2011年3月12日更新(2011年3月20日ページ移動。2014年9月23日一部写真削除)

──2011年3月第2週のニュース──

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3月12日(土) 違和感、あるいは既視感 ──何倍かの手間をかけて、とにかく新潟の自宅へ戻りました──

 センセイは夜、無事に新潟の自宅へ戻りました。昨日に引き続き、センセイの行動と、見聞きし、感じたことを。

 センセイが昨晩予約した上越新幹線は始発列車。1時間ほど前に起床して状況を確認したのですが、まだ運転は再開されていません。在来線の運転も、早い路線で「7:00ころ」とのこと。
 昨晩は都心部で膨大な「帰宅難民」が発生したに違いありません。(後で聞いた報道では約12万人とのことでした。)

 上越新幹線の利用を諦めるならば、順次運転が再開されるであろう在来線を乗り継ぐことも可能です。でもこの方法だと、都内や埼玉など北部方面への帰宅(難民)と同じ方向へ移動することになります。
 この段階で帰宅難民の実数を把握していなかったのですが、ものすごい混雑になるはず。

 では、逆はどうでしょう。都心へ向かうのです。

 南西方向への私鉄は昨晩運転を再開したので、帰宅難民はほとんどいないはず。JR東海の東海道新幹線は通常通りに運行されていますから、東京駅から新幹線に乗って米原で乗り換え、とにかく金沢へ。
 最悪の場合は金沢のアパートへ戻れば何とかなる。(この段階で金沢−新潟間は不通だった。)

 というわけで、8時過ぎに上野駅近くのホテルを出たのですが......現実は、厳しい。運行を再開しているはずの在来線は止まったまま。

 線路沿いの道路を歩いていると、「○○駅の安全点検で・・・」とのアナウンスが聞こえてきます。上野駅に入ると、通路の至る所に座り込んだまま固まった人々。
 老若男女、外国人を含めて、とにかくいろんな人がいます。

 皆さん一晩ここで過ごしたのでしょうが、昨晩は寒かったし、相当体力を消耗したはず。さらに進むと猛烈に混雑してきました。運転再開(見込み)の告知で帰宅難民が集まってきているのです。
 これだけの人数が集まっている中で、他の人と同じ行動を起こすのは賢明ではありません。ツボを外せば、状況はずいぶん異なるのではないでしょうか。

 さしあたりの目的地は東京駅なので、とにかく南へ歩きます。ものすごい人の流れとすれ違います。帰宅難民が電車を諦めて、徒歩で自宅へ向かっているのです。
 アメ横を通り過ぎると、すぐに御徒町駅。上野駅とは目と鼻の先で、実際、お互いにホームが見える距離。指定券売り場へ行ってみると、待っているのは10人くらい。

 すぐに順番が来たので、まず手持ちの乗車券類をキャンセルし、米原乗り換えの新幹線と特急「しらさぎ」の指定券をお願いします。(後述するように、これは判断ミス)。
 新幹線はすぐ取れたのですが、「しらさぎ」は満席なので、自由席でも良いか、とのこと。

 センセイの後ろには長い列ができ始めていたので、はい、と答えてしまいました。実はこれ、あまり適切ではありません。

 センセイと同じような境遇の人はたくさんいるはずで、彼ら彼女らは口を揃えて「米原乗り換えで、『しらさぎ』の・・・」と、発券をお願いしているはずなのです。
 とにかく名古屋まで行って、名古屋始発の「しらさぎ」に乗るべきだったのです。この方法なら、自由席でも座ることができる確率はかなり高い。 

 偉そうなことを書いておきながら、言っていることとやっていることが違っていますね。失敗したなぁー、と思いながら、別なアイディアが浮かびそうだったので、そのまま南下。
 駅員の説明によると、僅かに運行されている京浜東北線は猛烈な混雑なんだそうです。

 秋葉原駅を過ぎて神田駅に向かっていると、目の前を東京行きの中央線が横切りました。乗客はごく僅か。何だ、運転しているじゃん。
 というわけで、ホームへ出ると、え"?!

