2012年2月11日更新(2012年2月19日ページ移動。2015年9月17日一部写真削除)
■2月11日(土:祝日) ハンコだらけの「未使用」乗車券 ──西村センセイ、帰宅を大雪に阻まれる──
実は、昨日は大変な1日だったのです。
自宅近くの病院へ行く必要があるため、講義を済ませてから大学を離れました。大学発のバスは順調に走って所定時刻に金沢駅到着。駅2階のスーパーでお弁当を買ってからホームへ出ると、一つ前の特急「はくたか」が出発するところ。
これに乗車してもいいのですが、やはり本来の特急「北越」に乗ることにしました。(これがその後の運命を決定づける)指定席車両の前に、中年の女性が一人立っています。荷物を持っていないので変だなと思ってよく見ると、受験に出かける娘さんを見送りに来ていたのでした。
彼女は軽く手を振って発車する特急を見送ります。少し待って「北越」が入線し、こちらも定刻通りに出発。自由席車両の乗客は、最初は数人だったのですが、富山から少し乗り込んできて、乗車率は20%くらい。
何だか順調すぎるなぁと思いながら、お弁当を食べ終えたセンセイはウトウト。停車の揺れで気づくと、新潟−富山県境に近い糸魚川駅。ホームから反対方向(上り)の列車の遅れを知らせるアナウンスが聞こえてきました。
例によって大雪で数分遅れているんだろうと思ったのですが、「大幅な遅れ」で「運転の見通しが立たない」とのこと。変だなぁーと思っていると、車内でもアナウンスが流れました。この先、JR東日本の直江津駅で停電が発生しており、列車の運行ができないというのです。
この列車も糸魚川駅でしばらく停車することになりました。最初は約1時間後に復旧する見込みで、その後順次運転を再開するとのことだったのですが、時間はどんどん過ぎていきます。ついに特急券が払い戻しになる2時間を超えました。
これは滅多にないことで、大変だった先日も、遅延は1時間50分くらいにとどまったのです。しばらくして直江津駅の停電が復旧したことと、大雪の構内をこれから除雪する必要があると伝えられたのですが、運転再開の気配はありません。
それどころか停止から約2時間半後、「運転を打ち切る」とのアナウンスが流れました。駅構内を除雪できないというのです。現場は見ていませんが、たぶん停電で各種制御装置が働かなかったため、ポイントが雪に埋もれてしまい、除雪が間に合わないのではないでしょうか。
もちろん乗客は大混乱。駅員にも直江津駅とその先の状況が良く分かっていません。糸魚川駅はJR西日本なので、情報が十分に入ってこないのです。
しばらくして直江津行きの代行バスが運転され、お客の大半はそれに乗り込みました。
しかし残念ながらその判断、あまり適切ではない。ここから2時間位かけて直江津駅に到着しても、その先、電車はまったく走っていないはず。
雪がなければ長野方面に出ることも可能なのですが、大雪で不通。代行バスも走っていません。しかも東京方面へ向かう列車だけではなく、逆方向からの電車からの乗客も直江津駅に集まります。
残念ながら直江津駅でまったく身動きが取れなくなります。駅近くのホテルも限られており、今晩の直江津駅が、これから悲惨な状態に陥ることは避けられません。
かわいそうなのは、「はくたか」に乗車したあの受験生。時刻を考えると、直江津駅手前で雪に閉じこめられたはず。何とか駅にたどり着いても、その先はありません。
見知らぬ土地で、いきなり試練に立たされることになります。なお西村センセイ、糸魚川駅でこれらの情報や予測を隠していたわけではありません。何人かの方には説明したのですがまったく聞いてもらえませんでした。
もちろん「お金をいくら使ってでもタクシーを走らせ、何としてでも新幹線に...」という方もいらっしゃるでしょう。でもそこまで切迫していなければ、ここは出発地、あるいは最低でも富山まで戻る方が賢明です。富山、金沢まで戻れば、飛行機や、米原経由で新幹線が使えるかもしれません。
「直江津駅まで行けば何とかなる」という考えは、残念ながら視野狭窄(きょうさく)。一般論ではありますが、危機的な状況にあればあるほど、視界を広く保ち、複数の選択肢を確保しておく方が、良い結果に繋がることが多いのです。
寒い糸魚川駅で4時間半待って、乗ってきた特急「北越」に再乗車。2年前にも近くの駅でUターンしたことがありますが、その時は居合わせた各駅停車で戻りました。
今回は一応特急扱いなので、気分は楽です。車両に乗り込んだのは約20人。センセイの車両は、夫婦連れとセンセイだけ。
糸魚川駅のキヨスクで缶ビールとつまみを買っておいたので、帰りは風流な雪見旅。
