平成25年3月25日更新

3BB1クラス
第3回:平成25年4月25日 学習内容授業の運営方法学習課題(予習、復習)課題の解答今日の一言

学習内容

※スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故を題材に、倫理的考察や意思決定に必要な概念や用語などの解説を行う 
・チャレンジャー号爆発事故に関する解説
・技術者と価値(特に、安全)
・リスクに関する概説
・対立する価値と倫理問題
・ステークホルダーと価値
・技術者の直面し得る倫理問題とその種類(ジレンマ問題、線引き問題など)
・倫理問題と設計問題のアナロジー
・倫理思想の特徴と代表的倫理学理論
・倫理的意思決定の方法(概論):エシックス・テストおよびセブン・ステップ・ガイド
・なぜ、科学技術者倫理が求められているのか�@(メタ、マクロ、メゾ、ミクロの観点から)
・科学技術の歴史とエンジニアリングの特質
・近代科学技術と倫理思想
・技術者はなぜ特別の責任を負うのか
・技術者が共有すべき価値と倫理綱領(概説)

授業の運営方法

・PCを用いた講義
・チャレンジャー号爆発事故に関するビデオの視聴
・関連する視聴覚教材の視聴
・演習
など

学習課題 予習・復習

・予習:教科書の第4章、第5章、第6章および第7章の精読(120分)
・復習:課題2(Agora上でチャレンジャー号事故について、倫理的問題構造およびステークホルダーなどの事実関係の分析)(180分)


課題の解答(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです)

Q.スペースシャトルチャレンジャー号事故に関するビデオをご覧いただいて、個人で最初に感じたことは?
A.解説前の感想であることにご留意ください。講義の中でご説明しましたので、原則としてコメントは控えます。

