいっぱいで、ついていけない時もある。 [すみません。皆さんの様子をよく見ているつもりなのですが。][フロギストン説などの]昔の考え方はがまんしなくても十分楽しく聞けるので、ゆっくりやって欲しいです。 [知的に楽しんでいただいているようで、ありがとうございます。]
[ホワイトボード上の]図解でわかっても、それが自分の言葉にはできない。むずかしいです。 [これはとても貴重な経験です。わかったつもりなのに、なぜ言葉にできないのでしょうか。それはまだ十分自分のものになっていないからです。じゃあ、自分のものにするためには......? どうしましょう。必要ならばご相談ください。]
悪いのですけど、抽象的な前回の説明の方が、私にはわかりやすかったです。 [原文のママ。全然悪くなんかありませんよ。抽象的な思考ができるのは貴女の才能ですよ。大切にしましょう。]
アブノーマルな意見ばかり取り上げるのはどうかと思う。
みんな科学の恩恵を受けて生活しているのだから、もうちょっと科学に敬意をはらってもいいのでは。 [実は仰る通りなのです。歴史的に見た場合、第二次世界大戦後に、それまでのあまりに素朴すぎる考え方への反省が生まれ、1960〜1970年代にピークを迎えます。そしてその後はその反動が生まれて、妥当な考えを探しているところなのです。来週以降ご説明します。でも、「アブノーマル」な立場も一度ちゃんと聴いてみませんか。]今日のプリントを見て、西村先生のホームページを開いてみたくなった。 [どうぞ大歓迎です]
西村先生のホームページにチャットを作って、科学討論とかができたら楽しいのではないでしょうか。 [よく気づきましたね。同郷のSさん。実はその通りなのです。ここでやっているのは、一種のチャットなのです。ただし、あらかじめ西村センセイが皆さんの代わりに文字にし、整理して、という違いがありますけれど。]
天気があまり良くないと、ちょっと憂鬱な気分になる。だんだん難しくなってきたけど、なんかおもしろい。
涼しい。/目が痛い。/大変だ [????]先生は不思議だと思います。 [????]
今日の先生の前髪の感じがかわいらしかったです。 [実は昨日理髪店へ行ったのです]
先生は本当に”クー”に似てる!! [????]
西村先生、少し焼けましたね。[27日(土)の娘の運動会に出ていたせいです。]最後に「うまくいかなかった。」とおっしゃっていましたが、ちゃんとわかりましたよ。今日もお疲れさまでした。 [ウ、ウ、ウ......(涙)。ありがとうございます。]