2006年5月13日更新(2006年5月22日ページ移動。2011年5月3日一部写真削除)
■5月13日(土) ソフトバンクとアップルが提携して“iPod携帯”!?
今日の午後、報道各社は夕刊やサイトで一斉に、ソフトバンクとアップルの業務提携の動きを伝えしました。(c)朝日新聞社
それによると、ボーダフォンを買収して携帯電話事業に進出したソフトバンクが、先行する「二強」NTTとKDDI(au)に対抗するため、“iPod携帯”を開発して市場に投入しようと計画しているとのこと。
Macユーザーの間ではよく知られていますが、アップルはモトローラと手を組んで、すでに“iPod携帯”を米国市場で販売中です。孫社長はスティーブ・ジョブスともう会談済とのこと。おぉ。
この背景には、今年の11月頃から開始される「番号ポータビリティー」の問題があると思われます。
携帯電話会社を乗り換えても、引き続き同じ電話番号を利用できるというものです。番号の変更に不便を感じて会社を変更しなかった人が、より条件の良い会社に乗り換えるのではないかと予想されています。
ソフトバンクとしては、この絶好の機会に、というわけでしょう。......と、客観的に書きながら、さて、センセイにどれほど関係するんだろうかといろいろ考えてみました。
“iPod携帯”、音楽の情報はたぶんハードディスクに書くことになるので、HDに小型のものを使っても、それでもかなり大きな筐体になると思います。
HDを積むと消費電力が大きくなるので、バッテリーも容量が大きくてかさばるものを積むことになるでしょう。(iPodは電池の容量が少ないのです。)
また日本市場では顧客の要求水準が高いので、カメラから始まって大容量の電池......といろいろつけると、どう考えても大きく、重いものになると思います。加齢で体力も視力も落ちたセンセイに、iPod携帯はご縁があるんだろうか。
西村センセイ、iPodは確かに毎日持ち運んでいるものの、ほとんどMacの軽量外付けHDとして使っているだけ。音楽を聴きたければ、同一データがWindowsパソコンの中に入っているので、そちらを聴くことの方が多いのです。
じゃぁ、iPod携帯との関連で、Macユーザーである西村センセイは今後、アップル社のインテル・マックを買うだろうか?
MacOS X以降のアップルは、MacOS 9までの“For the Rest of Us”の思想がまったく感じられない、勝ち組発想、「弱者切り捨て」企業です。
もちろん、それはそれで事情はよくわかります。
センセイがMacの使いやすさに衝撃を受けた頃、アップルは“For the Rest of Us”にニッチなマーケットを見い出しました。そして今のアップルは、良くも悪くも、新時代を切り開く勝ち組の発想で新しい市場を見出しています。
その、ある意味では一貫した企業姿勢を、誰が批判できるでしょうか?よくよく考えてみると、“For the Rest of Us”という経営方針に価値を見出し、それを支えてきたのは、(言い出しっぺが誰であるかは別にして)アップルではなく、それに賛同したセンセイ(ら)です。(奢るつもりはないけれど。)
だからアップルが経営方針を180°変更したとしても、それを批判する権利はセンセイ(ら)にはない、と思います。だって“For the Rest of Us”という価値は、実はこちらの価値観の投影なんだから。
現実に目を向けてみても、Macの雑誌に批判精神なんてものはまるでなく──これも事情はよくわかるけど──悲しいほどに、現状追認。
Macの雑誌として(ほぼ)最後に残った毎コミの『Mac Fan』誌ですら、いつの間にかMacOS 9およびVirtual PCのコーナーが消えています。後者はインテル・マックがエミュレータではなくネイティブでWindows XPをサポートするため、今後はその意義を急速に消滅させることと関係しているものと思われます。振り返ってみると西村センセイ、DVDを含むビデオとオーディオ編集以外では、実はMacOS Xを全く使っていない。(実話)
大学の仕事はWindowsだし、微妙で気をつかう仕事、そして論理性が要求される仕事はMacOS 9で極めて効率的にこなしています。昔のアップルのおかげであって、今のアップルとはほとんど関係ありません。
西村センセイ、今後インテル・マックを買うかもしれませんが、たちまちパーティションを切ってWindows XPをインストールして、ふだんはWindowsマシンとして使い、ビデオの編集など必要な時だけMacOS Xを走らせることになるでしょう。
そして、大切な仕事は相変わらず、古いMacOS 9......。そうなるといったい、アップルマーク入りのマシンを買い、それを使うことに、どれだけの意味があるんでしょう......。
もちろん企業(=アップルコンピュータ)はそれで、さしあたりの利益を上げることになりますが。
■5月12日(金) 今ごろ、ICUのつつじはどうだろう...。 ──やっぱり今日も、授業は楽しい!!