 中央線のホームはガラガラなのですが、隣の京浜東北線のホームはご覧の混雑。それが止まったままで、列は階下まで通じています。冗談抜きで「ぎっしり」。
 でも皆さん、見事なまでに抑制しています。

 よぉーく見ると、混雑しているのは大宮など北向きの下り列車で、反対側には誰も並んでいません。
 「ゴメンね」と思いながら東京行きの電車を待ちます。

 昨日(新橋ー上野)、今日(上野ー神田)と歩いたのになぜ東京駅まで歩かないかというと、実は神田駅と東京駅はかなり離れているのです。
 電車に乗っている時は良くわかりませんが。

 ところが......来ない。電車が来ない!! そのうちにアナウンスがあって、「中野駅で止まっています」とのこと。

 このままでは間に合わないので、駅員に事情を告げ──自動改札で入場の記録が入っているため──てから、そのまま外に出て、東京駅まで歩きました。
 駅構内は上野駅同様、凄い数の「難民」(いずれも忍びないので、撮影はしていません)。

 わからないではないのですが、他人(ひと)と同じことをしていると、結局、同じように取り残されるのに......。

 ここまでに簡単な朝食を取っていたのですが、お弁当を、と思うと、途中のコンビニは閉店したまま。物資の補給が追いつかないのでしょう。ホームの売店で、と思うと、こちらも皆無。
 この辺は、甘かったな。反省。

 東海道新幹線は混乱がつづくJR東日本を尻目──ではないんだろけど──に、定刻通りに東京駅を出発。そこそこの乗車率です。車窓から見る限り、まるで何事もなかったかのよう。
 うとうとしていると静岡県を通り過ぎて、豊橋、そして名古屋到着。

 お客さんがあまり降りません。心配していたように、多くがセンセイと同じく米原乗り換え、北陸方面行きのお客さんなのです。腹を据えて、次善策を練ります。

 米原へ到着すると、案の定、お客は乗り換え口に殺到。程なく名古屋からの「しらさぎ」が到着したのですが、出入り口は大混雑になりました。センセイはせっかく並んだ列を離れて、ホームの反対側の快速に乗ります。
 もちろん、こちらはちゃんと座れました。

 無理して「しらさぎ」に乗っても良かったのですが、金沢までの2時間弱を立ちっぱなしで我慢する必要があるし、それに何より、その先の新潟行き特急「北越」に接続しないのです。
 ここは在来線で北陸方面までの距離を稼ぎ、どこかで特急に乗り換える方が賢明。(たぶん)

 センセイの向かいのホームを、まるで年末年始のように指定席まで立った状態で「しらさぎ」は出発。それを追うかのように4両編成快速列車──と言っても、米原から先は各駅停車──もホームを離れます。
 約30分後、センセイが降り立ったのは近江塩津駅。

 何度も何度も特急で通り過ぎていて、一度でいいから降りてみたいなぁーと思っていた小さな駅です。
 今回、快速列車を選択したのは、それが本当の理由かもしれません。

 駅の向こうは低くなっていて、現在は国道が走っています。あちこちにまだ雪が残っています。
 たぶん、昔からこの場所は敦賀と琵琶湖方面を繋ぐ要衝だったのでしょう。雪は今冬の豪雪の名残でしょうか

 近江塩津駅。何もないけど、良い駅です。降りた甲斐がありました。

 センセイと同じ乗り換えをしたのは、老人と、女子大生(?)の二人だけ。30分くらい待って電車を乗り換え、敦賀駅へ。

 すぐに金沢方面への特急「しらさぎ」が来るのですが、たぶん混雑は続いているはず。
 中途半端な時間だったのですが、ここは途中下車して外で昼食にします。

 何年か前に初めて敦賀に泊まったのですが、新しいホテルが二つ建った反面、「シャッター通り」化が進んでいます。東京出張だったのに、何故か敦賀のクッキーをお土産に買って駅へ。
 大阪からの特急「サンダーバード」が到着するのです。こちらは地震およびその回避行動との関連は薄いはず。

 乗車してみると確かにその通りで、窓際の良い席に座れたのですが......違う。何かが違う。

 いろいろ思い出してみたのですが、東海道新幹線の中にはまだセンセイの同族「避難民」がいたのですが、大阪からのサンダーバードには皆無。
 前者の何人かは片耳のイヤホンで地震のニュースをむさぼるように聴いていたのですが、後者は両耳式の白いイヤホンで、ウォークマンかiPod。

 地震なんか、自分の問題ではないらしい。とにもかくにも金沢駅に無事到着。同じホームで新潟行きの特急「北越」を待ちます。途中で運行の再開を確認しておいたのです。
 ホームで、「サンダーバード」の中で感じた違和感に再び襲われます。

