2010年6月5日更新(2010年6月13日ページ移動。2014年5月25日写真削除)
■6月5日(土) 今日、松山について初めて知ったこと ――松山と金沢の、一つの共通点――
今朝の松山は良い天気。湿度も低いので、とてもすがすがしい感じがします。
駅前のホテルに宿泊したので、松山駅構内──風情のある建物ですが、前面改築の予定があるらしい──で朝食。
昨日の失敗を弁解すべく、前回と同じく「じゃこ天」(讃岐)うどんを。香川駅よりおいしいけれど、以前食べた時よりちょっと塩っぽさを感じます。麺も腰砕け気味だし。
もしかすると変わったのはセンセイの味覚なんじゃないかと、妙に勘ぐってしまいます。駅前から路面電車に乗り込みました。広島や長崎、富山市内の路面電車を思い出します。
最初は広い道路の中央を走っていたのですがすぐに、脇の専用軌道へ。民家の庇をかすめるように、しかもものすごい急カーブを曲がりながら走ります。おぉ。
途中、伊予鉄道の鉄道線(「高浜線」)と交差し、車両基地へ。京王井の頭線のお古を使っているようです。
「鉄砲町」と、いかにも城下町らしい名前の駅に止まった後に、やっと愛媛大学前に到着。所要時間は約15分。
感じのいい学生スタッフが迎えてくれます。初めて訪問するはずの愛媛大学キャンパスはとてもオープンな感じ。ずいぶん開かれていて、地域の方や子供たちが出入りしています。
予定通り始まった学会は、メンバーの世代交代がずいぶん進んでいて若い方が増えています。ところで、懇親会の挨拶で初めて知ったことがありました。
ここ四国は、お遍路さんが求道する場所。
そのため松山は――「自分が無理なくできる範囲で」という限定付ですが――お遍路さんなど外部の人間に対する「おもてなし」の文化があるんだそうです。
知らなかった。求道かどうかはともかく、これってまさしく、金沢のおもてなし文化そのものではないですか。
せっかくの機会なので2日間、しっかり勉強して、また若い方々からエネルギーを分けてもらってから、金沢に戻ろうと思っています。
■6月4日(金) 山の民と農の民、そして海の民が集う場所 ――西村センセイ、無事、松山に到着しました――
西村センセイは予定通り、松山に到着しています。
個室寝台特急「サンライズ瀬戸」の終点は高松だし、今日は移動だけなのでひとまず終点まで乗って、特急と各駅停車を乗り継ぐことにします。
高松、香川、つまり讃岐と言えばもう、讃岐うどん。高松駅周辺で何度か食べたことがあります――たぶん決して有名なお店ではないと思う――が、ホントにおいしかった。
7年前、当時まだ小学生だった娘と一緒に、今回乗車した寝台特急の、まさに同じ部屋で高松に着いたことがあるのですが、駅構内の立ち食いうどんのお店で分け合って食べた本場讃岐うどんのおいしかったこと。「分け合って」というのは事情があって、高松到着後、二人で駅ビル内でかなりしっかりとした朝食を取ったのです。でもセンセイがホームで「讃岐うどん」の文字を見て食べたくなったものの、それぞれが一杯ずつ食べる自信はない。
満腹だったのに、おいしかった。娘もそのことを良く覚えていますし、二人でそう話し合う様子をニコニコしながら見ていた年配の店員のことも良く覚えています。
さて今日はというと、駅舎を出てうどん屋さんを探したのですが、駅周辺の様子がずいぶん変わっていたし、記憶にあるお店を見つけることもできませんでした。
まぁいいや、と思って駅構内の、そのお店へ。せっかく海の国に来たのからから、と海老天うどんをお願いすると、天ぷらはまだない、とのこと。
商売っ気がないなぁ。仕方ないのでかけうどんをお願いし、記念撮影後に頂くと......あれ? 全然おいしくありません。