結局、8時間半かけて、金沢駅へ戻りました。特急券は全額払い戻しになってのですが、乗車券については取り扱いは別。
センセイが使っているのは回数券なので、まず糸魚川駅で「事故」──運行上のトラブルはすべて「事故」と呼ぶらしい──のゴム印(右上)を押してもらい、金沢駅では「誤入鋏(にゅうきょう)」と押印。
見かけはゴム印だらけですが、要するにこれで未使用に戻ったわけです。ま、今回の件、センセイには「遅れている仕事に専念しろ」という天の声なんでしょう。
センセイが考えていたシナリオとは異なるニュースが入ってきました。つまり認識の甘さ、ということになるのですが。
報道(朝日新聞社および共同通信)によると、ソニーの次期社長に内定している平井一夫副社長は、報道各社のインタビューに応じて、大幅な赤字が続いているテレビ事業の立て直しのために、大型有機ELテレビ発売の方針を発表しました。((c)朝日新聞社)
う〜ん。いろいろ考えさせられます。ビジネスとして冷静に考えた場合、大型有機ELテレビの実用化については現在、日本家電メーカーは完全に、韓国企業の後塵を拝しています。
お伝えしたように、この状況下でサムスンを追うことにどのような意味があるのでしょう。この民生用薄型テレビ、ソニーを始めとする国内電機メーカーはもちろん、実は、韓国企業ですら不採算に陥っているのです。
ご存じでした?要するに、勝者なき消耗戦。
「だからこそ、新商品の有機ELで勝負!!」という願望そのものは、理解できます。
でも理解できることと、会社を経営することとは、まったく別。ソニーの“Crystal LED Display”技術発表を聞いてセンセイは、ソニーがこの無意味なモデル以外のあり方を確立しつつあるのではないか、と願いました。
でもこのインタビュー通りなら、パナソニックの対応と同じじゃないですか。ソニーの場合、センセイが購入したように、価格の問題を措けば有機ELモニタは完全な実用レベルに到達しています。
現在の技術でも30インチまでは製作できるそうです(欲しい!!)。しかし、それを価格競争が激しい民生用分野に用いるかどうかは、まったくの別問題。
(逆接の連続で申し訳ないのですが)でもここでは、別な観点からの検討が必要なのかもしれません。普通の家庭を考えると、いろいろあっても「テレビ」はやはり、たぶん情報を得る最大の窓口。
それならば、単体としてのテレビ事業は赤字でも、関連事業を含めて収益を上げることができれば問題ない、という考え方もできるでしょう。
要するに、駅周辺の不動産開発を含めた利益を考える、私鉄の経営ですね
では、日本企業が不得意とするそのようなビジネスモデルを、誰がどうやって構築するのでしょう。
平井次期社長が社内の状況を統括できていないのか、あるいはポーカーフェースで情報をマスコミに意図的に流しているのか、正直なところよくわからなくなってしまいました。
P.S.
知らない方のために申し添えますが、タイトルの「ソニーよ、...」は「ブルータスよ、お前もか...」を踏まえています。興味があったら調べてみてください。
オトナの常識です。
■2月9日(木) これが北陸鉄道の、今では珍しくなった紙の乗車券です
昨日は当初、新潟の自宅で一泊するつもりだったのです。10日以上戻っていなかったし。でもやはり、昨日のうちに金沢に移動して正解でした。
今日も信越本線の長岡−柏崎間は大雪で、午前中の列車がすべて運休してしまったのです。今回、金沢と都内との往復では北陸鉄道石川線を何度か利用しました。電車の接続が良ければ、大学から金沢駅へ短時間でしかも確実に移動できるのです。
お伝えしたように石川線の日中の電車にはアテンダントが乗車しています。これまでに3人の方を確認しました。その彼女が発見してくれるのが写真の乗車券。「電車車内乗車券」と記された切符です。
国鉄の窓口では、「硬券」と呼ばれる厚い紙でできた小型の切符を使用していました。
ただし車内での精算用などは別。こちらもそうですが、「軟券」という薄紙──ただし、しっかりした造り──でできています。
アテンダントの方の了解を得て持ち帰りました。とても珍しい切符です。かつて路線バスで車掌さんが鋏を入れてくれたものに似ていますが、でもそもそも最近の方は、バスに車掌さん──ほとんどが女性──が乗務していたなんて、想像できないかもしれませんね。
乗車券とアテンダントに興味のある方は、ぜひ日中の北陸鉄道石川線へどうぞ。(と、宣伝してしまう)
■2月8日(水) 日本海側は再び大雪になりそうです ――都内出張から戻りました――