 地震騒ぎで鉄道の利用を控えた人、あるいは「北越」の運行再開を知らない人や自動車やバスでの移動に変更した人も多いようで、ホームで待っている乗客は多くありません。

 目立つのは40歳代の母親と娘。言葉遣いからして、明らかに新潟県人。それも中越から新潟市付近。いずれにせよ衣装から、金沢の学校に進学が決まり、宿所を決めに来た、その帰り、という感じです。
 もちろんそれはそれで大切なことなのですが、今回の地震のことは眼中にないようです。

 自然災害の無情さを経験していない人には、ブラウン管──今では液晶画面ですね──の向こうの、遠い出来事なんでしょうね。

 空気を運んだかのような「北越」──エンブレムから、旧「はくたか」編成だとわかる──は、ほぼ定刻に柏崎駅に到着。
 自宅までの間、様子を確認したのですが、埋込式のブロックの歩道が変形していることを除けば、何か変わった様子はありませんでした。

 センセイは線路に近いところを歩いて帰宅するのですが、自宅に入る寸前に、逆方向の特急「北越」とすれ違いました。
 実は午後4時頃に本数は少ないながら、上越新幹線の運転が再開されたとのこと。

 そうで、それを待って乗れば、たぶんこの特急に乗っていたはず。そこだけを見れば、判断ミス。
 でもどうなんでしょう。

 何をしても許される若い人なんかと違って、センセイらの世代には、次世代への責任があります。
 今回、帰宅するルートを変更することによって、時間、経費ともに約3倍を必要としました。

 もうおわかりでしょう。そういう問題じゃないんですよね。

 その意味で、いろいろ大変だったし、部分的には判断ミスもあったけど、全体としてはまぁ許してもらえる判断だったかな、と思っているのです。



3月11日(金) 西村センセイ都心で地震に遭いました

 ご存知のように、本日午後、東北地方を巨大地震が襲いました。センセイは都内出張中だったのですが、無事で、現在は都内に確保した宿所にいます。
 甚大な被害が発生したに違いないのですが、本日夜現在、状況がまだよくわかっておりません。

 今日はセンセイが体験したことだけをご報告します。

 今日は大学の施設で1日中会議が開かれていたのですが、午後2時46分、特徴的な、微かな揺れを感じました。会場を見渡すとまだ誰も気づいていません。

 これだけの災害になるとは予想できなかったのでその瞬間は黙っていたのですが、数秒後に数人が顔を見合わせ、直後に周期の長い、大きな揺れが建物を襲いました。
 揺れは2分以上続いたんじゃないかと思います。

 センセイらがいたのは十数階建てのビルの1階。センセイ個人はそれほどの危険性は感じなかったのですが、声を掛け合って皆で机の下に。
 1階でもかなり揺れたので、この建物の上層階や高層ビルにいた人は相当恐怖を感じたのではないかと思います。 

 ひとまず会議を再開したのですが、約30分後に今度は近い場所で地震。初期波が違うので、近いとわかるのです。
 安全管理上の問題から、会議を中止し退出することになりました。

 外へ出たのは午後4時頃だったのですが、まだ終業時刻になっていないのにたくさんの人が歩いています。
 皆、会社(ないしは建物)から退出するように指示されたんですね。

 ヘルメットをかぶっている人もかなりいます。

 ふと気づくと、目の前を歩く女性の一陣もヘルメットを手にしています。手前の女性二人が左手で持っているのはヘルメットなのです。
 奥の女性も同じです。

 鉄道および地下鉄は全線ストップ。多くの方はひとまず駅へ向かいます。運転再開を待って帰宅するのです。
 ただし在来線は耐震性が低い施設が多いため、安全確認と復旧には相当時間がかかることが予想されます。

 空のタクシーは走っていませんし、仮に見つけられたとしても都内は激しい渋滞になっています。
 写真は東京駅前で撮影したものですが、バス停には文字通り、長蛇の列。それが何重にもなっています。

 しかも到着するバスは大混雑。要するに、歩いて帰るしかないのです。

 センセイは新橋駅付近にいたのですが、これまでの経験から、新幹線は比較的早期に運転を回復することを知っているので、まず東京駅まで歩きます。
 到着したセンセイを待っていたのは「東北、上越、北陸(長野)新幹線は終日運休」との知らせ。