──
西村センセイ、年度末あたりからちょっと体調を崩しぎみなので、出張などは極力キャンセルし、ここ2ヶ月ほどは自宅のある新潟と大学のある金沢を行ったり来たりするだけの生活です。
そのため他の地域のはわからないのですが、何度もお伝えしているように今春の日本海側の天気は、変。
センセイに似て(?)リズムを崩していて、雨で寒いか、いきなり晴れて暑いかの両極端。中庸(ちゅうよう)というものがありません。
ここ数日はとても寒く、いったん片付けたガスストーブを出したりしていたのですが、今日は滅茶苦茶暑くなりました。大学のエアコンは集中制御で、まだ暖房モードのまま!!
暑いよぉー。とにかく忙しくて、受け持ちの学生には「ちゃんと自炊してる?」とかインタビューしながら、センセイ自身は朝、昼、晩とお弁当の毎日だったのですが、今日はちょっとだけ余裕があったので、遅い昼食に外出しました。
いつもは遅くなってから帰宅するので昼間のキャンパスを見るのは久しぶりです。
気の早いつつじはもう満開。なぜか母校、国際基督教大学(ICU)のつつじを思い出してしまいました。
今ごろ、どうなっているのかなぁー。それでも、3月には感じなかった生命力のようなものを、つつじに感じます。
これってたぶん、話が逆で、センセイの生命力をつつじに投影しているのでしょうね。
つまり、体調が少しずつ回復してきている、ってこと。その証拠に(?)、今日の授業もすごかったですよぉー。
学生さんの中には、授業を(=センセイを)追い越す方が出始めるくらいですからね。
■5月11日(木) だから授業は、楽しい!! ──最近読んだ本の中から──
今日の授業はお昼前と午後だったのですが、会議もあったので西村センセイ、早めにご出勤。金沢は朝まで雨が降っていたので徒歩で出勤したのですが、程なく雨は上がり、お昼頃には日も差すようになりました。
今日は、一番最後の会議の準備に専念するため、その前にまず、授業の準備を整えました。
お昼近くまで仕事をし、気合いを入れてから午前の授業。
予定より少し遅れていたこの「科学技術と社会」ですが、前回までに遅れを取り戻していたので、今日は余裕の授業。
今日は科学と価値について考えたのですが、この問題に関連して、「この世には、なぜ科学的な法則が存在するのか」という問題をちょっとだけ考えてもらいました。
金沢工大はもうすぐ中間試験で、受講生はとても疲れているのですが、この質問を出したら教室の様子が一変。先生[誤変換にあらず]の話を聞き流すのではなく、ジブンのアタマで考え始めたのが手に取るようにわかります。
突然の質問だったから、上手くまとめられない人、あるいは自分の「構え」を急には解(ほど)けない人──当然ですよぉー。ご安心ください──などたくさんいましたけど、出てきた回答はとても興味深いものばかり。
具体的には「授業のページ」をご覧いただきたいのですが、ふだん、何げなく「当然」と思っていたことが、ガラガラと崩れてしまう......そんな経験もした人(あるいはその一歩手前まで行った人)もいます。
センセイは科学史的な見地からご説明したのですが、それにこだわる必要はあまりないと思います。
「なぜだろう......。」「ホントにそうかしら......。」
もうそれだけで、貴方・貴女は哲学者としての第一歩を踏み出しているのです。
最近読んだ本の一つに、写真の『99.9%は仮説』という本があります。20万部以上を売るベストセラーとなっているそうです。
若い哲学者が、その第二歩を前に出すためにはオススメです。
業界用語で説明すると、ファイヤアーベント(おぉ!!)に心酔する著者が、相対主義・複数主義的観点から、素朴な進歩史観・遡及史観(対象は歴史だけじゃないけど)に挑み、そしてそのキーワードは「共約不可能性」という1980年代の構図ですが......そんなことは、もうどうでも良い。
