2000年6月23日更新(6月19日ページ移動)
先週までの科学哲学に関するいろいろな立場を踏まえながら、実際の歴史を考え始めました。
最初に科学をどのようなものと考えるか(=科学哲学:帰納・演繹主義/反証主義/規約主義/相対主義)ということと、科学の歴史をどのようにとらえるか(遡及主義/相対主義)ということが深く関連していることを説明しました。ここまではかなり理解していただけたようです。
次いで、従来の科学史があまりに素朴な立場(遡及主義)に立ち過ぎていたことと、どの科学哲学の立場を採るかは別にしてもう少し柔軟に考えるとずいぶん違って見えることを説明しました。例えば科学と宗教(=キリスト教)の関係についても常識的な狭隘な解釈から生ずる問題点を説明しましたが、学生の皆さんにとっては(特に自然科学史を受講していない学生にとっては)、やや唐突な設定だったようです。この点については来週解説します。
課題の回答 [「科学と宗教」という言葉を聞いて、どのような関係を思い浮かべますか。あるいは、何を考えますか。]
[無関係/別物とする立場:29名]
科学と宗教とは何の関係もない。[同様多数]
無関係と思う。1.キリスト教の概念が科学の進歩や発見に寄与したという見方については、どうしても理解できない。2.キリスト教と科学との対立が近代科学の成立を促したのだろうか。こちらの方は判りやすいのであるが。[MT:改行を除き、原文のママ。しっかりしたお答えだと思います。これからの講義でそれにひとまずお答えしたいと思います。ご満足いただけるかどうかは自信ありませんが。]
まったく関係ないように思える。科学の根源には宗教があるかもしれないが、実験をしている時に宗教のことなんて考えないと思うから。[MY:その主張に賛成するにせよ反対するにせよ、とても評価できるお答えだと思います。現場に立ち返れ、ということですね。いいセンスですね。]
いきなり、科学と宗教と聞かれたら、かたまって[!!]なにも言葉が出ないと思う。なぜなら、考えたこともないことだからだ。だから、科学と宗教が対立しているとか、関係あるとかは、思わない。逆に、その質問をしてきた人の頭を疑うと思う。[SA:原文のママ。とても素直でよく書けたお答えだと思います。出発点はそうだとして、これからの講義を聴いてどう変わる、あるいは変わらないのでしょうか。とてもワクワクします。]
本当に科学と宗教の間に何か関係があるのか、と不思議に思う。[KSないしはMS:原文のママ。こちらもとても素直なお答えだと思います。]
科学と宗教を考えたとき、僕は、絶対に関係性のないものとして考える。理由としては、科学というのは、しっかり研究を重ねることで解答を出すことによる確実性があるが、しかし、宗教というのは、信仰心や神を信じることなど、すべてがあいまいだと思うから。[IK:原文のママ。しっかりしたお答えだと思います。ちょっと質問させていただきたいのですが、それでは貴方にとって、これまで扱った「科学哲学」はどのように映ったのでしょうか。]
宗教は思想で目には見えないもので、科学は目に見える事柄で、全く別のものだと思う。[MT]
心理を根本にすえた原理[=科学]とキリスト教思想を根本にした西洋の考え方を連想。
現在の科学においてはあまり宗教的な面は見られない気がする。あまり関わりのないものだと思う。(でも、今日の講義で、両者の関わり合いが少なからずわかった気がする。)[原文のママ。案外冷静に見極めているのですね。SSさん。]
ハイテクなコンピューターと、アブナイ考えの信仰。関係は無いように思われる。[原文のママ]
突然聞かれてもピンとこない。この二つは、実は関係がある、と言われても、へーと思うくらいで、全く別物かと思っていた。
過去には対立する歴史があったと習った気がする(高校までの知識)が、現在は、科学は科学、宗教は宗教と、別々に成立しているように思う。
全然関係ないこと、と一年前なら答えたけど、自然科学史やっちゃったら、まるで洗脳されたごとく言葉が脳裏を横切る→以下授業に続く。[原文のママ]
もし私に自然科学史や近代科学史の知識がなかったら、科学と宗教は無関係と答える。もしそのような[科学史の]知識があれば、宗教(キリスト教)が近代科学を生み出した関係と答える。[AN(文章を一部整理):とても率直なお答えだと思います。素直さにありがとうございます。]
全く関係ない、と去年授業[=自然科学史]を受ける前は思っていた。
たぶんいきなり訊かれ、この講義を受けていない人に聞いたら、まったく別のものでしょ、と言われて、何でこの二つを組み合わせるのと言われると思う。宗教と科学は、宗教の考えが進化したものが科学につながったと思う。[RI:原文のママ。とても素直なお答えだと思います。]
科学と宗教が関連すること自体考えたことがないので、両方は別々のものと思える。科学は頭で考えるもので、宗教は心で感じるものだと思う。[NK:原文のママ。でも、じゃあ、頭と心の関係はどうなるのですか?]
