2016年7月30日更新(2016年8月7日ページ移動。2018年5月27日写真削除)

──2016年7月第5週のニュース──

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7月30日(土) 働かないのが、仕事 ──西村センセイ、少し遠回りをする──

 金沢工大では、原則としてこの木曜日までに期末試験を終了。

 講義はもう1週あるのですが、学生諸君にとって夏休みは目の前。これに合わせて職員も今日は一斉休業。忙しい大学なので、こうしないと職員の休暇を消化できないのです。
 でもセンセイらはご出勤。入学試験が行われるのです。

 前の大学だったら最前線に立ち、何から何まで指揮していたセンセイですが、歳も取ったし立場も変わりました。詳細は優秀な職員の方々にお任せします。
 言わば、仕事をしないのが、仕事。

 仕事があるとすれば、用意していただいたお弁当を食べることだけ。幸いにもセンセイの出番なしに試験は無事終了したので、関係者にお礼の言葉を伝えて車で自宅へ戻ります。
 出発が予定よりも少し遅くなったし、金沢市内の道路はかなり混雑。

 家人に帰宅時刻を伝えてあるので、それに合わせて経路を選択するのですが、やはりちょっと寄り道することにしました。
 確認したかった場所があるのです。

 写真は1週間前(日曜日)に富山市内(旧婦中町内)を走行中、ドライブレコーダーが撮影したもの。以前、速度違反取り締まりを逆方向から目撃した場所です。
 白状すると、1週間前は運転を始めてから3時間以上が経過していたので、やや注意散漫気味。

 この場所に差し掛かった時はすでに、本来の目的が何かを忘れかけていたのですが......ん?!
 何、このブレーキ痕は。

 富山市中心部から砺波市に向けて走っているのですが、道路はここでやや右にカーブしています。
 相当強くブレーキを踏み込んだらしく、ブレーキ痕は写真奥の電柱に向かうように直進しています。

 で、奥の電柱付近を凝視すると......あ"っ。

 気づいた時には右の写真の状態。速度取り締まりの警官としっかり目が合いました。右の写真はぼかしを入れているのではありません。
 縮小している他の写真と違い、低ビットレートのMpeg画像をそのまま切り出しているためです。

 前の交差点の信号の関係で、センセイは単独で走行していました。複数台で連続走行していると、速度違反を確認しづらいそうですが、今回のセンセイは、いわばカモが葱を背負った状態。
 で、どうしたかというと、そのまま通過。

 今回は法定速度で走行していたので何ら問題なかったのですが、制限速度標識を絶対に見落とさないなんて言えません。
 正直なところ、今回はまさに僥倖
(ぎょうこう)

 そのリスクを承知で確認したかったのは、違反車両を誘導する場所。前回は、動画を確認してもそれがわからなかったのです。
 注目していただきたいのは、一番上の写真の、奥の奥。

 上辺が平らになった構造物が確認できますが、ここは富山県の施設。近づいてみると......ご覧の通り。
 建物の陰に、女性を含む6名の警官と警察車両。

 逆方向からでは認識できないわけです。



7月29日(金) たまにはゆっくり、と思っても、この季節は子供たちの声に起こされてしまう

 今日は見たままの、季節の話題。

 昨日参加化させていただいた研究会は、夕方6時過ぎに終了。会場の名古屋大学は、名古屋駅からちょっと離れた場所にあるので、それなりに移動の時間を必要とします。
 と言っても、地下鉄を乗り継ぐだけなのですが。

 名古屋と金沢は結構離れているし、今回のように、時間帯によっては鉄道の便があまり良くないことも。
 だからアパートに戻ったのは深夜、日付が替わろうという頃でした。就寝は1時半。

 今日は講義がないので、たまにはゆっくり起きようと思っていたのですが、外が明るくなってきたかと思うと、ざわざわと子供たちの声が。
 この季節、近くの公園でラジオ体操が開かれているのです。