 センセイの「経験」なんて何の役にも立たなかったわけです。

 構内にはたくさんの帰宅できない人々。広い場所には修学旅行の途中と思われる生徒の一群がいました(あまりに可愛そうなので、写真は撮影していない)。

 この段階までは同僚数人と一緒で、これから起こり得ることに備えてとにかく腹ごしらえを、ということになったのですが、駅構内の飲食店はすべて、新規のお客を受けくけてくれません。
 さすがに、すでにいるお客を追い出すようなことはしませんでしたが。

 センセイらは結局、池袋や新宿、あるいは町田までどうにかしてたどり着くことにして解散しました。
 でも、彼はどうやって町田まで歩いたんだろう。

 センセイはというと、とにかく宿泊先を確保する必要があります。

 でも電話を使おうにも、携帯電話はほとんと?がりません。同僚も、大学からの安否確認など受信はできたようですが、発信は不可。
 他の人はメールを使えたのですが、センセイは当初、それすら難しい状況でした。

 こういう時は公衆電話が頼り。他の電話と繋がり方が違うのです。でもその前にはご覧のような列。日が暮れてきました。たくさんの人が同じ方向に歩いています。
 やはり歩くしかない。

 これまでの場面で混乱や、ましては犯罪など一切見かけることはありませんでした。皆さん秩序を保って行動しています。それ自身はとても大切なことです。
 でも、歩いている人の中には、センセイのように歩いて帰宅できない人もいるはず。そういう人はとにかく、今日の宿を確保する必要があるのです。

 この場合、皆と同じように電話をしたり、駅近くのホテルのフロントで訊いてみたりしても、まず間違いなく時間の無駄。皆が考えるであろうことの先を読み、的確に行動する必要があります。
 センセイは無事、宿所を確保することができました。明日の復旧を期待して、明日始発の新幹線も予約しました。

 お伝えしたように、現在のところセンセイは無事です。その点はご安心ください。



3月10日(木) ある意味では、「江ぐち」復活

 北陸地方は昨日から大荒れ。

 センセイは夜、横殴りの雪が吹き付ける中、しかも雪の上を普通の革靴で帰宅しました。今朝起きた時には静かだったのですが、強い寒気が入ったらしく、路面が雪と氷でバリバリに凍結しています。
 昨晩よりも状況が悪化しています。

 幸いにも駅までの間は晴れていたので、足元を確かめながらゆっくり歩きます。普通の靴は雪や氷の上ではとても滑りやすく、大変危険なのです。
 柏崎駅に無事到着すると、センセイが乗る予定だった各駅停車が大幅に遅れているとのこと。理由の説明はありません。

 強風――確かに昨晩から強い風が続いていた――のせいかなぁーとぼんやりしていると、目の前を北越急行所属の特急「はくたか1号」が通過。
 どうなってるの?

 お伝えしたように、通常ならば特急「はくたか」は信越本線のこの区間を走行しないのです。各駅停車の遅れはどうやら、「はくたか」を先に通すためと解釈されます。
 後で確認すると、上越線内で車両トラブルが発生したため迂回運行したんだそうです。

 これでダイヤがぐちゃぐちゃになったので上越新幹線に間にあうか、かなり厳しい状況になりました。でも、各駅停車よりも後続の特急列車を優先的に走らせることになり、結果的には予定通りに都内到着。
 吹雪のホームで長時間待っただけの甲斐がありました。

 今日はいくつかの用を片付けるのですが、ひとまず中央線に乗って西へ。「エキナカ」で雰囲気が変わった三鷹駅で降ります。
 駅前――この辺はあまり変わらない――少し歩いて変形十字路に到着。

 頭の上の、少しだけ変わった看板を確かめながら、階段を1回転半して地下1階へ。最後の角を曲がると......おぉ、中華そば屋「江ぐち」!!
 ......そんなはず、ないですよね。ご覧のように暖簾は、「中華そば みたか」。

 三鷹駅南口がまだのんびりしていた頃から、三省堂書店の向かいで営業していた「江ぐち」が閉店したのは昨年。
 センセイが昨年3月に訪問した時はもちろん営業していませんでした。

 でも江ぐちの精神を引き継ごうという奇特な方が現れて、お店を再開することになったのです。
 その名もずばり「みたか」。

 ちょっとストレートすぎる感じもしますが、でも再開にこぎつけただけで、もう、うれしい。ちょうどお昼時で店内はもちろん、写真撮影後にお店の外にも人が並び始めました。
 今日はいろいろ用があるので、残念ながら、初「みたか」は諦めます。

