2012年9月22日更新(2012年9月30日ページ移動。2016年3月22日一部写真削除)

──2012年9月第4週のニュース──

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9月22日(土) 「暑さ寒さも彼岸まで」 ──季節は替わる。センセイを残したまま──

 今日は見たままのお話を手短に。

 週末なので昨晩の(ほぼ)最終列車で新潟の自宅へ戻りました。自宅にちゃんと腰を落ち着けるのはずいぶん久しぶり。柏崎駅で電車を降りると、ずいぶん気温が低いことに驚かされました。
 道路脇ではススキが穂を出していたし、ご覧のようにコスモスも咲いています。

 正確に言うと、暗闇の中、両手に荷物を抱えて駅から歩いた昨日は見落とし、今日、同じ道を車で走っていて気づいたのですが。

 午後はオランダのスーパーで買ったチーズとお菓子を車に積んで両親と伯母の家へ。
 今日は彼岸の中日(秋分の日)なので菩提寺へ皆で出かけたとのこと。

 本来は送り迎えを含めてセンセイの仕事なのですが、何より時差ボケが残る中での運転は非常に危険。
 最初の勤務先で、時差ボケによる交通事故──センセイらは被害者──を体験しています。

 それに80歳を越えても元気な彼ら彼女らの生き甲斐の問題でもあるので、今回は勘弁してもらいます。

 ここ1ヶ月ほどとにかく忙しく、おまけに暑かったので、なかなか落ち着いた仕事をすることができませんでした。
 もちろんその時々に、与えられた仕事はきちんとこなしていたはずですが。

 でも来週に入った途端に後期(「後学期」)の講義が始まります。もちろん大学全体としてはその準備は着々と進行しています。やや取り残され気味のセンセイを除いて。

 季節は、確実に替わっているんですね。



9月21日(金) ようやくお刺身を食べられるようになったので...

 オランダから戻って以来、冗談抜きでお刺身を食べられなくなった西村センセイ、昨晩は最もお肉っぽい魚(?)であるマグロのトロ──普段は赤身魚はほとんど食べない──に挑戦。
 単純に、いつものスーパーで売れ残っていたから、という理由もあるのですが。

 帰国してから1週間近く経過したこともあってか、それなりに美味しくいただきました。今晩のつまみはすでに白身魚のお刺身。やれやれ、というわけで、いつも通りのネタに戻ります。

 まだ食事のペースが戻ったいなかった昨日のお昼は、いろいろ考えた結果、ほっかほっか亭でお肉も入ったお弁当を買うことにしました。校門から外へ出ようとして......あれ?!
 校舎の2階から、電線が外へ延びています。

 引っかけないように注意を促す旗も。何だろうと訝っていると、Tシャツ姿でヘルメットをかぶった人物が、「どうも」とペコリ。

 おや、まぁ、数年前に担当だったクラスの学生ではありませんか。彼は学友会で大学祭(「工大祭」)の責任者だったはず。

 校門を出たところで状況を理解しました。10月下旬に開催される工大祭の看板を業者と協力して設置していたのです。
 センセイが通りかかったその時は、作業がひとまず完成したところだったようです。

 今回のメインテーマは「The Show Time ──工大生の想いみせます──」とのこと。

 一瞬、「センセイだったら『想い』ではなく順当に『思い』にするだろうなぁ。でも、ちょっと受けを狙って『みせます』を『魅せます』じゃどうだろう......」などという考えが頭をよぎったのですが、口にはしません。(文字にはしてしまいましたが。)

 彼ら彼女らは自分達で何かを創り上げようとしているのですからね。

 というわけで、彼に挨拶をしてお弁当屋へ向かうと......。(続く、かもしれない)



9月20日(木) 「世界の中で日本の存在感が薄れている」って、本当は何なんだろう...