(自然科学史をとる以前の私であったなら)何言ってんの?! 何とも思わない。水と油じゃん。[自然科学史をとった](今)19c以前の科学でしょ?! 宗教(キリスト教)と科学が接点あったなんてふしぎだよねー。[原文のママ]
授業[=自然科学史]でやったように?昔は、すごく関連があったように感じ、今は全く関係がないように思う。
先生の授業[=自然科学史]の話をいっさい除いて考えたら、科学は目に見えるもの。そして検証できた上で認識されるもの。宗教は目に見えないものを信じること。そして検証なんかできない空想の世界に近いもの。
[対立関係/全く反対のものとする立場:12名]
対立関係。/全く反したもの。[同様複数]
「科学と宗教」と聞くと、相反するもののたとえのように聞こえる。決して交わることはないようなイメージがある。
全く別もので、対極にあるものだと思うだろう。
科学と宗教というのは全く正反対の関係だと思う。なぜなら科学というのは、ちゃんと事実をもとに実験をしてちゃんと立証されているが、宗教というのは、神とか信仰といった目に見えないものだから証明ができない。
対立関係。水と油。お互いがお互いを受け入れられないといった感じ。
正反対のものというイメージがあります。数学と国語という感じ。
・意見の対立/・裁判/・迫害/火あぶり/・死刑[改行を除き原文のママ]
[深く関係しているとする立場(自然科学史受講生が多いようです。そのせいか、ちょっと根拠が弱い/具体的でないかなぁーという印象を受けます。):8名]
科学と宗教(=キリスト教)は関係している。キリスト教の思想が科学を生み出し、今度は科学が発展しすぎて対立関係が発生したのではないかと思う。[同様あり]
別々に見えて実は表裏一体。
宗教による考え方から科学的考えが生まれたのではないか。
科学的な現象は、神様が造った[『創った』]ものという考え方。
科学は具体的な証明であり、宗教は抽象的な概念だと思うが、これは表面上の違いであって、二つの考え方があって初めて成り立つ真理もあると思う。
大昔の人々は、魔術師や呪術師が科学者や医者をやったようなことを聞いたことがあるから。故に、科学と宗教は切っても切れないコインの表と裏だと思う。[一部略]
科学と宗教と聞いても、どこにどう接点があるのだろうかという疑問を抱いてしまう。だが、根本をたどると共通点が浮かび上がってくることがわかる。普通に生活しているだけではわからないことを、この授業を通して発見した。
[その他]
宗教と絵画のつながりは多いが、科学とのつながりと言われると考えたことがなかった。
いきなり「考えろ」と言われて考えたのは、中世に科学をキリスト教がしっかりガードしていて、くらい部屋でコトコトと何かの液体を熱している場面です。
片方がもう一方の根本的なものですべてできあがっている。
戦争を思い浮かべる。宗教の対立が戦争の要因になるし、科学はそのために利用されてしまうから。[一部略]
よくわからない。簡単そうで実は難しい問題。[とても素直なご意見だと思います。]
特に分離していたり、対立しているというイメージはない。[一部略]
パッと思い浮かぶイメージとしては、「くっついてもいないが、離れてもいない関係」だと思います。これは、昨年西村先生の講義[=自然科学史]以前に抱いていたイメージです。
あまりにも想像の枠からかけ離れてしまって実感がわかない。本当に関係あるのか?と疑ってしまいそう。
自分の中では互いに違うところに位置し、つながりがない関係にある存在。が、いつもどこかでつながって、不思議なもの。
考えてみてもわかりません。
古代からのもので、明らかにされたものどうしであると思う。
人間による神の領域の審判。
何となく、科学者と聖職者の対立を想像します。でも、キリスト教と科学が対立するとは思いません。