 もしかするとお客の中には、つい先日も新聞に寄稿した、近くにお住まいのM先生――現在はT女子大学学長!! ――がいらっしゃったのかもしれない。

 う〜ん、混雑の様子を確かめるふりをして、店内をのぞいてみるべきだったかな。



3月9日(水) 季節の変わり目 ──金沢駅がどんどん変わっていきます──

 西村センセイは、明日から都内へご出張。午後の長い会議を終えるアパートを経由してバスで金沢駅へ。今晩はひとまず新潟の自宅へ戻ります。
 その方が、明日の移動が楽なのです。

 引退する特急「雷鳥」の写真コーナーを通り過ぎて売店に立ち寄ると、こちらにも雷鳥の文字。引退記念グッズを販売中とのこと。許可を得ていないので店内では撮影していません。
 でも特設コーナーは、雷鳥のネームプレート(模造品)やキーホルダーなど「これでもか」、という感じ。

 でも雷鳥と新型のサンダーバード──高速で停車駅も少ない──が混在して走っていた時は、センセイを含めた多くはサンダーバードを希望したんだけど。
 実際、センセイはここ数年雷鳥には乗っていないし。

 センセイが金沢に戻るのはダイヤ改正後だし、来週は車で来る予定なので、雷鳥コーナーは今日で見納めとなります。
 そう考えて駅構内を改めて見渡すと、ずいぶんいろんなところが変わっています。

 駅ビル「金沢百番街」では旧「トレンド館」を全面改装して、20〜30歳代の女性をターゲットにした「Rinto」が3日にオープン。「凛と」をイメージしたそうで、多くは金沢初進出のお店です。
 お洒落すぎて、センセイはとても近づけそうにない。

 485系3000番台の特急「北越」に乗り込むと、駅西側がずいぶん変わっていることに気づきました。

 写真の場所にはかつて駐車場があって、工事をしていることは知っていたのですが、それがバスターミナルとして整備され、すでに供用が開始されているようです。
 写真の一部が歪んでいるのは降雨で窓が濡れているためです。

 先日はずいぶん暖かかったのに、昨日から急に冷え込んできて、今日の金沢は一時的に雪で真っ白になったほど。
 富山県は西部を中心にかなり雪が降って積もりました。

 たどり着いた柏崎も雪。少し積もっています。革靴に履き替えて来たので、慎重に歩きながらのご帰宅。

 でもよく考えてみると、「三寒四温」という言葉──先人の知恵ですね──が示すように、この寒暖の繰り返しこそがまさに、春、なんでしょうね。

 また、そう考えてみると雷鳥の引退騒ぎも、数年後に迫った新幹線を見据えた駅ビルの改装、そしてバスターミナルの整備も、ある「季節」の節目を指し示しているんだろうなぁと思います。
 長短、あるいは程度の差はありますが。

 ところで、春休みに入ったことや、青春18きっぷの有効期間に入ったこともあるのでしょう。
 先週から北陸地方に鉄道ファン──特に「撮り鉄」──が大挙して押しかけています。

 11日(金)の「雷鳥」最終運行日は1往復とも凄いことになるんだろうなぁ。



3月8日(火) しばらくの間、ちょっと不便になるけど...。 ──旧厚生棟他の解体工事が始まった模様です──

 「雪か雨」という天気予報がご覧のように見事に外れて、今朝のセンセイは自転車でご出勤。

 ただし気象台の名誉のために補足すると、今朝の金沢は道路こそ無雪ではあるものの、田圃や車は真っ白。「いやに静かだなぁー」と思った昨晩、雪がかなり降っていたんですね。

 学会の急ぎの仕事が入ったので、学内郵便局で急ぎの仕事を済ませます。そのついでに、大学食堂でちょっと早めの昼食を取ろうと、外へ。午後から、気を使う会議が入っているのです。
 寒さのせいか、空が高い。これで木々が紅葉していれば、まるで秋の空。

 そこへ突然、「ギギギ!!」。何か叫び声のような音。

 何だか良くわからなかったのですが、周囲を確認しているうちに、だんだん状況が掴めてきました。
 いつの間にか目の前には工事用のフェンスが設置されています(全然知らなかった)。

 昨年の新厚生棟の供用開始に伴い、写真右手の旧厚生棟その他の解体工事が始まったんですね。
 悲鳴は写真左奥の陸橋かららしく、どうやらこちらも一緒に壊してしまうようです。