 オランダに出発する直前に開いた学会でのこと。

 偉い先生が「ヨーロッパに永住した複数の日本人から『最近、世界の中で日本の存在感が薄れている』と聴かされた。だからこれからの学生はぜひ・・・」と挨拶されました。
 半分はまったくその通り。

 アメリカへ行くたびに韓国製自動車の割合が増えているし、大きなスーパーに並んでいるのは韓国製や中国製の液晶テレビばかり。かつて世界を席巻したソニーやパナソニック、JVC(旧ビクター)の製品は、ビデオカメラなどごく僅か。
 アメリカほどではないものの、今回訪問したオランダでも似たような事態が進行していました。日本人の留学生もぐっと減ったし。

 でも、ホントのところはどうなんだろう。

 ヨーロッパの石畳の都市で道路脇に駐車されているのはほとんど欧州車。がっしりとした造りが街並みに似合っています。日本車もあるのですが、ヨーロッパで見ると、とにかく線が細い。
 日本国内で、普通車に混じったちょっと前の軽自動車を見ているような感じ。

 低価格で故障が少なく、一定の安全性が保証されて、燃費が良くて...という特徴は、場所が変わり条件が変わると、弱点になる可能性があります(もちろん故障が少なく安全なのは良いことだけど)。
 世界に誇る新幹線だって、ヨーロッパの鉄道システムと比較すると、「細い」。

 戦後の日本人が頑張って、それまでにない商品(品質の良い車や電化製品など)を造って世界に貢献してきたことには心から敬意を表します。

 でも、もしかしたらそれが一種の奢り、あるいは硬直化した成功体験に繋がり、それが逆に日本人を自縄自縛(じょうじばく)に陥らせているように思えてならないのです。
 「日本的でないもの」なんていくらでも存在するのです。

 日本を離れて、それらを考え、造り、運営し、使ってきた人たちとちゃんと話すと、彼我(ひが)の違いを思い知らされます。

 誤解してほしくないのですが、「だから日本人はダメだ」と言っているのではなく、「できることはできるし、できないことはできない。相手の話をちゃんと聴いて、お互いの立ち位置を確認し、しっかりと対応しましょう」と言っているのです。

 そこを押さえないと、自分達に似た存在が出てきた瞬間、「あれはパクリ」と決めつけて、そこで思考を停止してしまいがち。
 ちなみに、センセイが高校生のころまでの日本は、まさにその「パクリ」国家だったと言われても仕方ない状況だったんですけどね。

 今までの、お子さまの発想を卒業し、オトナのお付き合いをすべきなんじゃないですか、ということなのですが......考えてみるとセンセイ自身を含めて、どうやら周囲はお子さまばかりらしい。

 もし、何か大きなイベントを開けばこの国が瞬時に良くなると(本当に)信じて人がいたとしたら、その人はたぶん、本当の未来ではなく、過去の栄光を未来だと思い込んでいるのでしょう。
 しかも困ったことに、近隣の国々もどうやら似たような状況らしい。

 これって、植民地を「経営」してきたヨーロッパ諸国やアメリカからすれば、おそらく子供のケンカのようなもの。「相変わらずちょろいなぁ」などとという感じなんじゃないかと思います。

 写真はロッテルダム中央駅ホーム上の工事現場で見つけたクボタの小型パワーショベル。こうやって、信頼篤くしっかりと働いている人(?)もちゃんと存在しているのですが。



9月19日(水) オランダの食事はとても美味しかったのですが、逆にそれでちょっと困ったことに...?!

 ご存じの方もいらっしゃると思いますが、西村センセイは基本的に和食派。

 ラーメンも食べますが、以前と比べるとその頻度は激減しています。中華料理はあまり食べませんし、洋食に至っては通常は皆無。また、若かった時はともかく、現在では肉をほとんど食べず、少しの魚と野菜食べるだけ。
 粗食といってもいいと思います。

 そのため、今回のオランダ行きはどうなるのか、実はちょっと心配だったのです。でもそれは杞憂に終わりました。だってオランダの食事は美味しいんだもん。
 アメリカやイギリスとは違います。

 宿泊初日のハーグは、身内で海岸部の保養地へ出て食事を取ったのですが、ムール貝も、サーモンも、チキンも美味しい。(ちょっと味が濃かったけど。)