コシは全然ないし、汁もしょっぱいだけ。これなら首都圏の駅構内の立ち食いうどん屋――ただしこちらは醤油主体――と同じようなもの。
どうしたんだろう。センセイの味覚が急に鋭くなったなんて、あり得ない。失意のうちに(?)、気持ちを立て直すために買った予定外の蛸の駅弁――実はこれもハズレだった――を手にしながら、次の電車に乗り込みます。
お腹いっぱいになったし、そもそも睡眠不足だったのでウトウトしながら各駅停車の窓から外を見ていた時、あることに気づきました。
その時は、分水嶺を越えるわけでもなく、1両だけのディーゼルカーは川に沿って上っていただけ。でも県境を越えたその瞬間、風景が大きく変化したのです。それまで険しい山にへばりつくように存在していた民家の様子が、ちょっとした盆地に出るとがらっと変化。
西村センセイ、これまでに何度か県境、あるいは旧藩の境目で同じような経験をしているのですが、これほど微妙、しかし確実な差異を経験するのは初めてです。
ちょうど、外国旅行をしていて、国境を越えたり、住民の人種が違うポイントをまたいだ瞬間、何かが確実に変わる。あんな感じ。どこが違うんだろうと、半分眠りに戻った頭で考えていたのですが、きっと四国は山の民と農の民、そして海の民が一緒に(まだら模様状に?)存在しているんだろうなぁという結論に至りました。
まだ四国へ来たことがない人にはわかりづらいと思いますが、ここは山国です(キッパリ)。平地は決して多くありません。大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)などがその典型ですが、細い道しかない険しい山の頂上まで民家が存在しています。
老人たちはどうやって生活しているのでしょう。それでいて少しでも平らな場所があると農民がお米を作っています。今はちょうど、田植えを終えかかったところ。もちろん瀬戸内海や太平洋と隣接していますから海の幸にも恵まれています。
実は現在、松山駅近くのスーパーで、売れ残ったお刺身を購入したのですが、これが実に美味。特に白身魚がおいしい。だから西村センセイ、高松駅構内のうどんのことなんて、ホントはもう、どうでも良くなっているのでした。
四国は、おいしい。そして、倖せ。
■6月3日(木) 四国行き夜行寝台特急の旅は、東京駅ではなく、上野駅から開始!?
お伝えしたようにセンセイは現在、明後日から愛媛大学(松山市)で開かれる学会に参加するため、四国に向けて移動中です。
ひとまず自宅に戻り準備を整えると、各駅停車と上越新幹線を乗り継いで上京。
でも、下車したのは夜行寝台特急「サンライズ瀬戸」が出発する東京駅ではなく、上野駅。
中央改札(写真右奥)前の、「ザ・ガーデン 自由が丘」に寄るためです。このお店、駅構内にあるちょっとしたスーパーで、値段はちょっと高いけど、たいていのものが揃います。
しかも品質が良い。美味しいスモークサーモンだとか、キヨスクやコンビニでは決して手に入らないものがたくさん並んでいます。これから夜行寝台、特に個室に乗るためにはビールやおつまみ、お弁当類をここで仕入れる必要があるのです。
上野駅から北海道や青森、金沢(現在は廃止)へ向けて出発する時はもちろん、東京駅から四国や山陰、九州(こちらも廃止)へ向かう時も、センセイはここを利用します。
東京駅の八重洲口側の工事が続いていることもあって、ここに相当するような適当なお店がないのです。というわけで旅の準備を整えた西村センセイ、四国ツアーへ行ってきます!!
■6月2日(水) 「たまには、熱い焼きそばをたべたいなぁー」と思っていたら...