武蔵境駅前のホテルにたどり着いたのは、昨晩遅く。急いでチェックインを済ませ、駅前のイトーヨーカ堂で最後のビールとつまみを購入します。
西村センセイ、実はこのあたりに5年間住んでいました。「勝手知ったる...」、そんな感じなのです。でも閉店間際のイトーヨーカ堂を訪れたのは初めて。店内ではたくさんの店員があたふたと動いています。商品が全く並んでいない棚も目立ちます。
どうやら1ヶ月後に迫った雛祭りのために、店内を大幅にアレンジし直しているようです。正直なところ、お客のことなんて関心にはないようです。う〜ん。
今朝は予想よりも早く仕事を完了。急いで駅に戻り、時計を見ながら訝る荻窪駅駅員に「大丈夫。遅れたら自由席で行くから」と伝えて、早い新幹線に乗車変更してもらいます。
計算通り、東京駅で出発5分前の新幹線に乗車することができました。ところが越後湯沢駅到着の直前に、車掌から北陸方面への乗客はここで下車して特急「はくたか」に乗り換えるようアナウンスがありました。
マズい。それは、違う。しかし近くに車掌もおらず、センセイの懸念を関係者に伝える方法はありません。程なく湯沢駅に到着し、多数の乗客は指示通りに降ります。
実は、在来線のホームに彼らが乗る「はくたか」は存在しません。今日は上越線の除雪のため、日中の「はくたか」発着駅を臨時に長岡に変更しているのです。
一昨日から告知されていた情報ですが、この新幹線の車掌に伝わっていなかったか、あるいは車掌が失念していたかだと思います。越後湯沢ではそれほど雪は降っていなかったのですが、次の浦佐駅では窓の外が良く見えないほど激しく降っています。
天気図を確かめる時間はなかったのですが、弱い南風が吹いていることを考えると今回は、日本海上で弱い低気圧が発生──冬型の等圧線がゆがんでいる場所が低気圧の中心──し、しかも上空に寒気が入るという「里雪型」のようです。
写真は長岡ー柏崎間の峠の駅(長鳥駅)の様子。この先で先月、貨物列車が雪で立ち往生しました。本当は自宅でゆっくりしてから金沢へ移動するつもりだったのですが、どうやら大雪になりそうな気配。
そこで柏崎駅到着後、タクシーに乗って自宅に立ち寄り、最低限の用を済ませて、待たせていたタクシーでそのまま柏崎駅へ。「はくたか」が長岡発着になっていることもあって、自宅に立ち寄るので長岡で立ち寄るだけで金沢へ移動しました。
ところがその金沢、雪がとても少ない。その分、とても冷え込んでいます。雪と寒さは、明日がピークのようです。
■2月7日(火) 「あれ? 今日は1本でいいんですか?」 ――西村センセイ、愕然とする――
講義を終えて急いで身辺整理。特急と新幹線を乗り継いで今日中に上京しなければならないのです。
頼まれた仕事なので、飛行機も選択できたのですが、やっぱりセンセイは電車。昨日の夕方、学内のサービスセンターで手配していただきました。
問題なく金沢駅に到着したのですが、特急「はくたか」の出発まで微妙な時間。足りないのではありません。ちょっと時間に余裕があるのです。目的地到着は深夜になるので、駅構内のスーパーでちょっと迷いながら食べ物とビールを購入。「はくたか」は時刻通りに入線し、着席して荷をほどきます。
ビールが足りるかなぁ......。電車で新潟の自宅へ戻る時、かつ、遅い電車に乗る時に限って、センセイは金沢駅でお弁当とビールを買います。その回数は月に1〜2回くらいでしょうか。
今まではビールは6・7番線のホーム売店(写真)で買っていました。駅構内、他のキヨスクではサッポロを取り扱っていないのです。でも最近は、スーパーで販売していることがわかったので、弁当と合わせて購入することが増えています。
要するにこのお店、そんなに来るわけではない。半年ぐらいから気づいていたのですが、センセイがこのお店の前に立つと、高齢の店員は開口一番、「いつも、ありがとうございます。」
最初は「覚えられたのかな」って、少し真に受けていたのです。でも、まさか。ね。
決して繁盛しているとは言えないけど、ご覧のようにお客はいらっしゃるんだし、センセイは3週間に1回程度しか来ない。
客観的に考えればその可能性は極めて低い。だから彼女の挨拶は外交儀礼だと判断していたのです。で、今日。
自宅へ戻る時の1.5倍くらいの時間を乗車するので不足分を考えて、いつものおばさんに「サッポロの黒ラベル、1本」。
帰ってきた反応は、「あれ? 今日は1本でいいんですか?」ダメだ。
完全に面が割れている。
■2月6日(月) 小康状態の雪の中を金沢へ戻りましたが...