 いくつか気づいたことがあって、例年なら子供用の自転車が集まってガチャガチャ音をさせるのですが、なぜか今年は少ない。

 体操は夏休みに入った先週末から始まったのですが、最初の頃に比べるとどうも騒ぎ方がおとなしくなってきました。
 夏休み慣れした、あるいは休み疲れが始まったのかしら。

 そしてもう一つ。以前は体操を終えても子供たちは公園に残っていたのに、昨日と今日はすぐに退散してしまいます。

 当地は昨日から猛烈な暑さに襲われており、朝はまだ涼しくても、とても遊ぶ気になれないのでしょう。



7月28日(木) 名古屋は暑い。でもセンセイは... ――名古屋大学での研究会に参加しました――

 今学期の木曜日は、午前中に2コマ連続での講義。

 もちろんちゃんと出勤して早めに教室へ。火曜日同様、今日は期末試験(「達成度確認試験」)が実施されるのです。1限のテストが終わるころには、2限の学生、つまり受験生たちが廊下に。
 1限の試験の完了を確認して、廊下で入室を待っている彼らを招きいれます。

 そして一言、「悪いけど、出張するので講義を代わってもらうからね」。学生は即座には状況を飲み込めず、きょとんとしています。

 ちょうどそこに、今日の講義を担当してくださるT先生が到着。要領を確認して、テストの実施を託します。センセイは午後、名古屋大学で開かれる研究会に参加するのです。
 研究室に戻って最低限の用件を済ませると、自転車でアパートへ戻ります。

 ......暑い。「熱い」と書きたくなるほど。

 路線バスに乗って金沢駅へ移動したのですが、気象庁のアメダスによると、今日の金沢の最高気温は33.4℃。
 今年の新記録じゃないかしら。

 名古屋直通の特急「しらさぎ」は乗車率が最高で40%くらい。ただし東海道新幹線と並行する米原から先は、乗客がぐっと減ります。
 予定通りに名古屋駅に到着し、地下鉄に乗り換えたのですが、やはり暑い。

 後で調べたら名古屋の最高気温は30.6℃だったのですが、風がないのと、ムシムシしているので、逃げ場のない暑さ。
 だから早めに会場へ入ります。

 今日の発表は、センセイが立場上7年間くらい従事していた仕事に関する内容。本当は去年、論文にまとめようと思っていたのです。
 でも他の仕事の忙しさもあって、個人的にはちょっと煮詰まっていました。

 今日は山形大学の若手の先生のご報告。

 もちろん何度かお目にかかっています。その発表内容が、実に素晴らしい。センセイが困っていた点をさらに大きな視点から、しかも調査研究に裏付けられて解説してくださります。
 名古屋は暑かったのですが、センセイは逆にずいぶん楽になりました。

 見方を変えると、センセイのような老人がこの種の仕事から手を引くべき時が近づいている、ということなのでしょう。



7月27日(水) 西村センセイ、学生が制作した掲示を見て、中世アラビア世界の高度な学問体系を想起する

 今日は水曜日。午前中の大きな、そしてヘビーな会議は予想よりも早く終了したのですが、何だか酷く疲れてしまいました。

 午後は授業が続き、会議が長引くとお弁当を買うことができないので、今日はあらかじめ、おにぎりを2個買っておきました。研究室へ戻ってそれを食べ、気持ちに一区切りをつけて新講義棟へ。
 ......あれっ?!