 センセイが承知している限りは、不要になった校舎を取り壊し、跡地には講義棟を建設予定とのこと。
 建設資金等の問題もあるでしょうから、解体に引き続いてすぐに実現できるかどうかはわかりませんが。

 基本的には学生諸君もセンセイらも嬉しい話題なのですが、目先の話題だけに限定すると、これがちょっと微妙。

 右側の建物の奥には別な講義棟があって、雪が降り積もる冬場や雨の日はこの陸橋を利用するしかないのです。またその講義棟から新学生食堂への移動も同様。
 天気が悪い日は、これがホントにありがたい

 危険防止のためにも解体工事期間中は仕方ないとして、その後はどうなるんだろう......。

 今日は所用で早めに帰宅したのですが、その途中で天気が急変し、寒気が進入してきたらしく、大荒れの天気に。やっぱり予報は当たっていたんですね。
 関係者の皆様、ゴメンナサイ。



3月7日(月) デスクトップのデザインを変更しようとして、あれ?!

 音源を管理するために購入したMac miniは順調に稼働しています。前のPowerBook(Pro)とほぼ同等の性能ですが、センセイのMacBook(White)よりは世代が若いので、やはりその分、高性能。
 アクティビティ・モニタ──Windowsの「タスクマネージャ」に相当──を見ていて気づいたのですが、センセイのマシンと違って64bitで動いているんですね。

 この他にも、「あれっ?」と感じることがあります。例えば右の写真は、デスクトップを設定中に撮影したもの。

 センセイは色をできるだけ精密に管理するため、すべてのマシンのデスクトップをグレーで統一しています。
 でももちろん、写真や絵を背景にすることも可能です。

 そこでWindowsマシン上の写真置き場を参照しているのですが、3枚ほど“PICT”とだけ表示され、サムネイル画像が見えないものがあります。
 これら3枚は、Macintoshで標準形式だった“PICT”フォーマットの写真。

 新Mac miniが搭載するMac OS X 10.6 Snow Leopardから、OSがPICTをサポートしなくなったんですね。
 ベクトルデータもビットマップデータも利用できる便利な形式だったのですが......。

 もちろん画像処理ソフトを起動すれば何とかなるので、その意味で実害はないのです。
 でも直感的に理解できる使いやすさが売り物だったかつてのMacからすると、やはりずいぶん遠いという感じを受けます。

 なお、ハッピー・マックのアイコンが並んでいるのは、センセイが使用するすべてのWindowsマシンのユーザーのアイコン──起動時に出てくるやつ──として使っているためです。
 Mac側でWindows標準のbmpファイルに変換して、各マシンに収めておくのです。

 いかにへそが曲がっているか、という証左なのですが。



3月6日(日) iTunesはエンファシスを正しく認識しない!! ──デジタル・オーディオに残された問題──

 お伝えしているように、西村センセイは新潟の自宅書斎、金沢のアパート、そして移動時のそれぞれで、所有する音源をそれなりにきちんと管理しようと取り組んでいます。

 でもその過程で、「あれ、変だなぁー」と思うことに出くわしました。CDからiPodへ移した音源の一部が、キンキンしているのです。

 MDデッキが修理から戻ってきた──なぜMDデッキが必要なのかは後述──ので、少し調べてみました。音源はグレン・グールドが演奏するバッハのゴールドベルグ変奏曲。
 センセイが所有するのはCDが出たばかりの時のものなので、現在市販されている版では事情が異なっているかもしれません。

 その冒頭5分ほどをCDプレーヤーで再生し、デジタル信号のままMac上の音声処理ソフトに取り込み、最大音声部分の周波数分布を見ます。(フーリエ解析
 次にMDデッキを間に挟んで――MDに録音してはいない――もう一度同じ部分を再生します。

 FFTを用いるこの方法、慣れてくると、いろいろなことがわかるのです。(本来の画面はもっと穏やかな表示です。グラフを目立たせるために、かなり派手に加工しています。)

 以下、3枚のグラフはいずれも、横軸が周波数(右側が高音)で、縦軸はレベル(上が大きい)です。
 1、2枚目のグラフは2回の測定結果を重ねているもので、実はまったく同じ内容。

 異なるのは、1枚目は縦軸、横軸ともにlog(対数)目盛りなのに対して、2枚目ではリニア表示に切り替えてることだけ。
 いずれも、右半分がなだらかに下がっていることがわかります。