魚のはら[=はらわた]の苦いところがおいしいと思ったり、ウドの苦さを好んだりするとの同じように、授業の難しさがだんだん面白くなってきました。[ありがとうございます。センセイも頑張ります。]
よくわかったであります。
今日は自分なりに理解できた。とても良かったと思う。
ちゃんと理解できたかどうかは別として、おもしろかったです。
難しかったけれど、おもしろかった。キリスト教が科学を生み出した、ということに驚き。
よかった。
「キリスト教が近代科学を生み出した」とか、「科学的に考えるということはキリスト教的に考えるということ」っていうのは、自然科学史の時から聞いていたけど、どうしてそうなのか知りたくなった。
科学をもう一度やわらかい頭で考えようとしたきっかけは何だったのでしょうか。よくわかりません。[それは知的好奇心です。『本当に教わった通りなのだろうか』と疑って、調べてみると......ということです。]
科学は奥が深い!!今日の内容は自分にとっては難しかった。[同様複数]
最近難しくなってきた。
前期も残り僅かになって、今の知識でレポートが書けるか心配になってきた。
疲れた、今日は。
たまに早く終わってくれるとすごくうれしいです。
先生の授業は早く終わるので、良いと思う。
今日は早く終わってうれしかった。
私は家庭教師をやっていますが、生徒[大学生は『学生』といいます]として、また教師として両方の見方から言わせてもらえば、「早く終わるよ」などとは言わない方がいいと思います。これは生徒に期待を持たせ、集中力を切らす原因かと思います。生徒は「早く終わる」=5〜6分以内で終わるくらいの気持ちを持ってしまいます。その後の授業もきちっと聞いてほしいなら言わない方がいいかと思いますが。[以上、ほぼ原文のママ。ご指摘、心からありがとうございます。実は、そうなんですよね。さて、どうしましょうか......。それにしても教師の立場に立つといろんなことに気づくでしょ? 貴重な経験ですから大切にしてください。]
「理性=合理的」。合理的って良いこと? ちょっと頭がボーッとしていて働いていないようなので、後々整理したいと思います。今日も睡魔と戦った。先生の授業の合間の突然の雑談はおもしろい。
寝てしまいました。
眠過ぎです。先生が、一方通行の授業をしていないっていう言葉がうれしかった。
図が見やすくていい!
がんばれ〜[原文のママ。励ましのお言葉ですよね、きっと。]今日は、前の方に座ったので、先生の表情が細かく見えておもしろかった。
日報[=『新潟日報』]の記事を自分も読みたいと思いました。今度プリントしてもらえるとうれしいです。[タイミングをみて考えてみます。]エアコンつけましょう。[換気はしましたが、それでもエアコンがほしかったですね。]
気のせいか、人が大勢いるように見えた。[今年は反応をフィードバックしているためか、実質的な受講者数が安定しています。]
湿気が多くていやです。
雨でズボンが濡れて寒い。特になし、です。[同様複数]
ホームページ上に載っている数年前の別人のような西村センセイ[原文のママ]のお顔、すごく興味深いです。授業[終了]後、すぐに見に行こうと思います。
インターネット[上のホームページ]の先生は少し太っていたと聞きました。本当でしょうか。[ご自分の目で、どうぞこちらで真偽のほどをご確認ください。]
先生のH.P.[=ホームページ]見ました。白衣着てるイメージが強い先生が、田植えをしてて[こちら]ビックリしました。稲の成長は順調ですか? おいしいお米がとれるといいですね。[お心遣い、本当にありがとうございます。うまい写真が撮れなかったので、6月16日現在ニュースには載せていないのですが、稲の生育は順調です。->6月19日付ニュースに転載しました。こちら]