・2つの組織の利[益?]が一致してしまったこと[=その結果、不適切な判断をしてしまったこと]は仕方ないと思う。しかし、技術のことは経営者にはわからないのでもっと技術者は自分の意見を伝えるべきだと思った。
・2重のOリングがあるから人命に問題がないと思ったことと、会社の経営のために打ち上げに賛成したことは間違っていた。お金よりも人命が大切だ。
・MT社は事故がおこる可能性が高いということを知っていたので、打ち上げは最後まで反対すべきだったと思う。人の命を第一に考え、行動すべきだったと思っている。
・MT社内で賛成の結論にしとかなく、危険性があるならとめるべきであり、NASAは、データで低温ではあぶない[危ない]のに打ち上げてしまったことに問題がある。
・NASAの圧力が強すぎたから打ち上げに賛成するしかない状態であった。技術者の立場から言うと反対であったが経営の立場であったら賛成するしかなかったであろう。
・NASAの圧力で、実行をOKしてしまったMT社社長も悪いが[、]危険を理解していないNASAに大きな問題がある。そもそも技術担当の意見を取り入れない会議というのがおかしい。 [お気持ちは良くわかるのですが、「いつも現場の人間を入れなければ会議にならない」のなら、社長や重役(これらを総称して「役員」と言います)の存在理由がなくなりますよ]
・NASAの考え方が甘かった。もっと上と下の人で話しあうべきだった。
・NASAの判断はとても軽率だったと思った。「問題があったけど成功した」ではなく、「成功したけど問題があった」ととらえて、慎重に考えるべきだと思った。 [確かに]
・NASAは最高レベルの技術力があるのに、技術面でのトラブルで、技術者の意見から決定するねではなく経営者が考えて判断する形はどうかと思う。経営者なら自分への責任と会社への責任、どちらが重いかを考えた上でシャトル発射を考えるべきであった。
・NASAは打ち上げる事ばかり考え、延期を非常に嫌がっていた。そのせいで、技術担当の話に耳も傾けなかった。NASAは本当に大事な安全面を一番に考えなかったことに問題があったと思う。目先の利益は考えてはいけないと思った。
・O-ringに対する過信で事故が起きたのはとてもよくないと思った。圧力をかけて技術者の忠告を無視したNASAに責任があると思った。
・Oリングの問題に根拠が無いと判断したNASAに問題がある。しかし、アメリカの宇宙開発に冷戦の影響もあって、政府は打ち上げの強行を進めただろう。
・エンジニアの立場と経営者の立場からでの重要点がずれて、失敗しても考え方が違うことに驚いた。 [前半部分はまさにその通りですね]
・おどして[脅して]いたのはよくないと思った。前回の結果から今回の事故はかんたんに[簡単に]予想できるのにNASAはなにをしているのか! [お気持ちはわかるのですが、「簡単に」ではなかったと思います]
・たとえどんな理由があろうとも、人の命がかかっている以上は、絶対安全といえるコンディションでないと打ち上げるべきではなかったと思う。
・チャレンジ―爆発事故の映像を実際に見て、安全が確かではないのにむしろ、危ない可能性があるのに、行うのはとても危険なことだと思った。悲しくなった。人の命をもっと大切にすべきである。
・ちゃんとした根拠があったにもかかわらず、意見を曲げて発射に賛成してしまったのはどうかと思うが、自分が[技術担当副社長の]ランドさんの立場におかれても、圧力に負けて賛成にしてしまったと思う。
・ひとりに責任を負わせすぎだ。MT社は断固反対すべきだった。
・まず搭乗者には命の危険があるので、発射する前に全てを知らせる必要があると思う。立場によって大切な価値感[正しくは「価値観」]が違う。
・もう少し技術者側の意見を取り入れるべきだと思った。前回の打ち上げで小さな問題があったならそれを解決しておくことも大事だと思う。打ち上げる状況はそれぞれ変わるのだからそれを想定した設計にやり直すべきだったと思う。
・安全が保障[正しくは「保証」]されていない状況で、何でもかんでも何とかなるだろうかという考えで行動するのは控えようと思った。(特に人命に関わること) [その通りですね]
・安全性を求めるなら、技術担当の言葉を信用するべきだと思う。以前あった事例から危険性が高いことが分かっているなら打ち上げをするべきではなかった。
・何事も安全第一である。技術者側から見ると、絶対に打ち上げるべきでなかったことが分かった。また、お金を得るために、命を売るのは良ない。
・会社の経営のことを考えると多少の危険があってもロケットを打ち上げたいとは思うが命を犠牲にしてはならない。
・会社の経営や利益を優先した計画の実行には、大きなリスクがともなっていることを忘れてはいけないと思った。計画・企画を成功させるには安全性の条件をクリアするのが一番大切だということが分かった。
・確実に事故がおこるとわかっていたのならば打ち上げるべきではなかったと思う。経営者になると大切なことを見なくなるのだと思う。
・危ないとわかっていながら、打ち上げることに賛成した結果、事故が起きてしまって、賛成したことにすごく後悔したと思う。自分が技術者だったら、技術者としての考えをしっかり持つ方がよいと思った。技術者は技術者じゃなかったら技術者がいる意味がなくなってしまう。
・危ないとわかっていながらせめられたくないという理由だけで打ち上げたことはやはり良くなかった。
・危険だと思かっていて、賛成したMT社の人達は、NASAを説とく[説得]すべきであった。
・技術者として最終判断することは、人の命にかかわることがある。もし私があの立場であれば、まわりからの圧力で打ち上げに賛成していたと思う。
・経営と安全2つのうちどちらかを取らないといけないことは本当に責任が重くなるものでと感じた。
・経営者と技術者の両方の立場を理解し、最善をつくすことはできなかったのだろうか。国としてのあり方が間違っていた。
・個人がもっと打ち上げることに慎重になるべきだと思った。現場の意見は大切だと改めて感じた。
・私が宇宙飛行士の家族で自分の家族があのような形で死んだらとまどい[戸惑い]を隠せない。NASAという一流の企業がこのような判断ミスしたのは悲しい。
・事故がおこる確率が高いと思っていたならば圧力に負けすに最後まで反対するべきだったと思う。
・自分がどれだけ発射に反対し、その理由を述べても企業の上部が、聞き入れなければ、決果は変わらない。でも、上部からの圧力がかかって、そこで自分の考えをかえるのは、良い事ではない。
・自分の意志を貫くことができなかったランドが目先の利益や評価を気にしすぎたため、事故が起こってしまった。
・自分もあのような選択を迫られる立場になる可能性があるかと思うと技術者になるのが少し怖くなってくる。 [お気持ちがわからないではないのですが、それは我々科目担当者の本意ではありません。皆さんにしかできないことがあるのです。今後、講義の中でご説明します]
・失敗すると分かっていたのに打ち上げた理由がわからない。
・少しでも危険の可能性があったならいくら打ち上げ反対が1人でも意志を貫いてやめさせなければいかないと思う。
・人の命より経営を取った結果、事故が起こり、圧力をかけていてNASA側が「去年も大丈夫だったからいけると思った」というあいまいな理由で片付け、MT社の方がせめられる[責められる]のは納得いかない。
・設計した技術者が、問題点を指摘してまで打ち上げを延期するよう注意をうながした[促した]のに、強引に打ち上げをするのは理解できない。
・前回の構議[正しくは「講義」]で私はレースを開くという考えに至ったが、今回の映像をみていろいろ考えさせられた。こういう事故を起こしてしまっては本当にとり返しがつかない、1つでも疑問が残るのならばそれをおろそかにしてはならないを学んだ。 [確かにその通りですね。ただし講義の中で確認しましたが、「F1グランプリ中止だけが正解」というわけではありませんので、念のため]
・全てに玉が入っているロシアンルーレットのように必ず失敗するのだとわかっていたなら強く反対して発射を止めるべきだと思う。
・組織や利益のために危険とわかりながらも打ち上げたのは良くない。私が技術者としての立場であれば延期を求めるだろう。
・打ち上げたい気持ちもわかるが、やはり、安全が確認されない状況では打ち上げてはならないと思った。
・打ち上げはそんなに簡単なものではないだなぁと思った。
・様々な思惑がからまり、みなが冷静ではなかった。
・利益を重視した場合、どうなるかの結末の一番最悪なパターンだったと思う。 [まったくその通りで、悪い方向へのベクトルが一致してしまっていますよね]