公私ともに、とにかく忙しい(メールをお待ちの皆様、もう少々お待ちを)。朝から晩まで仕事に追われているので、楽しみはといえばもう、昼食だけという感じ。
大のオトナが、ちょっと情けないけど。でもセンセイには、このお昼も難しい。学食は基本的に男子大学生向けだし、時間がないからキャンパスの外に出るとしても遠くへは行けないし。
時々ですが、「たまには熱くておいしい焼きそばを食べたいなぁー」と思うことがあります。でもコンビニのパック入り焼きそばは、お店の電子レンジで温めてもらってもあまり美味しくないし.......。
あれ?!大学のそばの松屋の看板に、ずいぶん熱そうな焼きそばの写真が!!
正確には「鉄板焼きそば」(480円)というらしいのですが、ホームページでは紹介されていない店舗限定メニューのようです。
これはもう、挑戦するしかない。今日は時間がなく、お昼を食べ損ねてしまったので、すべての講義を終えた午後にお店へ。
お客はセンセイ一人だけ。5分くらい待って、ジュージューという音とともに焼きそば到着。鉄板が、とにかく熱そう。
箸でほぐすと鉄板からまたジューという音がするのです。(油が飛ぶので、鉄板の周りには、筒状の、紙でできた覆いが被さっています。)よく見ると、肉は牛肉。焼きそばで牛肉は初めてです。玉葱やキャベツとともにニンニクの茎も。
とにかく食べられるようにほぐしながら頂くと......熱くて、味が良くわからない。
基本的にはウスターソースの味なのですが、ふだん食べない牛肉の味が入っているので、うまく味を整理できません。敢えて例えるなら、焼肉の最後に麺を入れた、そんな感じ。
それでも、作りたてなので麺がフカフカしているのはわかります。「美味しいか」と尋ねられると即答できないのですが、でもまぁ、これなら2ヶ月に1回くらいなら来てもいいかな。
■6月1日(火) ハレ、の日 ──節目の儀式はとても重要だと思う──
今日から6月。もうすぐ1年の半分が終わってしまうんですねぇ。あっという間だし、加齢に伴ってそのスピードが増している気がする。それはともかく、今日は金沢工大にとっては特別な日。
創立記念日、つまりお誕生日なのです。キャンパス内は早朝から、いつもと違う雰囲気。緊張感......でもあるのですが、もっと楽しいワクワク、ドキドキする、そんな感じ。ホントに空気が違うのです。
久しぶりに晴れ上がり、気温が上昇したからかもしれないのですが。写真は所用で道路を挟んだ反対側のキャンパスからセンセイの研究室──中央奥の樹の陰──近辺を撮影したもの。
ふだんは鉄製のゲートで封鎖されている門も、今日だけは開かれています。おぉ、車が入っていくではないか。
信じられない!!10時から全教職員が集合して記念式典。経営のトップである理事長の話をうかがいます。
個人的には今年の理事長式辞、いつもとちょっと違っていた、という印象を受けました。形式主義、という感想を持たれるかもしれません。確かにそういう面があることは否定できません。
でも西村センセイ、金沢工大へ移籍してから、挨拶や儀式など「形から入る」行動の意義がもっと評価されるべきなんじゃないかと思うようになりました。「形」に続いて「中身」が入ってくる。確かにそういう面もあるように思えるのです。
特に、生死や病気など、個人の意志ではどうにもならない場面では、「形」や「型」が大きな役割を果たすように感じられます。為すべきことを為した後で、内容。
逆では、ありません。今日のように、個人や法人、あるいは組織の誕生日なら、特に誰かが何かを受忍するわけでもなく、それでいて意識のある人は「ハレ」の意味を再確認することができます。
西村センセイ、やっぱり節目の儀式は重要だと思うのです。
■5月31日(月) オープンしたばかりの塩ラーメン専門店「テラ」が、「スープ・麺再調整の為」に臨時休業へ!!
