2003年3月7日更新(2003年3月16日ページ移動。2003年9月8日および2004年4月16日写真削除)
3月7日(金) どっちが合理的? −−日米テレホンカード考−−アメリカツアー最後のお話。今回のネタは、すでにご存じの方も多いかもしれませんけれど......。
今回アメリカからのHP更新を可能ならしめたのは、テレホンカードのおかげです。昨年の夏に渡米した際、海外向けのテレホンカードがあることを知ったのです。でもそのカード、私たちが見慣れた日本のものとはずいぶん違います。
右の写真はセンセイが実際に購入した2枚のカードです。左側が表面、右側がそれらの裏面です。
上のキティちゃんは出国前に成田空港内で購入したKDDIのカード、下のセブンイレブンのカードはアメリカで購入したものです。で、西村センセイ、日本のテレホンカードと同じだと思って購入したのですが......何だかずいぶん違う。
まず威厳さが違います。
日本のテレカはそれなりに厚みと張りがあって存在感を主張しているのですが、アメリカのそれはペラペラで、子供のオヤツについてくるカードのよう。うーんこれで本当に電話をかけられるのかなぁー????
厚みの違いはそのまま構造の違いを意味します。日本のテレカは利用可能料金などの磁気情報をカード自身に記録するために磁気層を持っており、ちょっと厚めです。
アメリカのテレカはそのような特別な仕組みは一切なく、キー(鍵)になる12桁程度の番号がかかれているだけ(!!)です。
で、このペラペラのカードで電話をかけるためには、まず、指示されたある番号に電話を繋ぎ、続いてこのキーとなる番号をインプットして認証されることによって通話が可能となるのです。正直なところ、最初に電話をかけた時には半信半疑でした(だからセブンイレブンのカードは最も安価な5ドルのものを購入しました)。つまり、日本のテレカはそれ自身がいろいろな情報を背負っているのに対して、アメリカのテレカは先ずサーバーがあって、そこへのアクセスを保証しているだけなのです。サーバーには利用可能な料金などの情報が蓄積されていて、その情報にもとづいてユーザーは電話をかけることができるわけです。
正直なところ、ユーザーとしては日本のテレカの方が便利です。カードを差し込んで相手の電話番号をダイヤルすればよいのですから。
でも、皆さん良くご存じのように、日本のテレカはカードに記録されている磁気情報を故意に書き換えることによって違法な利用方法が可能になります。高額テレカや高額ハイウェイカードの偽造は皆さんの記憶に新しいのではないでしょうか。一方アメリカのテレカの場合は、偽造はほとんど無意味です。
この問題の背後には「情報をどのように管理するか」という問題があるように思います。
一般的には情報を分散させることによって盗難等のリスクを軽減させることができると言われていますが、ことテレカに関しては、テレカそれ自身に自立的な情報を持たせることが偽造を招いています。この点、アメリカのテレカは偽造するだけの価値がなく、意味のある方法だと思います。
で、以下はオマケ。
手間の問題はともかく、このようにしてかける海外通話はホントに低価格です。日本国内で中長距離電話をかけるのと同じくらいのコストです。信じられないくらいのローコストです。
白状すると、アメリカからのアクセスの途中でカードのチャージがなくなってしまい、ホテルから日本国内へ直接ダイヤルしてアクセスしたのですが、テレカの10倍くらい(!!)の料金がかかってしまい、チェックアウトの時に仰け反(のけぞ)ってしまいました。(ホントの話)最後にアメリカのテレカの難点を一つ。
アメリカのテレカで、普通に電話をかける分にはまったく問題ないのですが、こと、インターネットにアクセスするとなると、いろいろなタイミングが問題となります。
カードでの通話にはいろいろなガイダンスの音声が入るので、うまくアクセスできるかどうかは極めて微妙です。今回もアクセスできないうちに時間切れとなるケースが多発しました。というわけで、結論。
海外からのテレカによるアクセスは、音声の場合はまったく問題なく、極めてお得ですが、インターネットの場合はかなり難しいと思います.。
.....少しは皆様のご参考になりましたでしょうか? 次回は啓蟄(けいちつ)にちなんで春の話題をお送りしようと思っています。
3月6日(木) アメリカで聞く「ニ・シ・ム・ラ・センセイッ!!」 −−この話は実話です−−センセイが今回アメリカへ行ったのは、技術倫理などの職業倫理を考える学会に参加するためです。
「倫理」という言葉を聞くと、高校での倫理社会を思い浮かべて「自分には関係ないや」と思う人も多いと思います。
けれども国際的には倫理の重要性が急速に見直されていて、特にアメリカではとても大きな潮流となっており、各国に強い影響を与え始めています。で、西村センセイは今回その様子を調べるために、専門家の会合に出席したというわけなのです。初日のこと。
一連の会議に先立って、全米の学生チームが参加する"Ethics Bowl"を観戦(?)しました。"Ethics Bowl"というのは、倫理的な問題を取り上げた一種のディベートなのです。説明会会場には200人以上が一堂に会していて、ものすごい熱気です。
やっと空席を見つけて座ると、隣の制服姿の学生が話しかけてきます。空軍の学生チームに所属する彼は、何だかセンセイに興味があるようです。
で、センセイが胸につけた名札をジロジロと見ていたと思ったら、彼曰(いわ)く、「ニ・シ・ム・ラ・センセイッ!!」 おぉ〜っ!!!!