今日の一言(表現はできるだけ原文のママです。[ ]内は西村の補足ないしはコメントです) ※本日全数掲載

[視聴したビデオに関係して]

・シャトルの乗員がかわいそう。
・なんかかなしい[悲しい]気持ちになった。 [以上、気持ちは、わかる]
・やはり安全性が第一だと思う。 [確かに]
・ロケットは、しょうげき的[衝撃的]でした。 [わかっていても、実際に映像で見るとインパクトがありますよね]
・安全が二の次にくることはない。
・安全性→顧客→製品→組織→・・・自分
・安全性の重要性がよく分かりました。 [以上、まったくその通りですね]
・宇宙についてすこし興味があったのでおもしろかった。 [個人的には天文学の歴史が専門です]
・技術者にとって重視すべきことより安全性が第一!! [その通り、でも他とのバランスが、難しい。これからの講義の中で考えましょう]
・原因は元をたどると、わからなくなってしまうと思った。 [重要な点ですね。「わからなくなる」かどうかは措くとして、目先だけの「○○さんが悪い」だけでは本質的に解決しないんですね]
・自分が同じ立場になったらと思うと少し恐くなった。 [まったくその通りです。これからの講義の中で、「じゃぁ、どうしたら...」を考えましょう]
・自分の意志を貫くことも時には大事ということが分かった。 [そうなんです。貫く時も、そして逆に、自分を振り返って場合によっては引くことも大切です。これかrなお講義の中で考えましょう]
・実際その立場になったらどうなるだろうか。 [その通りなんです。前述(↑)しましたが、その時のために、これからの講義の中で一緒に考えましょう]
・上からの圧力、下が負わされる責任等々、社会は理不尽だ。
・世の中難しいと思った。 [以上、その通り。一つの方向として、問題点そのものを解決するよう努力する必要があります。でも問題は絶対になくならないので、その「理不尽な」状況の中でどのように適切に行動するかも大切なのです。これからの講義の中で考えましょう]
・組織には社長がいるがその上がいて、社長が全てその組織をしきって[仕切って]いるわけじゃない。 [その通りなのですが、逆に言うと、最末端の人間──いわゆる「下っ端」──を含めて、できることも意外に大きいんですよ]
・他人のことなら、軽々と意見を言えるけど自分のことになったら、そんな簡単ではないだろう・・・。 [まったくその通り]
・難しかったです・・・。
・悲しくなった。 [以上、気持ちはわかる。それをこれからの社会でどのように生かすかが亡くなった人たちへの本当の弔いになるんですね]
・目先の利益、長い目での利益、どちらも取ることは、とても難しい。 [そうなんです。でも良く考えると意外に両立したりするんですよ。これからの講義の中で考えましょう]

[今日の一言]

・あったかくなってきた。 [そうですね。不安定な天気が続いていますが、それでもやはり本格的な春に入ったんだなぁーと感じますよね。たとえ雨が降っても]
・お金で買える範囲で、今一番ほしい物は何ですか? [ソニー製の業務用30型有機ELカラーモニタです(キッパリ)。ちなみに25型はすでに所有しています]
・さあ、技術者の罪を数えろ。 [原文のママ。意味はよくわかりませんでした]
・とてもためになった。
・とても役に立った。 [以上、ありがとうございます。視点を変えるとけっこう面白いでしょ?]
・はやくおわってうれしかった。 [予定の場所までやったので、問題ありません]
・むずかしかった。 [いろいろ解釈が可能なのですが、はやりビデオの当事者になったら......という意味でしょうね]
・[最後の例え話で使った]学校の先生の器の小ささが分かった。 [でしょ? 皆さんだって、ホントは気づいているのです。それを応用するだけなのです]
・今日は晴れるでしょう。 [そうでしたね。でも明日は雨との予報......。明日は徒歩で出勤するので、センセイとしてはけっこう辛い]
・第二次世界大戦の各国の話も興味深かった。 [こちらも見方を変えるとずいぶん印象が違ったんじゃないかと思います]
・頭痛い。 [どうしたんでしょう。具合が悪い時はすぐに診療所へ]
・内容が楽しめる内容で授業に集中してできた。
・勉強になることが多かった。 [以上、ありがとうございます~。最後のネタ、けっこう核心を突いていたでしょ?]


西村が担当する授業の様子は、<http://www.page.sannet.ne.jp/h_nishi/>で公開しています。できるだけ、授業当日に更新するように心がけています。


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