ぜひ一度、読んでみてください。(あ、できれば買ってください。)
授業って、楽しいなぁーと思いながら急いでお弁当を食べ、朝のうちに準備した教材セットを持って午後の授業に臨むと......何か変。
センセイも受講生も、イマイチ調子が出ない。オマケに講義の途中で、教科書代わりの印刷物をセンセイが研究室に忘れてきたことが判明する(!!)という、教師生活20年で初めての大失態。(実話)
急いで教材を取ってくると、今度は教室のマイクを研究室に忘れてきた!!(これも実話。念のため)もちろん受講生に大きな損害を与えることにはならなかったのですが。
......だからやっぱり、授業は恐い。
授業には魔物が住んでいて(ホントに)、毎回毎回が、その場限りの真剣勝負なのです。
■5月10日(水) 「いってらっしゃーい!!」 ──アドヴァイジー、研修所へ旅立つ──
昨晩は遅かったので、今朝はいつもよりゆっくりとご出勤。予想通り、受け持ちの1年生クラスの学生数人が大学校舎の入り口付近で待っています。
「あ、先生。」
金沢工大は能登半島の中央部、穴水(あなみず)という場所に合宿研修施設を持っていて、1年生から3年生は年に1回、必ずここで2泊3日の日程で合宿します。
この合宿研修も金沢工大の強さの秘密。
金沢工大は学生が多いので、一度に研修するのは無理。
で、今日はセンセイのクラス(1EE1)と隣のクラス(1EE2)が合宿へ出発するのです。「先生は(研修に)行かないんですかぁ?」
当然ですよね。高校の感覚なら、担任は参加して当たり前。
でも、センセイらは普通の日程で普通に授業をこなしているので、行くことができないのです。
その代わり、職員の方が手分けをして付き添います。(ご苦労様です。)クラス担任(アドヴァイザー)のお見送り、というわけで、集合時刻の8時半──だから真面目な学生は30分も前に来ていた!!──になると、ご覧のような状況。
残念ながら2クラスあわせて、まだあと数名が到着していないそうです。1年生の春の合宿は、お互いをよく知り合うことが目的です。
今ごろどうしてるんだろうなぁー。まさか、枕投げなんてやってないだろうけれど。
■5月9日(火) 田舎で瀟洒(しょうしゃ)なスーパーがやっていける理由(わけ) ──西村センセイの倖せ(3)──
何回かお伝えしているように、センセイが自宅にいる週末は、家族で買い物に出ます。
家人は車を運転できないので、トイレットペーパーなど割とかさばるものを買ったり、ちょっと離れた本屋さんへ行ったりするのですが、その帰りにたいていスーパーへ立ち寄ります。
車だと距離は関係ないので、品質、品揃えそして値段などを基準に、お店をあちこち変えます。初めてのお店では珍しいものに出くわしたりするので、結構これが面白いのです。
で、最近よく行くのが、このお店。スーパー「マルイ」(横山店)です。
マルイは新潟県中越地方にお店を展開する、割と新興勢力のスーパーです。
競争の激しい流通業界で、県内大手を相手に良く頑張っていると思います。ポイントは品揃えとサービス。
細かい話で申し訳ありませんが、通常、このお店のホタルイカはちゃんと富山産(か兵庫産)。
最近、別なお店で石川産のホタルイカを初めて食べたのですが......う〜ん、兵庫産って、意外とおいしかったんだー。(あぁ、石川県民を敵に回しそうだ......。)もう一つはサービス。
年の初めには、店員全員の顔写真入りのメッセージ(今年の抱負)が店内に張り出されました。
......半年経って、場所は変わったものの、そのまま張り出されているのは、う〜ん、なのですが。店内をうろうろしていたら、急にバックミュージックが変わり、店内放送が流れたことがあります。