センセイの名前はローマ字で書かれているので読めて当然なのですが、何と、「先生」という言葉を知っていたのですね。どこから何をしに来たのかとかいろいろ聞いてきます。このような事情もあって、"Ethics Bowl"に空軍チームの側からおつきあいすることになりました。
"Ethics Bowl"は5人ずつからなる二つのチームが勝ち抜き戦で戦います。
まずお互いに挨拶した後、審判役からテーマが与えられます。このテーマはあらかじめ公表されているのでチームで対策を練ることはできるのですが、当日までどれが当たるかはわかりません。
次に先攻、後攻を決めます。
先攻は検察役になって問題を追求します。ここでは基本的に一人で主張します。あらかじめかなりの部分を用意しているのでしょうね。5分間、ものすごいスピードで自己の立場を主張します。これを受けた弁護側はそれに反論しなければなりません。検察側の主張は初めて聞くわけですから、その場で即答するわけにはいきません。
で、1分間の時間をもらって弁護方針を相談します。みんな真剣です。この打ち合わせを受けて弁護側の一人が、5分間滔々(とうとう)と弁護の主張します。わずかの時間でまとめたとは思えない見事さです。
最後に検察側が弁護側に1分間だけ質問をします。
で、これでおしまい。たった11分のやりとりです。
審判役はこのやりとりを聞いて、少し質問をした後に、それぞれの主張、質問のやりとりを点数化して、勝敗を決めます。
もちろん検察・弁護の立場は対等ではないので、ここでお互いの立場を入れ替えてもう一回戦い、最終的な勝敗を決めます。
今回ご覧いただいている写真は準決勝のものなのですが、なりゆきでセンセイが応援していた空軍チームは、残念ながら決勝へ進出することができませんでした。
決勝戦は会場を大きな部屋に移して、多くの聴衆の前で行います。ご覧のようにビデオカメラも入っています。
決勝戦では結局、海軍の学生チームが優勝し、賞金を手にしました。
と、まぁ、これだけ書くとセンセイの文章力のなさもあって「それでどうしたの?」と思われるのでしょうが、センセイがお伝えしたかったのは、アメリカの大学生は無茶苦茶勉強している、ということです。
もちろんここに参加しているのは大学から各大学から選ばれた人たちですから、その分は考慮しなければならないのですが、彼らが自分の主張を堂々と説明できるのは、決してそれらを単に暗記しているということではなく、十分に勉強な勉強に裏打ちされているからなのです。
で、「センセイッ」と話しかけてきた空軍の学生も、その時はまだまだ幼く、日本の大学生とそんなに違わない印象を受けたのですが、ひとたび壇上に上がればまったくの別人。見事なものです。
ICU時代から知ってはいるのですが、アメリカの学生は本当によく学び、よく遊びます。日本の学生の姿や、センセイ自身を振り返りながら、日本で教えることの難しさと、そして意味合いをいろいろ考えさせられた西村センセイでした。
3月4日(火) アメリカから戻りました −−シカゴ空港編(2)−−というわけで、無事に日本に戻りました。まだ自宅にたどり着いたわけではないのですが。
今回のアメリカ旅行はセンセイにとって意義深いものでした。
もちろんお仕事最優先なのですが、初めての夜行便で機内から本当に綺麗な日没と日の出を見て、サン・テグジュペリの『夜間飛行』ほどではないもののいろいろ考えたり、アメリカ南部の陰陽を感じたり......。会議の場所から日本には直接戻れないため、昨夜はシカゴ空港のホテルに一泊しました。
シャーロットから一つ早い飛行機に乗れた−−大きな空港ではないのでほんとに親切だった−−ので時間に少し余裕ができました。
昨年の夏訪れたシカゴの街まで出かけてみたのですが、日曜の夕方、それも気温-5℃(!!)だったので、そうそうに退散してホテルに戻りました。オヘア空港のヒルトンホテルは空港ビルと直結していてとても便利です。しかも全面窓ガラスの客室からは空港を一望できるので、昨晩はビールを飲みながら、窓越しに人々の動きや飛行機の離発着をずっと眺めていました。
アメリカ人にとって飛行機はバス代わり。オヘア空港は拠点空港なので、ピーク時には飛行機が芋虫の行列−−そんなものあるのかな?−−のようにぞろぞろとならんで出発の時間を待っています。本当に狭い歩道橋のような所を飛行機が渡ります。それくらいたくさんの飛行機が往来します。
で、そのシカゴ・オヘア空港には当然ショッピング街があります。
ハンバーガーショップやコーヒー屋、書店や事務用品のお店などに加えて、当然、お土産屋さんもあります。
写真左側のお土産屋さんを覗いていてら......