 数カ所の出入り口に掲出されていた「ポケモンより単位」の掲示がすべて写真のものに貼り替えられています。
 う〜ん。

 最初の印象に続いて、センセイの注意が向かったのは「視線を投げる」という表現。確かにそういう使い方をすることもある。
 でも西洋近代科学の歴史を専門とするセンセイに浮かんだのは、中世アラビアの学問。

 英語に“perspective”という言葉があります。日本語に訳すと「遠近法」「透視画法」とか「見通し」。
 これはラテン語の“perspectiva”という言葉に由来します。直訳すると「視線の学問」。

 西洋史では一般に、「中世」をあまり良い意味では用いません。「暗黒時代」(“the dark ages”)と表現することがあるほど。
 当時の学問の中心地は実は、ヨーロッパではなくアラビア世界だったのです。

 そこでは「物がそれとして見え、そしてわかる」──例えば「センセイの目の前にあるのは、麦茶でも他社の製品でもなく、サッポロビールだ」という具合──ことについて、3つの説明方法が存在しました。
 一つは、(例えば太陽から発せられた光が物体で反射して)物体から何か(=光)が目に届いた時に「見えた」とする説。

 良く考えてみると、現在の我々が素朴に受け入れている考え方にとても近いことがわかります。逆に、目から何かが発せられて、それが対象に届いた時に「見えた」とする考え方も存在しました。
 暗闇の中で手を伸ばして、触ったものが何かを理解した時の、あのイメージです。

 最後は、両説を組み合わせた考え方。いずれも今から1,000年くらい前の、しかも異国の人々が考えた学問。それを笑うのは簡単かもしれない。

 でもそのエッセンスは、12世紀に西ヨーロッパへ伝えられて、ヨーロッパ学問体系の基礎「スコラ学」を築きます。歴史学の世界では「12世紀ルネサンス」と呼ばれている学問上の大革命です。
 「視線の学問」は、ヨーロッパ哲学の認識論に引き継がれることに。

 だから「視線の学問」は現在もしっかりと生き続けているのですが、まさか、ここで出くわすとは思っていませんでした。



7月26日(火) 学生の才能とセンスが、素晴らしい!! ──「ポケモンより単位をゲットしてください」──

 今日は見たままのお話。ある意味、一昨日の続きです。

 写真は午後、期末試験の教室に向かう途中に寄り道をして、新講義棟1階の入口で撮影したもの。センセイが独力で発見したのではなく、学生の間で話題になっていたために、その存在を知りました。
 内容についてはひとまず、お読みいただいた通り。

 一昨日の写真を撮影したのはこのすぐ近く。センセイは“Pokemon GO”をインストールしていないので自分では確認できませんが、どうやらこの付近にはポケモンが出没するようです。
 でも実は、ドアの向こうは構内通路。

 交通量が多いわけではないのですが、離れたキャンパスへの連絡バスや、納入業者の自動車が出入りします。
 だからここでスマホのゲームに夢中になるのはとても危険。

 直接にはそれを警告するための掲示で、実際、下部にはそのような内容が横書きで記されています。
 でも、もしそれが掲示のメインだったら、注意を惹きつけないし、ここまで話題にはなっていない。

 センターに大きく書かれているのは「ポケモンより単位」。まずそれが、たまたま掲示を目にした人の注意を「ゲット」します。
 でも、それだけではありません。

 掲示はここでメッセージの次元を一つ上げ、「学生の本分って何だろう」と問いかけています。ここがポイント。
 だから下部に記されたメッセージまで読む気になるのです。

 フォントの使い方も上手い。センターの縦書き部分は、全体が極細ゴチック。Windowsユーザーなら普通、もうちょっと太めのMS(/P)ゴシックを基本にして、「ポケモン」の部分はそのフォントにボールド(太字)をかけるところ。
 でもここでは、同族ながら別のフォント──「ウェイト」(太さ)が違う──を使っています。

 両者の太さの関係だとか、配置、下部の文章の内容などについては、まだまだ改善の余地があると思います。でも、もともとの能力とセンスが、実に素晴らしい。
 たぶん建物1階にある「学生ステーション」の学生スタッフによる制作。

 センセイが望遠にしてカメラを構え、何枚か写真を撮っていたら、背後に学生ステーションからの視線を感じました。振り向くと男子学生2名が話しながら、ニコニコ。
 その表情からして、センセイから見て右側に立っていた学生が作ったんじゃないかな。