言葉は聴き取れなかったのですが、それを合図に、バックヤードからも店員が出てきて、店長以下、全員(たぶん)でお店の掃除を始めました。床を磨いているのです。音楽が終わると、何事もなかったかのように、さーっと元に戻りました。西村センセイ、この間、呆気にとられていました。
お客が入っている状態で床を磨くことにどれだけの意味があるのか、ちょっと意図がわからない部分があるのですが、サービス精神の一つの表れであることは確かです。たぶん、ちょっと屈折しているけど。
で、最後が試食品の多さ。これでもか、これでもか、という感じで、もう、何でもかんでも試食できるのです。
マルイではどのお店もそうなのかなーと思って、市内の他の二店、そして他の地域のお店もたずねてみたのですが、確かに試食は他のチェーンより多いものの、マルイ内でもこの横山店はまったく別格なようです。
試食するだけでも、何だか幸せな気分になってきます。(西村センセイ、この程度の人間です。)
このお店の客筋は、主に近くの新興住宅地の主婦か、周囲に広がる農村の主婦らです。お父さんが運転する車に乗せてもらうか、営農用の軽トラックに乗って、農家の主婦が農作業着のまま買い出しにやってきます。
このお店は開店したばかりなので、とても瀟洒(しょうしゃ)な造りなのですが、どこか気取らないところがあります。建前もあるけれど、ホンネも全然抑圧しない。
それが、田舎の人間の心にすーっと入っていける秘密のようなのです。
波の音と、上手くなったウグイスの声の聞こえる駅で一休み。電車を乗り換えるためです。
次の列車まで15分ほどあるので、ホームの端まで歩いてみました。昔は大きな駅だったのでホームは長く、その端は一般道と繋がっています。
駅前にバスの営業所があるのですが、忙しい時間帯ではないので、至って静か。
人の気配は感じません。ふと、塀の上でくつろいでいる猫を見つけたので、猫語で話しかけてみました。
たいていの猫は返事をしてくれるのです。その猫もビクッとしてこちらを向いたのですが、まわりを見渡しても人間しかいないので、混乱しています。
変だ、と思ったらしく、がやて塀の向こうへ消えてしまいました。
もう一度「姿が見えなくて、寂しいよぉー」と話しかけると、おぉ、ご覧のように壁の向こうからちょっとだけ顔を出し、センセイを見つめています。
「何で、人間が猫語で話すんだ......。」
あんまりいじめるつもりはないし、次の電車も迫ってきたので、その場を離れました。
西村センセイ、猫語は上手いのです。まぁ、他の外国語と同様、だんだん能力は落ちていますが。
え"? どうしてかって? う〜ん。
強いて言えば、自宅に頭の黒い、大きな猫を飼っているからでしょうか......。
言うでしょ? 「犬は飼い主に似て、猫は飼い主が似る」って。
今日の朝日新聞に、新潟から神戸にかけての内陸地震と、地下構造が深く関連しているらしいという記事が載っていました。(c)朝日新聞社
それによると、この地域の地下10km〜20kmくらいの岩盤は、他の地域よりも柔らかく、しかもその地域には強い歪みが集中しているのだそうです。
詳細は記事をお読みいただきたいのですが、歪みが集中している地域は新潟から神戸にかけて。地下に柔らかい岩盤があるのは、地下10kmではセンセイの自宅近辺〜富山県あたりまで。20kmでは、それがさらに大阪・名古屋あたりまで広がっています。要するに、センセイの日常活動の範囲はきちんと(?)カバーされています。
また、以前ご紹介した新潟県や、実家近辺の構造のお話とも矛盾しないように思われます。
要するに西村センセイ、地震の巣の上で暮らしているわけです。
「いつか来る」。そんな覚悟と備えをしておく必要があるようです。