 電子楽器などを用いず、普通に演奏する場合はこのような分布になります(一番下の2本の線は再量子化ノイズ)。
 でもよぉーくみると、右側では(=高音部)線が二本の線に分かれていいます。

 違いを際立たせるためにリニア表示に切り替えた2枚目では、それがよくわかります。

 2本のグラフのうち、最初に再生した時のグラフが上で、こちらは高音が強調され、キンキンした音。
 MDデッキを挟んで再生した、下のグラフが本来の分布です。

 つまり最初の方法ではCDを正しく再生できていないのです(後述するように、通常はアナログ信号への変換部分できちんと補正されます)。

 初期のデジタル音声機器やメディアでは「エンファシス」という技術が用いられていました。
 あらかじめ高音を強調して録音し、再生時にその分を弱くして、途中でのノイズの影響等を減らす技術です。

 アナログ時代にもFM放送や、テレビ音声などで使われていた方法で、デジタル化後はPCM録音機、CD、DATの一部やアナログBS放送の音声(音声はデジタル)などで用いられていました。
 良かれと思って、従来の技術の延長上で用いたんですね。

 実はデジタル音声自身には「高音を強調されている」などの情報は記録されていません。機器を繋いで信号を送る時や、CDを制作する時に「このデータは高音が・・・」という符号を付け加えるのです。
 本来ならばユーザーは何もしなくて良い、ということです。

 最初の接続でも人間の耳に聴こえる音声に変換する(DA変換)する時にきちんと処理すれば問題はありません。人間がデジタル信号をそのまま聴くわけではないのですから。
 ただしその最後の処理(「ディエンファイシス」)が行われないとすれば、これは問題になります。

 最初の2枚のグラフはいずれも、Mac上でソフトが受け取った信号。この段階でソフトは、高音が強調されているかどうかなんて、ちっとも気にかけていません。
 このソフトだけではありません。

 3枚目のグラフは同じCDをとてもメジャーなiTunesで読み取ったものですが、最大音を示す上のグラフは強調されたまま。
 しかも、下の2本の線は実際の音声(ピアノの音)をリアルタイムでFFT解析しているのですが、右端の部分は右下がりどころか、部分的には右上がりになっています。

 普通の音源では平均すると、1枚目のグラフで右半分のように右下がりになるはず。
 iTunesやQuickTime Playerといった、基幹となるソフトがエンファシスを認識していないのです。

 最近のCDなら該当するものは少ないのであまり気にする必要はないと思いますが、自分で録音したものや、古いCD、あるいはLDやBS放送などを処理する時は注意が必要でしょう。
 あ、別に違いがわからなければ無視してかまわないんですよ。

 ところで、測定していて気づいたのですが、センセイが所有するBDレコーダーでエンファシス入りのCDを再生すると、アナログ音声は当然のことながら、デジタル音声出力からもディエンファシスされた信号が出力されていました。
 飛ぶ鳥を落とす勢いのAppleですが、意外なところに盲点があったんだなぁー。

 そして散々叩かれながらも、しっかりと地道に仕事をしている日本の家電メーカーの対比が際立った、そんな感じ。

 なお、MDデッキを間に挟むとこの問題はほぼすべて解消できます。それまでのリニアPCM(AIFFおよびWAVファイル)と違って、MDはデータを圧縮するためにATRACという周波数を重視したデジタル処理をしています。
 その関係でMDデッキは強制的にディエンファシスするのです。

 またサンプリング周波数が44.1kHzに固定されているので、48.0kHz(BSおよびDAT)、44.096kHz(PCM録音機)、32.0kHz(BS)などデジタルのままデータを変換してくれます。
 「たとえ完全には修理できなくても・・・」と修理担当者にお願いの手紙を書いたのは、このような事情からなのです。(補正のための無料ソフトも出回っています。センセイは使いませんが。)

 なおすっかり見なくなったMDデッキですが、調べてみるとTEAC民生用モデルおよびTASCAMブランド――センセイもずいぶんお世話になりました――で業務用2モデル(こちらこちら)の新製品を発表しています。
 インターフェースが違うだけで、いずれもほぼ同一内容と思われます。

 プレスリリースにも記されていますが、業務用を中心に、コンスタントに需要があるんですね。

 サンプリング周波数の変換についてもソフトが流通していますが、業務用にコンバーターも市販されています。この件については近日中に後日ご紹介できると思います。

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