 違っていたら、ゴメンなさい。



7月25日(月) 大阪駅の地下街は、傾斜が多い ──追手門学院大学主催のシンポジウムに参加しました──

 西村センセイ、今日は日帰りで大阪へ出張。

 先日訪れたばかり(こちらこちら)の追手門大学が主催する高大接続に関するシンポジウムが開かれ、それに参加したのです。会場は大阪駅前のヒルトンホテル。
 大きな会場に満杯のお客さん。注目度の高さがわかります。

 関西へは良く行きますが、大阪駅近辺については、たいていは通過するだけ。今回は利用した特急電車の関係で会の前後に時間があります。
 そこでホントに久しぶりに、駅南側の地下街を歩いてみました。

 かつて存在した大阪発新潟行の夜行寝台特急「きたぐに」に乗るために入った居酒屋はなくなっていました。「きたぐに」は23:27という深夜に大阪駅を出発していたのです。
 一つ気づいたことがあって、大阪駅南側の地下街には傾斜している場所が多い。それもやや不自然な。

 このような場所での地下街は一般に、トンネルを掘るのではなく、地上から掘削します。だから自然の地形に沿った高低があるのは当然なのです。
 でもここの傾斜は、明らかに人為的なもの。

 いろいろ考えたのですがたぶん、あちこちの辻褄(つじつま)を合わせた結果、こうなったのだろうという結論に至りました。
 大阪駅南側は私鉄や地下鉄が複雑に入り組んでいます。

 先に存在する構造物を避けながら地下道や新線を建設するので、不自然な形になるのです。
 言い換えると、歴史の産物。

 で、そのシンポジウム。もちろん参考にはなったのですが、期待していたものと比べると何かが足りない。
 こちらも結論から言うと、問いの立て方に限界があるんだろうと思うようになりました。

 歴史的な、あるいは哲学的な問題の考察を先送り、あるいは回避して、現状を是認したままでの問いには、「それなり」の答しか得られません。

 今、本当に求められているのは、歴史、あるいは哲学なんですね。



7月24日(日) 日曜日だというのに、なぜ、こんなに多くの学生がキャンパスにいるんだろう...

 予定していた内容を変更して、今日、センセイが見たままの話題を。

 土曜日は久しぶりに自宅で過ごし、今日の午前中に金沢へ向けて車で出発しました。今回は新潟県内で初めての道を走行し、ちょっと寄り道をしたので、いつもより遅く金沢到着。
 研究室に運んでおきたい荷物があるので、大学へ向かいます。

 大学裏の駐車場に車を止め、両手に荷物を持ってキャンパスに入ると......何故か学生諸君の姿が目立ちます。今日は日曜日だぞ。
 それに、自転車に乗っている......というか、自転車を停めている学生が多い。

 365日24時間オープンの自習室脇なので、学生がいてもおかしくはないのです。期末試験が迫っている時期でもあるし。

 でも明らかに、いつもの彼ら彼女ら──今日は女子学生もいた──の表情ではありません。
 みんな食い入るようにスマートフォンの画面を......あ"っ。

 お察しの通り、“Pokemon GO”(正確には“e”にアクサンが付く)でポケモンをゲットすべく、キャンパス内を探検(?)しているのです。
 学生からの未確認情報によると、昨晩のNHKローカルニュースで金沢工大の学生諸君の様子が取り上げられたらしい。

 写真は夜、帰宅する時に撮影したもの。

 男子学生が集まったり散ったりを繰り返しながら、画面を見せ合っています。“Pokemon GO”を使っている時は、普通の学生と違った動きをするので、一目で区別がつきます。
 自転車を利用している理由はどうやら、移動が早すぎるとポケモンを獲得できないかららしい。

 この熱心さで勉強に取り組んでくれたら......なんて教師や親、つまり古い世代だけが考えることなんでしょうねぇ。

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