今日は午後に講義があるので、何としてでも金沢へ戻る必要があります。
7時過ぎにホテルを出て、小田急の急行に乗車。たくさんの人が乗車して混雑しているので、窓ガラスが息で曇っています。しかも今日はかなり暖かい。
車内はかなりムシムシしています。途中から混雑はさらに増したこともあって、気分の悪くなる人が出たほど。新宿駅で中央線に乗り換え、東京駅から上越新幹線に乗車。
やはり子供のお守りでかなり疲れていたらしく、気がついたらもう乗換駅の越後湯沢。場所によっては線路脇の雪の壁の高さは4mくらいあります。
でもきれいに除雪されているので「はくたか」はその壁の中を定時に運行。途中、常設線から北越急行線に乗り入れたところで、目の前に魚沼平野が広がります。
その向こうには写真の八海山。富山の立山にはとてもかないませんが、それでも気高さを感じさせられる山です。
「はくたか」は滑るように、金沢に定時到着。すぐに北陸線の各駅停車に乗り換え、さらに北陸鉄道に乗り換えて、予定通りに野々市工大前駅到着。
今日は6本の電車を、ごく僅かの乗り換え時間で、乗り継いだことになります。これまでの降雪があまりにひどかったので、こんなにうまく行くとは思いませんでした。
講義を終えて事務室に立ち寄ると庶務課長が「先生、ちょっと......」。結論から申しますと、急な公用で明日から再び上京することになりました。1週間に金沢−東京間を3往復することになります。
どうしても行かなければならない用なので、それ自身はかまわないのですが、心配なのは、雪。今週後半は再び強い冬型になるとの予想なのです。
しかも週末には自宅へ戻る必要があります。う〜ん、どうなるだろう。
■2月5日(日) イベント会場の最寄駅に到着したら、何よりも先にやっておくべきこと
いろいろな答えがあると思います。座席を指定されていないイベントだったら、席を決める行列の最後に急いで並ぶとか。
でもセンセイが、その一つに「事前に帰りの切符を買っておくこと」が入るのでは、と言ったら、異議を唱える人はあまり多くないのではないでしょうか。
実際、大きな花火大会など、イベント終了時に多数の人間が集中する時は、帰りの乗車券をあらかじめ購入しておくことが勧められています。場合によっては鉄道会社が出前して切符を販売することもあります。さて今回のセンセイの上京はまったくの私用。お察しの方も多いと思いますが、子供の受験のお供です。北陸方面からの特急、あるいは新幹線の車中には、同じ境遇の方がたくさんいらっしゃいました。
地元でならともかく、見知らぬ場所で受験するとなると、特に地方の人間にとって保護者の同伴はやむを得ない面があるのです。センセイは「受験生+母親」という組みあわせを考えていましたし、実際、特急や新幹線の車中ではこのパターンが大半だったのですが、都内のホテルに宿泊してみると、「受験生+父親」という組み合わせも結構多い。
今日が日曜日だったからかもしれません。本題に戻りましょう。イベントの一つには当然、受験も含まれます。状況にもよりますが、新入生の数倍の人間が集まるのですから。
今日は都内での受験に付き合ったのですが、もちろん最寄り駅到着後に帰りの切符を購入させました。
明日も試験があるため、もう1泊するのです。校門でたくさんの受験生の後姿を見送ってから、センセイはひとまずホテルへ戻ります。
終了時刻にあわせて迎えに出たのですが、やはり券売機の前にはご覧の列。ただし予想していたほどではありません。
それでいて、事前に購入していた気配もない。いろいろ考えたのですが、今回訪れたのは、近隣では良く知られているものの、地方ではあまりその名を耳にすることの少ない都市型の大学。
だから受験生は、入学後に自宅から通学できる範囲内の方が大半だったのではないかと思えるのです。
そして彼ら彼女らの多くは「SUICA」などのICカードを所有しています。改札の様子を見ていましたが、実際、9割くらいがICカードでした。というわけで、結果的にはセンセイの主張がやや外れた格好になるのですが、「落としどころを考えてから行動に移すべき」という発想そのものには、皆様、賛成していただけるのではないでしょうか。