 セルトーヘンボッシュ──写真は同地の「マルクト」──では地元の関係者とイタリアレストランで食事したのですが、これもまたホントに美味しい。
 本来はビール党のセンセイも、なぜか現地ではワイン党に変身してしまいました。

 外食するとお金がかかるので、お昼はサンドウィッチと飲み物を買って食べた──現地ではこれが普通──のですが、パンも、チーズも、サーモンもハムも美味しい。

 そこで会食しない日はスーパーでサーモンやハム、サラダ、そしてハイネケンのビールを買いこみホテルで夕食。
 これがまた、結構美味い。

 唯一の反省点といえば、そんなにスーパーへ行くと思っていなかったので、持ち込んだ割り箸が不足して、現地でプラスチック製のフォーク──約60円──を買ったことだけでしょうか。

 往復ともに利用したシンガポール航空の機内食もなかなかで、シンガポール−成田便は日本食も選択可能なのですが、センセイは洋食にしました。
 ちなみに隣の外国人は和食を選択していました。

 というわけで幸いにもお腹をこわさず、食事に関しては極めて幸せなツアーだった......のですが、帰国してからちょっと困ったことになってしまいました。
 洋食の、しかも濃い味に慣れてしまったので、普段食べていた淡泊な日本食では物足りなくなってしまっているのです。白状すると、現在は刺身を食べられない状態です。

 そこで金沢へ移動してからは自分で肉料理を作っている(!!)のですが、果たしてこれでいいんだろうか......。



9月18日(火) セルトーヘンボッシュ市の教会の屋根の上、天使が手にしているのは...

 今日は見たままのお話。

 ヨーロッパの伝統的な都市は基本的に、中心部に広場があって教会と市役所がそれを見守るような格好で位置しているが普通。もっとも現役の市役所の方はどこかへ引っ越してしまい、「旧市役所」になっていることが多いのですが。
 2泊したセルトーヘンボッシュ“
's-Hertogenbosch”も同じような造り(ただし教会と広場「マルクト」は少し離れています)。

 仕事を終えてホテルへ戻り、少し休んでから市街地に出かけます。せっかくの機会なので。
 石畳の落ち着いた街並みは、ドイツ北部などと雰囲気が似ています。

 中央奥に見えるのが教会。工事中だったので、作業用の足場が組まれ、白いシートがかけられています。

 教会を一周してからスーパーマーケットに立ち寄ってホテルへ戻ると、出くわした同僚──会合終了後は別行動だった──が、「天使の像、ご覧になりました?」

 この時点では何のことかわからなかったので、改めて教会へ出直します。目的地は右側の工事シートの奥、教会の屋根の上の方。
 教会ですから周囲に聖人や天使の像が掲げられています。

 よく見るとすべてが異なっており、同じものは一つもありません。

 全体としてはたくさんのメッセージを伝えているのでしょうが、残念ながらセンセイが持つ乏しい知識では、それらを完全に理解することは不可能。
 「猫に小判」「馬の耳に念仏」状態ですね。

 かなり歴史のある建物らしく、全体としては風化が進んで黒ずんでいるのですが、所々白い場所があります。修復した跡です。
 像も同様。

 写真の天使像、ご覧のように台座はかなり古いものですが、像そのものは背後の一部とともに、最近修復されたもの。
 白さが違います。

 ポイントは彼(?)が左手にしているもの。

 初めて知ったのですが、このように像を修復する場合、完全に同じものを再現、製作するのではなく、修復時点での「その時代」を象徴するものを付け加えるのだそうです。
 で、この天使が手にしているというか、耳にあてているのは......携帯電話!!