看板がちょっ「と」おかしいことに気づきました。
う〜ん、でもこれは日本人のお客の注意を引くための策略?
明日も今回の旅行のお話ですが、学生の皆さんにはちょっとキツいものになるのでは、と思っています。
3月2日(日) おやつも仕事のうち!! −−西村センセイ、空意地を張って損をする−−皆さんの週末はどのようなものだったのでしょうか。
センセイのお仕事も今日(現地時間でこれから始まる3月2日)を残すだけです。とても刺激的で面白かったので、名残(なごり)惜しくなってしまいました。
さて、外国での「会議」というと皆さんはどんなイメージを持たれるのでしょうか。きちんと背広を着た人が集まり、しかめっつらで今にも喧嘩になりそうな感じで......というと、これが全然違うのです。
きちっとした服装の人もいればジーパン姿の人もいます。丁々発止の議論はきわめて例外的で、意見が違ってもユーモアあふれる会話の中で議論は進むのです。ちょっと日本では想像できない光景です。たぶん最も違うのが「会議だけが会議ではない」ということです。
こう書くと何だか、正式の会議の他に秘密の会議があって、そこで根回しが行われるような印象を持たれるかもしれません。外交交渉などの場面ではそうなのかもしれませんが、今回のような会議の場合はずいぶん意味が違うのです。
右の写真は会議の合間の"Break"の時間です。約30分ほどなのですが、ご覧の通りおやつや飲み物を手にしています。
で、写真の奥や右側を見ていただくとわかるのですが、飲み物を片手ににこやかに談笑しています。これがもう一つの重要な「会議」なのです。
日本人にはなかなか理解しがたいことですが、欧米ではこのような場面でできるだけ多くの人−−もちろん初対面−−に話しかけて、お互いに話題を提供しあい、お友達ネットワークを広げます。この出会いがとても重要なのです。みんなとても気軽に話しかけてきます。
"Break"の他には公式の昼食や夕食を一緒に取ります。残念ながら今回は諸般の事情で申込みが遅れ、センセイはこの食事に参加できませんでした。その代わり、といっては何ですが、昨晩(1日)は会議の出席者と夜遅くまでレストランで語り合いました。
ところで、何が「失敗」かって?
実は、すでにお伝えしたように(こちら)、今回はデジカメだけを持参しています。これが期待以上の働きで、大学の先生方にはぜひお伝えしたいのですが、会議の資料を写すのにてても有用です。特にスクリーン上のOHPやパワーポイントの映像を残すのにこれほど便利なものはありません!!
著作権の問題があるので、実物はお見せできませんが、他の参加者がスクリーン上の情報をせっせと手で書いているその脇で、ごくごく手軽にデジカメで全部を撮ってしまえるのです。
ノートパソコンを持ち込んでいる人は多かったのですが、デジカメは皆無。しかもこのような使い方は知らなかったらしく、みんな羨望の眼差しでした。で、フラッシュもバンバン焚いて80枚くらいを撮影したところで、タフな電池もなくなってしまいました。あとちょっとだったのに......。こんなことなら空意地を張らずにACアダプターを持ってくれば良かった......。
でもセンセイのデジカメ、価格以上に十分働いてくれているので大満足です。
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