今朝は、いつもよりさらに早起き。講義が二つあるだけでなく、今日締切の、そして気の進まない仕事を片づけなくてはならないのです。
センセイらの業界では提出物に関して、本当の締切より1週間前に名目上の「締切」を設定するのが相場。
きちんと提出する人が大半ですが、「今日締切ですけど、明日の朝まででいいですよね」とか「申し訳ありません。ちょっと遅れまして...」などという輩(やから)が続出するからです。
もちろんセンセイは、「輩」の正規メンバー。でも今回の仕事はWeb上で報告するため、期限を守らないと受け付けてもらえない可能性があるし、何より提出日がみんなにバレる仕組みになっているのです。
というわけで誰よりも早く出勤し、朝イチの講義を終えるとその仕事に専念します。ウンウン唸ること数時間、心身ともに消耗し尽くして作業終了。1時間後には午後の講義があるのでとにかく何か、食べなくては。
当て所(あてど)もなく校舎を出たのですが、たまたま塩ラーメン専門店「テラ」の前を通ると、妙な雰囲気。看板が出ていたので近寄って読もうとすると店内で、センセイを認識しての人の気配。
それも、かなり焦った動作。この状況では逃げるわけにもいかないので、お店の人が出てくるまでのわずかな時間に、看板を一瞥(いちべつ)します。
「・・・臨時休業・・・」。先日対応した女性が出てきて開口一番「すみません」。(いえいえ、少なくとも今日は入るつもり、なかったんですけど。)
続いて「先日はありがとうございました!!」 ......え"!?たった一杯ラーメンを食べただけなのに、覚えていらっしゃったんですか。
まったく予想外の展開に、(臨時休業のためにラーメンを食べられなかったことについては)「お気になさらないよう、また来ますから」とセンセイ。
了解を頂いてから看板を撮影し、その場を立ち去ります。やはりお店の方も、味がしっくりこないと悩んでいらっしゃったようです。夫婦の(?)その真摯な姿勢に頭が下がります。
「また来ますから」と言った以上、どこかの偉いはずの人とは違って、二言はありません。
再オープンの今週末は四国への出張で無理ですが、近日中には必ず再訪しようと思っています。
■5月30日(日) 汐の香りがする大学 ──東京海洋大学に初めて入りました──
品川駅を背にして、東へ歩き出します。
昔は──といっても、実際に来たことはないんだけど──品川駅の東側には何もなく、すぐ海......という感じだったのですが、今は回廊で繋がった高層ビルがとにかくたくさん建っているし、しかも東側にむかってどんどん延伸中。
そもそも品川駅そのものが様変わりしていて、JR東海のモダンな駅ビルは見知らぬ街のようです。JR東日本の、かつては東海道線と京浜東北線、山手線を乗り換える、東京の南側のちょっと田舎っぽい玄関という感じだった駅舎も、(JR東海には負けるけど)ずいぶん洗練されてきています。
センセイよりも早足で颯爽と歩く若いビジネスマンが、印象に残ります。東京はどんどん変わっていくんですね。旧市街、そして建築中のビル街を抜けると、突然、海に出ます。もっとも、まだこの先があるので運河というべきなのでしょうが。
少し前から汐の香りがしていたのですが、運河を渡る橋の上に来るとそれがはっきりします。
しかし生臭い感じはありません。打ち上げられた海草などのナマモノっぽい臭いがするのが普通なのに。そしてもう一つ。音は同じですが、塩の味(?)がします。
このところ塩ラーメンにご縁があるため、感覚が敏感になっているのからかもしれません。橋を渡り切った右手が、学会の会場である東京海洋大学。センセイにとっては初めての訪問です。
キャンパス内には海洋動物の博物館があって、巨大な骨格が展示されていたりします。品川駅から徒歩で15分くらいの場所なのに、羽田空港を離発着する航空機を除けば喧噪とは無縁。
キャンパス内外ともに、ずいぶんのんびりした雰囲気です。何しろ、汐の香りがする大学というのも、センセイにとっては初めての経験。
今日の東京は寒かったのですが、もう少し気温が高く、そして皆が開襟シャツを着ていたら、気分はフロリダだろうなぁ。