 言われてみると、確かにそうですね。製作者は現代の象徴としてそれを選んだのだそうです。
 そう考えてみると、他の天使や聖人が手にしているものも、意味が違って見えてきます。

 偉そうなことを言っていても西村センセイ、まだまだ修行が足りないようです。 



9月17日(月) やっぱりこっちの方が、精神年齢は高いように思えます。(偉そうなことは言えないけど...。)

 金沢へ移動しました。昨日は成田到着が遅かったのです。

 何度もお伝えしているように、今回は往復ともにシンガポール経由。これまでの経験だと帰国後数日間は突然、抵抗できない眠気に襲われたりしたのですが、帰国直後を除けば時差ボケは軽微です。
 おかげで明日からは通常業務に戻れそうです。

 ただしやはり年齢からか、かなり疲れていたらしく、今日は条件が許せばずっと寝ていました。 

 さて旅の総括(?)は後日に回すことにして、今日は気づいたことを一つだけ。今回は2つの大学を訪問したのですが、デルフト工科大学は少しだけご紹介したものの、もう一つの訪問校アイントホーヘン工科大学に触れていなかったので。
 ちなみにオランダには、工科系大学はもう1校と合わせた3しか存在していませんが、いずれもハイレベルの学校です。

 両校とも新学期が始まった直後で、新入生はもちろん、在学生がやや緊張気味の表情を見せていました。

 移動時に教室の外から授業の様子がちょっと見えたのですが、初回らしく、スライドを用いた講義予定の説明。
 この辺は日本と同じですが、それを聴いている学生の表情は、やっぱりオトナ。

 写真は研究棟のロビーにあたる場所。朝は無人だったものの、打合せを終えたお昼前にはご覧のように学生諸君が勉強していました。
 決して日本のようにゲームをしているわけではありません。

 金沢工大だけを念頭に置いているのではありません。

 自他ともに日本の大学大学の頂点を意識──やや過剰気味に──している大学だって、門前町の喫茶店で見せる学部学生の表情は同じようなもの。
 やはりオランダの学生は、オトナです。

 どうしてこんなに差が出るんだろうと思うのですが、ふと、その日の会合の様子を振り返ると、これは学生諸君だけでなく、センセイらの問題でもあることも思い知らされます。
 決して偉そうなことは言えません。

 ホントに、なぜなんだろう。



9月16日(日) 西村センセイ、エアバスA380機に初めて搭乗する ──オランダから、無事に帰国しました──

 というわけでとにかく無事に帰国しました。

 来た時と逆のルートなので、単純に飛行時間だけなら20時間強。乗り換えと前後の待機を含めるとそれが30時間に近づき、空港までの移動その他を含めると、ざっと36時間。
 旅程上は7泊8日ですが、要するに最初と最後は1日を36時間に延長して対応しているんですね。

 もちろん時差ボケは避け難く、時々異様な眠さに襲われますが、北回りの直行便を利用した時──特に東に向かう(=ヨーロッパからの帰国/アメリカへの移動)──時のように、内蔵がねじれるような感覚はありません。
 それなりにゆっくりと移動しているので、身体の方も何とか対応してくれているようです。

 さて今回の出張では航空機に搭乗する機会があったのですが、そのうちの3回はボーイング社製のB-777機。センセイはたぶん初めての利用だと思いますが、同系列は何度も乗っているので、特別な印象はありません。
 でも今日のシンガポールから成田までの便は、初めてのエアバス社製A380。

 ご存じの方も多いと思いますが、総2階建ての巨大なバスです。写真は搭乗直前に撮影したもの。
 ガラスに室内の様子が右側に映り込んでいます。

 1階と2階(後部)のそれぞれにボーディングブリッジが上下に延びていることがわかります。
 センセイらは公務出張なので、エコノミークラスの利用しか許されていません。マ

 メインデッキ──要するに1階──の後部に座ったのですが、意外にもそれほど威圧感はありません。
 離陸するとむしろ、その静けさと、振動のなさに驚かされます。

 アッパーデッキ(2階)の上位クラスの席は、もっと凄いんだろうなぁーとは思いますが、でもエコノミークラスにも良さがあります。
 ホントにいろいろな人種、そしていろいろな事情を抱えた人が集まっています。

 決してそれを非難、否定、あるいは無視するのではありません。「最初は簡単だと思っていたけど、いろいろ考えると、ま、確かにそうこうこともあるよねぇ」という感じ。

 冗談抜きで、目の前に存在する皮膚の色や言語が異なる違う人に、いろいろ考えさせられます。

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